離婚一般

離婚が子どもに及ぼす悪影響とその軽減方法

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今回は、親の離婚が子どもにどのような影響を及ぼすかについて書きたいと思います。 このテーマは、子どものいる夫婦にとってはとても関心のあるものではないかと思います(関心があってほしい、という願望もありますが・・・。)。

一方で、離婚となれば親自身も心身ともにしんどい状況に置かれます。そして、子どものことは気になるけれど、結局後回しになってしまうこともあるでしょう。そのため、これを読んで少し前知識を持ってもらえたらと思います。

   1 情報収集の方法

離婚を検討しているみなさんは、何となく、「離婚すると子どもに悪い影響があるのでは?」と心配になったりすることがあると思います。しかし、このテーマに関する研究は、離婚関連先進国であるアメリカでは比較的活発に行われていますが、日本ではあまり研究結果は多くありません。

専門的な研究結果を見ても、なかなか分かりにくいと思うので、比較的読みやすいものをご紹介します。

1-1 FPIC (社団法人家庭問題情報センター)

社団法人家庭問題情報センター(FPIC)の研究 

出版物の購入について

このFPICという団体は、家庭裁判所調査官のOBを中心とするメンバーで構成されています。そして、この研究は、親の離婚を経験した96人の子どもにインタビューした結果をまとめたものです。身内的な発想でお勧めするわけではありませんが、とても分かりやすいので、興味のある方はご一読ください。「はっ」とさせられる子どもの声に出会うことと思います。

1-2 専門家の論文を読む場合

他には、専門家の著書や論文を読むという方法があります。離婚が子どもに与える影響について研究している専門家は日本にも何人かいますが、その中でも、野口康彦さん、小田切紀子さん、棚瀬一代さんのお三方が比較的読みやすく、内容も充実した研究が多いように思います。

少し専門的な内容もありますが、「野口康彦 離婚」、「小田切紀子 離婚」、「棚瀬一代 離婚」と検索してみてください。先生方の研究の概要や、大学生が先生方の研究結果を利用した論文を書いたものを見つけることができると思います。専門書を買うとなるとそれなりに値が張りますので、ネットで概要などを読んでみてから気になる著書を購入すれば十分だと思います。

1-3 研究からいえること

他にも海外の研究も合わせると、様々な研究結果が出ています。誤解を恐れずに端的に言うと、各種研究結果から言える結論は、「離婚そのものが子どもに悪影響なのではなく、離婚によって生じる様々なマイナスな状況が子どもの福祉に悪影響を及ぼす。」というものです。

ようするに、離婚をしたとしても、起こりうる不適切な状況を排除できれば、「離婚=悪影響」というわけではないということです。

   2 具体的な「悪影響」の例

とはいっても、「本や論文を読む時間がない!」という方も多いと思いますので、ここで少し「悪影響」の例をご紹介します。

2-1 経済的困窮

日本では、子どものいる夫婦が離婚した場合、8,9割方、母親が親権者になります。そして、その場合、必ずと言っていいほど、生活レベルは下がります。養育費や母子手当などをもらったとしても、です。また、養育費については、継続的に支払ってもらっているのは19パーセントという統計結果があります。

生活レベルが下がることによって、子どもは、習い事が続けられない、外食や外出が減る、などの悪影響を受けます。また、「お父さんがお金をくれないせいで・・。」と子どもが思ってしまうこと自体が子どもの健全な成長にとって悪影響です。

2-2 親に見捨てられたと思うことによる自尊心の低下

たとえ離れて暮らすことになった親が子どものことを見捨てていなかったとしても、それが伝わらない場合があります。面会交流ができていなかったりすると、その理由が何であれ、子どもとしては、親が自分に興味を持ってくれていないと感じます。同居親が「お父さん(お母さん)はあなたを捨てて出て行ったのよ。」なんて言ってしまう場合はもっての他です。

そうすとる、子どもは両方の親から大切されているという感覚を持てなくなり「私、ぼくなんて・・。」という自尊心の低下につながります。自尊心の低下は、将来、いろんな形で問題化していきます。友達にいじめられたときや配偶者からDVを受けたときなど、不当な扱いを受けているのに受け入れてしまったりすることもあります。また、自分を大切にできず、自傷行為をしたり、過激な性産業に身を投じてしまったりします。

2-3 離婚は自分のせいだと思い込み、罪悪感を抱える

子どもは、年齢が低ければ低いほど、何か悪いことがあると「自分が悪いのでは」と自分を責めます。他罰的な大人とは正反対です。ですので、実際は全く子どものせいではなかったとしても、「パパとママはぼくのせいでよくけんかをしてた。パパとママが仲良くできないのは僕が悪い子だからだ。」とか「私があの日、友達の家に泊まりに行っていなければ、お母さんは家を出なかったかもしれない・・。」といった声が子どもから聞かれるのです。また、「自分ではどうすることもできない。」という無力感にさいなまれる子どももいます。

2-4 両親喪失

よく、離婚は片親を失うことになると言われていますが、片親だけでなく、最近は「両親喪失」も懸念されています。というのも、同居親が収入確保のために長時間労働を強いられたり、精神的にまいってしまったりして、子どもに手をかけてやれない状況が出てくるからです。そうなると、子どもにとっては、片親ではなく、一緒に住んでいる親まで失ったように感じてしまうのです。

2-5 その他

その他にも、自発的に親離れをする前に強制的に親から離さることによる発達上の問題や、反抗期に反抗する対象がいないことによる思春期の問題、転居を伴う場合の、住環境や学校環境の変化などの問題があります。このほかにも挙げられるものがあるかと思いますが、とにかく離婚が子どもに及ぼす影響は多岐にわたることがご理解いただけたと思います。

   3 悪影響を最小限にする方法

次に、このようなマイナスの状況が子どもに及ぼす悪影響を最小限に抑える方法について考えてみます。

3-1 経済的な問題

たとえば経済状況です。母親の一人親家庭は、平均収入が200万円前後であるという研究結果が出ています。この結果だけみても、離婚によって経済的な不利益が生じていると言えますが、これは、十分に養育費をもらえていなかったり、母親自身が安定して就労できていなかったりするからです。母親自身の就労については、婚姻期間中のブランクもあり、自分の努力だけでは安定してそこそこの給料を手にするのは難しいと言わざるをえません。また、養育費についても、相手からもらうものですので、相手に資力がなかったり、悪意で支払ってもらえない場合はどうしようもありません。

しかし、自分で何とかできる部分もあります。例えば、離婚の際、口約束ではなく離婚協議書や公正証書で養育費について取り決めておくとか、決めた後も、継続的に支払ってもらうためにできる工夫があります。また、自分の就労についても、「どうせ無理」とあきらめず、離婚前から計画的に就職活動をすることで、離婚直後から安定した収入を得ることが可能です。

ポイントは、「ない袖は振れないが、ある袖は計画的に振る。」ということです。とにかく離婚したい一心で無計画に離婚するのではなく、将来の生活設計をしっかりした上で離婚しましょう。

養育費について書いていますので、参考にお読みください。

専業主婦が離婚したいときに考えておくべき7つのこと

幸せ養育費のすすめ

養育費が支払われない場合の完全マニュアル!

 

3-2 説明が大切

また、子どもにきちんと離婚やその後の生活について説明することも大切です。きちんとした説明がないからこそ、子どもは自責の念に駆られたり、不安を抱いたりします。そのため、①お父さんとお母さんは仲良くできないから離婚するけれど、それは決して子どものせいではないこと、②離婚してもどちらの親も子どもを大切だと思っていること、また、③予想される離婚後の生活の変化についてもあらかじめ説明しておくことが大切です。子どもは、この3つのことを説明されるだけで、精神的にずいぶん安定するものです。

3-3 円満な面会交流がカギ

また、子どもは、片方の親と別居することを寂しいと感じたり、見捨てられたと思ったりします。先ほど書きましたように、これによって、子どもが精神的に不安定になったり、見捨てられたと思うことで自尊心や自己肯定感がなくなり、将来非行に走ったり(少し極端ですが)という危険性が出てくるのです。しかし、こういったマイナスの状況も、別居親と円満な関係を保つことによってずいぶんましになります。

なかには、「うちの子は忙しいから父親(母親)なんかにかまってられない。」というように、子ども側にはニーズがないと主張する親御さんがいます。もちろん、子どもの年齢が上がれば上がるほど、こういう状況が本当に生じているのだと思いますが、最初から全く会えないのはやはりよくありません。面会交流をやっていたけれど、子どもの成長とともに何となくフェイドアウトしていった。でも、子どもが大人になってからも、ときどき何かの折に連絡がある、なんていう関係が理想だなと思ったりもします。

   4 まとめ

ここまで離婚が子どもに及ぼす悪影響についてばかり書いてきましたが、DVや虐待が原因の離婚の場合は、子どもにとって、親の離婚は大きなプラス要素になるでしょう。ほかにも、親のけんかを見なくてすむ、親に笑顔が戻ったなど、いい面もあるのです。

「子どもへの悪影響が心配だから離婚しない。」という選択肢もあると思いますが、「悪影響を最小限にとどめ、子どもにもプラスになる離婚を目指す!」という選択もあっていいと思います。ただ、これまでたくさんの夫婦の離婚を見てきましたが、子どもが全く傷付かない離婚なんていうのはなかったように思います。「子どもに申し訳ない。」という親の謙虚な気持ちと、「なるべくプラスにもっていくぞ!」という明るい気持ちが必要なのだと思います。

こちらも親の離婚が子どもに与える影響について書いてあります。是非参考してください。

親の離婚、子どもには悪影響!?

 

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