離婚一般

行政による養育費保証の必要性と課題

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ひとり親家庭の貧困が社会問題として捉えられるようなってから、もう何十年も経過していますが、以前は、問題視しつつも、その解決がなされないまま放置されていました。

しかし、ここ1,2年(ここ数カ月?)、その貧困の一つの原因である養育費の不払い問題について、急激とも思われる行政の支援制度が進められています。

今回は、養育費不払い問題の本質と国や自治体による支援の課題について、考えてみたいと思います。

養育費不払いの現状

まずは、養育費不払いの現状について、厚生労働省の「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」 の統計を参考に考えてみたいと思います。(以下に出てくる表は全てこの報告書からの出典です。)

養育費の支払い率

養育費の支払い率が低いと言われて久しいわけですが、実際にはどのくらい低いのでしょうか。

添付の資料は28年の統計ですので、現在はもう少し上がっていると思われますが、3割にも満たない現実があります。

養育費の取決め状況

では、なぜ、こんなに養育費を受け取っている人が少ないのでしょうか。その理由の一つは、そもそも離婚時に養育費について取り決めている人が少ないという事情があるのです。

この表から分かるのは、平成23年から平成28年の5年間の間に、取決めをしているという人の率が37,7%から、42.9%に増えたということです。一方で、取決めをしている人は4割強に過ぎないということ、また、その中でも、強制執行が可能な文書で取決めをしている人が60%弱であることが分かります。

すなわち、養育費の不払いが発生した際に強制執行ができる状態になっているのは、全体の25%に過ぎないということです。

取決めをしない理由

では、なぜきちんとした形で取決めをしている人がこんなにも少ないのか。その理由は何なのでしょうか。次は、取決めをしていない54,2%の人が、なぜ取決めをしていないのか、その理由に関する統計を見てみたいと思います。

相手と関わりたくない

堂々の第1位は、「相手と関わりたくない(31,4%)」です。

夫婦不和によって離婚するわけですから、根底には「相手のことが嫌い」、「相手と関わりたくない」という感情があって当たり前です。

もしかしたら、ひどいDVやモラハラがあったかもしれません。また、妊娠中の浮気など、心底打ちのめされるような過去があったかもしれません。

そんな人と今後も継続してやり取りが発生するくらいなら、お金なんてもらわなくてもいい、そんな気持ちになるのも分かるような気がします。

相手に支払能力なし

そして第2位は「相手に支払う能力がないと思った。」です。

現状では、自営業の人や病気等で就労ができない人から養育費をもらうことは、とても難しいと言わざるを得ません(もちろん、相手に支払う気持ちがあれば別ですが)。

また、就労が継続しなかったり、そもそも収入が低いなどの理由で、養育費が期待できない人もいます。

どうせ支払ってもらえない、支払ってもらったとしても微々たるもの、そんな人にとっては、わざわざ話し合って養育費を取り決めるニーズがないのかもしれません。

支払う意思なし

第3位は「相手に支払う意思がないと思った」です。

なぜ、相手に支払う意思がないと思っているのか、その理由も様々想像されます。

例えば、「お前には一銭も払わない。出ていくなら覚悟して出ていけ」と脅されているのかもしれません。また、明言はされていなくても、婚姻中から抑えつけられて生活してきた経過により「どうせ言っても無駄」、「どうせ払ってもらえないに決まっている。」と決めつけてしまっている人もいるかもしれません。

しかし、実際は、そうではありません。裁判所に養育費の申立てをすれば、いくら相手が払わないと言っていても、支払い能力のある人にはそれ相応の養育費を支払いなさいという判決がでるのです。

取り決められない人たち

次に、少し見方を変えて、以下の表で緑の線を引いた人たちに注目したいと思います。この緑の人たちは、ある程度取決めの意志があったと思われるけれど、何らかの事情で取り決められなかったと想定される人たちです。

取決めの交渉がわずらわしい

取決めの手順が煩わしいという理由で取決めをしなかった人が一定数いることが分かります。

おそらく、自分で交渉するのも難しい、だからと言って、裁判所で争うのも煩わしい。そんな心理が想像されます。

相手に支払う意思がないと思った

この項目に当てはまる人達は、なぜ、相手の意志に反して養育費を支払ってもらうための行動をしなかったのか。

表からも分かるように、そもそも養育費がもらえないと思っていた人は、わずかに0.1%です。言い換えると、ほとんどの人は、自分が請求できる立場にあることを知りながら、相手にその気がないからと、諦めているのです。

想像するに、裁判所に申立てさえすれば、いくらかは支払ってもらえることを理解しつつ、家庭裁判所で争うことに抵抗感を感じたり、その手続きを億劫に感じたりしたのではないでしょうか。

交渉失敗

頑張って交渉はしてみたものの、残念ながら合意形成ができなかった人たちもいます。

養育費は、支払う方は少しでも少額にしてほしい、受け取る方は、多ければそれにこしたことはない、という関係性にあります。

そのため、そもそも普段の会話させ成立しないような夫婦が、そんな利害関係にある話題で合意するのは難しかったりするのです。

身体的・精神的暴力

相手から身体的・精神的暴力を受けたことが理由で、養育費の取り決めたができない人たちがいます。

この理由の中には、怖くて交渉できない、相手とはもう関わりたくない、そんな気持ちも含まれていそうです。

国による養育費対策支援

国による養育費支援の歴史

実は、これまでにも、国は色々な方法で養育費の確保に努めてきました。まずは、その流れをおさらいしたいと思います。

民事執行法改正

平成16年及び平成17年の民事執行法の改正により、養育費の強制執行がしやすくなりました。

改正前は、既に支払い期限が過ぎた債権についてしか、強制執行の手続きができませんでした。

そのため、毎月支払いが滞る度に、強制執行の手数料数千円を支払って、数万円の養育費を差し押さえなければならないことになります。

しかし、そのような手続きはめんどうなので、ほとんどの人は数カ月分をまとめて請求するのですが、そうすると、その数カ月間は養育費なしの生活を強いられ、生活が困窮してしまうのです。

そこで、平成16年に民事執行法が改正され、一度の申請により、将来、再度養育費が支払われなかった場合についても強制執行ができるようになりました。

また、平成17年の改正では、直接お金を取り立てるだけではなく、間接強制もできるようになりました。これは、養育費の上乗せ分を請求して、心理的に支払いを促すことを目的とした方法です。

裁判費用の貸出 

平成15年4月、母子寡婦福祉金の一環として、養育費のための裁判費用を借りられるようになりました。

養育費の算定に関する算定表の周知

平成15年に算定表が公表され、裁判所実務で利用されるようになりました。算定表ができるまでは、収入や支出に関する経済資料を収集し、一件、一件事案に応じて計算するという方法がとられていましたが、この方法では簡単に目安を知ることができませんでした。

そして、作成された算定表を社会に周知してもらうべく、算定表や養育費に関する情報を記載したパンフレットを自治体に配布したのが平成16年・17年以降の動きです。

養育費支援相談センター設立

平成19年、養育費支援相談センターが設立され、養育費専門相談員を母子家庭等就業自立支援センターをはじめとする関連施設に相談員を派遣するようになりました。

こちらの養育費支援相談センターは、厚生労働省の委託事業で、FPICという家裁調査官のOB団体が受託しています。

民法改正

平成24年、民法改正が改正され、協議離婚で定めるべき「子の監護について必要な事項」の具体例として、親子の面会交流と子の監護に要する費用の分担等について条文上に明示されました。

また、離婚届の様式も変更となり、離婚届に取り決めの有無のチェック欄が設けられました。

民事執行法の改正

令和2年4月より、改正民事執行法が施行されます。

これにより、これまで形骸化しがちだった強制執行が、実効性のある制度に変わることが期待されています。すなわち、これまでは、内緒で転職をされたり、預金口座を移されてしまうと、差押え先が分からなくなってしまっていたのですが、今後は、地方裁判所に申し立てることによって、職場や口座を検索できるようになったのです。

この改正は、養育費の支払い率upにとても効果があるのではと期待されています。

こちらもご参考ください
養育費の強制執行が現実的にー改正民事執行法ー

自治体による養育費保証

以上のように、国もただ手をこまねいていたわけではなく、色々な対策を取ってきました。しかし、養育費の支払い率upに直結するというよりは、養育費に関する認知度upにつながるような対策だったように思います(4月からの改正民事執行法は支払率upに直接的に寄与すると思われますが。)。

一方で、ひとり親家庭の貧困の問題は、度々ニュースで取り上げられ、社会問題として認知されていきました。

そんなことを背景に、各地の自治体で直接的に養育費の支払いにつながるような支援が始まったのです。

明石市の取組み

明石市は、2019年1月より、試験的に養育費を保証するサービスを開始しました。サービスの内容としては、民間の養育費保証会社の利用が軸となっていますが、明石市独自の保証も組み込まれています。

民間の養育費保証会社のサービスとは、養育費の不払いが発生した際、1年間にわたって、養育費の立替をしてくれるサービスです。保証料として、1年目は養育費1か月分、2年目はその半額といった具合に、費用がかかります。

その保証料のうち、1年目の金額をある一定程度補助するというのが明石市の取組です。明石市は、養育費のみではなく、面会交流等、離婚後の子どもの福祉に関するサービスがとても手厚いのが特徴です。

大阪府及び大阪市でも類似サービス開始

その後、大阪府や大阪市でも、同様の(多少補助の仕組は異なりますが)保証が始まり、ほかにも数か所の自治体が導入を検討している状況です。

また、東京都でも各区を窓口とした養育費保証サービスが始まろうとしています。

国による養育費の立て替え

令和2年1月24日、国による養育費の立て替えに向けて、法整備のための勉強会を設置するとのニュースが流れました。これは、これまでの自治体の流れを受けてのものと思われますが、国が独自で立て替えをする内容になっています。また、法整備となれば一大事です。

まずは、諸外国の立て替え制度を検討しつつ、養育費保証の課題について考えてみたいと思います。

諸外国の養育費保証制度

アメリカでは、母子家庭に対する公的扶助の金額がかさみ、財政上の問題をきたしたことから、本来支払うべき義務者から徴収する仕組みを強化しようという動きが始まりました。

そして、1975年、養育費庁や養育費事務所が各州に設置され、給与からの天引きや税還付金との相殺が始まりました。

国や州が部署を設置し、直接的に天引きや相殺を行うというかなり強力な制度ですが、その分、新しい部署を設置するということで、費用や人的資源が潤沢でないと難しい仕組みです。

また、スウェーデンでは、国が変わって立て替える制度を導入しています。養育費独自の部署を設置するというよりは、不払いが発生した場合、社会保険事務所に申請すればよい制度になっています。

そして、他の諸税を支払わない人に対する徴収のやり方と同じ方法で、国が義務者に対して養育費を取り立てます。

法務大臣養育費勉強会取りまとめ

令和2年5月末、同年1月より7回にわたって行われた勉強会の取りまとめが法務省より発表されました。内容は、養育費を確保するためのアプローチを段階に分けて検討しているものです。

離婚時における養育費の取決めの確保

養育費支払の大前提として、まずは離婚時に取決めておく必要があります。しかしながら、上述のように、そもそも取決めができていないケースが多いため、そこへの手当が必要です。その手当の内容として、以下の内容が盛り込まれました。

・法律相談や公正証書作成支援の充実
・簡単に利用できる養育費算定表の作成や養育費のルール明確化

・離婚届に養育費の金額や支払方法を記載する欄を設ける
・養育費の取決めがなければ離婚できないような法改正

養育費が不払いとなった場合の支援・相談

養育費の相談窓口として、養育費支援センターの活用や行政の相談窓口へのアクセスの改善(託児、土日相談など)が提案されています。また、弁護士の活用として、専門弁護士認定制度などに言及されています。

裁判手続・ADR

改正民事執行法によって、養育費が不払いになった場合の履行確保が改善されたとは言っても、まだまだハードルが高いのが現状です。例えば、不払いに陥ったとして、そこから裁判所に調停を申し立て、債務名義を獲得した上で強制執行の手続きを取ったとして、お金を手にするのはいつのことでしょうか。

また、家裁の履行勧告や履行命令についての問題点も指摘され、併せて民間ADRの活用についても言及されています。

サービサーの活用

債権回収のための民間のサービスの活用について言及されています。まさに総合保証株式会社イントラストの養育費保証や前澤社長の「株式会社 小さな一歩」がそういったサービスです。この報告では、こういったサービスを行政が委託する形での活用や法改正の必要についても検討されています。

公的な取立て支援

行政による履行の見守りや、不払いが発生した場合に公的機関が回収する制度について言及しています。例えば、源泉徴収に似たようなイメージで、養育費の不払いが発生したら、当事者による強制執行ではなく国が給与天引きするような形です。

悪質な不払いに対する制裁

不払いが悪質な場合、罰則を設けたり、海外さながらに運転免許証やパスポートを無効にするような制度です。「不払いは許さない!」という強いメッセージになると記載されています。

公的立替払

そして最後に法律制定の上での国よる立替払いです。諸外国には、国が立替払いする制度を採用している国もあり、また、その方法も様々なので、そういった諸外国の制度も検討したようです。

その他(面会交流との兼ね合いなど)

そのほかには、養育費とは基本的に関連性はないとした上で、面会交流の実施が養育費の円滑な支払につながるのではといったことや、養育費を取り扱う専門的な施設や機関の設置についても言及されていました。

勉強会の検討結果に対する私見

一番大切なのは「取決めの確保・支援」

段階的な支援として提案されたうち、「取決めの確保」が一番最重要課題です。なぜなら、先の厚労省の統計からみても、その層の割合が一番大きいからです。また、既に取り決めたけれど意図的に支払わない人に対する働きかけより、養育費確保の労力も小さいと思われます。

取決めの確保に必要なこと

勉強会では、取決めの確保の方法として、取決めていなければ離婚できないような法改正や算定表の簡易化が提案されています。確かに、そのような法改正があれば効果てきめんですが、果たして、なんでもかんでも強制的な方向に進むのがいいのでしょうか。また、算定表は既に簡易で、取決めのルールもある程度浸透していると言えます。

そこで私が取決め促進のために提案したいのは「取り決める意義」を両親に気付いてもらうための講座の実施です。例えば、アメリカでは、子どものいる親が離婚する場合、親教育講座のようなものを受講しなければ離婚が認められません。そして、その講座の中では、離婚と子どもの福祉に関する事項として、もちろん養育費や面会交流の意義についても取り上げられます。

厚労省の統計で「相手と一切かかわりたくない」と思っている人たちに、「子どものために、ある程度はかかわらざるをえない」と感じてもらうことが必要なのです。

ただ、離婚前後の大変なときに、そんな講座なんて受けていられない、そんな気持ちもよく分かります。そのため、離婚届を取りに来た人に対し、自治体がそのような講座を案内したり、受講の特典として地域の商品券を渡すなど、様々な工夫が求められるのだと思います。

ADRの活用場所

勉強会の取りまとめでは、ADRの活用場所として、不払いになった場合の話合いの場所として位置付けられていました。しかし、ADRは、どちらかというと葛藤が低い場合にその効果を発揮します。そのため、不払いが発生するもっと前、すなわち、取決めの際に活用してもらうのが理想だと考えています。

夫婦では適切な養育費が決められない、でも裁判所にまではいきたくない、そういった人の養育費取決めの場としてADRを活用してもらえればと思います。

公的組織・施設の創設の是非

勉強会では、養育費を総合的に取り扱える公的な組織や施設の要否が検討されています。確かに、諸外国に目を向けてみると同様の例がたくさんあります。

ただ、養育費の継続的な支払の根本には支払う側の「納得」がとても大切だと感じています。家裁と似たような制度や雰囲気の中で取り決められた養育費を無理やり取り決めても、遅かれ早かれ不払いが発生します。

例えば、民間のADRを活用するにしても、公的なものにしてしまうと良さが半減です。民間のADRでは、様々な点で民間ならではの柔らかさを出し、支払う側の納得を引き出しています。そんな良さがなくなってしまうような巨大な組織はあまり意味がないようにも思います。

養育費保証の課題

3-2-1 誰のための支援か

養育費を支援する仕組みは、いったい誰のためのものなのか。

子どものための養育費支援なのか、ひとり親のための養育費支援なのか。

この支援の対象の違いによって、支援の内容も変わってきます。

ひとり親のための支援だとすると、先にお伝えした「関わりたくないから」という理由で養育費を取り決めていない親は支援の対象外となります。

一方、子どものための支援だとすると、親のニーズに関係なく、養育費を受け取れていない子どもを支援するわけですから、関わりたくないと親が思っている子どもも含め、養育費を受け取れていない子ども全体が支援の対象になります。

3-2-2 取り決められない層への支援

どのような支援の内容にするにしても、養育費の取決めさえしていない母子(父子)に対して支援をすることは困難です。

しかし、前述したように、強制執行が可能な文書で取決めをしている人は全体の25%にすぎず、「交渉がまとまらなかった」、「交渉が煩わしい」といった理由で取り決めていない人たちに対する支援が求められます。

前述したように、そもそも夫婦仲が悪くなって離婚するわけですから、利害が対立する養育費という話題について、冷静に話合い、合意に至るというのは難しいと言わざるを得ません。

一方で、裁判所の敷居の高さに申立てを躊躇する人がいるのも事実です。

そんな人たちへの支援として、裁判所の一歩手前の気軽な制度であるADR(裁判外紛争解決手続)の普及・認知度upが求められると考えています。

ADRは、専門的な知識を有する第三者が仲裁をする制度です。そして、法務省の認証を受けた認証ADR機関であれば、なお安心して利用することができます。

ADRに関してはこちらをご参考ください。
新しい離婚の方法!? ADRという解決方法
ADR調停ーよくある質問ー

養育費は、算定表という基準がありますので、合意点を探るのが比較的容易です。夫婦のみでは決められないことでも、専門家の介入によって、効果的な取決めが期待できます。

また、概ね合意できているけれど、公正証書を作成するところまでは夫婦2人でできそうにない、また、「会社を休めないから無理」などと言われ、相手が協力的でない人たちにとっては、行政書士に依頼して公正証書を作成してもらうという方法もあります。

このような方法の周知、もしくは費用の補助も養育費保証の内容に含めるべきではないでしょうか。

3-2-3 取決めを必要としない層への支援

相手とかかわりたくないから養育費もいらない、そんな風に考えている人が3割(取り決めてない人のうち)もいる事実は、けして軽視できることではありません。

養育費をもらうことは、育てる親の権利でもありますが、同時に子どもの権利でもあります。その子どもの権利を大人の事情で勝手に放棄してはいけないのです。

しかし、日本は、諸外国と異なり、離婚届さえ出せば協議離婚が認められる珍しい国です。そのため、離婚時には何を取り決めておくべきか、離婚前後の子どもの福祉とは、といった情報が得られにくいのが特徴です。

諸外国では、離婚学級とも呼ばれるような講座が準備されており、その講座を受けなければ、離婚が認められない制度になっています。

そして、その離婚学級では、養育費や面会交流など、離婚後の子どもの福祉に必要な情報が提供されます。

現在、東京家裁をはじめ、一部の家庭裁判所でもこのような講座が実施されていますが、裁判所を利用して離婚する夫婦は全体の10分1に過ぎません。

協議離婚する人たちがこのような情報に触れるためには(半ば強制的にでも)、自治体での講習実施や講習受講の義務付けの制度が必要なのではないでしょうか。

3-2-4 面会交流の重要性

養育費と面会交流は、けしてバーターの関係にはありません。養育費をもらっていないからといって、子どもを会わせなくてもよいわけではありません。

また、養育費を支払っているからといって、会える権利を獲得するわけでもありません。

しかし、実際の問題として、子どもに定期的に会えている親の養育費の支払い率が高いのも統計上の事実です。

そして何より、子どもにとっては、「お金ももらえる、親にも会える」といったいいこと尽くしなのです。

養育費の支援を進める際には、併せて面会交流支援の導入も欠かせないのではないでしょうか。

4 まとめ

ここ数年、養育費の支払い率の低さが注目され、明石市の養育費保証の導入をきっかけに、全国の自治体に同様の制度が広がりつつあります。

この制度自体は、既に公正証書や調書を持っている人に対する保証ですので、効果は限定的です。

しかし、限定的であったとしても、国や自治体が家庭の問題である養育費に関与していく姿勢を見せていることは、とても素晴らしいことです。

そのような支援を続けつつ、離婚学級の義務付けなど、次のステップを検討していく方法もありなのだと思っています。

また、最後になりましたが、養育費支払率のアップに向けて、精力的に活動されてきた方々に敬意を表したいと思います。

私利私欲ではなく、社会が良くなるために、子どもたちが生きやすくなるために、そんな目標のために活動されている先生方の存在なしに、今回の国の法整備にまでたどり着くことはなかったでしょう。

子どもを大切にしない国の発展はありません。

今後、国の法整備が待たれますが、是非、親目線の法律ではなく、子どもに視点をおいた法律になることを期待したいと思います。

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