面会交流

元家裁調査官が提案する面会交流10パターン

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   1 面会交流は何を決める?

離婚テラスでは、離婚する夫婦に子どもがいる場合、面会交流(子どもと別居親とが会うこと)について取り決めることをおすすめしています。離婚届(札幌市のものを掲載)にも面会交流について記載する部分があります。しかし、「一体何を決めればいいか分からない。」という声もあり、今回は、家庭裁判所で多くの面会交流事案を担当してきた元家裁調査官が面会交流で取り決めるべき事項や交流の内容について書きたいと思います。

「そもそも、面会交流って子どものためになるの?」という疑問をお持ちの方はこちらを先にご覧ください。

面会交流は本当に子どものためになる?!

1-1 決めるべき事項

①会う頻度、②時間帯、③場所等の協議の方法について決めるのが一般的です。加えて、子どもの受渡し方法や次回の面会交流についていつまでに協議をするかといった細かいことまで決める場合もあります。
本来、面会交流は子どもの状況を考えつつ柔軟に行うべきものですので、あまりぎちぎちと細かく決めておかない方がやりやすいものです。例えば、「月に一回程度、時間や場所は父母が協議して決める。」といった内容にしておけば十分です。お子さんの体調や行事の有無等を考慮しながら、「最近は行事が多くて疲れ気味だから半日にしておこう。」とか、「夏休みだから丸一日遊んでも大丈夫。」と調節することができます。ただ、これは理想論で、父母間の紛争が大きければ大きいほど問題が出てきます。そのため、問題が多いにもかかわらずゆったりとした決め方しかしていないと、結局会えなくなってしまったということになりかねません。
そのため、考え方としては、ざっくりとした基本の会い方を想定した上で、問題になりそうなことをピックアップし、それについて定めるという方法が良いと思います。

1-2 キャンセルになった場合

よく問題となるのが面会交流がキャンセルになった場合の取り決めについてです。子どものことですので、体調を崩したり、けがをしたり、習い事や行事が入ったり、いろんな事情で決めたとおりの日時に面会交流が行えない場合が出てきます。本来的には、子どもの福祉を優先し、「じゃあ今週は難しいから来週にしようか。」などと臨機応変に対応すべきなのですが、別居親としては、ついつい「ほんとうに都合が悪いのかな。会わせたくないだけなのでは?」と疑いたくなってしまうものです。また、ちょっとしたことでキャンセルしようとする同居親もいます。こういうもめごとを避けるため「キャンセルした場合は〇〇」といった約束事を加えるという手もあります。しかし、先ほど書いたように、あまりぎちぎちに細かく決めると窮屈です。同居親は極力決められた日時を守り、やむを得ずに変更やキャンセルになった場合、別居親は柔軟に対応する、といったことで乗り切れるのがベストなのではないでしょうか。イメージとしては、「月に1回程度=年に10回程度ならば許容」といった感じでしょうか。

   2 面会交流の中身について

面会交流でもめている際によく見られるのが、「回数と時間の闘争」になってしまうという状況です。別居親はできるだけ多く長く会おうとし、同居親はなるべく少なく短くしようとします。こういう話合いになってしまうと、子どもは蚊帳の外で、面会交流の本来の意義が失われてしまいます。大切なのは、「何回、何時間会うか。」ではなく、「会って何をするか。」です。
「面会交流=遊ぶ」というイメージがあると思うのですが、決してそれに限定する必要はありません。アメリカでは「parenting time」とよばれたりもしていますので、まさに親が親たる部分を発揮する時間なのです。次に面会交流のパターンについていくつかご紹介します。

2-1 週末を別居親の家で過ごす(一泊二日)

別居親の生活空間が垣間見られることは、子どもにとってプラスです。また、別居親の自宅が以前子どもが住んでいた家だとすると、懐かしい思いもあるでしょう。時には、近所の友人も交えて自宅で遊んだりできると親の離婚による寂しさも多少は癒されるかもしれません。また、自宅で過ごしますので、子どもが疲れすぎることもなく、日常の一部分として別居親との交流を楽しむことができます。
本来、子どもは「お泊り」が好きなものですし、一緒に料理をしたり、お風呂に入ったり、寝る前に本を読んでもらったり・・といった親子の当たり前のふれあいを持つことができますので、やはり宿泊がおすすめです。しかし、同居親にしてみれば、子どもを別居親の家で過ごさせるというのは、完全に相手のテリトリーに渡すことになり、不安に感じたりもします。また、年齢によっては、同居親と離れて寝ることがストレスになる子もいるでしょう。そのため、父母の紛争の程度や子どもの年齢や性格、同居当時の子どもと別居親との関係性等を考慮し、日帰りにしたり、半日にしたりといった調整が必要です。
また、同居親との休日も大切ですので、毎週末別居親宅というのではなく、月に2回程度までとし、その分、夏休みや冬休み等の長期休暇の際は何泊かする、というのもいいかもしれません。

2-2 別居親の実家で過ごす(一泊二日)

これも別居親の自宅で過ごすのと同じ要素がありますが、祖父母が加わることで子どもの楽しさも倍増します。家庭裁判所の調停や審判になると、「祖父母は面会交流の対象ではない。」と言われてしまいますが、個人的には、子どもが祖父母と触れ合うことはとても大切だと思います。中には、「以前からあまり会ってないので懐いてない。」と祖父母との交流を嫌がる同居親もいますが、だからといって会わせないといつまでも懐きません。子どもにとって、少しでもたくさんの親族に可愛がられるのはかけがえのない体験だと思います。ただ、自分の息子(娘)かわいさに同居親の悪口を言ってしまう祖父母や、祖父母に任せっきりで自分は寝ているような別居親は問題外です。

2-3 習い事の送迎

習い事の送迎は意外といいです。親は子どもが成長していく姿が見られますし、子どもは頑張っているところを親に見てもらうことができます。また、習い事という共通の話題もできます。同居親にとっても、育児の負担が少し減って楽になります。習い事という性質上、毎回時間や場所を協議する必要がありませんし、「今日は体調が悪いから。」とか「子どもが嫌がっているから」と拒否される可能性も低くなるでしょう。年齢が高く、習い事や塾で休日の予定が詰まっているお子さんにおすすめです。ただ、習い事の送迎のみだと親子の交流としては物足りないと思いますので、「送迎+前後に食事」というのもいいですね。

2-4 平日の夕食

最近は塾や習い事で忙しい子どもが多く、休日にゆっくり会おうとすると頻度がぐっと下がってしまうことがあります。また、年齢が高くなってくると、貴重な休日は親より友人と過ごしたいという気持ちも出てくるものです。そのため、平日の夕飯を一緒に食べるというのも一つの案です。これは、別居親の職場や自宅が子どもの自宅と近い場合により実現しやすくなります。ただ、子どもと夕食を食べるのですから、そんなに遅い時間では困ります。その日くらいは定時で退社し、18時から20時、19時から21時といった具合に2時間程度を目安にしましょう。子どもの年齢が低かったり、父母の家が近い場合は、別居親の家で夕食を食べた上、入浴も済ませたところに同居親が迎えに行く、というのも子どもにとっては日常生活に楽しい時間が組み込まれることになるかもしれません。

2-5 総合ショッピングセンターで買い物(&食事&娯楽)

よくあるパターンが、大型ショッピングセンターで買い物や食事をしたり、併設されている映画館で映画を見たり、ゲームセンターでゲームをしたりといったパターンです。とてもお手軽ですし、一つの場所でいろいろできますので、長時間いても飽きないというメリットもあります。子どもとしては、何か買ってもらえるという楽しみも加わります。ショッピングというのは、食事や遊びと違って親子が真正面から向き合う必要がないのが特徴です。むずかしい年齢のお子さん、思春期のお子さんにとっては、親と面と向かって「学校はどうだ?」なんて聞かれながら食事をするよりも、物を介して「これ最近流行ってるんだ。」等と会話をする方が断然楽なものです。ただ、買い物は、頻度や金額によっては、もめごとの種になったりします。また、物でつるような面会交流も好ましくありません。あくまでも常識的な感覚が求められます。

2-6 博物館や科学館等

堅苦しいと思われる場所かもしれませんが、室内ですので、季節や天候に左右されることもありませんし、お子さんも楽しめる内容のところが多いように思います。また、同居親にとっても、ゲームセンターに連れていかれるよりは、教育的な場所に連れて行ってもらう方がうれしいという側面もあります。ただ、お子さんのタイプにもよりますので、教育熱心な親の一方的な提案で毎回教育施設にいくのも困ったものです。よく、親は「毎週のように週末は遊びにつれていってやった。」という割には子どもは親との交流をいい思い出として捉えていないことがあります。お子さんの興味に沿った施設を選んだり、単純に遊ぶという面会交流も織り交ぜながら実施するのが大切ではないでしょうか。

2-7 児童館

年齢の低いお子さんとの短時間での面会交流が予定されている場合に便利です。児童館にもよりますが、幼児用の部屋が用意されているところも多く、のんびりゆったり子どもと触れ合うことができます。また、子どもの好きそうなおもちゃも揃えられていますので、子どもと遊ぶのに慣れていないお父さんなども楽しく遊んであげられるのではないでしょうか。年齢の低いお子さんは、疲れやすかったり体調を崩しやすかったりしますので、季節や天候によっては、屋外での活動が負担になったりします。面会交流後に体調を崩すことが多くなると、同居親から「もう会わせられない。」と言われかねませんので、1,2歳までのお子さんには特におすすめです。

2-8 授業参観

運動会や音楽会ほどの特別感はありませんが、学校行事の中でも比較的気軽に参加できるのが授業参観です。最近は、学校公開(授業公開)を授業参観にしている学校も多く、ある特定の一時間だけを参観するのではなく、公開期間中(1~5日間)のどの授業を見に行ってもいいようです。このような場合、同居親と別居親で違う授業を見ることにすれば、親同士が顔を合わせずにすみますし、運動会等に比べて親子の交流が少ないので、親との交流を望まない思春期のお子さんにも対応できます。学校というのは、子どもにとって家庭の次に大切な場です。休み時間の様子やお友達と話している様子を見るだけでも、子どもに対する理解が深まると思います。

2-9 遊園地等の遊戯施設

ディズニーランドや遊園地、大きなテーマパークに行くというパターンもあります。もちろん子どもはとても楽しいでしょうし、連れて行く親にも特別感があります。しかし、このような施設は入場料が高く、別居親の経済的負担が大きくなります。また、丸一日の面会交流が想定されますので、疲れます。そのため、通常の面会交流にこのような特別感のある面会交流を混ぜてみるのがおすすめです。同居親からしても、自分が連れていけないようなお金のかかる施設に子どもを連れて行ってもらうのは嬉しいものです。

2-10 勉強をみる、スポーツを教える

別居親が父親である場合によく見られるのが、勉強やサッカー・野球といったスポーツを教えてやるパターンです。これは、子どもと真剣に向きあうこともできるし、習い事の送迎と同様、子どもの成長を感じることができます。しかし、関わりがごく限られた一部分になってしまうことや親の先生的な側面が強調されるという問題点があります。また、子どもが勉強やスポーツを嫌いになってしまったとき、それまでかかわってきた親のイメージも一緒に悪くなってしまうという懸念もあります。ですので、このパターンのみではなく、遊んだり食事をしたりといった交流も混ぜつつ行うのがいいのではないでしょうか。

   まとめ

色々なかかわり方をご紹介しました。どれが一番いいということではなく、その親子に合った会い方を見つけていただければと思います。離婚関連の研究が進んでいるアメリカでは、面会交流の内容の良し悪しが子どもの健全な成長に影響を及ぼすという研究結果が出ています。一番大切なのは、回数や時間にこだわることなく、親御さん自身が子どもさんの姿を思い浮かべながら具体的に考えてみることです。

間接的面会交流についてご興味のある方はこちらを参考にしてください。

元家庭裁判所調査官が提案する間接的面会交流5パターン

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