離婚調停

離婚調停のいろは -申立編ー

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家庭裁判所で行われる離婚調停。裁判所のホームページをはじめ、いろんなところに情報が載っていますが、一体実態はいかなるものでしょうか。離婚調停の申立てを考えている人はもちろん、申し立てられたて戸惑っている方にもご参考いただければと思います。まずは、申立編です。

離婚調停を申し立てる前に

可能であれば、離婚調停を申し立てる前に相手にきちんと連絡をしましょう。ほとんどの人が任意交渉がうまくいかず、調停申立てに至っていると思いますが、交渉が決裂した際に、一言、「調停を申し立てようと思っている。ちゃんと話合いに応じてほしい。」と伝えておきましょう。突然、申立書の写しと期日通知(1回目の調停日を連絡する書面)が送られてくるのと、事前に知らされているのと、受け止め方が全然違います、また、「調停を申し立てる」の一言で、相手との話合いがスムーズになることもあります。少し手間でも、あまり気が進まなくても、事前に連絡しておきましょう。

調停申立て

いきなり裁判はできない(調停前置)

離婚は、人事訴訟といって、裁判で争うこともできますが、必ず調停を経た後でなければ申し立てることができません。これを「調停前置」といいます。

申し立てられるのは誰?

申立ては、離婚をしたい人なら誰でもできます。弁護士に依頼してもいいですし、自分で申立手続きをしても構いません。申立書や必要書類については、最高裁判所のホームページに載っています。離婚をしたい場合は、「夫婦関係調整(離婚)」を使用します。住民票などを添付する必要はありますが、手続自体はそんなに難しいものではないので、弁護士に依頼しなくても自分で十分できます。費用も収入印紙や切手を含めて数千円ですので、経済的な余裕がない方でも大丈夫です。

離婚に際して弁護士を依頼すべきかどうかについては、こちらも参考にしてください。
離婚に弁護士は必要か!?

申立書の書き方

申立書の書き方についても、最高裁判所のホームページの記載例を参考にすれば、そんなに難しくはありません。記載例を見ていただければわかりますが、ほとんど自由記載欄はありませんので、裁判所によっては、「事情説明書」のような、事情をもう少し詳しく記載する書類を追加で書くよう指示されることもあります。このような指示がなかったとしても、自分で書面を作成することをお勧めします。記載内容はみなさんそれぞれ異なると思いますが、できれば以下のような内容を含んでいるといいでしょう。

①夫婦のなれそめ
②夫婦不和に至った原因(いつ頃から、何が原因で)
③申立ての直接的な原因(引き金になった出来事等)
④離婚条件に関する主張
⑤予想される相手の反論 

例文:私と夫は大学時代のサークルが一緒だったことがきっかけで、大学時代からお付き合いを始めました。お互い就職し、付き合いも長くなってきたことから、社会人3年目になるころ結婚しました。結婚当初は楽しくやっていたのですが、結婚2年目で私が第一子を出産したころから関係がおかしくなってきました。
私は、出産を機に仕事を辞めましたが、夫の稼ぎが十分ではなかったことから、生活が苦しくなり、口論が増えました。特に、昨年8月頃から、生活費として渡される金額が10万円から8万円に減額され、子どもの必需品を買うのも大変になりました。どうして渡される生活費が減ったのか疑問に思っていたところ、夫が出張と称して家を空けることが多くなってきました。
私は、夫の浮気を疑い、いけないと思いながらも夫の携帯電話をチェックしました、すると、案の定、女性との甘いメールのやりとりが残されていました。夫を問い詰めたところ、夫は、謝るどころか私が勝手に携帯電話を見たことに怒り出しました。私は、夫が信じられなくなり、その件をきっかけに、昨年12月から現在に至るまで、私と子どもが家を出る形で別居生活を送っています。過大な要求をするつもりはないですが、相場通りの養育費、慰謝料、財産分与を求めたいと考えています。
これまでの協議の経過からすると、夫も離婚自体には応じると思いますが、金銭面でもめると思います。

このような詳細を記載する目的は、裁判官、調停委員、家裁調査官といった調停に関わる人たちに、事前に事情を知ってもらうためです。というのも、通常、第一回目の調停で、調停委員から事情を聞かれます。事情というのは、申立てに至った理由や、主張したい内容のことを指すのですが、とても多岐にわたるため、どうしても時間がかかってしまいます。話す方にも聞く方にも整理して話す力量が求められますが、そう簡単ではありません。事前に書面を出しておくと、調停委員も裁判官も事前に読んだ上で調停にのぞみますので、話がスムーズです。
なお、これらの申立書類は、原則、コピーをして相手方に送付されます。ですので、相手に知られたくない情報は書かないか、非開示希望を出した上で提出するのがいいでしょう。

申し立てられた方は何をすればいい?

裁判所から届いた書類に回答する

詳細は各家庭裁判所によって違いますが、大体は、申立書の写しと1回目の調停の日時を記載した期日通知が一緒に送られてきます。それらの書類には、申し立てられた人は「相手方」として記載されています。申立人が提出した申立書や事前説明書の内容を読むと、「勝手なこと言いやがって」「嘘ばっかりじゃない。」と憤慨することもあると思いますが、相手方にもちゃんと事前に言い返す機会が与えられています。申立書の写しや期日通知と一緒に「回答書」という書面が入っていますので、その書面に、相手方であるあなたの主張を書いてください。

回答書の書き方

回答書をどんな風に書けばいいか分からない人におすすめの書き方は、申立人が書いている内容に沿って「認めること」「認めないこと」「知らない、覚えていないこと」と3つに分けて反論し、それに自分の主張を加える方法です。例えば以下のような感じです。

交際や結婚に至る経緯については妻が主張しているとおりだが、夫婦不和に至ったのは妻の浪費が原因であると思っている。妻は、育児ストレスが発散できるからとネットショッピングにはまり、毎月10万円は使っていたと思う。生活費を減額したことは覚えていないが、もし減額していたとすれば、原因は妻の浪費である。妻は、浪費を責められると「甲斐性がないくせに偉そうに言うな。」などと暴言を吐いたり、私の分だけ夕飯を作ってくれないこともあった。
私は、そのうち家に帰るのがつらくなり、職場の後輩の女性と仲良くなった。ただ、一線を越えたことはなく、恋人のようなメールのやりとりをして気持ちを満たしていた程度だ。既に、妻との関係は破たんしているため、離婚はやむを得ないと考えているし、養育費も相応な金額を支払うつもりはある。ただ、慰謝料はこちらが請求したいぐらいだし、子どもにもきちんと会えるよう約束してもらいたい。

調停に出なくてもいい?

事前に知らされていた人は、「きたか・・。」という感じだと思いますが、何も知らされていなかった人にとっては青天の霹靂かもしれません。「調停なんか行くもんか。」と反発する気持ちもあるでしょうし、実際に仕事や育児で平日の日中を空けるのが難しいという人もいると思います。しかし、離婚そのものに応じるつもりがある人は、絶対に出席した方が得策です。なぜなら、調停が不成立となった場合、今度は相手が裁判を提起してくるかもしれないからです。裁判ともなれば、欠席は不利に扱われますし、弁護士を依頼する費用もかかってきます。また、調停とは違って公開の場で相手と罵り合うわけですから、精神的な苦痛も相当です。

ただ、離婚理由が相手にあり、自分は離婚したくないという場合(例えば「夫が浮気した挙句、浮気相手と再婚するために離婚を迫ってきた。でも、別居してまだ間もないし、私は離婚したくない。」という場合)は、出席しなくても大丈夫です。ただ、何事も無断欠席はよくありませんので、「離婚に応じるつもりも調停で話し合うつもりもない。」という連絡を裁判所にしておいた方がいいかもしれません。

その他の調停の基本情報

調停の日時は希望を聞いてもらえるか?

第一回目の調停日時については、申立書に希望を書く欄があります。仕事の都合などで「火曜は絶対休めない。」「午前中の方が休みやすい」といった事情がある人は、記載した方がいいでしょう。大体、都合の悪い日時は外してもらえると思います。反対に、「この日がいい。」という希望の仕方だと、必ずしもその日になるとは限りません。調停は、裁判官、調停委員、相手方の予定も併せて考えなければならないからです。

相手方は、申立書の写しが送られてきた段階で既に第一回目の調停期日が決まっていますので、都合が悪い場合は欠席の旨を裁判所に伝えてください。おそらく、日程変更可能な裁判所が多いでしょう。

調停はいつ開かれる?

平日の日中です。具体的には、午前中の場合は、午前10時から、午後の場合は午後1時半から(ときどきは3時半から)2~3時間程度です。ですので、少なくとも、半日は開けておく必要があります。

どのくらいの頻度で開かれるか?

基本は月に一回です。ただ、実際は、調停室が空いていなかったり、みんなの予定が合わなかったりして、次の調停が2か月先になることも珍しくありません。年末年始や夏休みなどを挟む場合も、次回期日が2,3か月後になってしまうことがあります。

調停申立編のまとめ

普通の生活をしている以上、調停という裁判所での手続きに不安を感じるのは当たり前のことです。ましてや、申し立てられた方としては、「そんな得体の知れないことに巻き込まれたくない。」、「申立人の手にのるものか。」という気持ちになるかもしれません。しかし、本人同士で離婚協議ができない場合、誰かを間に入れて解決を図るというのはとても有効な手段です。特に、弁護士に依頼せず自分で調停をする場合は、費用的にもリーズナブルです。任意交渉の次の手段として知識を持っておいて損はないと思います。
 

実際の調停の場面についてはこちらをご参照ください。
これさえ読めば離婚調停のすべてがわかる -期日編―

家裁調停以外の選択肢

多くの方にとって、裁判所で話し合うという選択肢は、あまり一般的ではありません(統計上も、協議離婚が10分の9、調停離婚が10分の1、裁判離婚に至っては100分の1です)。身内のことだから、裁判所で争うまでのことはしたくないという気持ちや、そもそも、平日日中に会社を休めない、子どもを預けられないといった生活上の問題もあるかと思います。

そんな場合にお勧めなのが、ADRによる調停です。ADRは、夫婦二人では話合いができない、でも家裁で争ったりしたくもないという方にお勧めです。

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