離婚カウンセリング

妻が離婚してくれない理由と対処法

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妻が離婚してくれない、そんなお悩みを抱えた相談者の方が多くご来所されます。ADRの場では、けして離婚をお勧めしたり、離婚したくない人を説得することはありませんが、双方の話合いの中で、離婚を拒否する妻側の理由や言い分も見えてきました。不必要な葛藤や紛争を減らすべく、是非妻側の気持ちも知っていただきたいと思います。(注:あくまで、夫婦間にDV等の身の危険がなく、穏やかな解決を望む方向けです)

妻が離婚しない理由

まだ愛情(情)がある

一方が離婚を決意する夫婦関係というのは、けんかが絶えなかったり、不貞があったりと何かしら問題を抱えていることがほとんどです。一方は夫婦円満だと思っているけれど、もう一方は離婚したいほどの気持ちを胸の内に秘めている、ということはあまりありません。

そのため、「こんなに毎日言い争いばかりだから、相手も自分に愛想を尽かせているだろう」と思いがちです。しかし、意外とそうではありません。いつも側にいるものと安心しているからこそ、好き勝手に感情のままに言い争いをしていることもあります。その相手からいきなり「もう側にはいられない、君から離れるよ」と言われるとどうでしょうか。急に相手のことを大切に思ったり、忘れていた情を思い出したりするのです。

また、不貞の場合も同じです。相手が不貞するということは、もう自分への気持ちが薄れているということであり、婚姻中の夫婦にとっては最大の裏切り行為でもあります。そうであれば、裏切られた方は、簡単に離婚に応じるでしょうか。もちろん、不貞を許すことができず、離婚に至るケースもたくさんあります。しかし、同じくらいの数、そうはいかないケースもあるのです。相手の気持ちが自分以外の誰かに向いていると、その気持ちを自分に取り戻したくなったり、これまではないがしろにしていたその「気持ち」を大切に思うようになるのです。

人間というのは、押されると引きたくなる、引かれると押したくなるものかもしれません。

経済的不安がある

多くの妻にとって、「離婚=経済的不安」です。今や共働き夫婦も少なくありませんが、夫の収入なしで現在と同じ生活レベルを維持できる女性はほとんどいません。

また、学齢期の子どもがいる場合、塾代や私立学校や大学の学費等が家計の一番大きな部分を占めています。同じく、住居費も大きな負担です。この二つの支出をまかなう目途がない限り、離婚に合意できないという人も多いでしょう。

一人で生きていくことへの不安がある

明確に「〇〇」が不安と意識しているわけではないけれど、漠然とした不安を感じる人もいます。子育てもそうですし、生活上の細々としたことが頭に浮かび、一人では何もできないと不安になるのです。

また、専業主婦の妻の場合、離婚後は何等かの形で就労することを求められます。しかし、家庭に入って何年も経っている場合、再び社会に出て働き始めるハードルは高く、簡単ではありません。

そんな場合、まずは仕事を探してをして月額数万円を目標にパートから始め、そして2,3年後には正社員になって月収20万円を目標に、などといった計画とそれに伴う行動が必要です。しかし、離婚したくない妻にとって、こんな億劫で気が向かないことを前向きに取り組む気にはなれないのです。それより、「離婚は考えられない」と拒否をしている方が楽なのです。

意地になっている

夫のことは嫌いだし、一人で生活していく経済力もある。でも、どうしても意地になって離婚に応じない妻がいます。その意地はどこからくるのでしょうか。自分より先に夫から離婚を切り出された悔しさ(私だってあなたのこと嫌いよ!と言ってやりたい)、不貞という裏切り行為に対する報復、自分を捨てる選択肢を選んだ夫に対する嫌がらせ、いろんな理由が考えられるかもしれません。

しかし、意地になっていることは、本人させも気付いていないことがほとんどです。そのため、「なぜ離婚したくないのですか」という質問に答えることができません。「夫のことはもう愛していません。どちらかというと嫌いで、別々に生活できると思うとせいせいします。生活力もある程度あります。でも、離婚に応じるのは『負け』なような気がするのです。」といった具合です。

子どものために離婚しない

未成年の子どもがいる夫婦にとって、離婚は苦渋の選択です。できることなら、子どものために離婚せずに何とか夫婦としてやっていきたいと思うものです。そのため、「子どもが成人するまでは」、「子どもが家を出るまでは」、「子どもが〇〇を卒業するまでは」離婚できないと主張する妻も多くいます。

また、子ども自身が「離婚しないでほしい」と言っていることを理由に挙げる妻もいます。子どもは、親がどんなに不仲でも、やはり一緒にいてほしいと願うものです(中には、「もう離婚したら」と言ってくれる子もいますが)。妻にとって、子どもを理由に離婚を拒否することは、自分を主語にして語る必要がなく、幾分気が楽ですし、母親として正当な権利を主張しているような気もします。

世間体を気にしている

会社や近所の手前、離婚されたなんて恥ずかしくて言えない、ということもあります。また、親に心配をかけたくない、親族の間で「かわいそうな人」と思われたくない、といった身内に対する世間体もあります。これだけのことを理由で離婚を拒否する妻はそんなに多くはありませんが、他の拒否理由と一緒に語られることがあります。

今や離婚は珍しくありませんし、恥ずかしいことでもありませんが、まだまだ周囲の目が気になるのが現状です。

やっていはいけない4つのこと

実は相手を頑なにさせてしまい、かえって有効でない方法があります。

用意周到な行為

夫婦の共有財産を全て別の自分の口座に動かしていたり、突然に家を出て、その翌日に弁護士の受任通知が自宅に届くよう準備をしたとします。確かに、このような行為は、リスクを回避したり、早期離婚に向けては有効かもしれません。しかし、妻はどう受け止めるでしょうか。夫が自分に隠れて着々と別居や離婚の準備をしている様子を思い浮かべ、嫌悪感を抱くことは間違いありません。夫のペースにのってなるものか、夫の言いなりになってなるものか、そんな気持ちになるのではないでしょうか。

嫌なところばかりを並べる

どれだけ離婚したいか、どれだけ妻との生活が辛いか、そういったことを分かってもらうことが離婚への近道だと考えていませんか。実は、それが却ってマイナスになることがあります。どんな夫婦だって、最初から仲が悪かったわけではないですし、きっといい思い出や相手に感謝すべきこともあると思います。そういったことを全部なかったことにして、嫌なことだけを連ねたとしたらどうでしょうか。妻は、「ああ、そうなのね。私のことがそんなに嫌いなら離婚してあげるわね」となるでしょうか。そうではありません。それよりも、不満が募ります。「あなたの言っていることは間違っています。私は納得できません。そんな理由では離婚できません。」となるのです。

それよりも、〇〇のことは感謝している、でもどうしてもだめなんだ、ということを伝えた方が妻の納得を得られるかもしれません。

離婚理由の正当性を主張する

例えば、あなたが妻と離婚したい理由として、以下のようなことを挙げるとします。

・給料に対して文句を言われて嫌だった
・妻には浪費癖があった
・日常生活のすべての場面で圧力をかけられた

それに対し、きっと妻はこんな反論をするでしょう。

・私だって家事・育児に対するお礼を言われたことはない
・必要なものを買っているだけで浪費と言われる
・必要な話をしようとすると逃げられた

夫としては、離婚理由を伝えたいわけですが、妻はその離婚理由を否定したいがために反論してきます。でも、その反論の中身の多くは、夫への不満です。つまり、妻も夫を嫌だと言っているのです。妻は離婚をしたくないがために夫の離婚理由を否定する必要があり、「あなたにのことは嫌いだけど、離婚はしたくない」という本末転倒な結論になるわけです。

この議論の行きつく先はどこでしょうか。どこにも行きつきません。つまり、離婚理由を伝えることは大切ですが、その理由の正当性を主張するのは却って論点が本筋から反れてしまいます。

「僕は〇〇の理由で離婚したいと思っている。君はこれに対して△△と反論すると思う。この議論はどこまでいっても一致しないし、一致する必要もないと思う。」という態度がいいでしょう。

協議離婚の場では、正当な離婚理由がないと離婚できないわけではありません。また、ある人にとっては何でもないことが、別のある人にとっては許しがたい離婚理由になるかもしれません。理由はどうであれ、離婚したいという気持ちを持っていることこそが大切です。

話合いを避ける

「妻は口うるさいから面倒くさい」、「話がかみ合わない」、「言っても無駄」という理由で別居や離婚に関する話合いをしない人がいます。もちろん、これまでの経験上、話し合ったとしても冷静かつ合理的な話合いが難しいと予想される場合もあるかと思います。

しかし、話合いにならないことを想定の上で、一度は対面の話合いをしておきましょう。妻としては、こんなに大切なことをメールやLINEでやり取りするのに納得いかないでしょう。大切なのは、ちゃんと話し合ったけれど、やっぱり理解し合えなかったという実感を持ってもらうことです。

ただ、これは大前提として、夫婦が対等な関係で、あなたが心身ともに健康な場合です。妻と対峙するだけで体調が悪くなる、そんな場合は無理をして対面で話し合う必要はありません。

離婚してくれない妻への対処方法

妻が取れる選択肢を明確にする

もしかしたら、妻は何も分からず、盲目に嫌がっているかもしれません。離婚したい側は、事前にネットで色々と調べたり、複数の法律相談に行ったりして、知識も豊富です。しかし、離婚をしたくない側の人はどうでしょうか。何か有効な対抗手段はないかと、同じくネットや法律相談で情報を収集する人もいますが、自分が嫌な方向性での情報収集は気乗りがしなかったり、億劫だったりするものです。

なので、何も分からないままに、ただただ「離婚はしたくない」と繰り返しているのです。例えば、「このまま離婚をしたくない」と言い続けるとどうなるのか、今、夫が提示している離婚条件は一般的にはどうなのか、といったような判断はそこにはありません。

そのため、知識がある方が提示する必要があります。例えば、双方に有責性がない場合、別居期間がある程度の長さになれば裁判離婚が認められる可能性が高いこと、その際の財産分与は半分ずつで、慰謝料等も認められないこと、ただ、現時点で離婚に応じてくれるのであれば、〇〇について譲歩するつもりがある、といったようなことです。

これらの情報を提供することで、妻には選択肢が生まれます。例えば、離婚したくない気持ちを尊重し、よい離婚条件を諦めるのか、もしくは、数年後にはやってくる離婚という結論を少し先に受け入れることで、よい離婚条件を手に入れるのか、といったような選択肢です。

このような情報提供は、口頭では妻の頭にとどまってくれません。必ず文字にして伝えましょう。

別居する

離婚への準備として一番王道なのが別居です。別居は、物理的にも心理的にも相手と距離をおくことができます。そうすることで、あなた自身もとても落ち着きます。また、妻にしても、冷静に考える時間がありますし、別居生活を体験することで、離婚の疑似体験をすることになります。

経済的な支援があれば、意外と生活が安定すること、最初は不安かもしれないけれど、慣れれば夫がいない生活も案外楽なこと、そんなことを体験しながら、妻も離婚への覚悟ができてくるのです。

待つ

あなたは「今すぐにでも離婚したい」という気持ちかもしれませんが、待つという行為がときに必要になります。ただ、やみくもに待ってもあなたが望むような結果にはつながらないかもしれません。まずは、別居をすること、そして妻が取れる選択肢を提示した上で、〇〇年〇月までは待つ、といった感じで期限を切って待つのがいいでしょう。

父母としての関係再構築を提案する

一人になるのは何となく不安、子どものために離婚したくない、まだ情がある、とった理由で離婚を拒否している妻に対しては、「夫婦の関係は終わっても、子どもの父母として、節度ある関係を再構築しましょう」という提案が有効です。離婚をすれば、何もかもゼロになるのではなく、まだ父親として頼ってもいいんだ、という安心感が生まれるのです。また、子どもにとってもプラスになります。

離婚協議の方法

双方の話合い

離婚協議の基本は夫婦二人での話合いです(何度もいいますが、あなたがDV被害者でなく、精神的に追い詰められていないことが前提です。)。

妻が離婚したくない場合、話合いをしたとしても、平行線だったり愚痴を聞くだけになったり、何か前向きな結論が出ることは期待できません。ただ、やはり、離婚したくない側としては「面と向かって話し合う」という過程を抜きに決断することはできません。そのため、話合いをして何かを解決するというより、一つのステップとして、夫婦二人での話合いを持っていただければと思います。

ADR(裁判外紛争解決手続)

一方は離婚したい、もう一方は離婚したくない、という状況の場合、夫婦二人で話し合ったとしても平行線、ということが少なくありません。なぜなら、先ほどご説明した「選択肢の提示」がうまくできないからです。

二人だけで話していると、どうしても感情的になってしまったり、すぐに話をそらされてしまったり、そもそも条件の提示を冷静に聞いてもらえる状況ではない、ということになりがちだからです。

そんな場合は、公平・中立な第三者を間に入れることで、話が進むことがありますが、だれを「第三者」として入れるかが問題となります。お互いの両親や親族、もしくは共通の知人などを第三者として思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、けしてよい選択肢ではありません。親族にしても友人にしても法的知識がありませんし、そもそもどちらの味方でもない、というような存在は身近にはなかなかいないものです。

そんなときにお勧めしたいのがADRの機関です。ADRは、「夫婦では話合いができないけれど、裁判所まではちょっと・・。」という方に適している話合いの方法で、民間の仲裁・仲介機関です。民間ではありますが、法務大臣の認証を取得している機関であれば、安心して利用することができます。

詳しくは、以下をご参考ください。

ADRによる調停・仲裁
ADR調停(仲裁)よくある質問

家裁の調停

どちらか一方が離婚したくないという意思を明確にしている場合、実は、家裁の調停はあまり有効ではありません。と言いますのは、相手方が不出頭だったり、もしくは出頭しても離婚に応じない意思を明確にした場合、調停は不成立で終わってしまいます。婚姻費用や養育費の請求のように、合意ができなければ、自動的に裁判官が決めてくれる審判という手続きに移行するわけではありません。

また、家裁の調停は、ADRによる調停に比べて、離婚したくないと言っている相手との話を丁寧にとりもつことをしません。そのため、あなたが「どうして離婚したいのか、丁寧に気持ちを聞いてもらいたい。」、「今離婚に応じてくれた場合の離婚条件と、裁判離婚となった場合の条件について選択肢を提示したい」と言っても、なかなか難しいかもしれません。

そのため、特に、離婚するにはまだ別居期間が足りないという場合、調停が不成立になった後、裁判をしても離婚判決を勝ち取ることが難しく、調停をする意味がなくなってしまいます。

一方で、離婚裁判には「調停前置」という約束事があり、調停を経た後でなければ離婚裁判を提訴できません。そのため、訴訟で勝てる見込みがあれば、裁判を見据えて調停を申し立てる、という方法もあります。

裁判

どうやっても妻の合意が得られない場合は裁判離婚しか方法はありません。その場合、弁護士に依頼することになりますので、ある程度のまとまったお金が必要です。また、時間もかかります。ただ、裁判のいいところは、最終的な結論が出ることです。

そのため、妻が離婚したくないという意思が固く、別居から何年たっても離婚届に判を押してくれない、という場合は、粛々とステップを踏み、最終ステップである裁判に進むしかないでしょう。

まとめ

離婚を希望する人に対し、こんな質問をすることがあります。

「別々に暮らせれば、少しくらい離婚が先でもいいですか、それとも、戸籍上のつながりがあるというだけで、とても辛いですか」

この質問に前者だと答えた方に対しては、相手方が離婚に応じないのであれば、少し待ってはいかがでしょうか、とアドバイスをすることがあります。なぜなら、一度は一生添い遂げるつもりで結婚した相手に対し、それなりの責任を果たして終止符を打った方がいいに決まっているからです。

誰にだって、幸せになる権利があります。そのため、自分の気持ちを押し殺して、我慢の婚姻生活を続けることはお勧めしません。ただ、一方で、円満な夫婦という実態はなかったとしても、戸籍上の夫婦という形にこだわり、離婚を拒否する人の気持ちも尊重しなければいけない側面もあります。

何はともあれ、まずは、お互いが腹を割って話し合うことが大切です。もし、夫婦だけでは話合えない、ということであれば、是非当センターにお手伝いさせてください。

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