離婚調停

離婚調停のメリット、お伝えします

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前回、離婚調停のデメリットをお伝えしました。しかし、日本では、「調停前置」といって、調停を経た後でなければ、離婚裁判ができない制度になっていますので、解決が困難な離婚の場合、調停を避けてとおることはできません。

また、もちろん、調停にもメリットがあり、調停での話合いが向いている方もいます。

今回は、そんな調停のメリット、いいところについてお伝えしたいと思います。

   1 相手が連絡に応じてくれない場合

離婚をしたくない方にとっては、相手から持ち掛けられた離婚の協議に応じるのが嫌だったりします。そのため、メールや電話で話し合おうと連絡しても、なしのつぶてだったり、そのうち電話やメールを着信拒否されたりしてしまいます。

一歩進んで、内容証明郵便を出してみたり、弁護士さんから連絡してもらったとしても、何も効果がないこともあります。

しかし、そんな人にとって、「裁判所の調停」はちょっと違っていたりします。

全員が調停に出席してくれるわけではありませんが、まったく何の音沙汰もなく調停を欠席する人はほんの一握りです。大抵は、「行かない」もしくは「行けない」という連絡が入ります。無断で欠席するのはよくないという気持ちがあるのかもしれませんが、「もし行かなかった場合はどうなるのか。」ということが聞きたくて連絡をしてくることが多いようです。

そこで、家裁の書記官から、調停は相手と顔を合わせなくてもいいし、調停委員という人たちが間に入って話をしてくれること、だれも説得しようとは思っていないこと、出席して自分の意見を表明した方がいいことなどを伝えます。

もちろん、この段階にきてもなお協議に応じてくれない人もいます。しかし、大抵は、何らかの意思表示がありますので、相手がまったく連絡に応じてくれない場合は、離婚調停の申立てが有効です。

   2 夫婦のみでの話合いが難しい場合

いろいろな理由で夫婦のみでの話合いが難しい場合、円滑に離婚協議を進めるためには、誰かに間に入ってもらう必要があります。

しかし、親族に間に入ってもらうと、かえって感情的になったり、不公平感が増したりします。また、弁護士に依頼する金銭的余裕のない人もたくさんいます。

そんな場合、調停で調停委員に入ってもらって協議を進めるという方法があります。調停であれば、弁護士さえ依頼しなければ数千円で申し立てられますし、調停委員という中立的な第三者を介して話合いができますので、不公平感が問題となることもありません。

次は、どんな場合に夫婦のみでの話合いが向いていないかを考えてみましょう。

2-1 夫婦の力関係が極端に偏っている場合

どちらかにDV行為があったり、モラハラがあったりして、夫婦の力関係が極端に偏っている場合、夫婦のみでの離婚協議が難しくなります。どちらか一方が強すぎると、もう一方は自分の意見を口にすることさえできなかったり、相手のペースにのせられてしまったりします。

そのような場合、夫婦のみで話し合ったとしても、それは「話合い」の場とはなりません。弱い方はそれを分かっているので、夫婦のみでの話合いの場には出てこないこともありますし、そもそも、相手と顔を合わすのが怖いという人たちもいます。

そんな場合は、中立的な立場の第三者を介して話合いができる調停がお勧めです。

2-2 けんかっ早い人たち

夫婦の力は拮抗しているけれど、話し合おうにもすぐに激しい口論になってしまったり、取っ組み合いのけんかに発展してしまう人たちがいます。

家裁調査官時代にも、そんな人たちにたくさん出会いました。調停でせっかく途中合意していたのに、期日間にお互いに電話でやりとりした結果、口論に発展し、次回の調停では振出に戻っていることがありました。

また、話せば話すほど、話がこんがらがり、誤解が誤解を生むような人たちにとっても、だれかを間に入れて話をすることが有効です。

2-3 住所や連絡先を秘匿しなければいけない事情がある場合

夫婦間にDVなどが理由で、相手に自分の住所や連絡先を知られなくないという人たちもいます。そのような人たちにとって、夫婦のみでの話合いはほぼ不可能だったりします。

連絡先を知られたくないので、電話では協議ができません。また、後をつけられるかもしれないと思うと、直接会うこともできません。メールのやりとりのみで離婚が成立するほど簡単ではありませんし、メールアドレスさえ知られたくないという人もいます。

裁判所の調停であれば、裁判所が住所や連絡先を秘匿してくれますし(厳密に言えば、「秘匿希望が出せます」が正確です。)、調停が終われば先に帰らせてくれますので、後をつけられる心配はありません。

   3 裁判所の基準を知りたい人

いくら自分が依頼した弁護士さんから「相場は〇〇円くらいですよ。」とか、「裁判になれば〇〇ですよ。」と言われても、その「〇〇」が自分の意に反している場合、なかなか譲歩するのが難しい人たちがいます。

そういう人たちの心の中には、「本当に〇〇なのか」という疑いの気持ちや納得できない気持ちがあります。

その気持ちを複数の弁護士から意見を聞くという方法で解消する人もいますし、実際に調停や裁判を申し立てる人もいます。

調停は、あくまで当事者同士が協議をする場ですが、ある程度協議が進めば「調停案」(「こうしたらどうですか?」、「裁判や審判になったらこうなりますよ。」という裁判官の考え)が示されることがあります。そこまでして初めて納得がいく人にとっては、やはり調停しかないでしょう。

   4 ゆっくり気持ちの整理がしたい人

前回、離婚調停のデメリットは長期化することだとお伝えしました。しかし、そのデメリットがメリットに転じる人たちもいます。

例えば、まだ自分の気持ちすら整理できていなくて、スローペースで結論を出したいと思っている人には、調停はうってつけです。

調停委員は、カウンセラーではありません。しかし、調停を進行する上で、当事者の話をよく聞くことが必要です。当事者の精神状態やその場での気持ちを理解するには、当事者が語る言葉に耳を傾け、一緒に解決していく姿勢が求められます。

このような行為そのものがカウンセリング的であり、調停委員にひとしきり話し終わった後には、何となく気分が軽くなっていることがあります。

また、調停委員という他人に自分の状況や気持ちを話すことで、混沌とした気持ちが整理され、自分でも気付かなったことに気付けたりもします。

   5 まとめ

今回は、離婚調停に限ってのメリットをご紹介しましたが、婚姻費用や養育費、面会交流など、調停が不成立となった場合は自動的に審判に移行する内容である場合、メリットはもっと大きくなります。

自動的に審判に移行するということは、欠席を繰り返していると、相手の言い分だけを聞いて裁判所が決定することになりますので、大変不利になります。「裁判所で勝手に決められたことには従わない」と反発したところで、給料や財産を差し押さえられるだけです。

調停のメリットとデメリットをよく理解し、上手に利用していただければと思います。

弊社では、だれかに話合いを仲介してほしいけれども、調停まではしたくないという方のためにADR調停(民間調停)を実施しております。
ご興味のある方はご相談いただければと思います。

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