法律婚以外のADR(内縁関係・事実婚・同性婚等)

家族のためのADRセンターでは、内縁関係や事実婚、同性婚(パートナーシップ契約)の方々のご相談もお受けしております。ADRをご利用いただけるシーンはおおむね次の3つです。

パートナーとして歩み始めるとき  

法律婚であれば、婚姻届提出に伴って自動的に得られる地位や権利があります。それができないときには、全てが担保されなかったとしても、当事者同士の自由意志で契約し、口約束ではなく書面化しておくことで安心が得られます。

契約内容の例

契約の目的

法律上の婚姻関係に相当する関係を築くことを目的とした契約であることの確認

同居、協力、扶助義務についての取り決め
  • 正当な理由がない限り、同居し互いに協力し扶助する
  • パートナー関係から生ずる費用をお互いの事情に応じて分担する
  • 本契約の相手方以外と婚姻関係やそれに準ずる関係にならない
  • 本契約の相手方の了解なしに養子や養親にならない
  • 不貞行為をおこなわない
日常家事債務の連帯責任についての取り決め

一方が日常家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他方はそれによって生じた債務について連帯責任を負う 

委任事項の取り決め

医療行為について医師からの説明を受け、同意する行為についての委任等

財産の帰属

契約期間中に双方が協力して得た財産は、双方の共有財産であることの確認

子について
  • 本契約中に生まれた子は、原則、双方の子であるとして、夫は出生届と同時に認知する。だだし、父が自分であるかどうか疑義があるときは、確認後に認知を行う
  • 子の親権者をどちらにするかの取り決め
  • 親権者になった者は親権行使の際、相手方の考えも尊重し話し合う
相続について

どちらかが死亡したとき、親族とあらそいにならないように遺言書を作成することを約束する

契約違反があった時の取り決め

不貞行為があった場合は、当時者は相手方に慰謝料●●円支払う等

関係解消・契約解除についての取り決め

一方が解除を希望した場合、今後のふたりの関係をどうしていくか、解除の条件について双方は誠実に話し合う

ここに書き出したものはほんの一例にすぎません。ふたりの仲が順調なときは、「こんなことまで書かなくても大丈夫」と思うかもしれませんが、すれ違いが始まると何をしても不信感であふれてしまうものです。

トラブルを未然に防ぐために関係が良好な時に約束を書面で取り交わしておきましょう。

共同生活がうまくいかないとき

同居生活が始まると小さな生活習慣の違いが大きな溝になってしまうことがよくあります。ふたりだけでは感情的になって建設的に話し合えないときも、第三者が介入すると問題を冷静に捉えることができたりします。

そんなときは、ADRにて第三者を交えてお互いの気持ちや考えを共有し、良い解決策を探していただきたいと思います。

話し合いのテーマの例

  • 経済面や家事、育児の分担が公平でない
  • 相手の親族とのつきあい方について考えが合わない
  • 相手が自分に支配的で対等でない
  • 将来の展望についての考えが合わない

ふたりの関係に行き詰まりを感じたとき、関係解消の前に話し合いをすると互いの違いを理解できます。相手を尊重するとはこの違いを理解することから始まります。

その先が関係解消であったとしてもお互いの違いを理解し尊重しあえれば、自分が被害者にならず前を向くことができます。

解消するとき

内縁や事実婚関係、またはパートナー契約を解消する際、ADRを利用し、契約解消条件を話し合うことができます。

契約解除条件取り決めの例

  • 契約解除の合意
  • 子どもについて(親権者でない親が子の養育にどのように関わっていくか、養育費や面会交流の取り決め)
  • 契約期間中に貯蓄した財産をどう分けるか
  • 家財などの分け方をどうするか
  • 慰謝料について

    パートナーシップ契約を結んだ際に合意書や公正証書に解除したときの想定をどこまで盛り込んでいるかによって解除条件の合意書内容のボリュームは変わります。

    さいごに

    家族のためのADRセンターでは、家族の形が多様化する昨今、「自分たちは家族」と自認する皆さまが幸せにその生活を送ってほしいと願っています。是非、法律による婚姻関係にない方々もADRを利用してお話し合いをしていただき、その合意内容を合意書や公正証書にすることで、少しでも安心した結婚生活を送っていただきたいと思います。

    ADRのお申込みにつきましては、以下のページをご覧ください。
    ADR調停(民間調停)