性格傾向と離婚

境界性人格障害(BPD)の妻と離婚する際の4原則

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今回は、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害・BPD)の妻との離婚について、BPD妻の特徴や夫からのよくある訴え、そして、離婚に至る経緯や離婚協議の進め方等についてお伝えします。

境界性人格障害(BPD)とは

「ボーダー」と呼ばれる由縁

境界性人格障害(BPD)は、1900年初頭にロールシャッハという心理学者が発見しました。そして、1980年に今のBPDという名前でDSM-Ⅲ(「精神障害の分類と診断の手引き第三版」。精神障害を診断する際のバイブルです。)に掲載され、現在に至ります。

この境界性人格障害(BPD)は「ボーダー」とも呼ばれていますが、なぜそのように呼ばれるようになったのでしょうか。それは、神経症的な症状と統合失調症的な症状の境にある病気という意味合いからです。そのため、強いイライラ感が抑えられないという神経質な症状と現実が冷静に判断できないという2つの側面を持っています。

診断基準(主な症状)

現在の診断基準では、以下の9項目のうち5つ以上を満たすとBPDと診断されます。

  • 現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気も狂わんばかりの努力(注:5の自殺行為または自傷行為は含めないこと )
  • 理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式
  • 同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観
  • 自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食い)
  • 自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
  • 顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)
  • 慢性的な空虚感
  • 不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかをくり返す)
  • 一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状

発症の原因

発症の原因は遺伝的要因と環境要因によるとされていますが、まだ解明されていないことも多いようです。遺伝的要素を持った人が幼児期に虐待を受け、親と安定的な関係を築けなかったりした結果、20代になってBPDを発症する、ということもあるようです。

境界性人格障害(BPD)の妻との離婚

夫が妻の境界性人格障害(BPD)を疑うきっかけ

BPDは20代(発症時)の女性に多い病気です。そのため、結婚してから突然BPDを発症した、というよりは、「今思えば交際当時から何となく傾向があったような・・。」というパターンの人が多いようです。

しかし、交際当時は恋愛の真っ只中ですから、「感情の起伏が激しい=感情豊かで面白い。」、「依存心が強い=頼られているようで嬉しい。」といった具合にプラスに捉えられがちです。

では、どのようなことがきっかけで、妻の境界性人格障害を疑うようになるのでしょうか。夫からよく語られるエピソードを以下にご紹介したいと思います。

怒りの感情が強い

BPDの人の怒りの感情表出はとても強いのが特徴です。例えば、けんかになると激しい口調や大きな声で怒鳴ったり、物に当たったりします。時には、暴力を振るわれたり、服を破られた、なんていう人もいます。そのため、警察を呼んだことがある人が少なくありません。

そして、その怒りの感情が数時間継続します。そのため、深夜までずっと怒鳴られたとか、会社に行こうとするのを何時間も玄関で阻止された、というエピソードが聞かれます。

夫は、これまでの対人関係で経験したことのない、妻の尋常でない怒り方や激しい感情に違和感を感じ、単に「短気」や「怒りっぽい」ではすまされない病的なものを疑い始めるのです。

怒りの理由が予想しづらい

普通の人であれば怒らないようなことでも、怒りのスイッチが入ってしまうのがBPDです。そのため、「ちょっとしたことで突然にキレた。」、「キレた理由が理解不能。」、「キレる理由とキレる程度が理解を超えている。」といった訴えがよく聞かれます。

例えば、「妻が用事があるというので、気を利かせたつもりで子どもを連れて自分の実家に遊びに行ったら、妻が怒り狂って電話してきた。家に帰ってみると、妻が玄関で包丁を持って立っていた。妻にしてみれば、のけ者にされたことが許せなかったようだが、自分の理解を遥かに超えていた」といった具合です。

強い見捨てられ不安

BPDの特徴的な症状のひとつに「強い見捨てられ不安」があります。そのため、その不安が異常なまでの束縛として現れたり、ときには「妄想では?」と疑いたくなるような、一般的には見捨てているとは思われない状況で強く非難してきたり、ということがあります。

例えば、友人と飲んでいるだけなのに、何十回も電話がかかってきたり、その電話に一度でも出ないと「裏切った」といって激しく怒ったりします。また、強い不安感から、何とか相手を繋ぎとめようと嘘をつくこともあります。例えば、上述のようなシチュエーションで、何度電話してもそれでも夫が帰ってきてくれないような場合「空き巣に入られた」とか「体調がすごく悪いのですぐに帰宅してほしい」といったような嘘をつくこともあります。

夫は、妻の強い怒りや負の感情のみではなく、こういった「不安定さ」に違和感を感じ、見捨てられ不安という言葉やBPDに行きつくようです。

両極端な評価

BPDの人は、昨日までとても仲の良かった友人や評価していた人に対し、翌日には強く非難したりします。また、すぐに人と近しい関係になるのに、そうかと思えばその人ともめてしまい、最終的には離れるということを繰り返します。

このような極端な人間関係に違和感を持ち、BPDを疑う人もいます。

出産を機に変わってしまった

出産は女性にとって大変ストレスがかかるライフイベントです。そして、そのストレスによって、BPDの症状が出やすくなる人がいます。

そのため、それまでは何とか保っていたものが、出産前後のストレスやホルモンバランスの変化によって一気に崩れてしまうことがあります。

BPDの妻との離婚を考えるステップ

妻のBPDを確信

以上のようなことが繰り返される中で、夫は妻のBPDを疑うようになり、そして本を読んだりネット検索をしたり、もしくは自分のみで精神科に相談に行ったりする過程で、妻がBPDであることを確信するに至ります。

安堵と妻への理解

最初は、妻の理解しがたい言動の理由が判明したような気がしてほっとした気持ちになったりします。また、妻が悪いのではなく、BPDが悪いんだと考えたりして、一旦は妻を理解したように感じます。

辛い日々が変わらないことへの落胆

しかし、BPDは病識がないことが多く、妻が積極的に治療に励むということは期待できません(むしろ、病気扱いするなと怒ります)。また、妻自身が治療を望んだとして、簡単に治癒するものでもありません。

そのため、夫の日々のしんどさは変わらず、離婚という二文字が頭をよぎるようになります。しかし、BPDの妻との離婚は容易に決断できるものではありません。以下では、離婚を躊躇する理由としてよく語られるものをご紹介します。

離婚を決断できない理由

「別れたら死ぬ」と言われた

BPDは自傷行為も症状の一つです。そのため、「別れたら死ぬ」というようなことを言われることもあります。実際に自傷行為に及ぶこともありますし、相手を繋ぎとめるために「死んでやる」と脅すこともあります。

「死ぬ」という言葉でなかったとしても、夫は自分が離れることで妻がどうにかなってしまうのではないかという不安を抱くようです。

いい時もある

よく聞かれるのが「仲がいいときもあるんです」「楽しいときもあるんです」という声です。BPDの人の強い感情は、数時間で収まります。長くても数日です。そのため、比較的精神が安定している間は、普通に楽しく過ごせることも多いのが特徴です。

自分以外に誰も味方がいない

BPDの人は、配偶者だけではなく、友人や家族といった近しい存在の人ともコミュニケーションがうまくとれないことがあります。例えば、昨日まではとても仲良くしていたママ友のことを、今日は酷評したりします。このように、人との距離感が適切に保てず、周りに誰もいなくなってしまう様子を見ていると、妻には自分しかいないような気がしてしまうのです。

また、BPDの人は、成育歴や幼少期の親子関係に問題を抱えていた人も多く、そんな可哀そうな妻を見捨てることはできない、という気持ちになったりもします。

子どもが心配 

自分がいなくなることで、妻の激しい言動が子どもに集中するのではないかと心配になります。自分が逃れることで子どもを犠牲にするような気持ちになってしまい、離婚を決断することができなくなります。

子どもに会えなくなる

BPDの妻にとって、自分から離れていった夫は裏切り者です。そのため、子どもに対して、執拗にお父さんの悪口を言ったり、会わせてくれなくなったりということが懸念されます。

最終的に離婚を決意する理由

以上のような理由で、BPDの妻とはそう簡単には離婚できません。ご相談に来られる方の中には、「ほかの皆さんがどうやって離婚を決意し、苦しみから抜け出すのか知りたい」と仰る方もいます。離婚を決意するきっかけや理由は十人十色ですが、よく聞かれるものをいくつかご紹介します。

仕事への影響

妻のBPDによる悪影響が自宅内でおさまっているうちは、帰宅を遅らせたり、外にストレス発散を求めたりして何とかやり過ごすことができます。

しかし、毎晩のように深夜遅くまで言い争いが続き、翌日の仕事に影響が出てきたり、職場にも迷惑電話をかけてきたりすると、これまで聖域として守られていた職場まで侵される危機感や生活の糧を失うのではないかという危機感から、離婚を考えるようになります。

精神的不調

妻の激しい言動にさらされ続けていると、夫は、メンタルに不調を来すようになります。また、妻からの諸々の制限(例えば、携帯電話没収、異性の友人との交流不可、仕事中も1時間おきに妻に連絡等)を当たり前のように受け入れてしまっている自分の異常さに気付き、このままでは自分自身がどうにかなってしまうのではという不安にかられ、妻と離れることを考えるようになります。

子どもがほしい

BPDの妻の激しい感情に触れていると、そんな妻との間に子どもを設けることは困難だと感じられます。なぜなら、赤ちゃんのお世話は忍耐の連続で、怒りをぶちまけてばかりの妻に子育てなんてできるわけがないと思うからです。また、産前産後のストレスが相まって、BPDがひどくなることも懸念されます。

そのため、子どもがほしいと思っている夫は、再婚相手との年齢的な兼ね合いも考え、離婚の決断をしやすくなります。

自分の将来の幸せに思い至ったとき

意外と多いのが、「将来の幸せ」について思いをはせたとき、妻との未来に幸せはないと確信してしまったから、という人たちです。

BPDの妻をもつ夫たちは、毎日をなんとかやり過ごしているような状態ですが、何年、何十年先のことを考えると「そんなに長くは我慢できない」と絶望を感じると同時に、早くこんな生活から抜け出して幸せになりたいと考えるようになります。

視点を少し先に置くことで、現在取るべき選択が明確になるようです。

治療の難しさ

BPDの治療は薬物療法や心理療法などを行いますが、長期戦になることが多いと言われています。

最近は弁証法的行動療法(DBT)という、感情コントロールを学んでいくことを中心とした治療法が注目されています。これまで難しいとされていたBPDの治療で一定の効果を上げているそうですが、やはり一定の時間がかかります。

また、そもそも妻に病識がなく、治療を拒まれることも多いでしょう。そういった治療の難しさ故、離婚を決断する人もいます。

BPDの妻との離婚協議における4大原則

BPDの妻との離婚は一筋縄ではいきません。なるべく穏便に離婚するための工夫をお伝えします。

別居してからの協議が鉄則

同居中の離婚協議は精神的に非常に疲弊します。また、強い揺さぶりにあい、決意が揺らいでしまうこともあります。

また、別居をしていても、メールやライン、電話などで頻繁に連絡を取ってくることもあります。ある意味、遠隔操作で気持ちを揺さぶってきます。そのため、せっかく別居したのですから、妻からの五月雨の連絡には応じないようにしましょう。

協議の枠を大切にする

場所の枠

別居後に夫婦間で協議をするとして、協議の場では「枠」を大切にしましょう。例えば、妻から「家で話したいから戻ってきて」と言われたとします。確かに、人目がある場所で大声を出されても困るし、妻の求めに応じておいた方が穏やかに話せるような気もします。

しかし、せっかく家を出ることで線引きをしたのに、妻のテリトリーである自宅に戻ってしまうと、また二人の間に引かれた線があやふやになってしまいます。そのため、話合いの場所として、ファミレスなど人の目がある場所を選びましょう。

時間の枠

時間の際限なく話をしてしまうのもよくありません。「今日は2時間しか時間が取れない」などと決めた上で、いくら妻が「もう少し話したい」と引き延ばしを求めても、時間通りに話を切り上げるようにしましょう。そうすることで、妻のペースに巻き込まれずにすみます。

話を切り上げる自信がない人は、友人に「〇時になったら電話してきて」などとお願いをしておく方法もあります。

連絡方法の枠

対面で話をするのか、メールでやり取りをするのか、もしくは電話で話すのか、協議の方法は人によって様々です。どのような方法を取ってもいいのですが、大切なのはあらかじめ決めた方法以外の協議は受け入れないことです。

例えば、メールでやり取りをすると決めたのであれば、妻から度々電話やラインが来ても応じてはいけません。そうすることで、予期せぬ時に妻との協議を強いられ、気持ちが疲弊することを防ぐことができます。

一貫性のある態度を取る

BPDの人は、あの手この手を使って相手を揺さぶります。そして、妻にとって、勝手に出て行った夫は裏切り者であり、激しい言動に走ることが予想されます。例えば、別居先を突きとめて押しかけてくるとか、会社にまで罵詈雑言の電話をかけてくるといった言動です。

そのような激しさを見せられると、ついつい気持ちが弱ってしまい、「戻ってきてくれたら、こんなことはもうしない」等と言われると、せっかく家を出たのに戻ってしまう人もいます。

しかし、それでは同じことの繰り返しです。そして、妻は「夫の気持ちはこうしたら変えられる」ということを学びます。そのため、相手の言動に揺さぶられず、一貫した態度を取りましょう。

夫婦間協議のゴールを「合意」に設定しない

BPDの妻が納得の上で円満に離婚に応じてくれることはあまり期待しない方がいいでしょう。そのため、夫婦での協議はあくまで離婚のスタート地点であることを理解し、合意が難しければ、夫婦間協議を諦めて、以下に紹介する次のステップに進みましょう。

弁護士に依頼する

BPDの相手と直接やり取りをするのは精神的に辛いものです。そのため、自分の代理人として前面にたって妻と交渉してくれる弁護士がいるというのは、大変心強く感じられるでしょう。

家庭裁判所の調停や裁判

夫婦での協議が破綻したら、次の選択肢の一つとして家庭裁判所の調停があります。第三者が夫婦の間に入ることによって、負の感情に直接触れるストレスから解放されます。

家裁の離婚調停は、必ずしも応じなければならない義務はありません。そのため、妻に離婚意思がなければ、調停に出席すらしてくれないということも考えられますが、既に夫が家を出ていて、連絡にも応じてくれないとなると、妻としては意思伝達の場として家裁調停に出席してくれることもあります。

ADR

夫婦間協議ができない場合の3つ目の選択肢としてADR(裁判外紛争解決手続)があります。BPDの妻を相手取っての離婚において、何よりも大切にしたいのが早期解決です。間接的であっても、相手の強い感情に触れ、揺さぶられることに疲れ切ってしまうからです。

この点、ADRは、裁判所の調停の半分以下の期間で解決が可能です。また、民間の調停機関ならではの利便性があり、土日の利用やオンライン調停も可能です。

そして何より、いきなり裁判所に申し立てるより、「できれば争いたくない」というメッセージになり、少しでも穏やかに解決したい人にとってはお勧めです。

離婚の新しい方法、ADR調停
ADRによる調停(仲裁・仲介)

自分を大切にする選択肢を

離婚をするかしないか、それは他人がアドバイスできることではありません。しかし、境界性人格障害(BPD)の人は、とにかく「激しい」のが特徴です。ですので、愛し合って結婚したとしても、一緒にいると本当に疲れます。離婚するにしても、婚姻を継続するにしても、まずは心身の健康が第一です。

そして、BPDの妻を持つ夫の特徴として、相談場所のなさがあります。そもそも、男性が女性に比べて相談できる場所が少ないのに加えて、自分の妻がそんなだということが恥ずかしくて誰にも相談できないのです。

しかし、あまりに心が疲れてしまうと、本来の自分らしさや正常な判断能力までなくなってしまいかねません。当センターでは、カウンセリングやお話合いの仲裁(ADR)もサポートしていますので、お困りの方はぜひお早めにご相談ください。

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