養育費

養育費が支払われないときの完全マニュアル!

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養育費が支払われないときの催促の方法は、養育費を取り決めた形式(口約束なのか、公正証書で取り決めたのか等)によって異なります。

今回は、養育費が支払われないときの対応について、「養育費をどのように形で決めたか。」という取り決め方別に考えていきたいと思います。

養育費の基本について知りたい方はまずこちらを読んでみてください。
幸せ養育費のすすめ
養育費における勝ちとは

まずは自分で催促する

なぜ、まずは自分で催促する必要があるのか

口約束の場合、公正証書を作成した場合、調停で合意した場合など、どんな決め方をしたとしても、まずは自分で振込の催促をしてみましょう。催促の方法は、催促したことや金額が残るよう、メールやラインで行いましょう。

離婚した相手に催促の連絡をするのは気が向かないという方もいると思いますが、突然、裁判所から何らかの督促の連絡が来るというのはとてもびっくりしますし、不愉快にもなります。

目的は、相手を驚かせたり、不愉快にさせることではなく、継続的な支払いを促すことです。ですので、まずは、穏やかな雰囲気で請求してみましょう。

催促時の6つのポイント

ビジネスマナーをお手本に

元配偶者と連絡を取る際、どんなスタンスを取ればいいのか分からないという方がおられます。そんなとき、「仕事の取引先の相手だと思ってください」とお伝えしています。

離婚後の父母間のコミュニケーションはビジネスライクにするのが一番です。ビジネスメールは「いつもお世話になっております。」から始まります。それが何か相手のミスにクレームをつけるためのメールだったとしても同様です。

養育費の催促の際も、ついつい怒りや不満を記載したくなりますが、まずは、「いつも養育費を振り込んでいただき、ありがとうございます。」から始めてみましょう。

未払分を明確に

日頃から入金が遅れがちだったり、未払い分を通常の支払いに上乗せで支払ったりしている場合、意外と相手は何月分の支払いができていないのか、把握していないことがあります。

そのため、通帳のコピーを添付するなどし、何月から何月分の養育費が未払いであるかを明確に記載しましょう。

振込がなくて困っている現状

養育費の支払いがないことで、生活にどのように影響があり、いかに困っているかも伝えましょう。なくてもいいものではなく、かけがえのない養育費であることを理解してもらうことで、支払いの意義を感じてもらうことができます。

相手の事情への理解

ケースバイケースですが、相手にも何か支払えない事情が予想される場合があります。例えば、親の介護が必要になったとか、仕事がうまくいっていないなどの理由です。

そのような場合、相手の事情も理解した上で、それでも大切な養育費を支払ってもらいたいことを伝えましょう。

未払分をいつまでに支払ってほしいのか

期限を切らない限り、ずるずると支払いが遅れます。そのため、〇月〇日までに入金をお願いします、と記載しましょう。加えて、その期限に理由が付けられるのであれば、〇〇の支払が必要なため、などと付け加えるのも有効です。

期限までに支払いがなかった場合の手段

例えば、裁判所に申し立てるもしくは強制執行の手続きを取るなど、期限までに支払いがなかった場合に予定しているアクションについても記載しておくことをお勧めします。

そうすることで、相手が危機感を持ってくれることもありますし、本気度も伝わります。その代わり、そのように記載したら、必ず実行することが必要です。

催促の例文

いつも養育費の振込みありがとうございます。毎回、大切に使わせてもらっています。

ただ、3月分と4月分の振込みがなく、不安に思っています。〇〇さんも住宅ローンやお義母さまの介護費用で大変だと思いますが、娘にとって、〇〇さんからいただく養育費は、とても大切な教育費になっています。

3月と4月の養育費については、塾の月謝の支払いがある5月15日までに入金していただけないでしょうか。もし、この日までに入金していただけない場合、家庭裁判所での手続きも検討しています。あまり大ごとにはしたくないので、よろしくお願いします。

避けたい文面

養育費の支払いがないのですが、どういうことでしょうか。至急支払ってください。もし支払ってくれないときは法的措置をとります。

このような文面が好ましくないポイントは、以下のとおりです。

①いつから不払いか明記されていない
②責め口調もしくは上から口調
③「至急」とのみ書いていて期限が明記されていない
④感謝の気持ちや相手の状況を慮る文面がない

繰り返しになりますが、請求の目的は、相手に文句を言ったり相手を言い負かすためではありません。あくまで、スムーズな支払いを促すのが目的です。是非、感情に負けず、理性的な文面を心掛けてください。

それでは、以下、自分で催促をした後の手続きについて、取決めの方法別に記載していきます。

口約束で養育費を決めた場合の催促の手順

離婚の際、単なる口約束で養育費の金額を決めたけれど、そのうち支払われなくなってしまったという人もたくさんおられるのではないでしょうか。口約束にすぎませんので、自ら請求をしたところで、知らんぷりをされることも考えられます。そのため、次の手段として、以下の方法が考えられます。

家庭裁判所の調停

自分で催促してもダメな場合、次は家庭裁判所に養育費の調停を申し立てることになります。調停の場では、口約束と言えども、きちんと約束したことを主張してください。また、定期的に相手から一定額が振り込まれていたことがわかる通帳があれば、資料として写しを提出するのもいいかもしれません。

調停で合意に至らなかった場合、自動的に審判という手続きに進みます。審判になれば、裁判官が適切だと思われる金額で判断します。それでもまだ支払いがなかった場合に、はじめて強制執行の手続を地方裁判所で取ることができるようになります。強制執行の手続きについては後述をご参照ください。

ADRによる調停

自分で催促するのはちょっと気が引ける、でも、家庭裁判所で争うほどでもない。そんな方にお勧めなのがADRです。ADRは民間の調停機関がお二人の協議を仲介します。話合いの結果、合意に至ることができれば、その内容を合意書や公正証書に作成しておくことが可能です。公正証書まで作成しておけば、また不払いが発生した際、強制執行の手続きが可能です。

ADRによる調停(仲裁・仲介)
ADR調停(仲裁) よくある質問
ADRごご利用者様のお声

協議離婚書で養育費を取り決めた場合の催促の手順

協議離婚書で取り決めた場合も、残念ながら直接強制執行等の手続をとることはできません。請求の手順は口約束の場合と同じで、まずは自分で催促、それでもだめならADRや家裁で請求ということになります。ただ、口約束の場合と違うのは、離婚協議書を証拠として提出できることです。

離婚公正証書で養育費を取り決めた場合の催促の手順

離婚の際、養育費が支払われなかったときは強制執行ができる旨を公正証書にて取り決めた方は、調停や審判を経ることなく、直接、地方裁判所で強制執行の手続をとることができます。

これまで、公正証書や裁判で取り決めていても、結局相手の勤務先が分からない、どこの金融機関に財産を預けているのかわからないという場合は強制執行ができませんでした。しかし、民事執行が改正されて以降、手続きは煩雑ではありますが、強制執行がとても現実的になりました。強制執行の手続きについては、後述を参照してください。

当センターでは、公正証書の作成代理も行っております。ご自身での作成に不安がある方は是非ご利用ください。

公正証書作成サービス

家裁の調停・審判・裁判で取り決めた場合の催促の手順

履行勧告

直接、地方裁判所で強制執行の手続をとれる点は公正証書と同じですが、家庭裁判所の調停、審判もしくは裁判で養育費を取り決めた場合、家庭裁判所にて「履行勧告」という手続を取ることができるのが特徴的です。

履行勧告とは、家庭裁判所調査官が「義務者」と呼ばれる支払う側の相手に手紙や電話で連絡を取り、「いつまでにいくら支払ってくださいね。」というような督促をする制度です。

履行勧告は、電話一本で依頼することができて、とてもお手軽ですが、反面、強制執行と違い、強制力がないのが難点です。

強制執行

強制執行の手続きは、地方裁判所にて行いますが、思っている以上に煩雑で簡単ではありません。以下では、手続きの過程でつまづきそうな2点についてお伝えします。

相手の住所

まず、一番最初に確認しておかなければいけないことは、相手の住所です。強制執行の手続きのためには相手の住所が必要ですので、相手が転居してしまって把握していないという場合は、調べるところから始めましょう。

市区町村によって必要書類は異なりますが(例えば、養育費を取り決めた公正証書等)、元妻が養育費の強制執行を目的としている場合、元夫の住所を開示してもらえることがほとんです。

差押債権目録の作成

次に、どんな財産に対して執行するのか(どんな財産を指し押させるのか)、ということを明らかにしなければなりません。既に、相手の勤め先や預貯金口座を把握していれば問題ありませんが、離婚から何年も経っていると、それさえも不明なことがあります。

その場合、「財産開示手続き」や「第三者からの情報取得手続」を経て、差押え先を明らかにしていきます。しかし、言うは易し行うは難しで、時間と手間がかかります。

例えば、財産開示手続を経ても相手が財産を開示しない場合、第三者からの情報取得手続にて預貯金の口座を検索していくことになりますが、金融機関1機関につき、4千円の手数料が必要になります。全くどこの金融機関かが分からない場合、かなりお金がかかりますし、タンス預金だと空振りに終わってしまうこともあります。

上述の手続きについてはこちら(裁判所ウェブサイト)をご参照ください。

養育費の取決めと催促における2大原則

ここまで、養育費が支払われなかった場合の催促の方法について、取り決め方別に見てきました。それぞれの取り決め方によって、催促の仕方が違うのがお分かりいただけたでしょうか。結論としては、次の3つのことが言えると思います。

手軽な方法で決めると不払いになった後が大変

離婚の際、少しでも早く離婚したい、相手と協議したくない、そんな気持ちで養育費の公的な取り決めを断念する方も多いと思います。また、中には、きっとこの人は子どものためのお金なら支払ってくれるはず、という信頼から、公的な書面で取り決めない人もいるかもしれません。

しかし、不払いが発生した際、公的な書面を作っていないと、大変な手間がかかります。そのため、家裁はちょっと敷居が高いという人でも、必ず公正証書は作成しておきましょう。

不払いが発生する前の方が大切

ここまで読んでくださった皆様はお分かりだと思いますが、一度不払いが発生してしまうと、その後の手続きはとても煩雑になります。

公正証書や家庭裁判所で養育費を定めていたとしても、すぐに未払いが解消されるわけではありません。また、相手方が自営業だったり、海外に移住してしまったりすると、強制執行すらできないことがほとんどです。

そのため、まずは、不払いが発生しないよう、面会交流で子どもの成長を感じてもらったり、養育費の支払いを受けたらお礼や受領のメールを送るなど、日頃からできることをやってみましょう。

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当センターでは、養育費に関するご相談やお相手との協議の仲介もお受けしております。ご予約は以下のフォームよりお願いいたします。

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