DV

虚偽DV・冤罪DVの実際

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
虚偽DV・冤罪DV

今日は、最近時々耳にする「虚偽DV」について書きたいと思います。

   1 虚偽DVとは

虚偽DV、でっち上げDV、ねつ造DV等といろいろな呼び名がありますが、ありもしないDVを主張し、離婚やそれに関する諸々(財産分与とか慰謝料等)を有利に進めようとする人たちがいるということです。この「虚偽DV」、ネットで検索してみてください。「虚偽DVと戦うには」とか、「私はこうして虚偽DVにやられました」というような書き込みがたくさんあります。夫婦カウンセリングの場面でも、「虚偽DV」だと訴える夫や、夫にそう言われて悔しい思いを吐露する妻という形で虚偽DVが語られることがあります。

 DV被害を主張する人が増えている一面、このような問題も出てきています。

    2 虚偽DVが争われる3つのパターン

2-1 完全にDVそのものを否定する

印象としては、そんなに数が多くはないと思いますが、被害者が主張するDVを加害者が一切認めないことがあります。例えば、妻が「夫から殴る蹴るの暴行を受けていた。」、「〇月〇日の日記を見ると、『いつものようにお酒を飲んでは殴られた』と書いてあった。」などと主張したとしても、夫が「まったく身に覚えがない。」「その日記自体がでっち上げだ。」と主張するパターンです。

また、診断書さえあれば、虚偽DVの争いには発展しないと思われがちかもしれませんが、そうでもありません。診断書がない場合、被害者側は「病院に行ける状態ではなかった」、「病院に行かせてもらえなかった。」、「ただ単に診断書を取っていないだけ。」と主張します。 それに対し、加害者側は、「診断書もなくでっち上げだ。」となります。
診断書があったとしても、加害者は「これは自分で転んでけがをしただけだ。」等と主張します。診断書には、「右上腕部打撲により加療10日を要する。」等と書いているだけなので、それが自転車で転んだのか、殴られたのか素人には判断できません。

2-2 怪我自体は認めるけれど、その原因等について争う場合

また、夫婦げんかの事実やその際の怪我については認めるけれど、その原因について争う場合もあります。これまでの経験では、このパターンが一番多かったように思います。

例えば、「けんかの最中にワイングラスを割って、その割れたグラスを腕に押し付けられて怪我をした。」という妻の主張に対して、「僕はそんなことはしていない。妻はパニック障害を持っており、激しいケンカになると狂ったように自傷行為に及ぶ。ワイングラスを割って腕に押し付けたのは妻自身である。」と主張したりします。
また、「体や頭を壁に押し付けられた。」と主張する妻に対して、「妻が殴りかかってくるので抑えようとした結果、壁に押し付けてしまった。」と正当防衛を主張する夫もいるでしょう。殴られてあざになったという妻に対して、押しただけなので傷ができるのはあり得ないと主張する夫もいます。
一つの事実があるとして、その事実は認めるけれど、その意図や原因、または起こった結果の程度を争うものです。虚偽DVという観点からすると、それっぽい事実を膨らませて誇張したり、自分の非を意図的に隠して相手の非のみを主張しているという見方ができるかもしれません。

2-3 性的DV・精神的DVに関する争い

性的DVや精神的DVについては、個人の感じ方の部分も多いので、主張も様々です。「疲れていようと妊娠していようと無理やり夫婦生活を求められた。」と訴える妻に対して、「妻の合意の下、お互いの心身の状況と相談しながら行っていた。性的DVだと主張されて心底傷ついている。」と夫が反論したりします。 性的DVは客観的な証拠がなかなか収集できず、反論されることも多い反面、虚偽DVの観点からすれば、でっち上げやすいという一面もあります。

 また、最近多いのが、暴力はふるわないけれど、物を投げて脅したり言葉の暴力を振るうパターンです。例えば、ことあるごとに妻の失敗を指摘し、子どもの前で「こんなバカな女になるなよ。」等と言って家族の中で妻の地位を貶めたり、何か気に入らないことを言われるとものを投げる振りをしたり、同業者夫婦によくあるパターンで、職場の上下関係を家庭内にも持ち込む、などです。

このように、言葉と態度で巧みに「支配―被支配」の関係性を作り上げるようなパターンのDVは、DVを受ける側のメンタルの強さや精神状態によっても変わってくるので、「そんなことぐらいで」と思うことを被害者としては本当につらく思っているかもしれませんし、判断が難しいのだと思います。

   3 なぜ虚偽DVがでっちあげらるのか

そもそも、個人的な印象ですが、DVを素直に認める人の割合が少なくなり、「やっていない。」と否定する人の割合が増えてきたように思います。その理由を考えてみましょう。

3-1 悪意による虚偽DV

DVが広く世の中に知れ渡るようになったこともあり、離婚を有利に進めるため、離婚理由をねつ造するため、よくない弁護士にそそのかされて、など色々な理由でまったくありもしないDVがねつ造されるようになったことが考えられます。

そうなると被害者側(本当の意味では加害者ですが)は、用意周到に準備した証拠を並べて「私はDV被害者だ」と主張するのに対して、加害者(本当は被害者)は「まったく身に覚えがない。俺ははめられた。」と主張するような事態になります。

3-2 認知の違いによる虚偽DV

これまでは、DVと言えば身体的(暴力)DVが中心でした。それも、怪我をしてばっちり診断書を取れる程度の結構ひどいDVが中心だったように思います。このような分かりやすい暴力DVの場合、やったかやっていないか二つに一つです。でも、最近主張されるDVの内容は、複雑で多岐にわたるので、「あながちウソでもなさそうだけど、よく分からないな・・。」なんて印象を持つ場合があるのです。例えば、物を投げる夫に対して、妻は「夫はかっとなると物を投げて脅します。実際に当たってけがをしたこともあるし、そもそも物を振り上げられるだけで恐怖で身がすくみます。そのことを考えると必要な生活費を請求するにもできず、経済的DVにも発展していました。」と主張するのに対して、夫は、「かっとなって物を投げたことはあったけど、当たらないように投げていた。生活費も十分に渡していた。」と反論します。このように、「物を投げていた。」という事実の一部については認識が一致するのだけれど、DVかそうでないかという結論の認識が違うというパターンがよく見られます。

このように、DVの多様性やDVを行う側と受ける側の感じ方に違いによって、加害者としては「虚偽DVをでっちあげられた」と主張したくなるけれど、被害者としては本当につらかったなんて場合があります。

   4 冤罪DVと本当のDVの見分け方

4-1 DVは加害者を見れば分かる?!

時々、DV被害者である妻から「DV夫かどうかは、会ってみれば分かるはずです。」と言われたりします。しかし、はっきり言って、会っても分かりません。中には、大変支配的で「見るからに。」という人もいますが、大多数のDV加害者は公の場では紳士的で物腰も柔らかだったりします。これがDVの特徴であり、まさに家庭内に限定して表出する粗暴性なのです。

それに対して、DV被害者を見た方が分かりやすいことがあります。PTSD症状が出ている人が多いからです。そのような人は、会う回数を重ねるたび、表情が明るくなったり、身なりに気を付けられるようになるなどの変化が見られます。そして、過去の話をするだけで泣いていた人が、しっかりと客観的な説明ができるようになったりもします。逆に、これまで、感情を伴わず無表情でDVを語っていた被害者が、感情を出せるようになっていくこともあります。
また、もしDV被害者でなければ面倒だったり、非合理的だったりすることを、恐怖心のために実行している人もいます。例えば、居心地のいい実家に帰らず、古く不便なシェルターに入所していたり、顔を見るだけでつらいとのことで、これまでのキャリアを捨てて会社を辞めてしまったりする場合があります。

4-2 保護命令の有無

残念ながら、虚偽DVか本当のDVかを完全に見分ける方法がないのが実情です。ただ、裁判所の裁判ともなれば、一定の結果が出ますので、本当のDVなのに「虚偽DVだ」と主張された場合は、「保護命令」を申し立てることが有効です。また、逆に、虚偽DVをでっちあげられた場合は、「本当はDVじゃないのかも?」という心証を持ってもらうために、「DV被害者だと主張するのならば、どうして保護命令を出してもらうよう申し立てないのだ。」と主張することもできるかもしれません。そのため、保護命令の有無は大きなメルクマールになります。

また、虚偽DV被害にあわないためには、疑われる行為(大声でどなる、物を投げるなど)を慎んだり、相手の誘いにのって暴言を口にしたりしない、などの自衛策も考えられます。

DVについては、こちらもご覧ください。

DVの3つの特徴と望ましい離婚時期

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る