別居のメリットは何ですか?
精神的に落ち着く
別居のメリットとして、何はさておき精神的な安定が一番に挙げられます。これまで、知らず知らずのうちに受けていたストレスから解放され、心底ほっとします。そして、束縛や圧迫からも逃れることができ、自由な思考が可能になります(自分らしさを取り戻すことができます)。
離婚のシミュレーションができる
離婚したらどうなるのか、未経験のことは誰だって心配になります。経済的に困窮しないか、子どもたちは大丈夫か、自分も案外一人では不安になってしまうのではないか、そんな心配がつきまといます。
こういった心配は、別居生活の中でほぼ解消することができます。別居はお試し離婚とも言えます。
相手に諦めを促す
同居中にいくら「離婚してほしい」とお願いしても、あまり真実味がありませんが、実際に別居となると、相手への伝わり方が違います。離婚に対する本気度を示すことにもなりますし、また、物理的に距離があくことで、相手の諦めを促すことにもなります。
裁判離婚への準備
相手が合意してくれない限り、協議離婚は成立しません。そうなると、最終的には裁判離婚しかありません。そして、離婚したくないと言っている相手との離婚を認めてもらうには、離婚理由が必要となります。DVや不貞があれば問題なく離婚が認められますが、そういった事情がない場合、一定の別居期間が必要になります。
子どもへの悪影響を取り除く
激しい夫婦喧嘩を子どもにみせることは、子どもに対する虐待だと言われています。大声で怒鳴り合ったりしなかったとしても、お互いに無視し合う姿を見せることも同じです。そういった健全でない夫婦関係を見せることは、子どもの心に負担をかけるだけでなく、不適切な夫婦モデルを学ばせることになってしまいます。そういった環境から抜け出すことで、子どもへの悪影響を取り除くことができます。
別居のデメリットは何ですか?
生活のレベルが下がる
婚姻費用を支払ってもらったとしても、ほとんどの人は別居生活により生活レベルが下がります。よっぽどの高収入でない限り、何かを諦めざるを得ないでしょう。
生活の変化による子どもへの影響
親が一緒に住まなくなることは、子どもにとって大きなショックです。また、子どもの転居や転校を伴う場合、さらに影響は大きくなります。中には、不登校になってしまうお子さんや、体調を崩しがちになるお子さんもいます。
意外と大変な実家での共同生活
別居の際、戻れる実家がある人はとても幸せです。ただ、一旦は別々の生活リズムで生活していた親子が再度同居すると、ときに双方にストレスがかかることがあります。生活を乱される親世代、肩身が狭い上に子育てに口を出される子世代。数カ月で実家を出る人も少なくありません。
同居義務違反と言われないか心配です?
民法は、夫婦に「相互扶助義務」や「同居義務」を定めています。
民法752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない
ただ、夫婦の同居義務は絶対ではありません。夫婦関係が悪化している場合や相手に非がある場合にまで同居義務はありません。そのため、モラハラ被害があったり、けんかが絶えないような場合は、無理に同居はしなくても同居義務違反になりません。
別居時に決めておいた方がいいことは何ですか?
婚姻費用
別居生活中に支払われる生活費のことを婚姻費用といいます。「勝手に出ていったんだから、お前には一銭もやらん」という言葉は通用しません。養育費と同様、算定表という目安の表があり、双方の収入と子どもの人数や年齢で相場の金額が記載されています。
面会交流
別居期間であっても、既に離婚をしていたとしても、子どもにとっては片親と会えなくなることに変わりはありません。別居親と子どもの関係が健全に保たれるよう、面会交流の方法についても決めておきましょう。また、面会交流は、子どもを育てる側の親にとってもメリットがあります。慣れない別居生活の中、ひとりで何もかも責任を取らなければならないプレッシャーや忙しさに押し潰されそうになることと思います。そんなとき、休日に子どもを別居親に預かってもらうことができれば、心身ともにリフレッシュが可能です。
別居期間中の連絡ルール
例えば、互いの連絡は緊急時に限るとか、連絡ツールをメールだけにするなどのルールを決めておくのも有効です。せっかく別居をしても、相手から頻繁にLINEがきてびくびくしなければいけないようでは、別居のメリットは半減してしまいます。
再協議時期
当面別居、という形で決めることもありますが、再協議時期の目安を決めておくこともできます。再度話合いの機会をもち、修復か離婚か、はたまた別居延長か、そういったことを話し合います。ずるずる別居期間が長引かないためのちょっとした工夫です。
別居の話合いはどうやってやるの?
夫婦での話合い
DVをはじめ、別居を口に出すことで相手の怒りをかったり、その結果、暴力を振るわれる危険がないのであれば、なるべく事前に夫婦で相談をしておきましょう。また、別居に反対されたとしても、妨害行為までは予想されない場合、自分としては〇月末日までには転居予定である、といったことを伝えておきましょう。また、話合いがうまくいけば、お子さんのことを優先的に考え、相手が出て行ってくれることもあるかもしれません。
ADR(裁判外紛争解決手続)による話合い
夫婦のみでの話合いが難しい場合、公平中立な第三者に仲介に入ってもらう制度であるADRを利用することができます。
家庭裁判所の調停
別居のための話合いというより、別居後、婚姻費用や面会交流の取決めのため、家庭裁判所の調停に申し立てることができます。
監護者の指定ってした方がいい?
離婚時に親権で争ったり、面会交流時に連れ去りの危険等がなければ、わざわざ家庭裁判所で監護者を指定しておく必要はありません。
別居のススメ
これを読んでくださっている方の中には、別居を迷っている方もおられることと思います。そんな方にお伝えしたいのは、「別居を想像すると、気持ちが上向くかどうか」で決めてはどうでしょうか、ということです。
もちろん、諸々の手続きや障害があり、面倒なことこの上ありません。しかし、その面倒さよりも、それを達成したときの状況を想像し、気持ちが上向くなら、あなたにとって、別居はベストな選択肢かもしれません。
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