離婚一般

海外駐在員が離婚しやすい2大理由と離婚手続

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家裁調査官時代も含め、海外駐在をしていた(もしくは赴任中)という夫婦の離婚をたくさん見てきました。赴任先の国も、ドバイ、ロシア、ドイツ、シンガポール、中国、台湾、タイ、インドネシアなどさまざまです。

駐在員といえば、エリート社員で将来有望、お給料もよく、楽しく裕福な海外生活を楽しんでいる幸せ夫婦、というイメージをお持ちではないでしょうか?しかし、みんながみんな、海外生活を楽しんでいるかというと一概にそうでもなく、幸せとは程遠いご夫婦もいました。

今日は、海外駐在夫婦が直面する「難しさ」について考察してみたいと思います。

   1 赴任後のメンタルヘルスの不調

1-1 赴任前から既に始まっているメンタルヘルス不調の予感

夫婦不和とうつ病企業の人事にいる友人によると、以前に比べ、海外志向の若者が減っているとのことです。10年前は、海外赴任の辞令をみんな誇らしい気持ちで受ける人が多かったけれど、今は「気乗りしないなぁ。」という若者が多いそうです。また、海外駐在が若年化しているそうで、以前より社会経験や人生経験の乏しい若者が海外に赴任しているようです。そのため、モティベーションが低く、メンタル耐性の弱い若者が海外の荒波にさらされることになるわけですから、既にメンタル不調の危険因子が揃い始めていることになります。そして、その分、そういった若い社員をサポートする上司層の駐在員たちの負担が増し、さらなるメンタル不調を呼び起こしているようです。

また、多くの場合、妻が夫の赴任について行くことになると思いますが、妻がキャリアウーマンだったりする場合、仕事を辞めてついて行かなければなりません。この時点で既に妻としては「私のキャリアをあなたのために諦めざるを得なかった。」という大きな負の感情を抱くことになります。専業主婦の場合、異国での生活や新しい環境に身を置くことに不安を感じたり、せっかく作り上げた友人関係を中断して渡航することを不満に思ったりするようです。
そして、夫は会社で語学研修や赴任前オリエンテーションなどを受けることが多いですが、妻たちを対象として赴任前オリエンテーションを行っている企業はまだまだ多くはありません。そのため、妻は不安や不満を抱いたまま、海外生活をスタートさせることになります。子どもがいる場合はなおさら大変です。妻としても、既に赴任前からメンタル不調の危険因子が揃い始めているのです。

1-2 異文化に適応できない

異国での仕事は想像以上に困難で、文化の違いや仕事の仕方の違いでストレスを感じやすいものです。外国人部下の働き方に驚きの連続、言葉の壁によるコミュニケーション不足など、枚挙にいとまがありません。特に最近中国駐在員に多いのが、異文化ストレス&飲酒によるうつ病発症です。中国の飲み接待は日本の比ではないようです。また、信頼していた外国人スタッフが突然やめてしまったり、挙句の果てには、ノウハウや技術を盗まれてしまったりと、日本では考えられない目に遭う方もいます。遅刻をしても悪びれない、こっちは目が回るくらい忙しいのに、現地社員はお菓子を食べながら談笑している、どんなに急ぎの仕事が入っていても、定時になれば帰ってしまう(かといって定時に出社するわけではない)、注意をすると逆切れする、上司を上司だと思わない、など日本人部下では考えられないような対応にストレスがたまったりもします。

一方、家に残される妻の方も、友達ができなかったり、言葉の壁があって生活に支障がでるなど、うつ病になりやすい要素があります。気候や治安の問題があって自由に外出できなかったり、子どもを外で遊ばせてやれなかったりするということもストレスにつながります。日本では5分でできていた病院の予約に1日かかったり、クーラーの修理を頼んだら約束の時間から3時間遅れてやってきた上に一言も謝らなかったとか、異文化にイライラするネタには欠きません。買い物に行っても、いつもの食材が見当たらない、治安が悪く、外出の間ずっと緊張を強いられる、すぐに電話をして何かを聞くこともできない、気晴らしにテレビでも見ようと思ってもNHKしか映らない、などストレスはたまるばかりです。小さいお子さんがいる場合、家でずっと子どもと向き合っていなければいけないしんどさも加わります。

1-3 夫の職務上のストレス

夫は、異文化という理由のほかにも、海外駐在員ならではの職務上の困難を抱えることになります。往々にして、日本にいたときよりも地位が上がり、管理する部下や業務が増えます。現地社員とのコミュニケーションがうまくいかず孤立したり、部下の仕事のやり方にイライラの連続だったりします。また、現地社員と日本本社との板挟みになってしまうこともあります。さらには、日本にいれば受けられていたはずのメンタルサポートが海外では受けられないこともよくあります。

ご相談の際に一番よく聞かれるのがこのお悩みです。営業職なのに、技術的な仕事まで任された(その逆もしかり)、日本ではやったことがない業務を任されたが、誰も聞く人がいない、前任者からの引継ぎができていない、現地の大変さを日本の会社が分かってくれず、逆に批判されたり、無理難題を言われたりする、何か失敗をしても理解してくれたりフォローしてくれる人がいない、数少ない日本人スタッフの間で浮いてしまった、など悩みは尽きません。その上、職場でイライラしたり、大変な思いで働いた挙句、家に帰っても気が休まらない、どこにいってもほっとする場所がない、という場合も多いようです。

1-4 妻が生活の中で感じるストレス

妻だって、異文化だけではない駐在生活ならではのストレスを抱えることになります。例えば、大企業にありがちなのが、「駐在妻社会」の息苦しさです。夫の会社での地位が妻たちの間でも適用され、夫の上司の奥様に気を遣わなければいけないなんてこともあります。そんな奥様たちとの付き合いはストレスにはなっても癒しにはなりません。また、本帰国時の送別会、出張者を自宅に招いての接待など、面倒なお決まりもたくさんあります。

日本にいたならば簡単に電話で愚痴を話せた両親や友人へのアクセスが遠のくこともストレスをためる原因になります。また、仕事を辞めて同行した妻たちは、目標を失ったと感じたり、閉鎖的な駐在妻社会に嫌気がさしたりします。

1-5 メンタル不調が招く夫婦不和

夫婦の双方がストレスを抱えて生活していると、自ずと衝突が増えるものです。相手を思いやったり、相手の様子を観察する余裕もなくなってしまいます。お互いが「自分はこんなに大変なのに・・。」と自分の辛さとそれを理解してくれない相手への不満を募らせることになります。

また、残念ながらそのストレスが原因でどちらかがうつ病になったとしても、やはり夫婦不和につながります。配偶者がうつ病になった場合、献身的に看病できる人もいますが、新型うつなどはそれが難しくなってきます。傍から見れば単なる「さぼり」に見えてしまったりします。そして何より自分にもストレスがあって余裕がありません。配偶者のメンタル不調が夫婦不和を招く例は決してまれではありません。
妻がうつ病になって妻だけ帰国、その後夫婦は物理的にも心理的にも離れたままの生活をすることになるかもしれません。また、夫がうつ病になって家族で帰国したとしても、夫の会社復帰がうまくいかなかったり、予定外の早期帰国で妻や子どもが気まずい生活を送ることになるかもしれません。

   2 駐在員は浮気しやすい?!

2-1 物理的に一緒に過ごす時間が少ない

駐在員は忙しいです。アジア諸国の中には、土曜日も出勤するのが当たり前な国もあります。 一方妻は、子どもの学校が長期休暇に入るたびに日本に一か月単位で帰国します。もちろん夫を現地に残したままです。 そうすると、一緒に過ごす時間が少なくなり、すれ違いが生じることになります。夫としても、長期間妻子がいないと、気の緩みや寂しさから現地の女性なんかと関係を持ってしまったりします。

2-2 飲酒の機会が多いのも浮気の原因

駐在は何かと飲酒の機会が多いものです。出張者が来たといっては飲み会、異業種交流といっては他社と飲み会、その他にも現地会社の接待を受けたり接待したり。特にアジアには必ずといっていいほど駐在員御用達のお店があって、片言でも日本語が話せる女性がいたりするものです。そんな店に入り浸っているうちに店の女の子とそういう関係になってしまったり、なんてことが起こります。

2-3 意外にも多い、妻の浮気

実は、駐在妻の浮気もあります。「海外でどうやって?」、「相手は外国人?」といろいろな疑問が湧いてくると思います。相手は、夫とは違う会社の駐在員だったり、日本語が話せるかかりつけ医だったり、もともと現地に住んでいて何でも力になってくれる日本人男性だったり様々です。

妻が浮気をしがちなシチュエーションもあります。夫が仕事で忙しく、家を開けがち。困ったことがあってもすぐには相談できない。そんなとき、力になってくれる男性が近くにいたら、ついつい頼ってしまいたくなります。また、寂しい気持ちを埋めるための浮気もあるかもしれません。また、欧米に駐在している場合、ただ単純に日本人男性よりかっこいいとか、愛情表現が豊かであるとか、レディーファーストをしてくれるとか、そんな単純な理由で現地の男性に惹かれることもあるようです。

   3 まとめ

そのほかにも、いろいろな原因があります。弊社では、海外に社員を派遣している企業のメンタルヘルスサポートも行っておりますが、多種多様なお悩みが聞かれます。相談できる人が少ない、すぐには帰国できないといった閉塞感や圧迫感。そして、思い通りにならない異文化の環境。大きなストレスとなる現地社員との関係。お子さんがいる夫婦は、お子さんの問題も加わります。遊ばせる場所がない、学校に適応できない、日本の勉強が遅れるのではという心配、友人になじめないようだ、などの心配が出てきます。

海外駐在といえば華やかなイメージがあるかもしれませんが、実はとても大変なのです。赴任前に生活上の注意点なんかをレクチャーする企業は多いと思いますが、夫婦関係について情報を提供してくれる企業はほとんどないといってもいいでしょう。事前に、「こんな落とし穴があるよ。」、「こんなことから夫婦不和になるかもよ。」なんていう情報があれば、幾分心の準備ができると思うのですが。

   4 離婚手続き

4-1 海外駐在中の別居

みなさんからよく聞かれるのは、海外駐在中の別居は「別居期間」として算入されるかどうかという質問です。決まった解答はないようですが、単に海外にいるので別居となり、帰国時にいったん家に戻ったりした場合は、別居期間として算入されないようです。一方、既に離婚の話し合いを始めるなど、夫婦不和が明らかになっていれば、夫婦不和による別居ということで、別居期間に入るようです。

また、海外赴任中の別居は、困難が伴うこともあります。多くは、夫が駐在国に残り、妻子が日本に戻ってくるパターンだと思います。しかし、既に日本の自宅を売り払っていたり、誰かに貸してしまっていたりして、戻る場所がないという事態になったりします。両親の家にも世話になれないとか、夫と同時の帰国でなければ社宅に入れないとか、様々な事情もあります。夫が別居に同意してくれれば、まだ何とかなります。しかし、夫の同意を得られない場合、無収入で自由になるお金が少ない妻が一人で帰国するのはそう簡単ではありません。子どもがいる場合はなおさらです。弊社では、帰国準備サービスを行っていますが、そのようなサービスを利用したり、日本にいる友人や両親に頼むなどして、賃貸物件を探しておいたり、子どもの転校の手続をすることが必要になってきます。

4-2 一度も帰国せずに離婚できるか

海外赴任者の中には、なかなかすぐに帰国が難しい方がいます。また、海外赴任ではなく、半永住的に海外に拠点を移しているけれど、籍は日本にあるというう方もいます。そのような場合、離婚のために帰国するのが難しく、「海外にいること」そのものが離婚の障壁として感じられたりします。

しかし、実は、協議離婚であれば、一度も帰国せずに離婚をすることができます。さらには、行政書士や弁護士に依頼すれば、海外にいながらにして公正証書を作成することもできます。

残念ながら、離婚調停や離婚裁判となると、一度も帰国せずに行うのは難しくなってきます。しかし、この場合も、弁護士に依頼すれば、ほとんど帰国することなく進行することはできます。ただ、離婚は、金銭的なやりとりのほかに、当事者の心情を扱う必要があります。そのため、弁護士に依頼し、代理で調停や裁判を行う場合も、メールなどで密に連絡をとり、自分の意思を確実に伝えておく必要があります。

弊社では、海外駐在員の方及びその奥様向けのサポートも行っております。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

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