離婚一般

モラハラ夫と夫婦不和からの離婚

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セクハラ、パワハラをはじめ「〇〇ハラ」という言葉を耳にするようになって久しいですが、今日は、特によく聞かれるようになった「モラハラ」とモラハラが招く夫婦崩壊の過程について書きたいと思います。

   1 モラハラって一体どんなもの?

1-1 モラハラの具体例

モラハラの定義は人によって様々で、その特徴もセクハラやパワハラに比べて分かりにくいのが特徴です。ですので、今回はモラハラ夫と妻の会話例を使って考えてみたいと思います(モラハラを夫にしてごめんなさい。圧倒的にモラハラ妻よりモラハラ夫が多いので・・・。)

:君はどうして妊娠中なのに緑茶を飲んだりするんだ。緑茶は珈琲よりカフェインが多いとも言われているんだぞ。これからは、ノンカフェインの飲み物しか飲んではいけないよ。それすらできないなら、君は母親失格だ。子どもを産む資格はない。

:すいません。以後気を付けます。

:君は、そうやっていつも「以後気を付けます」と言うだけで、治らないんだ。君の脳みそはサル以下か。

:今回はちゃんと覚えているようにします。

:言うだけなら誰でもできるんだよ。今すぐ態度で示したらどうだ。

:態度で示すってどうすれば・・・・。

:君はほんとに考えることを嫌うんだな。そんなんじゃ、母親としてだけでなく、人間として恥ずかしいよ。

:すいません。

:今すぐルイボスティーやハーブティ等のノンカフェインの飲み物でも買ってきたらどうなんだ。

とこんな感じです。少しイメージが湧いてきたでしょうか。ここで例をもう一つ。「分かった」というまで続くモラハラです。

:あなたのご両親との同居はちょっと・・・。

:何か不満があるのか。

:家の広さにも余裕がないし、子どもたちもあんまり慣れてないし・・・。

:君は、ぼくの両親を邪険に扱うというのか。

:そういうつもりじゃないけど・・・。

:じゃあどういうつもりなんだ。僕の両親は君の両親でもあるんだ。自分の両親を大切にできない人間はダメだ。

:でも、子どもたちの一人部屋もまだ確保してやれてないのに・・・。

: 君のその態度そのものが子どもたちの教育によくないんだよ。老人を敬うってことくらい学校で習っただろう。自分たちのことばかり考えているようじゃろくな大人にならないし、それを親が助長してどうするんだ!

:でも、同居しないからって老人を敬ってないってことにはならないんじゃない?

: それは屁理屈だ!とにかく、一緒に住んでこそ身内の感情が湧いてきて、大切にするもんなんだ。分かったな!

:分かりました・・・。

そして最後にもう一例。今度は、周囲を巻き込み、モラハラ被害者がより悔しい思いをする例です。

:あなた、子どもの喘息によくないからたばこやめてくれないかしら?

:おいおい、おれのささやかな楽しみまで奪うつもりか?

:一切吸うなとは言ってないけど、換気扇の下で吸うとか、ベランダで吸うとかしてもらえないかと思って・・。

:仕事で疲れて帰ってきて、俺は家でゆっくりたばこも吸えないんだな!

(後日、友人夫婦何組かとの飲み会の場で)

:俺の嫁ってほんとこわいんだよね~。俺が疲れて帰ってきて一服楽しんでると、「換気扇の下かベランダで吸え!」だぜ。ささやかな楽しみを奪われて、俺ってかわいそう。

夫の友人:風呂上りの一服とかたまんないからな。お前もかわいそうだな。

みんな:ハハハハハ。

:(下を向いて赤面)

1-2 モラハラの特徴

私が考えるモラハラの特徴は、以下の通りです。

①理路整然と正論を述べるが、たいした内容はなく一般常識に近い程度である
②相手には過大な要求をするが、自分はそんなに褒められた言動をする訳ではない(他人に厳しく自分に甘い)
③徹底的に相手をダメ人間扱いするが、暴力を振るったりはしない
④外部の人間から見ると、自分が正しいように振る舞うのが得意である
⑤相手が、「私なんて・・・。」と自己肯定感を喪失するまで執拗に繰り返す。
⑥相手が「分かった。」と言うまで主張し続ける。

 先ほどの3つの例を振り返ってみても、結構当てはまると思いませんか。2つ目の例の夫、こんなことを言っておきながら、きっと妻の両親には、誕生日のプレゼントすら送ったことがないのでしょうね。モラハラ夫は、エラそうなことは言うけれど、自分の日頃の行いはたいしたことないのです。

1-3 モラハラ被害者の特徴

誤解を恐れずに言うと、モラハラ被害者になりやすい人には共通の特徴がいくつかあるように思います。これは、決してモラハラ被害者にも非があると言いたいのではなく、モラハラに陥りやすい夫婦の組み合わせがあるということです。モラハラ被害妻の特徴としては、①自分の学歴や職歴に特段自慢するところがないと思っている(実際にどうかは別)、②夫を立てようとする、③自己肯定感があまり高くない、④気が優しく、大人しい等です。 これまでも、夫のモラハラに耐えてきた結果、うつ病やパニック障害等の精神疾患を患うようになった方がいました。まじめで神経が細やかな人ほど注意が必要です。

   2 夫婦不和とモラハラ

2-1 モラハラ被害者である妻のくやしさ

モラハラ被害者である妻がよく言うのは、「あの人は、うまいんです。口もうまいし、周囲の人間にいい印象を持ってもらうのもうまいんです。彼の外面に騙されないでください。」という主張です。つまり、妻は、モラハラの大きな特徴である、「夫は正論を言っているだけ」→「夫はまとも」→「まともな夫を批判する妻はおかしいのか?」という周囲の気持ちを感じとってしまい、悔しい気持ちになってしまうのです。 まさにこれがよくある構図で、モラハラは身体的暴力、言葉の暴力、経済的暴力、浮気、借金等の金銭問題といった離婚事由と異なり、決定的な何かがあるわけではないので、他人にはなかなか理解されないのです。なんと言っても、相手は暴力を振るう訳でもなく、偉そうに正論を言っているだけなのですから。

そんな妻は、ずっとつらい気持ちを蓄積させながらも、夫の非や自分の正当性、なぜこんなにつらいのか、といったことを明確に言葉にできないまま時間が経過していきます。しかし、徐々に辛さが募り、誰かに「それって精神的DVじゃないの?」と言われるなど、何かのきっかけに離婚が頭をよぎるのです。

2-2 変わらないモラハラ夫

先ほどの1つ目の例について、夫がするだろう主張について予想してみましょう。 きっと、「妻は、妊娠中なのに、カフェインのある飲み物を平気で飲んでたんですよ。だから僕はやめた方がいいんじゃないか、って助言してただけですよ。それをモラハラとか言われても困るし、そもそも、妻の方が母として非があるんじゃないでしょうか。」等と言うのではないでしょうか。

2つ目の例ではどう主張するのでしょうか。 きっと夫は、「夫の両親を大切にする気持ちすらなく、自分と子どもさえよければ他人はどうでもよいという自己中心的な人間ですよ、妻は。実の親であるかどうかは関係なく、人生の先輩を大切にするという気持ちを持ってもらいたいと思います。」等と言いそうです。

ここまで読んで気付いた方もおられるかもしれませんが、モラハラ夫の発言内容は、正論ではあるものの、他人に共感を呼ぶほどの内容でもありません。なぜなら、相手に対する許しや思いやりが全く存在していないからです。例えば、「妊娠中といえども、時々は香りのいい珈琲も飲みたくなるよな。」とか、「やっぱり舅姑との同居は心中穏やかじゃないよな。」といった許しや思いやりが感じられず、ひたすら「べき論」で責めるのが特徴です。

そして、モラハラ夫はプライドが高く、簡単に自分の非を認めることはありません。妻から離婚を突きつけられ、内心はかなり動揺していても、自分は悪くないふりして相手をいなそうとします。例えば、「まあ、君の主張している内容はどうかと思うけど、とりあえず君の気持ちは分かったよ。わがまま言ってないで帰っておいでよ。」といった風です。これでは、妻は「あの人はやっぱり分かってない」とため息をつくしかありません。

2-3 離婚とモラハラ

最近、「共働き夫婦の増加が離婚率の上昇につながっている。」という論調の文章を目にすることがあります。確かに、妻に生活力があれば、嫌なことがあった場合にじっと堪えることなく離婚を選択することができます。また、妻自身も社会とのつながりがあり、会社関係の飲み会があったりして、妻側の不倫が増えることもあるかもしれません。また、共働き夫婦は専業主婦夫婦より子どもを持つ確率が低いことも考えられ、そうであれば、「子どもが大きくなるまでは我慢しよう。」という思考もなくなります。このように、共働き夫婦が増えれば、離婚率があがるという見方は正しいのかもしれません。

一方、家裁調査官時代に裁判所でみた離婚では、半数以上の妻は、無職もしくは仕事をしていたとしてもパ―ト程度という妻たちでした。そういった妻たちこそ、モラハラ被害者になりやすく、家裁では「モラハラが語られる確率」が高かったように思います。このように、夫婦の力関係が崩れると、協議離婚が難しくなり、調停離婚や裁判離婚にまで発展してしまう一因になるのかもしれません。

   3 まとめ

モラハラという言葉が一般的に使われるようになるずっと前から、モラハラは存在していたように思います。これまでは、性格の不一致や精神的暴力として離婚事由に挙げられていたことが、今はモラハラとして主張されているだけです。モラハラのやっかいなところは、被害者のダメージがじわじわと溜まっていくのが特徴なだけに、早期発見・早期治療とはいかないところです。気付いた時には既に遅しで、「私なんて・・・。」という思考に陥りがちになっているのです。

また、モラハラが子どもの前で繰り広げられているとしたら、それも要注意です。辛そうなお母さんを見て、お父さんを恨むようになったり、母親の心情にシンクロして、子どももつらい思いをするかもしれません。逆に、親のモラハラ的態度を学習してしまい、子どももモラハラ夫と一緒になって母親を非難するかもしれませんし、大人になってから自分の婚姻生活で歴史を繰り返すかもしれません。

DV被害等と同じで、夫からモラハラを受けていると感じたら、夫との関係性を見つめなおし、無気力に陥る前に行動に移すことが大切です。おそらく、夫に言っても何も変わりません。いつもと同じく悔しい気持ちになるだけです。まずは、友人や家族に相談したり、夫婦関係カウンセリングなどに相談に行くことをお勧めします。

なお、今回は、モラハラ加害者=夫、モラハラ被害者=妻という前提で書きましたが、少数ながらもちろん逆のパターンもあることを書き加えておきます。

モラハラと同じく、相手を学習的無気力に陥れるDV等について書いています。

DVの3つの特徴と望ましい離婚時期

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