離婚一般

離婚調停のメリットとデメリット

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家庭裁判所の離婚調停は、裁判所のHPをはじめ、様々なところに情報が掲載されていますが、一体実態はいかなるものなのでしょうか。離婚調停の申立てを考えている人はもちろん、申し立てられて戸惑っている方にもご参考いただければと思います。

離婚調停まではちょっと・・・、と言う方にはADRがお勧めです。

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離婚調停とは

離婚の種類は4つ

離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つの種類があります。夫婦間の話し合いによって離婚に至るのが協議離婚で、離婚全体の10分の9を占めます。そして、次の手段として考えられるのが、調停離婚です。さらに、調停でも合意できなければ審判や裁判などの手続きに進みます。

ちなみに、「調停前置」という制度があり、必ず調停を経た後でなければ裁判をできないという約束事がありますので、「とにかく早く離婚をしたい!」という場合でも調停から始める必要があります。

調停委員を介した話合い

離婚調停は、基本的に、家庭裁判所に出向き、調停室で話し合います(住まいが遠方等の事情がある場合、電話やテレビ会議システムで参加できる場合もあります)。夫婦だけの話合いとは異なり、男女ペアの調停委員を介した話合いとなる点が特徴です。全ての案件に担当の裁判官が一人割り当てられますが、裁判官は調停室にはいません(裁判官は、同時間帯に行われる複数の調停を担当しており、必要がある場合のみ調停室に現れます。中には、裁判官の顔を見たのは最後の成立時のみ、という場合もあります。)。

欠席するとペナルティがある?

あなたがもし離婚調停を申し立てられた相手方の立場だとすると、出席したくないけれど、欠席すると何かペナルティや不利なことがあるのではないかと気になると思います。法律では、「正当な理由なく応じなければ、5万円以下の過料に処す」(家事事件手続法第258条による同法第51条の準用)となっていますが、実際は、かなりのレアケースのようです。

例えば、あなたが裁判所に電話を一本入れ、「離婚には応じたくないので欠席します」と伝えれば、それで問題はありません。離婚調停は、養育費や面会交流の調停と異なり、不成立になったからといって、審判に移行することもありません。

ただ、もしあなたが調停に出席したくない理由が「離婚したくないから」という理由だとすると、一度は出席してみてもいいかもしれません。申立人がどんなことを考えているのか、どんな離婚条件を提示するのか、そういった情報を収集することもできますし、そういった相手の条件が自分にとって有利な条件なのかどうかを調停委員から聞くこともできます。また、自分の考えを調停委員を通じて明確に伝えることもできますし、それが自分の気持ちの整理につながることもあります。

特に、相手が有責配偶者ではなく、既に別居が開始しているとすると、そんなに遠くない将来に離婚が待っている可能性があります。調停に出席したからといって、離婚に応じなければならないわけではありませんので、まずは一回出席してみて、その後のことを判断してもいいかもしれません。

離婚調停の基本情報

申し立てられるのは誰?

申立ては、離婚をしたい人なら誰でもできます。申立書や必要書類については、裁判所のホームページに掲載されています。離婚をしたい場合は、「夫婦関係調整(離婚)」の申立書を使用します。住民票などを添付する必要はありますが、手続自体はそんなに難しいものではないので、弁護士に依頼しなくても、十分対応可能です。費用も収入印紙や切手を含めて数千円ですので、経済的な余裕がない方でも負担が軽くてすみます。

離婚に際して弁護士を依頼すべきかどうかについては、こちらも参考にしてください。
離婚に弁護士は必要か!?

申立書の書き方

申立書の書き方についても、裁判所のHPの記載例を参考にすれば、それほど難しくはありません。記載例を見ていただければわかりますが、ほとんど自由記載欄はありません。また、多くの裁判所では、申立書のほかに「事情説明書」の提出を求められます。

この事情説明書もほとんど自由記載ではなく、唯一「7夫婦が不和となったいきさつや調停を申し立てた理由などを記入してください。」と書かれている欄のみ、自由記載となっています。この欄内に事情を書ききるのは難しいと思いますので、できれば、別紙記載と記入した上で、A4一枚程度の別紙を作成するのがいいでしょう。記載内容はみなさんそれぞれ異なると思いますが、できれば以下のような内容を含んでいるといいのではないでしょうか。

①夫婦のなれそめ
②夫婦不和に至った原因(いつ頃から、何が原因で)
③申立ての直接的な原因(引き金になった出来事等)
④離婚条件に関する主張
⑤予想される相手の反論 

例文:私と夫は大学時代のサークルが一緒だったことがきっかけで、大学時代からお付き合いを始めました。お互い就職し、付き合いも長くなってきたことから、社会人3年目になるころ結婚しました。結婚当初は楽しくやっていたのですが、結婚2年目で私が第一子を出産したころから関係がおかしくなってきました。
私は、出産を機に仕事を辞めましたが、夫の稼ぎが十分ではなかったことから、生活が苦しくなり、口論が増えました。特に、昨年8月頃から、生活費として渡される金額が10万円から8万円に減額され、子どもの必需品を買うのも大変になりました。どうして渡される生活費が減ったのか疑問に思っていたところ、夫が出張と称して家を空けることが多くなってきました。
私は、夫の浮気を疑い、いけないと思いながらも夫の携帯電話をチェックしました。すると、案の定、女性との甘いメールのやりとりが残されていました。夫を問い詰めたところ、夫は、謝るどころか私が勝手に携帯電話を見たことに怒り出しました。私は、夫が信じられなくなり、その件をきっかけに、昨年12月から現在に至るまで、私と子どもが家を出る形で別居生活を送っています。過大な要求をするつもりはないですが、相場通りの養育費、慰謝料、財産分与を求めたいと考えています。
これまでの協議の経過からすると、夫も離婚自体には応じると思いますが、金銭面でもめると思います。

このような詳細を記載する目的は、裁判官、調停委員、家裁調査官といった調停に関わる人たちに、事前に事情を知ってもらうためです。というのも、通常、第一回目の調停で、調停委員から事情を聞かれます。事情というのは、申立てに至った理由や、主張したい内容のことを指すのですが、とても多岐にわたるため、どうしても時間がかかってしまいます。話す方にも聞く方にも整理して話す力量が求められますが、そう簡単ではありません。事前に書面を出しておくと、調停委員も裁判官も事前に読んだ上で調停にのぞみますので、話がスムーズです。

そして、記載事項についてです。上述の例では、夫婦のなれそめから書いています。もちろん、必ずしも必要な記載事項ではありませんが、大切にしてほしいのは夫婦の「ストーリー」です。読み手である調停委員に夫婦のことをよく理解してもらうことが、より良い調停に繋がります。そのため、ぶつぶつと切れた端切れのような主張を羅列するよりも、頭にすっと入ってくるストーリー性のある記述を簡潔に記載することを心がけましょう。

なお、これらの申立書類は、原則、コピーをして相手方に送付されます。ですので、相手に知られたくない情報は書かないか、非開示希望を出した上で提出するのがいいでしょう。また、あまりに主観的な記述は相手の反感を買うだけですので、できるだけ客観的に記載することも大切です。

また、進行に関する照会回答書という書面の記載も求められます。

こちらの書面は、タイトルの通り、調停の進行に関するお尋ねが記載されています。一番の目的は、調停を実施する上で、相手方の出方や反応を予想し、危険性の有無を判断することです。たとえば、相手にDVがあり、絶対に顔を合わせたくない等の希望があれば、「7」の自由記載欄に記載しておきましょう。

相手方は裁判所から届いた書類に回答する

次に、申し立てられた相手方は、何をすればよいのでしょうか。まず、相手方には、申立書の写しと1回目の調停の日時を記載した期日通知が一緒に送られてきます。それらの書類には、申し立てられた人は「相手方」として記載されています。申立人が提出した申立書や事前説明書の内容を読むと、「勝手なこと言って」「嘘ばっかりじゃないか」と憤慨することもあると思いますが、相手方にも事前に反論する機会が与えられています。申立書の写しや期日通知と一緒に「回答書」という書面が入っていますので、その書面に、相手方であるあなたの主張を書いてください。

回答書の書き方

回答書をどんな風に書けばいいか分からない人におすすめの書き方は、申立人が書いている内容に沿って「認めること」「認めないこと」「知らない、覚えていないこと」と3つに分けて反論し、それに自分の主張を加える方法です。例えば以下のような感じです。

交際や結婚に至る経緯については妻が主張しているとおりだが、夫婦不和に至ったのは妻の浪費が原因であると思っている。妻は、育児ストレスが発散できるからとネットショッピングにはまり、毎月10万円は使っていたと思う。生活費を減額したことは覚えていないが、もし減額していたとすれば、原因は妻の浪費である。妻は、浪費を責められると「甲斐性がないくせに偉そうに言うな。」などと暴言を吐いたり、私の分だけ夕飯を作ってくれないこともあった。
私は、そのうち家に帰るのがつらくなり、職場の後輩の女性と仲良くなった。ただ、一線を越えたことはなく、恋人のようなメールのやりとりをして気持ちを満たしていた程度だ。既に、妻との関係は破たんしているため、離婚はやむを得ないと考えているし、養育費も相応な金額を支払うつもりはある。ただ、慰謝料はこちらが請求したいぐらいだし、子どもにもきちんと会えるよう約束してもらいたい。

調停の日時は希望を聞いてもらえる?

第一回目の調停日時については、申立時に提出する書類に希望を書く欄があります。仕事の都合などで「火曜は絶対休めない。」「午前中の方が休みやすい」といった事情がある人は、記載した方がいいでしょう。相手方は、申立書の写しが送られてきた段階で既に第一回目の調停期日が決まっていますので、都合が悪い場合は変更希望の旨を裁判所に伝えてください。おそらく、日程変更可能な裁判所が多いでしょう。

申立てから初回期日までどのくらいかかるか、といった質問も多いのすが、概ね1カ月程度ではないでしょうか。ただ、諸事情により、2カ月先になることもあるようです。どちらにしても、裁判所の調停は時間がかかりますので、離婚を急いでいる方にはあまりお勧めではないかもしれません。

調停はいつ開かれる?

調停は平日の日中に開かれます。具体的には、午前中の場合は、午前10時から、午後の場合は午後1時半から(もしくは3時半から)2~3時間程度です。ですので、少なくとも、半日は開けておく必要があります。

どのくらいの頻度で開かれるか?

基本は月に一回です。ただ、実際は、調停室が空いていなかったり、全員の予定がなかなか合わなかったりして(双方に弁護士がついている場合は特に)、次の調停が2か月先になることも珍しくありません。年末年始や夏休みなどを挟む場合も、次回期日が2,3か月後になってしまうことがあります。

どこで調停をするの?

まず、指定された日時に指定された場所に行きます。「期日通知書」という書類に書かれているはずです。たいていは、家庭裁判所の担当部署のそれぞれの待合室になります(申立人は申立人待合室、相手方は相手方待合室)。

そして、調停委員に呼ばれて調停室に入室し、まずは、調停に関する説明を受けます。この際、申立人と相手方が同席で説明を受けることになりますが、顔を合わせるのが不安だと言えば別席で説明してくれます。DVなどがある場合は、開始時間や待合室の階を変えるなど、絶対に相手と顔を合わせないようにしてくれますので、心配な人は要望してみましょう。

調停委員会とは

裁判官と男女2人の調停委員で組織されるのが調停委員会です(家裁調査官は調停委員会の一員ではありません。)。ただ、裁判官は、同時にいくつもの調停を担当していますので、毎回調停室の中にいるわけではありません。上述のように、当事者と顔を合わせるのは成立や不成立調書を作る最後だけ、ということも珍しくありません。

ただ、調停の内容は、調停委員から裁判官に報告されていますし、調停の途中に調停委員が裁判官に相談(評議といいます)する時間を設ける場合もあります。

調停委員ってどんな人?

年齢や職歴などさまざまな人が選任されていますが、多くは定年退職者です。その土地の名士のような人もいれば、大企業を定年退職した人など、華麗なる職歴を誇る調停委員もいます。もちろん、華麗なる職歴を持っていたとしても、離婚調停の調停委員として優秀かどうかは別の話で、多くは、調停委員になってから研修等で知識を養っています。法律に関する研修、面接技法に関する研修など、研修の種類も様々なようです。

別々に交互に話を聞かれる

基本的に、それぞれ30分くらいずつ、調停委員から話を聞かれます。初回は、お互いの主張を聞いて、今後の調停の進行方針などを相談することが多いようですが「事情説明書」や「回答書」が充実した内容に仕上がっていると、調停委員の聞き取りがスムーズに進みます。調停委員は、双方から話を聞き、それを相手に伝えるというのが主な仕事ですが、その他にも、ある程度の説得や促しをしたり、裁判官が考える「調停案」を示したりもします。

離婚調停の注意点

協議内容のバランスが大切!

多くの場合、離婚調停だけではなく、「婚姻費用(離婚するまでの生活費)」や「面会交流」といった他の案件も一緒に話合いをすることになると思います。一回の調停の中で複数の事件(家庭裁判所では「〇〇事件」という言い方をします。)が同時に協議されるイメージです。中には、係属しているのは離婚調停だけだけれど、その中で面会交流や養育費のことも話し合っていることもあるでしょう。そこで問題となるのが「時間配分」です。「何から話して何から解決していくか。」というのがとても大切です。多くの場合、調停委員が配分について双方の合意を得ながら公平に進めていきますが、そうでない場合もあります。特に注意が必要なのが「婚姻費用」、「面会交流」、「離婚」の3つの事件が係属している場合です。

夫 42歳 大手企業営業
妻 35歳 専業主婦
長女 2歳

夫は仕事が忙しく、子どもができても「平日は終電で帰宅、休日は昼過ぎまで寝ているか接待ゴルフ」という生活を変えられなかった。妻は育児のストレスを買い物で解消。また、夫に対する愛情も薄れ、家事・育児を手伝ってくれないことへの不満を言動で表すようになっていった。夫は、疲れて帰宅した後、連日のように妻から不平不満をぶちまけられ、帰宅拒否気味に。ある日、夫は、カードの請求額が月額30万円近くに膨れ上がっていることを発見し、妻と大喧嘩。夫は、子どもは可愛かったが、妻との生活にピリオドを打つべく別居。
しかし、専業主婦である妻は、生活への不安もあり、また夫への愛情もまだあったため、離婚協議を拒否。そのため、夫は離婚調停を申し立てた。また、妻は、「勝手に出て行ったんだから。」と子どもに会わせてくれないため、夫は「面会交流」も申立て。一方、妻は、夫から入金される月額10万円では生活できないと「婚姻費用」を申し立てた。

こういうラインナップになった場合、往々にして「婚姻費用」が優先されます。なぜなら、婚姻費用は妻や子どもの現在必要な生活費であり、死活問題だからです。もちろん、その通りなのですが、例示の夫婦のように、婚姻費用を請求している方が離婚を望んでいない場合は要注意です。この場合、次のような状況に陥る危険があります。

婚姻費用→優先的に協議
面会交流→一応双方の主張を聞くが、協議に割かれる時間は少し
離婚→妻が応じないため「不成立」見込でほぼ進展なし

そして、妻は、婚姻費用が成立したとたん、調停に欠席がちになったり、面会交流の調停を引き延ばしたり…ということになります。調停は、面倒で精神的にも疲弊する「できればやりたくないこと」ですので、自分のニーズがなくなれば、非協力的になってしまうことがあるのです。

そのため、このような場合は少なくとも面会交流の話は平行して進め、期日間で試行的面会交流を実施するなど、求める側の主張が必要です。

大事なことは書面にして提出する

離婚調停は交互に調停室に入る形で進んでいきます。調停委員は、申立人から聞いたことを相手方に、相手方から聞いたことを申立人に伝える形で進行していきますが、どうしても「伝え漏れ」が出てきたりします。また、ニュアンスが違ってしまうということも起こります。

また、調停委員は、期日メモを書いて、その日に話し合った内容を裁判官に伝えます。しかし、2,3時間かけて話し合った内容をA4一枚程度の紙にまとめるのは至難の業です。あなたが大切だと思っている内容でも、調停委員が重要視しなかった場合、あなたが話した内容は裁判官には伝わりません。

ですので、主張書面を調停の変遷に従って「主張書面1」「主張書面2」「主張書面3」というふうに書面にして提出することをお勧めします。また、裁判所に提出する書面は、非開示希望を出さない限り、「相手にも同じものを渡すので2部用意してください。」と言われますので、相手にも主張内容がきちんと伝わります。

些末なことはできるだけ期日外で解決する

細かいやりとりは、できるだけ調停外で話し合ってしまいましょう。例えば、別居の際に持っていく家具のリストだとか、子どもの写真を持って出るのを忘れたので送ってほしいというような主張を調停でやり始めると、それだけで時間がかかってしまいます。代理人弁護士がいる場合は、期日間にFAXやメールなどでやりとりをしてもらえばいいですし、代理人弁護士がいなくても、当人同士でメールなどでやりとりをできるのが望ましいでしょう。

ただ、どんな些細なことでも二人でやり取りをするともめてしまうという方は、極力期日間の連絡は避けた方が無難でしょう。せっかく別席調停で進めてきた合意事項が、直接交渉によって決裂してしまうと勿体ないですので。

調停案が示されたら合意

ある程度議論が尽くされたけれども、双方がまだ合意に至らないといった場合に「調停案」というものが示されることがあります。この調停案は裁判官が考える「ここが落としどころなんじゃないか」という案です。言い換えれば、「このまま新しい主張がない場合、審判になったらこんな結果になるよ。」ということでもあります。そのため、無用に争ったり、解決までの時間が長引くことを防ぐため、積極的に調停案を受け入れるのも一案です。

離婚調停のメリット

調停委員が仲介してくれる

夫婦二人での話合いが難しい場合、円滑に離婚協議を進めるためには、誰かに間に入ってもらう必要があります。しかし、親族に間に入ってもらうと、かえって感情的になったり、不公平感が増したりします。また、弁護士に依頼する金銭的余裕のない人もたくさんいます。そんな場合、調停で調停委員に入ってもらって協議を進めるという方法があります。調停であれば、弁護士さえ依頼しなければ数千円で申し立てられますし、調停委員という中立的な第三者を介して話合いができますので、不公平感が問題となることもありません。

例えば、どちらかにDV行為があったり、モラハラがあったりして、夫婦の力関係が極端に偏っている場合、夫婦のみでの離婚協議が難しくなります。どちらか一方が強すぎると、もう一方は自分の意見を口にすることさえできなかったり、相手のペースにのせられてしまったりします。そんな場合は、中立的な立場の第三者を介して話合いができる調停がお勧めです。

また、夫婦の力は拮抗しているけれど、話し合ってもすぐに口論になってしまったり、取っ組み合いのけんかに発展してしまう人たちがいます。加えて、コミュニケーションが破綻していて、話せば話すほど、話がこんがらがり、誤解が誤解を生むような人たちにとっても、だれかを間に入れて話をすることが有効です。

法的な基準が分かる

今やウェブで検索すれば、大抵の情報を収集することができます。ただ、家庭の事情は千差万別ですので、ネット情報だけでは足りないことが多々あります。例えば、財産分与は半分ずつだというルールはネット検索をすればすぐに得られる情報です。ただ、分与対象の財産の中に不動産が入っていて、その不動産の頭金をどちらかの親が出してくれているとか、独身時代から買い足している株式はどうやって分与するのか、といった複雑な個別事情がある場合、夫婦だけで解決するのがとても難しくなります。

また、そういった法的知識だけを利用したいのであれば、弁護士に依頼してもいいのですが、弁護士はあくまで「どちらか一方」の味方です。相手にしてみれば、いくら「相場は〇〇円くらいですよ。」とか、「裁判になれば〇〇ですよ。」と言われても、あなたの依頼した弁護士の言うことを信頼できないのです。この点、裁判所は、どちらの味方でもない公平中立な第三者ですので、双方にとって受け入れやすいのがメリットです。

費用が安い

離婚調停の申立料は1200円と格安です。その他、郵券(切手)の費用が実費でがかかりますが、大した金額にはなりません。その後は、何回話し合っても、費用は無料です。この費用の安さは家裁の離婚調停の一番のメリットかもしれません。

協議が前に進む可能性がある

離婚をしたくない側にとっては、相手からもち掛けられた離婚協議に応じるのが嫌だったりします。そのため、メールや電話で話し合おうと連絡しても、なしのつぶてだったり、そのうち電話やメールを着信拒否されたりしてしまいます。しかし、そんな人にとっても、「裁判所の調停」はちょっと違っていたりします。出席しないと何かペナルティがあるのではないかと心配になったり、「離婚したい」という気持ちの本気度が伝わったりします。

離婚調停のデメリット

長期化する

調停をするデメリットは、何と言っても長期化することです。まずは、下のグラフを見てください( 最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」)。

このグラフは、離婚調停について成立した場合と、取下げの場合にかかった期間を表しています。図によると、取下げで終わった事件は平均3.8カ月、最終的に成立した事件は5.6カ月の調停期間となっています。この数字だけ見ると、半年あれば調停が成立するかのように見えます。

しかし、ここで注意が必要なのは、この中には、子どもがいない夫婦や財産分与や慰謝料の取り決めがない夫婦も含まれています。また、親権以外の離婚条件は、離婚が成立した後も話合いをすることができますので、まずは、離婚調停だけ成立させ、財産分与や養育費については、後から調停を申し立てることもあります。さらに言うと、合意はできているけれど公正証書の費用を節約のため、1度だけ利用するといった人たちもいます。

そのため、もしあなたが、親権や財産分与、慰謝料などの離婚条件を調停の場で解決するつもりであれば、調停成立までにかかる時間はもっと長くなります。1年はかかると思っておいた方がいいかもしれません。

日常生活に差し障る

家庭裁判所の調停は、平日の日中に行われます。専業主婦にとって、子どもが学校や幼稚園に行っている間だから大丈夫だと思われるかもしませんが、意外とそうではありません。未就園児のいる母親にとって、そもそも、子どもをだれかに預けなければいけないというハードルがあります。

近隣に身内がいればいいのですが、そうでない場合は託児所やベビーシッターしかいません。未就園児を不定期に預けるのは、とても大変で、事前の入会が必要だったり、保険に加入が必要だったりと、お金と手間がかかります。

子どもが幼稚園に通っている場合も案外難しかったりします。というのも、午前の調停は午前10時からです。例えば、来庁に1時間かかるとしましょう。9時には家を出る必要があります。そして、午後の調停は、午後一時半からです。通常、2時間はかかります。場合によっては、午後5時くらいまでかかる場合もあります。そうなると、幼稚園のお迎えが難しくなります。

小学校ママの事情も同じです。高学年のお子さんなら、一人でお留守番ができますが、まだ1年生や2年生のお子さんは、一人でお留守番ができなかったり、そもそも家の鍵を預けられないということもあります。

仕事に支障が出る

仕事をしている人にとっても、半日空けるのが難しいことに変わりはありません。しかも、会社の場所によっては、半日ではなく、結局一日休暇を取らなければならないという人もいます。一度ならまだしも、1,2か月に1回程度、定期的に休む必要があります。

特に、仕事を持ちながら子育てをしている人にとっては、調停のための休暇が命取りになったりします。それでなくても、子どもの病気や行事で休むことが多く、有給が足りなかったり、職場で肩身の狭い思いをしているからです。「これから離婚調停をするので、定期的に休ませてもらいます。」とはなかなか言いづらいものです。男性・女性にかかわらず、仕事を持っている人が定期的に平日の日中に予定を入れなければいけないというのは、なかなか大変なことです。

精神的ダメージが大きい

離婚調停は、直接相手と会うわけではなく、調停委員を介しての話し合いです。そのため、自分が話している途中で相手から横やりが入るとか、感情的になってどなり合うといったような状況はありません。しかし、これまでの辛かった経験を思い出しながら調停委員に説明をしたり、調停委員を介してとはいえ、相手の身勝手な考えを聞かされたりするのは、とても精神的にしんどいものです。

また、調停委員から説得されているように感じたり、相手の味方をされているように感じたりすると、話しても話しても「分かってくれていない。」という思いにさいなまれたりします。また、普通のカウンセリングや相談と異なり、「ここで失敗してはないけない。」、「下手なことを言ってはいけない。」、「調停委員を味方につけなければいけない。」などと考え始めると、緊張が高まり、気楽に話せなくなってしまいます。しかも、離婚調停は長期化する傾向にありますので、長期間にわたってストレス過多になると、メンタルに支障をきたす人も少なくありません。

調停委員の大部分は専門家ではない

どんな人が調停委員を務めているかというと、地元の名士だったり、一流企業の退職者だったり、そういった人の奥様だったり、はたまた教育や福祉関連の仕事をしている人だったり、バックグラウンドは様々です。いずれにしても、離婚や法律の専門家であるとは限りません。

また、調停を円滑に進めるためには、一定の「調停技法」が必要です。いくら法的知識が豊富でも、進め方が「イマイチ」ということもあります。例えば、当事者の話をじっくり聞くというよりは、自分の考えを優先して話してしまう人もいます。逆に、当事者の言うことを聞きすぎて、なかなか話が前に進まないということもあります。家庭裁判所では、調停委員の方の「調停力」を高めるため、いろいろな研修を実施していますが、調停委員に対する不満の声が後を絶たないのも事実です。

紛争性が高まる

家庭裁判所における調停は、あくまで「話合い」のステージで、裁判とは大きく異なるのですが、一般の方にとって、その違いはよく分からず、とにかく「裁判所」という名前に敏感に反応してしまうものです。そのため、家裁に調停を申し立てることによって、相手に「宣戦布告」と捉えられたり、紛争性が高まってしまうことがあります。むやみに争うことは、何もいいことはありません。もしかすると、これが家裁における離婚調停の一番のデメリットかもしれません。

家裁調停以外の「ADR」という選択肢

ここまで、家裁の離婚調停について、そのメリットやデメリットも含めお伝えしてきましたが、読んでくださっている方の中には、「なかなか一歩を踏み出せない」という方もおられるのではないでしょうか。実は、裁判所で話し合うという選択肢は、あまり一般的ではありません(統計上も、協議離婚が10分の9、調停離婚が10分の1、裁判離婚に至っては100分の1です)。夫婦のことだから、裁判所で争うまでのことはしたくないという気持ちや、そもそも、平日日中に会社を休めない、子どもを預けられないといった生活上の問題もあるかと思います。

そんな場合にお勧めなのが、ADRによる調停です。ADRは、夫婦二人では話合いができない、でも家裁で争ったりしたくもないという方にお勧めです。

ADRによる調停(仲裁)
離婚の新しい方法 ADR調停活用術
ADRによる調停(仲裁)よくある質問

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