小泉のつぶやき

いかにうまく分担するか。家事・育児を夫婦の危機にしない方法。

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共働き夫婦にとって、家事育児の分担は離婚をも引き起こしかねない重大な問題です。

しかし、その重大さを理解できないが故に、離婚にまで至ってしまうご夫婦もいます。

今回は、どうして家事育児の分担問題が離婚を引き起こすのか、そして、その解決方法について書いてみたいと思います。

家事分担が夫婦不和を引き起こす理由

毎日の積み重ね

当たり前ですが、家事育児は日常的に行わなければなりません。

食事は毎日とらなければいけませんし、洗濯や掃除だって少なくとも一週間に一度はしなくてはなりません。

オムツを替えなくていい日なんてありませんし、お風呂や寝かしつけも毎日のことです。

このように日々繰り返されることであるからこそ、たとえ小さなイライラであっても、それが積み重なって、大きな不満や大爆発のもとになってしまいます。

お互いの認識の食い違い

家裁調査官時代によくあったことですが、ご夫婦から別々に話をきくと、次のような食い違いがありました。

私:ご主人は、どのくらい家事や育児を手伝ってくれましたか?
妻:ぜんぜんダメです。ときどき気が向いたときにやってくれる程度ですよ。

私:家事や育児はどのくらい手伝っていましたか?
夫:できるときはなるべく手伝うようにしていました。妻も仕事をしていて忙しいので、分担しなければいけないという気持ちがありました。

きっとどちらも嘘をついてはいないのでしょう。

ただ、どのくらい手伝っていたか、それぞれが自分の主観で判断するわけですから、大きく評価が食い違ってくるわけです。また、「手伝おうと思っていた。」という気持ちは、実際に手伝ってくれなければ相手には伝わりません。

妻は夫の手伝いを過小評価しがち

妻は、日々、仕事と家庭の両立に苦心しています。そして、その苦労に対する負の感情は夫に向かうしかありません。

そんな状態ですので、夫がしてくれたことに対する正当な評価ができません。手伝ってくれていることは目に入らず、やってくれないことにばかり意識が集中してしまったりします。

そのため、偏見にも似た感覚で、夫の家事・育児分担を過小評価してしまうのです。そんな態度に夫が不満を持ち、協力する気持ちがなくなってしまった結果、夫婦関係が悪化するということになります。

夫は家事・育児の全体像が見えていない

育児休暇を取得するなどして、長期間にわたって家事・育児をした経験がある男性は別ですが、大抵の場合、「メイン」である妻のサポートに過ぎない人がほとんどです。そのため、家事や育児の全体像を把握できていないのです。

家事や育児の中には、見えない仕事がたくさんあります。例えば、掃除一つとってもそうです。夫としては、掃除機をかけたら掃除を全てやったような気になるかもしれません。しかし、他にも、飾り棚の埃を取ったり、掃除機のフィルターを変えたり、汚れのひどい場所は水ぶきをしたり、と細々とした作業が必要になってきます。

食事の準備もそうです。ごはんを作れば終わりではありません。使った鍋やお皿の洗い物、コンロの汚れのふき取り、食卓の水拭きなどの仕事もあります。また、洗った食器を食器棚に戻したり、布巾を漂白したり、やるべきことに終わりはありません。

しかし、ほとんどの男性は、数日間にわたって家事・育児を全面的に担う機会がありません。そのため、そんなことを知らなくても、家の生活は問題なく回っていくし、家もきれいに保たれるのです。

そんな理由で夫は家事・育児の全体像を把握できていないため、自分の分担量を相対的に判断することができないのです。

不平等は最初から始まっている

以前に比べ、女性が活躍しやすくなったとはいえ、日本の社会はまだまだ男性社会です。女性側の状況としては、結婚や出産をしても、仕事を続けられる人も増えました。そして、会社で重要なポストにつく女性も増えました。

それ自体はいいことなのですが、女性が社会に出て活躍しても、男性側の状況が変わりません。

「妻が妊娠しているので定時で帰ります。」、「子どもをお風呂に入れないといけないので接待は参加できません」、「週末は家族サービスのため、休日出勤はできません。」

こんなことを堂々と言わせてくれる会社がどのくらいあるでしょうか。そんな状況ですから、女性が男性同様に活躍しようとすると、自ずと女性の負担が増すことになります。

例えば、育児休暇の取得です。本来的には、妻と夫のどちらが取得しても構わないのです。しかし、まだまだ、夫が後ろめたさを感じずに育休を取れる会社はほとんどありません。そのため、出産と最初の1年の育児はどうしても妻が主に担うことになります。この初期段階ですでに妻は家事や育児について夫よりも「メイン」の役割を担うことが決まってしまうのです。

適切な家事・育児分担を決める3ステップ

家事・育児の全体像を明らかにする

家事・育児を分担するには、その全体像を把握することがとても大切です。先ほど書きましたように、妻と夫では、認識している家事・育児の内容が違ったりします。そのため、妻がしている日常の家事・育児の内容を書き出し、共通認識を持っておくことが大切です。

それぞれの分担を明らかにする

全体像を把握したら、次は、それぞれが担っている分担を明らかにすることです。妻が担っている家事・育児の分担、夫が担っている家事・育児の分担をそれぞれ書き出します。その際、注意が必要なのは、毎日しているわけではないものについては、「大体週に〇回」といった具合に頻度まで書くことです。

というのも、時々やっていることと毎日やっていることを同じ重さで書いてしまうと、書き出す意味がなくなってしまうからです。そして、最後は、それぞれが書いたものを見て、分担割合についても共通認識を作っておきます。面倒な作業ですが、この下準備がとても大切です。難しいと感じる方は、一週間の生活を思い浮かべてみてください。月曜の朝から日曜の夜までにしていることを思い出してみれば、ほとんどの家事・育児が網羅されていると思います。

分担割合を決め直す

現状を把握したら、次は一番大切な作業です。それは、これからの分担割合を話し合うことです。それぞれの仕事の状況も把握しておくことが必要です。

今の日本社会では、夫の方がバリバリ働き、女性は少しセーブして子育てをするというのが通常です。そのため、無理に家事・育児を半々にしてしまうと、夫の負担が過多になります。それでも半々にしたければ、夫の仕事のやり方を変えるのか、その結果、収入が減ってもいいのか、そういったことも併せて話しておきます。

妻としては、どうしても家事・育児の分担にのみ注意がいってしまうことがあります。しかし、その結果として夫の収入が減ることを受け入れられるのか、といった現実的な検討も必要なのです。

そのほかの工夫

不満は小出しにする

毎日たまっていく日々のイライラや不満は、短いスパンで解消していくのが鉄則です。愚痴を聞いてくれる相手を探し、貯めこまないにしましょう。

また、夫に対し、直接的な話合いの場を持つことも大切です。

夫にしてみれば、「え、何か不満あったの?」という具合で、妻との温度差がある場合も少なくありません。

まずは、口に出して不満を認識してもらいましょう。

お金で解決する

家事や育児は夫婦だけで負担しなければならないものでもありません。

必要経費と割り切って、外部のサービスを使ったり、親族の手を借りるのも一つの方法です。

日本では、ハウスキーパーやベビーシッターが贅沢なサービスのように認識されていますが、諸外国ではもっと気軽に中流家庭の人も利用しています。

お金の問題もありますが、夫婦円満より大切なものはありません。

「もう我慢の限界」となる前に、他人の力を借りてみましょう。

夫にやってもらう家事・育児を固定する

さきほど、家事分担を決め直す手順を書きました。

それがちょっと面倒だという場合、夫にやってもらう家事を決めてしまうのも一つの方法です。

家事・育児分担がうまくいかない理由は、「できるときに夫に手伝ってもらう」というスタンスで臨むからです。

妻としては、いつになったらやってくれるのか、いらいらします。

一方、夫にとっては、妻がするべき役割を手伝っているような感覚なので、うるさく言われると腹が立ってしまいます。

そのため、どんなに忙しかろうと、疲れていようと、夫のすべき分担を固定してしまうのです。

何をお任せするのかは夫婦で話し合うことになりますが、比較的夫が得意なものや抵抗感が少ないものをお願いするのがポイントです。

そうして任せてしまえば、夫は「自分のやるべきこと」との認識を持つようになり、自分の隙間時間を見つけてやってくれるようになります。

妻としても、「いつになったらやるつもり」とイライラすることもなくなります。

まとめ

共働き夫婦の増加により、家事・育児の分担はとても大切なキーワードになってきました。

妻には、「自分ばかりが負担を強いられている。」という不満があります。

しかし、その不満が夫に認識されていなかったりします。

また、夫にも、「やっているのに過小評価される。」、「勤務時間の長さや稼ぎのバランスも考えてほしい」という言い分もあります。

大切なのは、お互いの状況を正しく把握し、負担が平等になるよう話し合うことです。

同じことをやるにも、「これは自分がやるべきこと」と納得してやっているのと、「やらされている」と思ってやるのとでは大きな違いがあるからです。

是非、円満な夫婦関係を築くため、早い段階でこのような話合いの機会をもつことをお勧めします。

ご夫婦のみでこのような話合いを進められそうにない・・という場合は弊社のサービスもご検討ください。

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