離婚公正証書・離婚協議書

離婚条件を書面(離婚協議書・公正証書)に残しておいた方がいい6つのパターン

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   1 養育費の支払いがある

離婚条件を書面化(特に離婚公正証書)しておいた方がいい最たる理由は「養育費」です。なぜ養育費を取り決める場合、書面化しておくことが必要なのか、以下に説明します。

1-1 支払い終期までが長い

司法統計によると、親の離婚時の子どもの年齢について、以下のような統計が出ています。

この統計を見ていただければわかるように、養育費の一般的な支払い終期とされる「20歳」まで、長い年数がある人がほとんどです。例えば、34%の人は、離婚から20年~18年にわたって、養育費を支払ってもらうことになります。また、7、8割程度の人が、10年近く支払い期間があることも分かります。

養育費は、支払い終期までの期間が長ければ長いほど、未払いリスクが高くなります。

というのも、その長い年月の間、何があるか分からないからです。相手が仕事を辞めてしまうかもしれません。また、再婚をするかもしれません。このようなリスクを考えると、一般的に支払い終期まで長い年月がある養育費については、書面での取り決めが必須と言えます。

1-2 別居親は養育費の重要性を認識できない

養育費は、言わずもがな、子どものためのお金です。そして、一緒に生活をしている親は、それを痛感しています。子どもにかかる生活費と言えば、食費や被服費などを想像しそうですが、実は、そこは大した金額にはなりません(特に子どもが小さい場合)。それよりも、塾や習い事といった教育費、外食や旅行の度にかかる遊興費、私立に行った場合の学費、部活動の道具や遠征費など、比較的年齢が大きくなったときにかかる費用の割合が高かったりします。

そのため、子どもが小さいうちに離婚をすると、受け取る側は、年々養育費の重要性を痛感することになりますが、支払う方としては、「子どもの生活費なんて大してかからないんじゃないの。」といった具合で、養育費の重要性を軽視しがちです。

そのほかにも、一緒に生活していなければ分からない、子どもに関する細々した支出があります。

最近は、早くからスマホやタブレットを持たせる親御さんも増えています。また、ゲーム機やゲームソフトのお金もバカになりません。年頃の女の子が「友達と一緒に渋谷に行きたいから、お小遣い頂戴」と言えば、交通費、お昼代、おやつ代、プリクラ代等、一回で2,3千円はかかります。

そのほか、お友達のお誕生日に呼ばれたからプレゼントを買わなきゃいけないとか、自分の子どものお誕生日に来てもらった場合もお礼のプレゼントを用意しなければいけないとか、日々、本当に小さな細々したことで子どもにお金がかかります。

しかし、一緒に生活していなければ、そんな支出には思い至らず、先ほどと同じく「子どもの生活費なんて大してかからないじゃないの?」ということになってしまいます。

そのため、「子どものためのお金」という名目をはっきりさせ、書面化しておくことが有効です。

1-3 別居親は親としての自覚を保ちにくい

一緒に子どもと住んでいないと、ついつい、子どもの存在が薄くなってきます。お金が足りないという現状がある場合、子どもと一緒に住んでいる親は、全てにおいて子どもを優先した支出をします。

例えば、買い物に行ってほしい服があったとします。しかし、「子どもの冬服を買い足してからにしよう。」と、自分の欲しい服は我慢することになります。また、スーパーに買い物にいっても、自分の好きな嗜好品より、子どもの好きなものや、食べ盛りの子どものおなかを満たすものを優先的に買ったりします。

一方、一緒に住んでいなければ、どうしても子どもの影が薄くなります。頭では理解していても、ついつい自分のことを優先してしまいがちです。そのため、例えば、今月はちょっと厳しいなと思っていても、同僚から飲みに誘われれば断り切れなかったり、目の前にある欲しいものを買ってしまったりします。

そのため、きとんと書面化し、「子どもの親であり、養育費を支払う義務がある」ということを自覚してもらう必要があります。

また、余談ですが、親の自覚をきちんと保ってもらうためにも、面会交流を定期的に行い、お子さんと触れ合う機会をもってもらうことも大切です

1-4 再婚の可能性

先ほど養育費は先が長いというお話の部分で少し触れましたが、相手が再婚するという可能性も視野に入れておかなければなりません。また、再婚しないまでも、交際相手ができたり、その交際相手に子どもがいたりすると、ついついそちらを優先してお金を使いたくなってしまうものです。

1-5 「この人なら払ってくれる」は禁物

離婚する相手であれ、子どもの親同士であるわけですから、「養育費くらいは責任をもって支払ってくれるはず。」という最低限の信頼関係があることはとても大切だと思います。しかし、そのことと、本当に将来未払いが発生するかどうかは、まったく別の問題です。

「支払ってくれるとは思うけれど、万が一にのために決めておく」という姿勢が大切です。

   2 慰謝料が分割払い

不貞やDVなど、何等かの行為に対する慰謝料を取り決める場合があります。慰謝料は、通常一括で支払うものですが、支払い能力がない場合、分割払いとすることがあります。そのような場合も以下のような理由で書面化が必要です。

2-1 「悪かったなあ」という気持ちの薄れ

慰謝料は、読んで字のごとく、「慰謝」の気持ちに対するお金です。求められて嫌々支払う場合もありますが、それなりに「悪いことをした」という思いや後ろめたさがあるからこそ、慰謝料の支払いに応じるわけです。

しかし、分割払いにすると、時間の経過により、その「悪かったなあ」という気持ちが薄れてくることがあります。人は他罰的な生き物ですので、そのうち、「そうは言っても相手も悪いところがあった。」とか、「〇〇だったから仕方なかった。」と責任転換をするのです。

もしくは、支払いたくない気持ちが先にあり、その「支払わない」という行為を正当化するために、そういった責任転換をすることもあります。

2-2 資力の問題

慰謝料の金額にもよりますが、普通は一括払いの慰謝料を分割で支払わないといけないということは、そもそも、相手の資力に不安があるということです。また、不貞による慰謝料の場合、不貞相手との交際のためにお金を使ってしまっていたり、今後もそれが続く可能性があります。また、ダブル不倫の場合、不貞相手の配偶者から慰謝料を求められることもあります。

そんなこんなで資力に不安がある場合が多いため、未払い発生の可能性が高いと覚悟し、書面で決めておく姿勢が求められます。

   3 財産分与も書面で

基本的に、財産分与は、今ある財産を夫婦で分けるものですので、分割ではなく一括払いが基本です。そのため、書面で取り決める必要がないとも思われます。しかし、以下のような理由で、やはり書面での取り決めが効力を発揮することがあります。

3-1 財産分与の内容が複雑な場合

分与対象の財産の中に不動産や保険、株式など、現金以外のものがたくさん含まれている場合は要注意です。

というのも、多くの場合、その中のいくつかを現金化して分与する必要があったり、不動産の名義を変えたり、保険の契約者を変更する必要があったりするからです。

それらの手続をどのタイミングでするかは人それぞれですが、名義変更に以外と時間がかかったり、手続きが煩雑なために途中で相手が非協力的になったりと、決めた通りに分与するのが困難だったりします。

そうした場合、口約束だけだと、時間の経過とともに、したはずの約束が曖昧になったり、都合のいいように約束の内容が変化していったり、挙句の果てには面倒なので手続きに協力してくれなかったりという不都合が生じます。

そのため、財産分与の内容が複雑な場合も書面化が必要です。

3-2 離婚したいがためのウソ

残念ながら、最初から守るつもりのない約束もあります。弊社は、行政書士業務として内容証明郵便の業務も行っていますが、その依頼の中には、「財産分与の約束を守ってもらえない。弁護士に依頼するほどの金額でもないし、調停や裁判まではしたくないから、まずは内容証明郵便で任意の支払いを促したい。」というご相談もあります。

とにかく早く離婚したい一心で、あまりよく考えず相手の希望する分与方法に「うん、うん」と頷いていたけれど、離婚が実現したとたん、その分与方法に不満を言い出したりすることもあります。また、最初から離婚さえ成立すれば他の約束は守るつもりのない人もいます。そのため、今それぞれが持っている名義をそれぞれがもらう、という方法でなく、何等かの相手の協力がなければ実現しない分与方法のときは、やはり公正証書による書面化が大切です。

   4 面会交流

面会交流も、養育費と同じく先の長い約束です。子どもの成長とともに、臨機応変な会い方が求められため、実は、書面に残したとしても、そのとおりに会えるのは2,3年くらいのものかもしれません。

ただ、その最初の2、3年さえうまく乗り切れば、自然な形での面会交流に落ち着いてきたりもします。一生懸命がんばらなくても、自然に面会交流ができるというところまでたどり着くには、以下の点で書面化が大切です。

4-1 同居親へのプレッシャー

子どもと同居している親は、何となく、別れた配偶者に子どもを会わせたくない心理が働いたりします。

会わせたら子どもを取られるんじゃないかという不安、日ごろ苦労して育てているのは自分なのに、いいところだけ取っていかれるようで納得できない、浮気をされた腹いせに子どもに会わせたくないという懲罰的な気持ち、再婚相手への気兼ねなど、挙げればきりがないくらい「会わせたくない心理」が潜んでいます。

こんな気持ちは、離婚直後が一番大きかったりします。そのため、何かと理由をつけてキャンセルされたり、段々と連絡が取れにくくなったりします。

そのため、面会交流を中断させないためには、書面化によって相手に注意喚起しておくことが有効です。

4-2 複雑な面会交流

本来、子どもの状況に柔軟に対応するため、「月に〇回程度」と決めるのがベストです。しかし、場合によっては、起こりそうなトラブルを避けるような決め方をすることもあります。例えば、父母間での日程調整が難しい場合、「毎月第〇土曜日の午前10時から午後5時まで」という風に決めることもできます。

また、まだお子さんが小さい場合、父母間の受渡しが必要になりますが、それが難しい場合は、「なお、子の受渡しは祖父母によって行う」という一文を付け加えたりすることもあります。

そんな風に、少し複雑な決め方をする場合は、やはり書面がいいでしょう。

4-3 段階的な面会交流を決める場合

先ほども書きましたように、決めたとおりの面会交流ができるのは、2,3年だったりします。

例えば、幼稚園児だった子どもが小学生に入学したとします。急に土曜授業や行事などで週末が埋まり始めます。また、友達との約束も子ども自身が取り付けてきて、親との交流より友達を優先させたくなってくる時期でもあります。

また、小学校低学年だった子どもが高学年になり、急に塾通いが忙しくなってきたり、「親より友達」とう感覚も強くなってきます。小学校高学年が中学生になれば、部活や定期テストが加わり、親とべったり週末を過ごすなんてことが難しくなってきます。

そのため、最初のうちは決めたとおりに実施するけれども、ある程度時間が経ってくれば、子どもの生活の変化と共に自然と面会交流の方法も変わってくるというのがある意味理想ではあります。

しかし、場合によっては、あらかじめその変化を予想し、「〇歳から〇歳の間は、月に2回、〇歳から〇歳は月に1回、〇さい以降は子どもが希望したとき」というような決め方をすることもできます。ただ、あくまで将来予測ですので、決めたことをベースにそのときの子どもの状況に応じて臨機応変に対応する姿勢も必要です。

更には、別居期間が長引いたなどの理由で、「慣らし」が必要な面会交流もあります。その場合も、「1回目は2時間、2回目は3時間、3回目以降は5時間」といったように段階的に決めたり、「〇歳以降は宿泊付き」といった決め方をすることもできます。

このような場合も、口約束ではあいまいになってしまいますので、書面化が必須です。

   5 清算条項を入れたい人

とにかく相手と一切の関係を切りたい場合、書面にしておくことで、今後、何らの権利義務関係がないことを明確に示すことができます。

もしくは、相手から五月雨式にいろいろと要求されないために書面化しておくということも考えられます。例えば、「何もいらないから離婚してくれ」と言われて離婚したのに、しばらくしたら財産分与の申立てがされたとか、慰謝料請求をされたというケースもありますので、やはり書面化が有効です。

   6 書いたからといって効力はないけれど、どうしても守ってほしい約束がある人

また、お金のこととは違い、明確な権利義務関係はないけれど、守ってほしい約束がある人もいることと思います。

例えば、離婚原因が一方の不貞である場合、それを子どもに言わないと約束してほしいということがあるかもしれません。また、不貞に限らず、お互いにお互いの悪口を子どもに言わないという約束もあり得ます。

また、離婚までの道のりで、相手から激しい内容のメールが送られてきたり、罵詈雑言をあびせられて、心身ともに疲弊していることもあります。そのため、「今後は一切誹謗中傷はしない」と約束してほしいという人も少なからずおられます。

さらには、現代的な悩みですが、夫婦間のことをSNSに載せないとか、過去の夫婦で取った写真のデータを消去してほしいといったことを切に願う人もいます。

このような悩みは、公正証書に書いたからといって、約束を破ったら強制執行ができるといった類のものではありません。

しかし、心理的な重みとして、口頭で約束しただけなのと、書面化しておくのとでは重みが違ってきます。特に、公正証書として作成した場合、原本が公証役場に保管されていると思うと、簡単に破れない約束であるとの認識が増すのではないでしょうか。

   7 まとめ

このようなパターンに当てはまる方は、離婚条件を離婚協議書もしくは離婚公正証書として残しておくことをお勧めします(特に離婚公正証書が有効です)。また、上には書きませんでしたが、婚姻期間が長い夫婦にとっても、けじめの作業や気持ちの整理といった意味合いで離婚条件を書面化していく作業が有効だったりします。

ただ、ほんとうに法的に有効な書面を作ることは簡単ではありません。特に公正証書を作成する場合、弁護士や行政書士などの専門家に依頼するなどし、後悔のないものを作成しましょう。

弊社でも離婚公正証書作成をお手伝いしております。ご自身での作成に不安がある方は是非ご利用ください。
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