離婚一般

離婚弁護士の探し方と依頼のタイミング

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離婚問題が持ち上がったとき、相談先として一番最初に頭に浮かぶのが「弁護士」ではないでしょうか。

今回は、離婚問題と弁護士について、弁護士に依頼するタイミングと、どうやって探せばいいかという視点、さらには依頼した後の有効な意思疎通方法についてお伝えしたいと思います。 

離婚に関する相談先一覧

弁護士に依頼するタイミング

基本は「夫婦で協議」がファーストステップ

離婚協議の基本は、まずは当事者同士で話し合うことです。そもそも、簡単な意思疎通さえ難しくなり、離婚に至る夫婦が多いわけですから、そんな夫婦にとって、離婚条件を冷静に話し合うというのは、難しいものです。特に、離婚意思が合致していない場合はなおさらです。

それでもやはり夫婦で協議をした方がいい場合や夫婦間協議のポイントを以下でご紹介します。

相手が離婚に消極の場合

自分は離婚したいけれど、相手が渋々それに応じている場合や、離婚に応じてくれない場合、まずは、直接顔を合わせての離婚協議が重要です。

なぜなら、相手は離婚に納得できていませんので、「なぜ、離婚なのか」という理由を聞きたいと思っています。また、その離婚理由に対して反論したり、自分の気持ちも伝えたいと思っています。

もちろん、離婚したい理由をメールやラインで伝えることも可能ですが、それでは相手は納得しません。

「顔を見て話さないと本当の気持ちが分からない。」、「こんな大切なことをメールで済ませるなんて不誠実だ」、こんな風に思われがちです。

その気持ちの裏側には、「話し合えば、きっと離婚を思いとどまってくれるはずだ」、「離婚理由に反論したい」という気持ちがあり、けして対面で話をしたからといって、「分かりました。納得したので離婚します。」とはなりません。

ただ、この対面協議の過程を抜かしてしまうと、弁護士に依頼したり、家裁調停を申し立てた際に「まだ、夫婦でもきちんと話ができていないのに・・・。」となかなか気持ちを前に進めてくれません。

そのため、まずは夫婦で対面で話し合ってみましょう。

争わずに円満に離婚したい場合

相手が嫌になって離婚するわけですが、離婚の際はなるべく争わずに円満に離婚したいと考える人もいます。特に、子どもがいる夫婦は、離婚後も子どもの父母としての関係が継続することになり、これ以上関係を悪化させたくないものです。

そんな場合、夫婦での協議を飛ばして、弁護士に依頼したり、家裁に申し立てたりすると、一気に紛争性が高まってしまいます。そのため、まずは夫婦で話し合ってみる努力をしましょう。

無理をしない(合意しようとしない)

離婚についての話合いは、そう簡単ではありません。離婚意思が合致しておらず、一方は離婚したいけれど、もう一方は離婚したくないような場合、「なぜ離婚したいのか」という気持ちすら伝わらず、何度説明しても、「理由が分からないから応じられない」といった堂々巡りに陥ることがあります。

また、離婚意思は合致していたとしても、離婚条件について法律に即した話合いをするのも難しいものです。

そのため、協議が難しいと感じたときは、あまり無理をせず、深追いせずに次のステップに進むことがお勧めです。

また、DVがあり、対面で離婚協議をすると身に危険が及ぶ場合はもちろんのこと、モラハラ等の夫婦間の力関係が不均衡で、相手と話をするといつも言いくるめられてしまうと感じている人や、相手を目の前にすると言いたいことが言えなくなってしまう人は、無理して夫婦での協議をする必要はありません。

身内(親族)や友人を入れない

夫婦で話し合う際、お互いの両親や共通の知人などに間に入ってもらう人がいますが、あまりお勧めではありません。

身内は、どうしたって一方の味方ですし、法的知識のない知人が仲介しても、正しい結論に至ることはできません。

そのため、身内や知人といった第三者を入れなければ協議が難しいような場合は、専門家を入れる次のステップに進むことがお勧めです。

当事者協議が決裂したらADR(民間調停)

夫婦で話し合って協議離婚ができない場合、次にお勧めしたいのがADR(裁判外紛争解決手続)という民間の調停機関です。

ADRは、あまり広く知られた制度ではありませんが、いわゆるADR法という法律に基づいて、法務省が管轄している制度で、「夫婦だけでは話合いができないけれど、だからといって弁護士に依頼したり家裁に申し立てたりして争いたいわけではない」という夫婦にぴったりです。

ADR調停のメリット

融通がきく

家裁で調停をするとなると、平日の日中ですが、多くのADR機関は平日の夜や休日も調停が可能です。また、オンライン調停が可能な機関も増えていますので、わざわざ出向かなくていいのも大きなメリットです。

早期解決が期待できる

家裁での調停に比べ、調停期日の間隔を当事者の希望により決めることができます。家裁であれば、いくら結論を急ぎたくても、次回期日が入るのは1か月以上先になります。一方、ADRであれば、都合されよければ、1週間後に次回調停を予定することもできます。

調停委員にはずれがない

家裁で離婚調停をする場合、自分で調停委員を選ぶことはできません。もちろん、家裁の調停委員である以上、ある程度の法的知識や調停進行に必要な能力を兼ね備えていなければならないのですが、残念ながら、当たりはずれがあります。

当事者の話を聞かずに自分ばかり話している人、逆に当事者がとめどなく話すのをただ聞くしかできず、遅々として調停を進められない人、法的知識が曖昧な人、保身に必死で相手の懐に飛び込めない人、自分の感情が優先してしまう人、いろいろな調停委員がいます。

この点、ADR調停の場合、調停委員は法的知識が豊富で調停技法の訓練を受けた者が務めます。知識が乏しいということは、まず、ありません。

紛争性が高まらない

家裁と違い民間の機関ですので、相手方の受け止め方が比較的ソフトです。また、弁護士は一方の味方をするのに比べて、ADRは双方の間に立つ公平中立の立場です。そのため、むやみに紛争性を高めないというメリットがあります。

ADR調停のデメリット

お金がかかる

弁護士に依頼せず、自分ひとりで調停を申し立てた場合、費用としてかかるのは申立て費用等数千円です。家裁の調停は、都度利用料はありませんので、1回で不成立になろうが、調停を2年続けようが、費用に変わりはありません。

しかし、ADR調停の場合は、多くは期日1回ごとに1,2万円の費用がかかりますので、家裁の調停に比べれば、お金がかかります。

強制力(法的・心理的)が弱い

裁判所の手続きに比べて、相手に与える強制力はいろいろな意味でADRの方が弱かったりします。

まず、養育費や面会交流などは、相手がADRに応じてくれなければ、それ以上手続きを進めることはできません。

また、心理的にも、裁判所から連絡がくるのと、民間の仲裁機関から連絡が来るのとでは、必然的に与える印象が異なってきます。先ほど、相手の受け止めがソフトだと書きましたが、裏を返せば、心理的強制力が弱いとも言えます。

家庭裁判所で調停

夫婦で話し合ってもだめ(もしくは話合いができない)、ADRでもダメとなれば、次の選択肢として家庭裁判所の調停があります。弁護士に依頼しなければ家裁を利用できないと思っている人もいますが、そうではありません。まずは、自分自身で離婚調停を申し立てることもできます。

家裁調停のメリット

費用が安い

何と言っても、家裁の調停を利用するメリットは安さにあります。申立時に数千円かかりますが、その後は何度期日をもうけても無料です。

そのため、時間をかけてじっくり話し合いたいけれど、費用はあまりかけたくないという場合に適しています。ただ。無料にはデメリットの側面もあり、相手が話合いに消極的な場合、突然に期日をキャンセルされたり、最後の最後になって「もう一度再考したいから、今日は合意できない」といった風に先延ばしにされることがあります。

強制力がある

離婚調停は相手が応じなかったり、応じたとしても不成立で終了すれば、そこまでです。しかし、当事者同士の力関係ではどうにもならなかったことが、家裁という権威が間に入ることで、話合いに応じてくれたり、話の方向性が常識的な方向に向かうことがあります。

また、婚姻費用や養育費、面会交流といった調停であれば、相手が応じなかったり、調停が不成立で終了しても、自動的に審判に移行します。審判は、裁判官が結論を出してくれますし、その結果に相手が従わない場合、金銭債務については強制執行も可能になります。

家裁調停のデメリット

長期化する

家裁の調停は、申立てから約1カ月後に初回期日、そして次回以降は1カ月~1カ月半に1回が標準的な進め方です。そのため、解決まで半年もしくは一年かかったということも珍しくありません。じっくり時間をかけて話し合いたい人にはデメリットにはなりませんが、離婚協議は心身ともに負担がかかりますので、早く終わらせたいという人が多いのではないでしょうか。

紛争性が高まる

家裁の調停はあくまで「調停」ですので、話合いの場であることには変わりはありません。ただ、やはり「裁判所」というと争いのステージと認識され、相手への宣戦布告と取られかねない点がデメリットです。

調停委員の当たりはずれがある

前述したとおり、調停委員にはどうしたって当たりはずれがあります。人生の節目となる大切な話合いですから、専門性が高く、後悔のない話合いになるよう導いてくれる人が望ましいのですが、なかなかそういった調停委員には出会えないのが現実です。

裁判になったらようやく弁護士

裁判になると、やはり弁護士を依頼することになるでしょう。裁判が調停と大きく違う点は、「もはや話合いではない。」ということです。相手と書面の応酬ですし、職権主義ではないので、自分で主張し、証拠を提出しない限り、事実として取り上げてもらうことはできません。そうすると、やはり弁護士を依頼した方が、自分が思ったとおりの主張ができると思います。

ただ、裁判に至る前であったとしても、早めの段階で弁護士に依頼した方がいいケースもありますので、以下でご紹介します。

早めに弁護士を依頼した方がいいケース

精神的に弱っている場合

当事者同士の話合いはもちろんのこと、ADRや家裁を利用するとしても、あくまで自分の主張は自分でする必要があります。

そのため、相手との日々の生活で心身ともに疲れてしまい、自分で主張ができないとか、相手とのことを考えるだけでメンタルが疲れてしまうという人は、弁護士への依頼がお勧めです。

弁護性に依頼することによって、大きく結果が異なる場合

例えば、会社員の夫が子育てに何ら問題のない妻に対して親権を主張したとします。このような場合、いくら弁護士に依頼したからと言って、親権を獲得できる可能性は低いと言わざるを得ません。また、通常の養育費算定表を使うケースで「もっと多くほしい」もしくは「支払う金額を減らしてほしい」といっても、弁護士に依頼しても難しいことがほとんどです。

ただ、共働き夫婦で子育てや家事を同じだけ分担していたケースで親権を争っている場合や、通常の養育費算定表では判断できない要素がある夫婦の養育費の請求については、弁護士に依頼することによって、結果が大きく異なってくる場合があります。

そのような場合は、裁判にならずとも、早い段階で弁護士に依頼することがお勧めです。

弁護士に依頼するメリット

専門家に任せられる安心感

弁護士に依頼するメリットは、何と言っても法律に詳しい専門家に全面的に任せられる点です。いくらネットで色々と検索しても、「ケースバイケース」ということも多く、個々の状況に完全にマッチした情報を得るのは難しいものです。

自分の代理として任せられる安心感

先ほどご紹介したADRや裁判所は、あくまで中立の立場で夫婦の仲裁をする役割です。しかし、弁護士は、完全に依頼者の味方になってくれる存在です。そして、自分の代わりに相手と交渉してくれたり、調停に出席してくれたりするわけですが、そういったことを任せられる唯一の職種が弁護士です。

弁護士に依頼するデメリット

費用が高い

弁護士に依頼する際、一番のネックになるのが費用が高額な点です。弁護士費用は、着手金と成功報酬で組み立てられていることが多いので(そのほか、調停の期日に出席する場合の日当がかかるケースもあります。)、財産分与の金額等によって報酬が異なるのですが、概ね100万円前後はかかると考えた方がいいでしょう。

紛争性が高まる

一方が弁護士に依頼すると、もう一方も依頼することが多いのですが、そうなると、弁護士対弁護士の争いに発展してしまうことがあります。

また、家裁への申立てと同様、弁護士への依頼を宣戦布告と捉えられてしまうこともあります。

お勧めの弁護士の探し方

離婚本の著者から

著書を出すためには、相当の知識と労力が必要ですので、専門分野以外の本を出すことはありません。また、その内容を読めば、その弁護士の離婚案件への取り組み方や考え方などがよく分かるものです。

ですので、少し古典的に思えるかもしれませんが、実際に気になる離婚本を何冊か読んでみるのがお勧めです。そうすれば、離婚そのものに関する知識も身に付きますし、考え方や方針が自分に合う弁護士を見つけることができます。本に書かれている知識は、やはりネット上の情報に比べて良質なものが多いので、一石二鳥です。

ウェブで検索&法律相談

最近は「まずはウェブ検索」ですから、ネットで「離婚 弁護士」とか「離婚 専門 法律事務所」などと入力して検索する人も多いかと思います。また、弁護士ドットコムやその類似のサイトでも、離婚に強い弁護士に特化して検索することができます。

しかし、要注意なのは、「離婚に強い」とうたっているからといって、本当に離婚に強いかどうかは分からないということです。例えば、弁護士ドットコムを例にとると、弁護士が登録をする際、専門分野を何にするか、いくつ専門分野を選ぶかは弁護士自身が決めるシステムになっています。本当にその分野に強いどうかは関係ありません。

そして、そういった紹介サイトを使ってみたことがある人は分かると思いますが、とにかくすごい数の弁護士が登録しています。そのため、地域や専門性で絞って検索したとしても、選びきれないほどの数が挙がってきます。

ですので、ネット検索する場合は、「離婚に強い」かどうかの判断ではなく、「離婚案件を積極的に受けるつもりがあるかどうか」程度の判断のつもりで検索した方がいいかもしれません。そして、その中から気になった弁護士を複数選び、実際に事務所に足を運んで、法律相談を受けてみるのがいいでしょう。

やめた方がいい探し方

他の案件で依頼したことがある弁護士

「親の相続の際にお世話になった」、「借金問題で相談に行ったことがある」など、離婚とは別の件で依頼したことがある弁護士に相談に行くというパターンがあります。既に知っている弁護士だと気も楽ですし、その人の仕事の仕方や能力なども何となく分かっているのではないでしょうか。そもそも、弁護士事務所に法律相談に行くというのは、「こんなこと相談していいのかな。」「何だか敷居が高いな」と感じる方も多いと思いますので、面識のある弁護士というのは、それだけで大きな安心感や信頼感につながることでしょう。

ただ、問題は、その弁護士が離婚案件をどのくらい受任しているかということです。弁護士だからといって、すべての案件をカバーできるわけではありません。弁護士にも専門分野があります。ですので、刑事専門の弁護士に離婚を依頼しても、何だかちぐはぐな結果になってしまうということになります。過去に依頼した弁護士に再度依頼する場合は、その弁護士の専門を調べてからにしましょう。

知り合いの紹介や会社の顧問弁護士

法学部だった知人に弁護士を紹介してもらったり、会社の顧問弁護士に依頼するというパターンがあります。この場合、紹介者のメンツもありますし、会社の顧問という立場もありますので、弁護士に丁寧に仕事をしてもらえる可能性が高いのがメリットです。しかし、先ほど書いたように、その弁護士がどれだけ離婚事件に精通しているかどうかは要注意です。

法律相談は行った方がいい?

とにかく早く法律相談

いまや、様々なかたちで法律相談に応じる弁護士事務所が増えています。実際に面談するのではなく、電話やメールで法律相談を行ってくれる事務所もあります。「小さい子どもがいて、日中は落ち着いて話せる時間がない」「平日は仕事が休めない」「家を空けると夫に怪しまれる」など、様々な事情がありますので、面談での相談が難しい方にとって、電話やメールはとても便利なシステムです。

もちろん、実際に事務所に足を運んで面談形式で法律相談を受ける方が、事務所の雰囲気が分かったり、担当弁護士の表情や態度も見ることができますので、得られる情報が多くなります。しかし、なかなか時間を作れず法律相談の時期が遅くなるようであれば、早期に電話やメールで相談をしておいた方がいいでしょう。

複数の事務所に出向いて比べる

少し面倒ですが、できれば複数の事務所に出向いてみてください。最初の事務所で「ここで間違いない!」と確信が持てればそれで問題ないのですが、ほとんどの人は弁護士の対応や人となりに疑問を感じたとしても、「弁護士ってこんなものなのかなぁ」と自分を納得させようとしてしまうものです。何事も比べるのが大切です。確信が持てない場合は、複数の事務所に足を運びましょう。

複数の事務所に足を運ぶメリットがもう一つあります。それは、「回答は一つではない」ということです。同じことを聞いても、弁護士によって違う答えが返ってくることがよくあります。自分が今抱えている問題をより客観的に理解するためにも、複数の弁護士の意見を聞いてみることをお勧めします。

無料相談より有料相談

ついつい有料より無料で相談できる法律事務所を選んでしまいがちですが、実は、逆です。無料相談の場合、成功報酬が低そうだったり、依頼に結びつかなさそうな場合、適当にあしらわれてしまうことがあります。

一方、有料相談の場合、その後の依頼に関係なく、相談に対して対価を払ってもらっているという意識になりますので、きちんと対応してくれる確率が上がります。もちろん、有料でも無料でも関係なく親身になってくれる弁護士もいますが、そうでないことも往々にしてあります。

また、無料相談をはしごする人の中には、「お金は一切払いたくないけど、情報だけはほしい」という方がいます。そのような気持ちでは、なかなかいい結果を生まないことを理解しましょう。弁護士は、難しい試験に合格した専門家です。報酬が高いのは当たり前です。その知識を無料で提供してもらうことだけを目的に面談を繰り返しても、よい関係性にはなりません。

いい離婚弁護士を見分けるポイント

話を真剣に聞いてくれるか

あたなが深刻な悩みを話しているのに、何だか真剣に話を聞いてもらっていないと感じる場合、その弁護士に依頼するのはやめましょう。弁護士の中には、「お金になるかどうか」が判断基準となっている人がいます。そういう弁護士は、あなたの悩みに寄り添い、あなたの幸せのために問題を解決するという姿勢ではなく、この案件はお金になりそうかどうか、成功報酬はいくらになりそうか、といった観点で話を聞いているのです。あなたの話を親身になって聞いてくれる弁護士を選びましょう。

やたらと離婚だけを勧めてこないか

離婚の法律相談に足を運ぶ際、既に離婚を決意している場合もあれば、まだ迷いがある場合もあると思います。その迷いの解決に必要な離婚条件等を質問しに法律相談に訪れる人も多いでしょう。また、中には、どう考えても今は離婚のタイミングではない人や、本心では離婚をしたくないと思っている人もいるものです。そういった様々な状態にある相談者の話を聞き、的確なアドバイスをするのが弁護士の役割です。しかし、仕事ほしさに、やたらと離婚を勧めてくる弁護士もいます。

そうではなく、「今は離婚のタイミングではない。」、「あなた、本当は離婚したくないんじゃないの?」等と言ってくれる弁護士に相談しましょう。

できないことを明確に説明してくれる

離婚には、様々な条件が付随してきます。これを読んでくださっているみなさんにも、「親権が取りたい」「慰謝料をもらいたい」など、いろいろな希望があると思います。それらの条件に対して、「やってみないと分からない。」とか「正式に依頼を受けてからの検討になります。」などと言って、明確に答えてくれない弁護士がいます。

そうではなく、「あなたが親権を取るのは難しいと思いますが、面会交流という方法でお子さんとの関係を継続することはできますよ。」とか「この場合、慰謝料を取るのは難しいとは思いますが、『慰謝料をほしいくらいの気持ちだ』というのを相手に伝えることは大切ですよ。」などと言ってくれる弁護士に依頼しましょう。

あなたの希望を訂正してくれる弁護士

離婚紛争の渦中にいるあなたの希望や主張は、ときに無謀だったり無茶だったり、かえって不幸になる選択肢だったりします。それを専門家の視点で修正したり、疑問を呈してくれる弁護士は良い弁護士です。依頼者の意思に反することは勇気がいりますが、本当に依頼者の幸せを願っているからこその苦言だったりするのです。

説明を厭わないか

依頼した弁護士に対する不満を聞くことがあるのですが、よくよく聞いてみると、弁護士のやっていることが間違っているのではなく、その意図が依頼者に伝わっていないだけ、ということがよくあります。

弁護士にしてみれば、法的なことは依頼者には難しいだろうとか、いちいち経過を報告しても迷惑になるだろうから、といった考えから、依頼者への説明が足りないことがあります。弁護士だって悪気はないのですが、それがちりも積もれば信頼関係の構築に支障を来すのです。

そのため、こまめに経過を報告してくれたり、依頼者であるあなたの質問に丁寧に答えてくれるかどうか、というのも大切な視点です。

弁護士に依頼して正解だった事例

法律相談の有効活用

相談者Aさん(女性)
相談内容 夫の度重なる浮気と日々繰り返される暴言に離婚を考えている。しかし、子どもが小さく、自分1人で育てていけるか経済面の不安が大きい。毎日辛いが、決断もできず、何をどうすればこの状況から抜け出せるか分からない。

Aさんはとても悩みが深く、いろんな不安を抱えていましたが、お話を聞いていくうちに、経済的な安定さえ保証されれば、今すぐにでも離婚したい気持ちであるということが分かってきました。そして、Aさんのご主人はそこそこの給料や財産がありました。そのため、まずは、一番大きな不安から解消していくことをすすめ、まずは、離婚した場合にどのくらいの慰謝料と財産分与、養育費がもらえるか、弁護士に相談することを提案しました。

2回目のカウンセリングに来られたAさん、3か所の法律相談に行かれたとのことでした。養育費と慰謝料に関しては、どの法律事務所の弁護士も同じような回答だったようです。Aさんは、相談を通じて養育費と慰謝料の大体の相場をつかみ、結果としては、やはり経済的な不安が大きいとのことで、子どもがもう少し大きくなるまで離婚を思いとどまる決断をしました。

調停の度に都度利用活用例

相談者Bさん(男性)
相談内容 別れた妻がいきなり子どもに会わせてくれなくなり、調停を申し立てられた。わけが分からず「面会交流」でネット検索したところ、当センターが出てきたので相談に来た。はっきり言って自分でも何を相談したいのかよく分からないが、調停に対する恐怖心があるし、下手に動いて子どもと会えなくなるのが怖い。

Bさんは、突然に子どもに会えなくなり、調停というステージに引っ張り上げられたことに困惑していました。カウンセリングでは、面会交流について様々な質問が出ました。そして、最終的には、依然として調停への不安が大きいとのことでした。そこで、代理人として弁護士に同行してもらえば、少しは不安が解消されるのではと提案したところ、弁護士に依頼するような金銭的な余裕はないという返答でした。そのため、代理人ではないけれど、調停の度に相談にのってくれる弁護士もいることを伝えました。

そうしたところ、Bさんは、初回調停の前に一度相談に行ったそうです。Bさんによると、「今のところ、全く子どもに会えなくなる心配はなさそうで安心しています。ただ、どのように会っていくかということは、その都度弁護士さんと相談しながら決めていきたい」とのことでした。

財産分与のための活用例

相談者Cさん(女性)
相談内容 夫と離婚を考えている。もめるのは財産分与のみだと思うが、夫は自営で財産が複雑で、隠し財産などもあると思う。子どももいなし、すっぱりきれいに離婚したいが、金銭面だけはしっかりと確保したい。

Cさんは、とにかくお仕事がお忙しい方で、法律相談に行く時間もないとのことでした。そのため、当センターのzoomカウンセリングを申し込まれました。Cさんによると、夫から離婚を切り出され、自分も既に愛情がなかったことから、離婚に応じてもよいと思っているが、とにかく財産関係が複雑な上に高額になることが予想されていました。

そのため、Cさんには、財産分与を含むすべての離婚協議を弁護士に任せてはどうかと提案しました。後日、Cさんから「弁護士に依頼して本当によかった。自分は、本来すべき仕事に注力でき、メンタルのダメージも少ない。裁判までにすることになるかもしれないが、弁護士に任せて淡々と進めたい。」とのことでした。

弁護士への相談がマッチしなかった事例

まだ離婚を決断できていない段階での相談

相談者Dさん(女性)
相談内容 先日弁護士の無料相談に行ったが、離婚の意思が固まってからきてくれ、と冷たい態度であしらわれた。離婚を決断するにはいろいろと知りたいことがあったのに、あまり答えてくれなかった。

Dさんはまだまだ離婚を決断できておらず、相談相手がほしいというのが一番のニーズでした。弁護士によっては、離婚の意思がまだ固まっていない人の法律相談も積極的に受けるという人もいますが、Dさんに対応した弁護士のように、「離婚を決意してから相談に来てほしい」と考えている弁護士もいます。Dさんは、離婚を決意できない自分を否定されたような気持ちにもなり、かえって落ち込んでしまったとのことでした。

自分のニーズにマッチしなかった例

相談者Eさん(男性)
相談内容 既に家裁で面会交流調停をしている。弁護士にも依頼しているが、かなりベテランの男性弁護士が担当になってしまった。あまり最近の面会交流の事情や小さい子どものことを理解しておらず、調停でもちぐはくなやりとりが続いている。このまま弁護士に任せていてはいい結果にはならないと思い、自分でも勉強する気になった。

Eさんは、面会交流や離婚が子のメンタルに及ぼす影響を知りたいということで、当センターのオンライン離婚講座に申し込まれました。Eさんは、知人の紹介で弁護士に依頼しましたが、出てきた弁護士がかなり高齢で、最近の面会交流の実情をよく理解しておらず、代理人として信頼しきれないとのことでした。

弁護士のとの意思疎通の方法

自分から積極的に連絡を取る

人気のある弁護士ほど、多くの案件を抱え、忙しくしていますので、待っていては後回しにされてしまったり、処理が遅くなってしまうことがあります。

そのため、自分で主体的に考え、疑問点や依頼したいことがあれば、積極的に連絡を取りましょう。

説明を求める

上述のように、思考の経過を飛ばして、結果のみ説明する弁護士が多くいます。それは、弁護士による「説明しなくてもいいだろう」という判断によるものですが、当事者としては、その思考の過程を知らなければ理解できないこともたくさんあります。

そのため、「こんなことを聞いたら迷惑がられるかな」、「忙しいのに申し訳ないかな」と考えずに、疑問に思ったことはその都度説明を求め、疑問を解消しておきましょう。

自分の解決方針を明確に伝える

養育費は何万円欲しいとか、面会交流は何回したいと言った個別具体的な希望に終始してしまうことがありますが、問題解決の全体的な方針を伝えておかないと、結果がちぐはぐになってしまうことがあります。

例えば、「あまり争わず穏便に解決したいので、なるべく調停にはせずに任意の交渉を頑張ってもらいたい」とか、「多少譲歩してもいいので早期に解決してほしい」といったような、問題解決の方針をしっかりと伝えておきましょう。

弁護士に依頼しても結果の責任は自分にある 

離婚を考える際、「弁護士を依頼するかどうか」、「どんな弁護士に依頼するか」によって結果が大きく左右されることがあります。そのため、とても大切な検討事項です。しかし、忘れてはいけないのは、決して人任せにはしてはいけないことです。人任せにすると、思ったような結果にならない場合、その人のせいにしてしまいたくなります。しかし、そんなことでは、いつまでも納得いかず、離婚を乗り越え、次のステップを踏み出すことができません。

同じ結果が出たとしても、「自分で出した結果だから」と納得できるのと、「〇〇のせいでこうなった。」と不満を抱えてままでいるのとでは大きな違いです。弁護士に依頼してもしなくても、そしてどんな弁護士に依頼したとしても、問題に主体的に取り組み、結果を自分の責任として受け入れることが大切です。

弁護士に依頼する前に全体的な解決方針について相談したいという方は是非離婚カウンセリングをご活用ください。

離婚カウンセリング

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