養育費

父母双方が子を監護している場合の養育費 

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複数の子どもがいる夫婦が離婚する場合、一方の親が全員の子どもの親権を持つのではなく、双方がそれぞれに親権を持つことがあります。その場合、養育費を決める際、算定表を使うことができません。今回は、そんな場合の養育費の計算についてお伝えしたいと思います。

兄弟姉妹を分離することの可否

兄弟姉妹不分離の原則

そもそも、離婚の際に兄弟姉妹を別々にしてしまうこと自体、問題はないのでしょうか。この点、兄弟姉妹は不分離が望ましいという考え方があります。この考え方は、せっかく縁あって同じ親の元に生まれてきたのだから、一緒に生活をする中でけんかをしたり、また仲直りをしたり、そんなことを繰り返して育っていった方が別々に暮らすより子どものためになる、という考え方です。

また、子どもにとって、親の離婚はどうしたって喪失感や寂しさが伴います。そんなとき、兄弟姉妹がいれば、助け合ってそれを乗り越えることができます。こんな事情から、なるべく兄弟姉妹は分離しないようにしましょう、と言われているのです。

兄弟姉妹の分離が考えられるケース

ただ、家族の形は本当に様々です。こんな場合なら兄弟姉妹が分離されることもあるのでは?というケースをご紹介したいと思います。

夫:53歳
妻:48歳
長男:17歳(私立高校2年生)
長女:8歳(小学校2年生)

例えば、こんな家族の場合、どうでしょうか。妻は、長女を連れて実家の近くに転居することを考えていますが、長男は転校を嫌がっています。長男は既に17歳で、父親と協力すれば、何とか家事もまわっていきそうな雰囲気です。加えて、兄妹の年齢差が大きく、また性別も違っています。自宅で一緒に生活していたとしても、生活リズムは全く違っています。こんな場合、長男の意見も尊重しつつ、長男は父親が、長女は母親が親権を持つという選択肢もあるかと思います。

親の都合で分離してはいけない

一方で、親の都合で子どもを分離するようなことがあってはいけません。例えば、どうしても長男は跡取りとして必要だとか、寂しさを紛らすために一人ずつにするとか、親権でもめそうだから、一人ずつにしておくとか、そんな理由で子どもを引き離してしまっては酷です。

双方が子を監護している場合の養育費の計算の方法

次に、父母双方が子どもをそれぞれ監護している場合の養育費の方法について、実際に計算していきたいと思います。「婚姻費用・養育費等計算事例集」の「Q21 元夫婦双方が子を監護している場合の養育費」を参照しつつ(著者の許可を得て掲載しています。)、以下のような事例で計算していきたいと思います。

超早わかり「標準算定表」だけでは導けない
婚姻費用・養育費等計算事例集
著者:婚姻費用養育費問題研究会

父:45歳、作家
母:45歳、会社員
長女:15歳、高1
長男:4歳
二男:1歳
父母は性格の不一致が原因で離婚。当初から、自宅で執筆活動をしている父が主に家事・育児をしていたことから、長男及び二男は父が親権者となることに。父は、実家のある田舎に転居し、のびのびと子育てをすることを望んでいたが、長女は転校を嫌がり、同性の母に懐いていたこともあり、母が引き取ることとなった。

前提となる知識

基礎収入

養育費算定表に収入をあてはめる場合、双方の年収(税込)を使用します。しかし、その表の元となっている計算式を使って実際に計算する場合、年収そのものではなく、年収から算出した「基礎収入」という金額を使用します。基礎収入は、実際の収入から公租公課や職業費等を差し引いた、養育費捻出の基礎となるものです。基礎収入は、収入の金額によって決まっている一定の割合(給与所得者の場合54%~38、自営業者の場合61%~48%)をかけることによって算出します。今回の場合、義務者(父)は事業収入450万円、権利者(母)は給与所得250万円くらいのイメージです。

生活費指数

大人を100とした場合の子どもの生活費割合です。15歳以上は85、14歳以下は62です。大人が1年間生活するのに100万円かかるとすると、小学生は62万円ということになります。

では、早速、実際に計算していきましょう。

権利者が監護する子の生活費を按分する方法

子ども全員の生活費を求めた上で、母が監護する子の生活費を求め、その金額について、父の負担金を求める方法をご紹介したいと思います。

子らの生活費を算定

子らの生活費=
父の基礎収入×子全員の生活費指数÷(父・子全員の生活費指数)

これを実際に計算すると

   250×(85+62+62)÷(100+85+62+62)≒169.1万円

父が負担すべき生活費(子全員)の額

父が負担すべき生活費の額=
子ら全員の生活費×父の基礎収入÷(父の基礎収入+母の基礎収入)

これを実際に計算すると

169.1×250÷(250+100)≒120.8万円

父が負担すべき長女の養育費

長女の生活費=
父が分担すべき生活費の額×長女の生活費指数÷子全員の生活費指数

これに数字を当てはめると、120.8×85÷(85+62+62)≒49.1万円

49.1万円÷12(カ月)≒4.1万円

つまり、父が母に対して長女の養育費として支払う金額は4.1万円になります。

その他の方法

先ほどご紹介した方法ですが、父は母が育てている長女の養育費を支払っているのに、母は、父が育てる長男及び二男の養育費を支払わなくてもいいのか、という疑問がわいてきた方もおられると思います。そのため、母が負担すべき長男及び二男の養育費を計算した上で差し引きをする方法もあります。

この場合、計算は省きますが、父が母に支払うべき養育費は4万1000円から3万1000円に縮小されます。その他にも計算方法がありますので、詳しくお知りになりたい方は上述の書籍等を調べてみていただければと思います。

兄弟姉妹を分離する際の着眼点

上述のとおり、兄弟姉妹は不分離が原則であり、それぞれの親がそれぞれに監護するのは例外とも思われます。ただ、家族の状況は様々であり、子どもたちが離れて暮らす方が自然な場合もあります。特に、子どもたちの年齢が高い場合は、父でも母でも監護が可能な状況になり、誰と住むかというだけでなく、生活上の諸々の都合も重要になってくるものです。大切なのは、大人の事情はさておき、子どもたちの状況や気持ちを十分に加味して決定することではないでしょうか。また、双方に面会交流の機会をしっかりもうけることで、兄弟姉妹の良好な関係が継続することもできます。

このように、お子さんを分離する際、養育費や面会交流の取決めがとても大切になってきます。ご夫婦お二人ではうまく決められないという場合は、専門家を入れて話し合う制度であるADRをご活用いただければと思います。

ADRによる調停(仲裁・仲介)
新しい離婚の方法、ADR活用術

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