別れた夫や妻に子どもを会わせることについて、以下のような複雑な気持ちを持っている人も多いのではないでしょうか。
- 家庭を壊した相手に子どもを会わせる気になれない
- 子育ての大変な部分だけ押し付けて、楽しいところだけもっていかれるようで納得できない
- 養育費を払っていないのに会わせたくない
- 子どもたちが喜んで出掛けるのを見ると、子どもを取られるのではと心配になる
そんな葛藤を抱えながら面会交流に応じなければならないのはしんどいものです。しかし、面会交流が子どものためだけではなく、自分のメリットにもなるとしたらどうでしょうか。
このコラムでは、面会交流をさせることの同居親側のメリットとして、時間的メリット、育児負担におけるメリット、経済的メリットについてお伝えし、また、なるべくストレスなくやり取りをする工夫もご紹介します。
どうせ会わせるのであれば、子どもだけではなく、「自分にもメリットになる面会交流」を目指してみましょう。
同居親にとっての面会交流のメリット
自由時間ができる
面会交流の話合いの際、同居親は少しでも会う回数や時間を少なくしようしますが、もしたら損をしているかもしれません。
もちろん、お子さんの負担になるほど頻繁で長時間な面会交流はよくありません。しかし、面会交流中、同居親は育児から解放されるのです。できれば長く、自由時間があった方ができることの幅が広がります。
以下では、実際に面会交流をしている同居親の先輩方の自由時間の使い方をご紹介します。
美容院や歯医者等、子連れでは行けない用事を済ませる
美容院や歯医者など、どうしても一定の間隔でいかなければいけない場所があります。婚姻中であれば、配偶者に預けることができます。しかし、ひとり親家庭は、美容院や歯医者に行くことすら難しかったりします。
インターネットで「美容院、キッズルーム完備」とか、「歯医者、子連れOK」といった検索をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
面会交流中であれば、ゆっくりとそういった用事を済ませることができます。面会交流は、あらかじめ日時が決められますので、美容院や歯医者の予約も取りやすい側面があります。
仕事をする
子どものお迎えのために、残業ができない方や定時になればダッシュで帰宅するという方も多いのではないでしょうか。平日の夕飯を共にするという面会交流であれば、時間を気にせず残業ができますし、週末の面会交流であれば、休日出勤で平日の遅れを取り戻すこともできます。
自分の習い事をする
小さいお子さんを育てている方にとって、定期的に習い事に通うのはハードルが高かったりします。そのため、時間がないわけではないけれど、子どもがいるために好きなことができないという人がいるのではないでしょうか。
この点、面会交流に応じていれば、習い事をするのも夢ではありません。ジムに通いたかった、子ども同伴OKのゆるいヨガではなく、ハードなホットヨガがやりたかった、テニスを習ってみたかったという人も、その希望が実現するのです。
少し長めの面会交流にしておけば、習い事の後、みんなとお茶をしたり、ランチを楽しんだり、ということも可能になります。
旅行や飲み会を楽しむ
結婚して子どもができてからというもの、一人で夜を過ごしたことがないという人もいるのではないでしょうか。いつも側で子どもの寝息が聞こえていたり、時には寝相の悪い手足がおなかにのってきたり・・。
もちろん、それはそれでとてもかけがえのない時間なのですが、一晩でも自由な夜があるとしたらどうでしょうか。
布団をひとり占めして、手足を思う存分伸ばして寝ることができます。家飲みを楽しみながら、録りためたドラマも見放題です。もっと自由を謳歌するのであれば、友達と一泊旅行に行くこともできるかもしれません。もちろん飲み会もOKです。普段はいけない泊まりの出張も受けられます。
宿泊付きの面会交流であれば、こういった特別感を味わうこともできます。
育児負担が減る
婚姻中、育児を手伝ってくれない配偶者に腹を立てることはありませんでしたか?離婚した後も、相手に育児を負担してもらってもいいのです。
それでなくても、ひとり親家庭は何かと負担が大きいものです。是非、面会交流で、育児の負担を減らしてもらいましょう。
習い事の送迎をしてもらう
最近の子どもは習い事が多く、きょうだいが複数いたり、それぞれが違う曜日に違う習い事をしている場合など、習い事の送迎だけで毎日大忙しだったりします。
そのため、習い事の送迎を含んだ面会交流を提案してみてはどうでしょうか。
もちろん、習い事の送迎だけだと、まさに育児サポートになってしまいますが、習い事の後、ちょっとお茶をしたり、ひと遊びする時間をプラスすれば、子どもも別居親も満足する面会交流になるのではないでしょうか。
習い事の送迎は、日時や曜日が決まっていますので、相手と日程調整をする手間が省けるのも嬉しいところです。
平日の夕食を食べさせてもらう
例えば、あなたが仕事をしていて、子どもが保育園や学童に通っているとします。平日は、やりかけの仕事を放りだし、慌ててお迎えに行き、帰宅後は息もつかずに夕飯の準備をして食べさせ、お風呂に入れて寝かしつける、といった怒涛のような毎日を送っているのではないでしょうか。
専業主婦の方も同じです。365日、24時間、お休みはありません。
そんな毎日の中で、週に1日、もしくは2週間に1日、ベビーシッターさんが子どもを保育園にお迎えに行き、自分の家でごはんを食べさせ、お風呂まで入れて、最後は家まで送ってきてくれたらどうでしょうか。しかも、そのベビーシッターさんが無料だとしたら・・・。
もちろん、別居親はベビーシッターではありません。しかし、少なくとも、ベビーシッターより子どもを愛していますし、子どもとの交流を大切にしてくれます。
その間、あなたは、残業をしてもいいですし、同僚と食事をしてもいいのです。疲れているのであれば、スーパーでお惣菜でも買って、家でテレビを見ながらのんびり食べるのもいいでしょう。
そんな夢のような時間が週1で持てたら、きっと心にゆとりができ、子育てが楽になるのではないでしょうか。
行事に参加してもらう
保育園でも幼稚園でも小学校でも、何かと行事が多いものです。子どもの成長が垣間見られる楽しい時間ですが、仕事を持っているひとり親にとっては、結構負担感があったりします。
ひとり親は、家計を支える必要があるため、仕事をしている人がほとんどです。そして、仕事を始めたばかりで、有給が取りにくかったり、時給で働いているため、休みが収入減に直結してしまったりします。
そのため、きょうだいが複数いて、行事が重なる時期などは、別居親と分担ができれば、楽ではないでしょうか。
子どもの問題行動が減る
別居親と面会交流ができていない子どもは、自分のルーツの半分が分かりませんので、成長の過程でアイデンティティクライシスに陥ったり、自己肯定感が低くなってしまったりします。その結果、不登校や引きこもりになる子どもも入れば、親に対して過度に反抗的な態度をとる子どももいます。
また、思春期には、ひとりの親とだけ密着して生活していると、不満のガス抜きをする相手がいません。そのため、正面衝突の結果、親子関係がこじれてしまい、子育てが大変になることもあります。
一方、しっかりと面会交流ができていれば、こういった事態を避けることができ、子育てが大幅に楽になると思われます。
経済的な負担が減る
子どもを遊ばせるというのは何かとお金がかかるものです。この点、面会交流は経済的なメリットももたらします。
外食費が減る
子どもは、外食が好きです。頻繁には行けないからこそ、特別感があります。
しかし、外食にはお金がかかります。ファミレスだって、結構かかります。子どもが大きくなれば、食べる量もバカになりません。
しかも、時には「ステーキが食べたい。」「〇〇ちゃんちはよくお寿司屋さんに行くんだって」なんて子どもが言ってくるかもしれません。
もちろん、「よそはよそ、うちはうち」と子どもに贅沢をさせず、現実的に育てるのもいいと思います。でも、たまには、「お寿司おいしかった~。」と嬉しそうに帰ってくる子どもの顔を見るのもいいものではないでしょうか。しかも、自分の懐を痛めず・・・。
遊園地・テーマパーク等の遊興費が減る
最近のテーマパークはお金がかかります。入園料が2000円も3000円もかかったり、園内での飲食もお金がかかります。当たり前ですが、子どもだけで遊ばせるわけにいきませんので、付添いの自分の費用も必要になってきます。
面会交流でそんな場所に連れて行ってくれるとしたらどうでしょうか。いつもは近所の公園で遊んでいても、たまには、楽しみで前日眠れないくらいの場所に連れていってもらえるとありがたいものです。
おもちゃや学用品の出費が減る
子育てをしていると、おもちゃ代もばかになりません。最近のおもちゃは、ゲームのソフトをはじめ、高価なものが多かったりします。また、材料を次々に買い足す必要があるメイキングトイの種類も増えています。子どもは、年齢や興味に応じたおもちゃを欲しがり、一度買えばそれで何年も遊んでくれるということはなくなりました。
また、習い事や部活動の道具などもお金がかかります。テニスのラケット、サッカーのスパイクシューズ、野球のバットやグローブ、どれも高額です。
そういったお金がかかる諸々を別居親が面会交流の際や誕生日プレゼントなどで購入してくれると、とても家計が助かります。
もちろん、面会交流は何かを買ってもらうためにするものではありませんが、会わせているからこそ、子どもの喜ぶ顔が見たい、子どもが使うものを買ってやりたい、そんな気持ちになったりします。
面会交流のストレスを減らす工夫
日程調整におけるストレス軽減の工夫
「面会交流の何が嫌って、日程調整が嫌」、「いつも急に会わせろと言われるのがストレス」など、日程調整における不満の声が多く聞かれます。そのため、以下では、日程調整をスムーズにする工夫をご紹介します。
原則の実施曜日を決めておく
子どもの予定も様々ですし、親の都合も色々とあります。そのため、臨機応変に面会交流を行うためには、細かい日時までは決めず、「月一回程度、日時はその都度協議」といったような決め方が便利です。
しかし、毎回日時を協議することがとてもストレスフルな場合、「毎月第〇土曜日の〇時から〇時」までと決めておきます。そうすれば、都合の悪いときのみの連絡で足ります。
カレンダーアプリを共有する
日程調整のやり取りがストレスフルな理由のひとつに、「相手が面会交流以外のことを長々と書いてくる」というのがあります。
例えば、離婚前の紛争を蒸し返すような内容や、今の生活を詮索するようなメールです。
こういった場合、Googleカレンダーのようなカレンダーアプリやスケジュール管理ツールを使うことでストレスを軽減することができます。
連絡調整型の面会交流支援を利用する
いくらやり取りをシンプルにしたとしても、一切相手と連絡を取りたくないという人は、連絡調整型の面会交流支援を利用するという方法があります。
これであれば、面会交流支援団体が間に入って日程調整をしてくれますので、当事者同士で直接連絡しなくてすみます。
受渡時のストレスを軽減する
子どもが小さい場合、どうしても父母間で子どもの受渡が必要になります。しかし、DVやモラハラが原因で離婚している場合、相手の顔を見るだけで体調が悪くなる、ということもあります。
また、そこまででなかったとしても、離婚した相手と顔を合わせたくないという気持ちがあっても当然です。そのため、受渡時のストレスを軽減するための工夫を以下でご紹介します。
受渡しを親族に依頼する
面会交流の頻度にもよりますが、あまり回数が頻回でなければ、近場に住む親族に受渡しを依頼するという方法があります。また、そういった親族が近くに住んでいなければ、先ほどご紹介した面会交流支援団体の受渡型のサービスを利用することもできます。
安全な場所を受渡場所に指定する
例えば、駅員さんが常駐している駅の改札口など、安全な場所で待ち合わせをすれば、短い時間であれば、子どもだけで待たせることができます。
自宅に迎えに来てもらう
どこかで待ち合わせをするのではなく、自宅に迎えに来てもらうという方法もあります。この方法であれば、インターホンを鳴らしてもらって、子どもだけが外に出ていくようにすれば顔を合わせる必要はありません。
面会交流のルール決めにおけるストレスを軽減する
離婚の際、離婚条件のひとつとして面会交流の取決めをする人も多いと思います。また、離婚後、面会交流を実施しているうちに様々な問題が起きて、再協議の必要性が出てくることもあります。
そんなとき、(元)夫婦だけで話し合ってしまうと、単なる言い争いやお互いに傷付く言葉の応酬になってしまいます。そのため、以下では、協議のストレスを軽減する方法として、間に仲介者をいれる方法をお伝えします。
家裁に面会交流調停を申し立てる
家庭裁判所に面会交流調停を申し立てれば、調停委員という人たちが間に入って、面会交流のあれこれを調整してくれます。直接のやり取りがないので、とても精神的に楽になると思います。
また、家裁の調停は、初期費用の数千円だけで、後は何回話し合っても無料です。費用の面でもメリットが大きいと言えるでしょう。
弁護士に依頼する
弁護士は、家裁とは異なり、中立な立場で間に入るのではなく、自分だけの味方として交渉のすべてを代理してくれます。
そのため、かなり精神的なダメ―ジが大きく、自分で交渉するのが難しければ、弁護士に依頼するのがお勧めです。ただ、弁護士費用は少なくても数十万円はかかりますので、その点はデメリットです。
ADR(民間調停)を申し込む
ADRは、いわゆるADR法に基づき法務省が管轄する制度ですが、調停機関自体は民間です。そのため、民間ならではの利便性(土日の調停も可、オンライン調停も可など)がメリットです。
一方で、家裁の調停がほとんど無料なのに対し、民間のADR機関は利用料がかかります。弁護士費用に比べると格安ですが、一回の話合いに1万円前後かかるところが多いように思います。
面会交流をさせたくないあなたへ
面会交流は「子どもの福祉」が強調されます。そのため、自分が納得いかなかったり、本当は会わせたくない気持ちを抑えて、渋々子どもを送り出す方も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもを頑張って育てている同居親のメリットだって、もちろん追及してもいいのです。何より、あなたが心から笑顔で「いってらっしゃい。楽しんできてね」と言ってあげられることが、子どもの喜びにつながります。まさに、「親の幸せなくして、子どもの幸せなし。」です。
面会交流に関するお悩みがありましたら、是非、ひとりで悩まず、下記フォームよりお問合せください。
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