離婚の2文字が頭をよぎったとき、一番最初に相談に行くべき場所についてお伝えします。
最初の相談先を選ぶ際の2大条件
利害関係がないこと
相談をする人とされる人の間に利害関係があると、適切な相談を期待できません。純粋に「目の前の相談者の利益のためだけに相談にのってくれる人かどうか、という判断が必要です。
相手の両親
まずは自分の両親に相談するという人もいますが、自分の両親が既に亡くなっていたり、頼れる状況にない場合、相手の両親に相談するという人がいます。
日頃から自分の味方をしてくれているという安心感から頼りたくなるのですが、離婚となると、結果的に裏切られてしまうことが少なくありません。
例えば、妻のあなたが夫の両親に相談するとします。すると、夫の両親としては、「離婚となれば、孫は嫁に取られてしまう」と考え、あなたが辛い心情を吐露しても「なるべく離婚はしないように」と説得されるかもしれません。
また、いつも味方をしてくれると言っても、離婚という大切な場面では手のひらを返したように自分の息子(娘)の味方をすることもあります。
相手の両親は、最大の利害関係者だと理解しましょう。
弁護士
離婚の相談場所として一番最初に弁護士事務所を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
確かに、弁護士は専門知識が豊富で、あなたに代わって相手と交渉してくれたり、裁判をしてくれたりする唯一無二の存在です。しかし、ときに注意が必要です。
現在、無料で法律相談を行う法律事務所が増えていますが、実施の理由としては、相談から受任につながることが挙げられます。
もちろん、利益に関係なく、社会貢献や奉仕の精神から無料相談を行っている弁護士もいますし、受任のための相談であったとしても、受任につながらない案件も含め、親身になって相談にのってくれる弁護士もいます。
しかし、「これは受任につながらない」もしくは「受任してもお金にならない」と感じるとそれなりの対応しかしてくれない弁護士もいることを知っておきましょう。
カウンセラー
夫婦問題カウンセラーや離婚カウンセラーと呼ばれる人たちに相談することも考えられます。初期の段階でカウンセラーに相談し、まずは気持ちの整理からスタートするのは良い選択肢と言えます。
しかし、中には、すぐに高額な弁護士や探偵を紹介したがるカウンセラーがいます。
もちろん、必要な人に対して質の高い専門家を紹介するのは適切な行為ですが、紹介してほしいと依頼もしていないのに強引に勧めてくる場合は要注意です。
NPO法人
離婚問題を扱うNPO法人があり、無料の電話相談などを行っています。NPOと聞くと無条件に善良な印象があり安心してしまうかもしれませんが、中には、弁護士や探偵が運営している団体で、相談をすると、高額な弁護士や探偵を無理に紹介してくる悪質なNPO法人があります。
そういった団体にかぎって、多額の費用がかかると思われるインターネット広告を多用したり、SEO対策にお金をかけていますので、検索をするとすぐにひっかかってしまいます。
どんなに強く勧められても断れる人はいいのですが、「早く証拠を取っておかないと後で不利になる」等と不安をあおられ、ついつい不要な契約をしてしまわないよう注意が必要です。
正確な知識を持っていること
親族や友人
身近なところで、身内や友人に相談する人もいます。確かに、一番最初の相談相手としては適切です。しかし、身内や友人が正確な知識を持っているとは限りません。
あなたがいうことに同調ばかりして、間違っていることを指摘してくれないかもしれませんし、離婚経験者の友人は自分の経験だけを基準にアドバイスをするかもしれません。
親族や知人への相談は、「愚痴を聞いてもらう程度」と割り切りましょう。
カウンセラー
夫婦問題カウンセラーや離婚カウンセラーの中には「自称カウンセラー」が少なくありません。正しい知識を持たないままに自分の離婚経験などから「人の役に立ちたい」とカウンセラーを自称する人たちがいます。
相談の際は、HPの内容や資格の有無を確認し、専門性が確かなカウンセラーに相談しましょう。
精神科や心療内科
眠れない、食べられない、すぐに涙が出るといった症状がある場合、まずは精神科や心療内科に受診し、投薬を受けるなど治療に専念することが必要です。
しかし、病院はあくまで治療する場所であって離婚の相談先ではありません。時折、心療内科の心理カウンセリングで離婚について相談し、的外れな方向に進んでしまう人がいますので、注意が必要です。
最初の相談窓口としておすすめの場所
次に、以上のような視点を踏まえて、お勧めの初期段階の相談場所を紹介します。
行政(市役所・区役所等)の相談先
地域によって名前は違いますが、「子ども家庭支援課」や「子育て支援課」など、家庭の問題を相談できる窓口があります。たとえば、東京都では「東京都ひとり親家庭支援センター」という機関が東京都のひとり親家庭の支援を一括して行っています。
また、区の単位でも区役所や男女平等参画センターなどで相談窓口が設置されています。
窓口対応をしている職員に専門性がなかったとしても、その人の抱える問題を的確に把握し、その問題に対する具体的解決策を持っている機関や窓口を紹介してくれます。
大抵の相談は一律に役所が実施している無料の法律相談につなげてしまうという自治体もありますが、ニーズに応じて就労支援を案内したり、民間の機関を紹介したりといったきめ細かな対応をしてくれる自治体もあります。
有料の法律相談
先ほど、弁護士事務所の無料法律相談は場合によって適切でない旨を記載しましたが、有料の法律相談(1時間1万円程度)は少し違う側面があります。
依頼につながらないとしても、お金をもらっている以上、相談時間の間は誠実に対応し、相談者の利益になるような情報を教えてくれることがほとんどです。
そのため、多少の費用はかかりますが、しっかりと対価を支払って、法律相談を受けることをお勧めします。
家裁の手続相談
家庭裁判所の手続相談も、意外と役に立ちます。確かに、「手続相談」ですので、法的な中身の相談は受けてくれません。しかし、あなたのそのお悩みであれば、この申立てができるとか、もしくは家裁で解決できる問題ではない、などの振り分けをしてくれます。
そのため、自分が今抱えている問題が、一体どのような種類の、どこで解決できる問題なのか、ということを知ることができます。
また、手続相談では、手続きの案内をするために、ある程度事情を聴きとらなければなりません。そのため、説明し終わったときには、他人に相談することであなた自身の考えが整理されていたり、気持ちが少し軽くなっているといった効果も期待できます。
カウンセラー
先ほどから、専門性がなくすぐに弁護士や探偵を紹介したがるカウンセラーは好ましくないと書いていますが、相談の初期段階でカウンセラーに相談すること自体は悪いことではありません。
なぜなら、離婚問題に悩み始めたころというのは、まだ考えがまとまっていなかったり、具体的な法的な疑問までは思い至っていないことも多かったりし、まずは気持ちの整理や方向性を決めることから始めるのが適しているからです。
そのため、専門性の高いカウンセラーで、やたらと弁護士や探偵を紹介したがらないカウンセラーであれば、相談先として適しています。
当センターでも離婚カウンセリングを実施しています。代表小泉もしくは家事調停委員経験者が担当しますので、安心してご利用ください。
効果的に相談するための工夫
夫婦の歴史や不和の経緯をまとめておく
大抵の場合、相談時間は1時間程度です。そのため、事前に夫婦の歴史や不和の経過を書面にまとめる作業をしておくことがお勧めです。
その書面を持参するか否かは別にして、まとめる作業を行うことで頭が整理され、相談時にスムーズに説明することができます。
聞きたいことを明確化しておく
何となく不安を抱えている、というだけではなく、その不安を解消するためにこんなことを知りたいといった具合に、具体的に聞きたい内容を明確化しておくと、何だか経緯を説明して、必要のないアドバイスを聞いて終わり、という事態を避けることができます。
具体的な質問が思い浮かばなかったとしても「私の状況で今しておかなければならないことは何か」といった漠然とした質問でも大丈夫です。
複数の相談先に相談する
いくつか適切だと思われる相談先を紹介しましたが、いずれの相談先であっても、複数人に相談をすることをお勧めします。
例えば、弁護士とカウンセラーでは、違う視点でアドバイスをしますので、違う知識が得られます。また、同じ弁護士であっても、驚くほど相談結果が異なることもあります。
そのため、ひとつの相談先ではなく、必ず時間をかけて複数の相談先にアクセスしましょう。
早期に相談する
夫婦の問題は、相談相手に困ってしまい、ついつい一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、解決までの時間が長引けば長引くほど、問題は複雑になり、紛争性が高まります。また、取れる選択肢が少なくなってしまったりもします。
そのため、早期の段階で相談機関につながることをお勧めします。
まとめ
離婚問題は生活を一変させてしまうほどの一大事です。そして、大抵の人は、人生で初めて離婚問題を抱えることになります。
そのため、心身ともに負荷がかかることが少なくありません。
ぜひ、周囲の友人に愚痴を聞いてもらうことから始め、必要に応じて早期に専門家に相談し、具体的な離婚協議の方法へと進んでいただければと思います。
もちろん、相談の結果、離婚ではなく修復を選ぶ人もいると思います。大切なのは、しっかりと考え、後悔のない選択をすることです。
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