面会交流

面会交流支援団体の選び方

通常、面会交流は父母が中心となって日程調整をしたり、子どもを受け渡したりしますが、それが難しい場合に第三者として間に入ってくれるのが面会交流支援団体です。

面会交流がストレスで仕方がないという方にとっては、とても頼りになる存在ですが、利用の仕方がよく分からないという声も聞かれます。

今回は、面会交流支援団体はどのような場合に利用できるのか、どんなことを支援してくれるのか、どんな団体があるのか、費用はどの程度かといった諸々について情報提供したいと思います。

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どんなときに支援団体を利用するのか

父母間で連絡ができない場合(連絡調整型)

面会交流をするためには、日時や場所等の調整のため、父母間での連絡が欠かせません。なるべく調整を少なくしたい方は、「毎月第2土曜日の10時から17時まで、待ち合わせは〇〇駅の改札で」等と細かく決めておくことがお勧めですが、突然子どもが体調を崩したり、イベントが入ってしまったりと、どうしても連絡が必要になってきます。

また、あらかじめ日時を決めておくのが不便だということで、「月に1回程度」とのみ決めた人は、面会交流の度に調整が必要になります。

しかし、こういった調整がとてもストレスフルだったり、その度にもめてしまうことがあります。例えば、以下のようなケースです。

  • メールをしても返信が滞りがち
  • 面会交流に関係のない長文を送ってくる
  • やり取りをしている間にけんかになる
  • 相手からの着信を見るだけでつらい 等

この場合、面会交流支援団体の「連絡調整型」というサービスを利用することができます。このサービスは、支援団体のスタッフが父母の間に入って日時や場所の調整をしてくれます。連絡の援助だけですので、価格も比較的抑えられています。

父母間での子どもの受渡しが困難な場合(受渡し型、送迎型)

子どもが幼い場合、面会交流の際には必ず父母による受渡しが必要です。しかし、夫婦間にDVがあった場合、それが困難になります。また、浮気やその他の婚姻中の様々な耐え難い出来事が原因で「相手の顔を見るだけで体調を崩す。」という場合もあるかと思います。

この場合、「受渡し型、送迎型」と呼ばれる支援を利用することができます。この支援は、面会交流支援団体のスタッフが子どもを迎えに行き、別居親のもとまで連れて行ってくれます。そして、終了時には、別居親から子どもを受け取り、同居親のもとまで送り届けてくれます。

面会交流中の付添いが必要な場合(付添型、見守り型)

基本的に、面会交流は別居親と子どもの交流であり、同居親は同席しないことが多いのではないでしょうか。ただ、様々な事情で、別居親と子どもだけでの面会交流が困難な場合があります。

そんなときは、面会交流の間、支援団体のスタッフが付き添ってくれる「付添型、見守り方」と呼ばれる支援を利用することができます。以下、どのような場合に支援の利用が考えられるか、挙げたいと思います。

連れ去りの懸念

面会交流後、別居親が子どもを返してくれないのではないかと心配になる方もおられると思います。

実際には、別居親にも子どもにもそれぞれの生活があり、子どもを連れて行方をくらませてしまうということは頻発しません。しかし、親権で争っている場合や、過去に連れ去りの前科がある場合などは、不安が高まるのではないでしょうか。

そんなときは、面会交流支援団体の付添型の支援を利用することができます。支援団体では、必ず複数のスタッフが支援にあたります。そのため、支援団体としては、連れ去り防止を保証するものではないとの建前ですが、実際の抑止効果は大きいと思われます。

面会交流中に問題行為があった

例えば、面会中に子どもに対して同居親の生活状況(異性関係等)を詮索したり悪口を言ってしまう別居親がいます。また、子どもが嫌がる言動(飲酒や交際相手の同伴など)をしたり、過去に子どもに怪我をさせてしまった別居親もいます。

同居親としては、また同じことが起こるのではないかと不安になります。また、別居親との信頼関係が壊れてしまっているので、いくら別居親が「もう同じことはしない」と言っても、信用することができません。

面会交流支援団体の付添型の支援を利用すれば、常にスタッフが見守っていますので、上述のような問題行動があれば、すぐに制止することができるので安心です。

別居親に健康上の問題がある

例えば、別居親がうつ病やパニック障害等の問題を抱えている場合、過去の様子からして、同居親としては単独での面会交流が不安に思うことがあります。

例えば、未就学児の子どもとショッピングセンターに遊びに行っている際、突然別居親がパニックになり、子どもが怖い思いをしたとか、うつ病の強い薬の副作用でぼーっとしていて子どもが話しかけても反応が鈍いといった場合です。

もちろん、これは「うつ病だからダメ」とか「パニック障害だからダメ」と一律に病気の人を問題視するわけではないのですが、そのことによって過去に子どもを危険にさらすようなことがあったとしたら、同居親としては、心配にならざるを得ないのです。

そんな場合、面会交流支援機関の付添型支援を利用することで、別居親が体調不良に陥った際のフォローをしてもらうことができます。

支援団体利用のメリットとデメリット

メリット

ストレスが減る

支援機関を利用する一番のメリットは相手との直接的なやり取りがなくなったり、心配事が減ることによるストレスの軽減が挙げられます。

もめごとが減る

離婚した夫婦なわけですから、もとより円滑なコミュニケーションは期待できません。そのため、父母による直接的なやり取りを極力減らすことで、もめごとの芽をあらかじめ摘むことができます。

子どもが面会交流を楽しめる

面会交流に送り出す同居親の顔が曇っていては、子どもは「会っていいのかな」、「楽しんでもいいのかな」と不安になります。そのため、もめごとやストレスが減り、父母の笑顔が増えれば、子どもも純粋に面会交流を楽しむことができます

デメリット

費用

面会交流の支援は、どうしたって手間がかかりますし、付添の際には複数のスタッフが同行することがほとんどです。また、面会交流の支援は誰もができるものではなく、専門知識を要します。そのため、けして安くない利用料が必要となります。

支援団体としても、営利目的というより、ボランティア精神を持って運営されている団体が多いのですが、人件費はどうしたってかかってきます。

行政の助成があったり、無料で利用できる団体もありますが、まだまだ数が少ないのが現状です。

子どもの抵抗感

先ほど、同居親が笑顔で送り出してくれることが、子どもが面会交流を純粋に楽しめることにつながると書きました。

ただ、一方で、面会交流支援が子どもの抵抗感を生み出すこともあります。例えば、面会交流の際、同居親は送り迎えもしてくれず、見ず知らずの他人に連れて行かれるわけです。そして、面会交流中、いつも他人である第三者が同席しているとなると(もちろん、つかず離れずの距離感を保ってくれますが)、落ち着かない子どももいるかもしれません。

実際には、支援スタッフと何度か会っているうちに、仲良くなれることがほとんどだと思いますが、違和感を残す子どももいます。

面会交流支援団体の選び方

まだ地方には選べるほどの数がありませんが、首都圏や名古屋・大阪といった大都市には、複数の面会交流支援団体があり、ニーズにあった団体を選ぶことができます。以下では、選択の際のステップについてお伝えします。

近隣の支援機関を調べる

法務省作成「面会交流支援団体等の一覧表」

面会交流事件の増加に伴い、面会交流支援団体の必要性が認知されるようになってきました。また、それと同時に、面会交流支援団体自体も少しずつ増えてきています。しかし、面会交流支援は、高葛藤夫婦の間を取り持つような支援であり、高い専門性が求められるにもかかわらず、支援団体を立ち上げるにあたって、何か法的な資格が求められるわけではありません。いわば「誰でも」面会交流支援団体を名乗れるという状況です。そのため、当事者が安心して利用できるよう、ある一定の「基準化・標準化」の動きが進んでいます。

まずは、法務省による「面会交流支援に関する面会交流支援団体等向け参考指針(以下、「参考指針」という。)」と「面会交流支援団体等の一覧表(以下、「一覧表」という。)」の作成です。

参考指針は、公平・中立性や法令の遵守などを内容とする運営全般の指針や具体的な支援に関する指針、そして個人情報の取り扱いに関する指針などから構成されていて、面会交流支援団体が活動の参考にできる内容になっています。

また、一覧表は、掲載を希望した団体を法務省が取りまとめたものです。掲載団体が安全・安心な団体であることを法務省が保証するものではありませんが、当事者や代理人にとって、支援団体を探す際のひとつのツールになりえるものです。

面会交流支援団体等の一覧表(法務省作成)

面会交流支援全国協会<ACCS Japan

2019年10月、面会交流支援全国協会<ACCS Japan>(英語名:Association of Child Contact Support, Japan)が設立されました。この団体は、面会交流支援団体の適正を示す基準と認証制度を提供することを目的として、研修プログラムの提供などを活動内容としています。2022年10月にはACCSJ認証制度の申請応募を開始し、認証団体をHPに掲載しています。

面会交流支援全国協会<ACCS Japan>のHP

支援団体の特徴を知る

面会交流支援団体は、それぞれの団体によって特徴やルールが様々です。支援団体を決める際のいくつかの視点を以下にご紹介します。

規模の大きさ

団体の規模が小さく、スタッフの数が少ない場合、支援を受けられる日が制限され、面会交流の日程調整が困難になることがあります。最近は、習い事や塾で忙しい子どもが多いので、候補日が多いにこしたことはありません。

ただ、規模が小さかったとしても、小回りの利く利便性の高い支援を提供している団体もありますので、単に規模が大きいか小さいかだけでなく、その結果、支援の質がどうか、という観点で考慮するとよいでしょう。

利用料

サービスの内容によって費用が異なりますが、多くの場合、連絡調整型が数千円、受渡型は1万円弱(受渡の場所や方法によります)、付添型は1万円以上(付添の時間によって、2~3万円程度かかることもあります)必要になります。

ただ、上記の目安は、あくまで平均的な利用料であって、無料の団体や、もう少し高額な団体もあります。無料の団体の質が悪いわけでもありませんし、高額な団体の質が高いわけでもありません。ご自身の経済状況と支援団体の支援内容等によって、総合的に決めていきましょう。

利用可能な条件の違い

面会交流支援団体のよって、以下のような点において利用条件が異なります。

  • 合意書面の要否
  • 子どもの年齢制限
  • 利用期間・利用回数の制限
  • 付添型支援の最長時間の制限
  • 付添型支援の支援場所 など

事前によく説明を聞き、ニーズに合う機関を選びましょう。

支援団体の理念

面会交流の支援団体は、団体によって考え方や方針が異なります。例えば、女性保護団体(DV被害者支援団体等)が母体となっている支援団体もありますし、家裁調査官や調停委員の経験者が立ち上げた団体もあります。また、支援の視点を子どもにおいている団体もありますし、親支援をうたっている団体もあります。

ほとんどの支援団体はホームページをもっていて、支援の方針等を掲載しています。まずは、サイトで団体の方針等を見た上で、直接の面談にて実際の雰囲気等も確認しましょう。

主だった第三者支援機関のご紹介

現在、首都圏をはじめ、新しい団体がいくつか立ち上がっています。また、既存の団体もサービス内容を変化・進化させています。

そのため、以下に挙げる団体のほかにもご自身のニーズに合う団体はいくつもあると思いますし、記載の団体についても支援内容が変更されていることも考えられます。あくまで参考程度に主だった団体や特徴的な団体をいくつかご紹介します。

FPIC 東京ファミリー相談室

FPIC 東京ファミリー相談室は、家庭裁判所調査官のOBを中心とするメンバーで構成されています。経験豊富なベテランメンバーがサポートしますので、紛争性の高い案件も安心して任せることができます。

特徴的なのは、付添型のサービスを利用した場合、必要に応じて「声掛け」をしてくれるというところです。例えば、久しぶりにあった別居親が子どものびっくりした様子を無視してスキンシップを求めようとする場面では、「お子さん、びっくりしちゃってますよ。」、「もう少し時間をかけて慣らしていきましょう」などの声をかけてくれます。

また、別居親が子どもと遊ぶことに慣れていない場合、子どもとの遊びをサポートしてくれたり、アドバイスをくれたりします。「付添はあくまで付添です。介入はしません。」という支援団体もありますので、この点は大きな特徴と言えます。

利用の際は、調停が成立する前に、利用が可能かどうかも含めて一度相談に訪れ、「FPICでできることとできないこと」を把握しておきましょう。その上で、その内容を盛り込んだ調停条項を作成し、本申込という流れになります。HPに利用方法や費用がかなり詳細に記載されていますので、それを確認の上、ご相談いただくとスムーズです。

公益社団法人 家庭問題情報センター(エフピック)

東京都ひとり親家庭支援センター はあと

東京都ひとり親家庭支援センターはあと の特徴は、東京都のひとり親家庭を支援する総合的窓口だということです。

就労と生活の両側面の支援を行っており、面会交流支援のほかにも、ひとり親専門の就業相談や職業紹介、支援員による電話相談や弁護士による離婚前後の法律相談を行っています。

はあとの面会交流支援は、収入制限をクリアすれば、無料で利用できます。利用期間は1年(更新なし)、面会交流は1か月に1回、1時間程度という制限がありますが、費用面がネックになって第三者機関の利用が難しい方にとっては、朗報です。

父母双方から申請書等の必要書類が提出されれば、1,2か月程度で初回の面会交流が実施できるとのことでした。ただ、父母どちらかしか書類を提出していなかったり、記載されている面会交流の内容が異なっていると、サービス開始に至りませんので、注意が必要です。

東京都ひとり親家庭支援センターはあと

一般社団法人 びじっと 離婚と子ども問題支援センター

びじっとの特徴は、何といっても取扱件数が多いことです。年間700回以上の支援(連絡調整を含む)を行っています。「子どもの福祉にかかわりたい」という有償及び無償のボラティアスタッフが支援を担っていますが、オンライン研修やOJTなど充実した研修体制でスタッフの育成にあたっています。

そんなびじっとの特徴として、以下の点が挙げられます。

公正証書や調停調書がなくても、合意があれば支援可能

びじっとは、必要な方に支援を届けたいという思いで、なるべく断らずに済むような制度・体制を目指しています。そのため、公正証書や調停調書がなかったとしても、支援に必要な項目について父母間合意があれば支援してもらえます。また、「支援スタッフの数が足りないから依頼を受けられない」ということがないよう、支援スタッフの採用や研修にも力を入れています。

支援の年齢制限がない

 支援団体の中には、子どもが一定の年齢以下であることを支援の条件としている団体もあります。しかし、びじっとは、支援の必要性は子どもの年齢だけでは測れない(例えば、障害や発達特徴のある子どもなど)と考え、年齢制限を設けていません。

受渡し型や連絡調整型からの利用も可

 まずは付添い型の支援を利用してから、受渡し型や連絡調整型への移行が求められる支援団体も少なくありませんが、びじっとは、初めから受渡し型や連絡調整型から利用することも可能です。

ADR「くりあ」の立上げ

びじっとは、面会交流に関する法的なもめごとをワンストップで解決するため、法務大臣の認証を受けてADR機関を立ち上げました。これによって、何か解決すべき法的もめごとが発生した場合、家裁で決めなおしをしなくても、ADRにて協議し、また支援を継続するという利用方法が可能となりました。

そして、最後にびじっとの支援方針をお伝えします。びじっとは、「かながわ子ども・子育て支援大賞」(令和3年度)を受賞していますが、まさに、面会交流支援を子育て支援の一環として位置付けています。そして、「子どもの10年先の未来のため、今の支援を行う」という理念の基、子どもがいい時間を過ごすための支援を続けています。

一般社団法人 びじっと 離婚と子ども問題支援センター

NPO法人ウィーズ

ウィーズの大きな特徴の一つに、年会費や交通費を除き、支援が無料であるという点があります。利用料を支払っていると、自分は顧客だという意識が芽生え、「お金を払っているのだから、自分の思い通りにしてほしい」という要求につながってしまうからとのことでした。

また、家裁で係争中の方は有料なのですが、係争中の案件は調整が難しいという理由のほかにも「子どものために早く争いを終わらせ、無料で円滑な面会交流をしましょう」というメッセージも含まれています。この利用料の設定からもわかるように、ウィーズはあくまで「子ども支援」を中心に置いた団体だと言えます。

ウィーズでは、支援員の養成にも力を入れており、親が離婚していたり、家庭環境が恵まれなかったりといった「元子ども」の立場の方や大学生や一般の会社員の方など、様々な立場の方がおられるそうです。利用期間やお子さんの年齢による制限はありません。

調停調書や公正証書といった面会交流を取り決めた文書があり、連絡手段がメールのみであることを了解できれば、基本的に支援してもらえます(もちろん、ルールを守らない人や攻撃的な方など、円滑な支援が難しい方はお断りされることもあるかと思います。)。

ウィーズのモットーは、「ひとりひとりが価値ある自分を信じられる社会に」です。そして、そんな社会を実現するため、面会交流支援のほかにも、ライン相談や「みちくさハウス」など、子ども支援のための幅広い活動をされています。

NPO法人ウィーズ

おやこリンクサービス

おやこリンクサービスは、茨城県、千葉県、東京都等を中心とした支援活動を行う面会交流支援団体です。前身のNPO法人Winkから数えて20年の支援実績があり、面会交流だけでなく、養育費についても「子どもの大切な権利」と捉え、活動を行っています。

また、他の団体では断られてしまったような困難ケースについても、「子どもがパパやママに会えるなら」と積極的に支援しています。

ただ、困難ケースは対応も難しくなりますので、実際に支援する現場のサポーターとスーパーバイザーを分け、スーパーバイザーは心理カウンセラーが行うなどの工夫をしたり、サポーターのスキルアップのための研修を定期的に実施しているそうです。

また、JR柏駅付近に定型のレンタルルームがあります。年齢の小さいお子さんや久しぶりの面会交流で多方面に注意が必要な場合などは、全天候型で目の行き届くレンタルルームでの面会交流が安心です。

そして、子どもとの面談(無料)を行う点にも特徴があります。支援者が子どもと仲良くなることで、何か困ったことがあったとき、子どもが遠慮なく支援者を頼れることは、大きな安心につながりますし、支援者が子どもをよく理解していることは、質の高い支援につながると言えます。

おやこリンクサービスでは、オンライン面会交流の支援も行っているそうなので、関東に限らず、幅広く活用が可能です。

おやこリンクサービス

一般社団法人沖縄共同養育支援センターわらび

 わらびは、2019年7月、沖縄県初の面会交流支援団体として設立されました。そもそも、沖縄では「面会交流」という言葉すら知らない人が多かったそうですが、設立以降、利用者も増え、現在は支援員の採用や育成にも力を入れているそうです。

そんなわらびの特徴は、支援員の半数以上が臨床心理士もしくは公認心理師という点です。この点については、ほかの支援団体にはない贅沢な特徴と言えます。

また、実際の面会交流の場面だけではなく、事前・事後のガイダンスやカウンセリングを大切にしている点も特徴です。これも心理職支援員ならではかもしれません。

まだ設立から日は浅いですが、沖縄県唯一の面会交流支援団体に対する期待は大きく、県の委託事業も受託しています。セミナー等の教育活動にも力を入れており、年に2回、面会交流に関するセミナーを実施していますので、利用を検討している方は、まずはそういったセミナーに参加してみるのもいいかもしれません。

沖縄共同養育支援センター わらび

株式会社ハッピーシェアリング 面会交流マッチングシステム

 面会交流マッチングシステムは、いわゆる連絡調整型の支援をシステム上で行うものです。直接相手に連絡を取らないので、連絡先を教える必要もありませんし、やり取りが原則定型文で入力の文字数にも制限がありますので、「相手からの感情的なメールに疲れてしまう」という方にはお勧めです。

それでも問題が発生したときは、管理人がアラートメッセージを送ってくれる見守り機能付きですので、心理的な安心も得られます。子どもの写真や行事予定などを共有できる機能も付いていて、普通の連絡調整型の支援より安価(1か月2000円/組)なのも魅力です。

株式会社ハッピーシェアリング 面会交流マッチングシステム

株式会社Bonheu BonheurShip(ボヌールシップ)

株式会社Bonheurの面会交流支援事業ボヌールシップは、2017年11月に開始されました。その前年に夫婦問題の相談業務を始めたところ、面会交流に悩む声を聞くことが多く、また、同年は面会交流中の事件が相次いだこともあり、支援機関の必要性を感じたことが支援事業を始めたきっかけだそうです。

ボヌールシップの面会交流は、非常に特色があります。まず、場所は、休日の保育園を利用して行われます。そこに複数の親子がやってきて、保育士が同席のもと、工作をしたり、リトミック教室やピアノを楽しんだりとワークショップに参加もできます。

このように、複数の親子を同時に支援することで、利用料を下げることができますし、また、ワークショップに参加すれば、小さい子どもと遊び慣れていない別居親でも楽しく触れ合えます。

支援員は保育士に加えて、カウンセラーやひとり親家庭の中高生ボランティアなど多様なメンバーがそろっているとのことで、多くの目で見守ってもらえる点では、預ける同居親も安心です。

ボヌールシップは、このように、他の支援団体とは異なる独自の支援スタイルで面会交流支援に新しい風を吹き込んでいますが、その原点には、父母間のトラブルを防止し、その間に挟まれた子どもの気持ちを大切にしたいという思いがあるそうです。

株式会社Bonheu BonheurShip(ボヌールシップ)

面会交流支援は卒業が目標

このコラムを最後まで読んでくださったみなさまは、きっと面会交流に悩みを抱えておられる方々だと思います。同居親の立場の人も、別居親の立場の人も、それぞれに辛さがあることとお察しします。

でも、今が一番大変な時期かもしれません。

面会交流支援団体の方が口を揃えておっしゃられていたのが、「卒業が目標」だということです。支援団体を利用するかどうかはそれぞれの判断ですが、何とか面会交流を続けていくうちに、軌道にのったり、楽になっていくこともあります。

是非、大変なときは支援団体の力も借りつつ、お子さんのために父母双方が理性的な関係を築いていただければと思います。

個別の支援団体のご紹介は以下をご参考ください。

面会交流支援機関びじっとのご紹介(対談)
面会交流支援機関ウィーズのご紹介(対談)
面会交流支援機関わらびのご紹介(対談)