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面会交流支援団体ウィーズのご紹介(対談)

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NPO法人ウィーズ

小泉(以下、「小泉」):本日は、NPO法人ウィーズの事務局長羽賀さんにお話をおうかがいします。まず、ウィーズさんの大きな特徴の一つに支援が無料だという点が挙げられますが、確か、有料でされていた時期もあったかと思います。無料化の経緯や目的などを教えていただけますか。

羽賀(いか、「羽」):はい、立ち上げ当初は有料でした。しかし、お金が発生すると、自分は顧客だという意識が芽生え、そこから「お金を払っているのだから、自分の思うとおりにしてほしい」という要求につながってしまいます。ウィーズは、子どもたちの支援をしているのであって、お金を払っている親のためにしているのではない、という点が大きいです。

ただ、完全に無料ではなく、年会費をおひとり1万2000円いただいています。また、支援員の交通費もいただいています。

小:全員が無料で利用できるというわけではなく、何か条件のようなものはあるのでしょうか。

羽:家庭裁判所で調停や裁判が係争中の方は有料になります。と言いますのも、係争中の方々は、面会交流以外にも様々な葛藤がある場合が多く、調整が難しいからです。また、争いを早く終わらせて、無料で円滑な面会交流をしましょうというメッセージでもあります。

小:ウィーズさんでは、どんな方が支援員になられているのでしょうか。

羽:様々な人がいます。子ども時代に親の離婚を経験したとか、家庭環境がよくなかったという「元子ども」の立場の方もいますし、学生さんやスポーツインストラクターの方などもいます。現在は、実働スタッフが約10名で支援にあたっていますが、昨年は、利用者が58組、のべ支援回数が508回ですので、まだまだ支援員が足りず、支援スタッフの養成にも力を入れているところです。

小:みなさん、どんな理由でウィーズさんを選ばれるのでしょうか。

羽:一番多いのは、HPを見てくださって、「子どものことを一番に考えてくれそうだから」という方が多いです。後は、やはり支援料が無料である点も大きいかと思います。

小:最初のお申込みは別居親さんと同居親さん、どちらからが多いですか。

羽:どちらも半々くらいですね。後、弁護士さんから連絡がくることもありますし、他の支援団体ではだめだったという葛藤の高い方からのお申込みもあります。

小:他の支援団体から移ってこられる方などは、なかなか難しい側面もあるかと思うのですが・・・。

羽:確かに、お断りするケースもありますし、どちらか一方が対応に苦慮する方ということもあります。ただ、ウィーズは、親御さんに対して、完全に中立でありたいと思っています。なぜなら、子どもには両方の血が流れていて、どちらかを責めると子どもがつらい気持ちなるからです。「だれも責めない」をモットーにしています。

小:あくまでも子どもファーストなウィーズさんですが、面会交流支援のほかにもいろいろな子ども支援をされていると思います。まずは、ライン相談について教えていただけますか。

羽:ライン相談は、掲示板から始まりました。メールで相談を受けていた時期もあるのですが、返信がこないときもあり、相談のラリーが続きませんでした。そこで始めたのがライン相談です。ラインですと、気楽にやり取りが続きますし、「相談が終わったらブロックしていいよ」ということも最初に伝えています。

小:そういうちょっとした工夫が利用の安心につながるのですね。ライン相談はまさに匿名性や手軽さが利用しやすさにつながっていると思うのですが、その対極にあるとも思われるリアルの居場所として作られた「みちくさハウス」についても教えていただけますか。

みちくさハウスの使い方

羽:みちくさハウスは、あるひとつのケースから生まれました。そのケースでは、子どもの帰る場所や一時避難する場所が問題でした。警察に付き添った際、子どもに対してきつい口調で対応する警察官も気になりましたし、その警察官から「ウィーズさんは子どもが避難できるような場所はないんですか」とも聞かれました。そのため、子どもが安心して滞在できる場所を作りたいと考えました。それが「みちくさハウス」です。今では、緊急事態の泊まりのケースに加えて、地域の連携団体との会合に使ったりもしますし、子どもが宿題をしにふらっと集まれる居場所になっています。

小:最後に、ウィーズさんの今後の活動方針を教えていただけますか。

羽:ウィーズは、「ひとりひとりが価値ある自分を信じられるように」をビジョンとしています。このビジョンの実現のためには、具体的にやりたいことがたくさんあるのですが、最終的には「誰の横にも、ちょっとお節介な大人がいる」という状態を作りたいと思っています。

小:今日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

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