離婚一般

二世帯住宅による嫁姑問題を回避して離婚を避ける方法

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離婚カウンセリングでは、「いつ頃から」、「何が原因で」夫婦の不仲が始まったのか、という話題になります。その際、不貞や借金の発覚、DVやモラハラなど、いろいろな理由が聞かれますが、意外と多いのが、舅姑との同居をきっかけとする夫婦不和です。

そもそも、妻が夫の両親と同居するのは、夫婦関係を良好に維持する上で、あまり好ましいことではありません。なぜなら、主に家事を担っている妻と、老後を自宅でゆっくり過ごす夫の両親の組み合わせは、どうしても一緒に過ごす時間が長くなってしまう上、摩擦を起こしやすいからです。

ただ、夫から両親との同居を頼まれたとき、一刀両断に断るのも妻として残念なような気もします。そのため、今日は、夫の両親との同居を乗り切り、いい関係を築くための工夫について紹介したいと思います。

同居の心構え

夫の両親とうまくいくと期待しない

今も昔も嫁姑関係は「うまくいかない」と覚悟しておいた方がいいでしょう。息子さんをおもちのお母さんは理解できると思いますが、姑としては、かわいい息子を取られたような気がしたり、いつまでも子離れできなかったりします。さらには、家事や育児をする上でも、何かと口を出したくなる姑と、放っておいてほしい妻とで確執が生まれたりします。「きっと、お義母さんとは仲良くなれるはず」という期待は最初から捨てましょう。

夫の両親はあくまで「夫の両親」。自分の親ではない

結婚すると、相手の両親のことを「おとうさん」、「おかあさん」と呼びます。しかし、呼び名はどうであれ、自分の親とは大きく違うという認識が必要です。夫の両親はあくまで夫の両親であり、実の親と同じ感覚で接しているとうまくいかないことが出てきます。実の親であれば許されるわがままや甘え、「言わなくても分かるでしょ。」という態度は通用しません。ある程度の節度と礼儀を持って接することや、感謝の気持ちや言いたいことをきちんと言葉にして伝えるということが必要です。

夫の両親を敬う

さきほど、夫の両親はあくまで夫の両親ということを書きました。しかし、けして夫の両親は自分の両親と違うから大切にしなくていいという意味ではありません。夫を産み育ててくれた大切な夫の両親です。もちろん、大事にしたり、敬う気持ちが大切です。また、世代の若いものとして、年長者を尊重する気持ちも大切だと思います。年を取ると、どうしても頭や体の機能が落ちてきます。できないことも増えてきます。しかし、そんな年長者を助け、敬う姿勢が必要ですし、そんなあなたを見て、きっとご主人も喜んでくれると思います。

とは言うものの、目の前にいる姑に優しい気持ちになれないこともあると思います。そんなときは、自分が姑の立場になったとき、子どもの配偶者にどのように扱ってほしいかを考えてみるといいかもしれません。

夫に「嫁姑関係がうまくいくかどうかは夫次第」という認識を持ってもらう

実際のところ、嫁姑関係がうまくいくかどうかのカギは夫が握っています。夫が素晴らしい夫で、妻がまったく夫に不満がない場合、自ずと姑に対しても優しい気持ちで接することができるものです。逆に、まったく姑とは関係のないことだったとしても、夫に不満が多いと、姑に対してもつらくあたってしまったりします。

また、嫁姑の間に不穏な空気が流れたとき、夫がどう立ち振る舞うかということも重要なポイントです。妻の前では妻を立て、姑の前では姑を立て、同時に双方の気持ちを代弁するような役割ができれば、嫁姑関係も改善されることと思います。

いい嫁を演じようとしない

最初から、姑によく思ってもらおうという気持ちを持たないことも大切です。よく思ってもらおうとすると、いつもより余計に掃除をしたり、料理をがんばったりしなければならず、疲れてしまいます。汚い部屋に入ってもらっても平気、店屋物を食べているところを見られても平気、子どもを怒鳴りつけているのを聞きつけられても平気、というくらいの心構えでいると、とても楽に接することができます。その上で、「これが私の精一杯です。こんな私を手伝ってくれると嬉しいです。」という態度を控えめにとるといいかもしれません。

また、姑にとっても、できないくせに「いい嫁・いい母」の振りをする妻よりも、できない姿をそのままさらし、できれば手伝ってという態度を見せる「できない嫁」の方がかわいかったりします。「もう、〇〇さんは仕方ないわね。」と言いながら、掃除や炊事を手伝ってくれるかもしれません。

言いにくいことは全部夫から言ってもらう

姑に何か言いにくいことがあれば、自分で言うのではなく、夫から言ってもらいましょう。もちろん、その際には、「妻がこう言っている。」という体ではなく、夫自身がそう思っているというニュアンスで伝えてもらうことが大切です。

どんなに気を付けていても、同居をしていると、どうしても改善しなければいけないことがでてきます。そのまま我慢していると、問題は深刻になる一方ですので、問題が小さいうちに、夫を介して解決しておきましょう。

同居の際の家の構造

どちらを2階にするかよく考える

通常、階段の上り下りの大変さを考えると、夫の両親が一階に、夫婦と子どもが2階に、というパターンが多いと思います。しかし、2階に住むというのは、想像以上に気を遣うものです。子どもがいるともちろんのこと、子どもがいなかったとしても、生活音が伝わっているのではないかと気になってしまったりします。姑が悪気なく「昨日は静かだったわね。どこかに出かけていたの?」なんて聞かれようものなら、「いつもはうるさいのかしら」とか、「でかけているかどうか毎日探られているのかしら」といろいろ気になってしまいます。また子どもの友人や、パパ友ママ友が遊びにきた際の音も気になってしまい、自由に人を呼べなくなってしまったりします。

階段の昇降が体や頭を健康に保つために役立つことも事実です。2階は大変という固定観念を捨て、よく話し合いましょう。

水回り、玄関は2つ作る

トイレ、お風呂、台所といった水回りは、生活の要であり、もめごとの種でもあります。例えば、お風呂に入る時間やお風呂の入り方、トイレの使い方など、意外と気になってしまったりします。そして、毎日繰り返されることなだけに、一度気になると、とてもしんどかったりします。そのため、争いのもとになる要素を最初から取り除くという意味でも、広さの問題があるとは思いますが、水回りは2つずつ作りましょう。

また、玄関先を2つ作るかどうかも問題です。最近の二世帯住宅は、玄関が二つあるのが普通です。ただ、もともと親が住んでいた住宅を改築する形で同居する場合、構造上、玄関を二つ作るのが難しかったりするようです。しかし、玄関が一つというのは、かなり深刻な問題です。自宅の出入りを把握されるストレスは想像以上に大きく、また、家の顔である玄関を好きにできないというのも、我が家であるという感覚が希薄になってしまったりします。

防音はしっかりと

どちらが2階に住むにしろ、防音処置をしっかりとしておくことをお勧めします。生活音が聞こえるということはとてもストレスフルです。毎日、音を気にして生活することを考えれば、防音にかかる費用は安いと思わなければなりません。

同居生活のルール作りが肝心

食事に関するルール

食事は生活の基本中の基本です。食事の度に気まずい思いをしたり、食事そのものがつらい時間になってしまうと、メンタルヘルスに大変よくありません。そのため、食事に関するルールを決めておくのが大切です。

まず、基本的には、平日も休日も別々に食事をするというスタンスがお勧めです。その上で、時には一緒に食べたり、作った料理を差し入れし合ったりという「例外」を差し挟むのがいいでしょう。

毎週何曜日は一緒に食べるとか、週末は一緒に食べるというように、固定化してしまうとしんどくなります。あくまで基本は別、例外的に一緒に、というスタイルを貫きましょう。

休日に関するルール

姑世代にしてみれば、休日は「空いている時間」と考えてしまいがちです。しかし、特に、妻が仕事を持っている場合、休日は朝寝坊のチャンスであり、家事をまとめて片付ける必要もあります。そのため、待ち構えていたように、「今日は〇〇に行かない?」とか「今日は外食しましょう」と誘われてしまうと、窮屈に感じたり、しんどかったりします。

そのため、休日は、平日以上に放っておいてほしいこと、できれば家屋内の行き来もしてほしくないことを夫から姑に伝えておいてもらいましょう。

家屋内の行き来のルール

外向きの玄関はそれぞれ別にあっても、家屋内にお互いが行き来できるドアがあるのが通常です。しかし、いつでも、自由にそのドアが開けられると思うと、とてもストレスフルで、いっそ鍵でもかけられないものかと思ってしまったりもします。

一方、小さい子どもがいる場合などは、一旦外に出なくても、自由に行き来できる構造は大変便利でもあります。そのため、夜何時以降は行き来しないとか、休日は朝何時までは開けてほしくないといったルールをあらかじめ作っておきましょう。

関係が悪化しかけたときの修復の方法

距離と時間を置く

いろいろと心構えをしたり、ルールを作ったりしても、どうしたって問題が発生することがあります。そんなときは、距離と時間を置くことも大切です。といっても、なかなかそれが難しいのが二世帯住宅の辛さだったりもします。そのため、積極的に外に出かけて自宅で過ごす時間を減らしたり、顔を合わせない時間を重ねることで気持ちが楽になったりします。

子どもを仲介にする

妻と姑の仲が難しかったとしても、孫はまた別だったりします。また、孫の教育で姑といさかいが起こることもありますが、仕事を持っている妻にとっては、姑が子どもの面倒を見てくれたり、自分が不在のときにご飯を食べさせてくれるだけでとても助かったりします。関係がうまくいっていないときは、直接自分がかかわるのではなく、子どもを遊びに行かせたり、預かってもらったりして、子どもを介した関係を保つのも一つの方法です。

相談相手を持つ

嫁姑関係に問題があると、自宅にいても気が休まらないということになり、精神的に参ってしまうことがあります。そうなると、姑との関係修復どころではありません。ママ友でも会社の同僚でもいいので、だれかに姑の愚痴を言ったり、悩みを聞いてくれる相手を持ちましょう。ちょくちょくガス抜きができれば、姑との関係も修復不可能なまでに悪化することはないでしょう。

メリットへの焦点化

二世帯住宅で嫁姑関係がうまくいかない場合、夫婦と子どもが転居するという方法もあります。しかし、この場合、夫には何となく納得いかない気持ちが残ったり、親を大事にしてもらえなかったという不満につながり、最終的には夫婦の関係がうまくいかなくなってしまうことがあります。また、妻一人(もしくは妻と子ども)が家を出るという方法もありますが、この場合、より離婚に近くなってしまいます。本来、嫁姑関係と夫婦の問題は別のはずですが、実際には密接に関係しており、夫婦仲を悪化させる原因になってしまうのです。

今回はあまり注目しませんでしたが、二世帯住宅はメリットもあります。特に、仕事を持っている妻にとっては、大変心強いサポートだったりします。是非、さまざまな工夫や覚悟でハッピーな二世帯住宅ライフを送っていただきたいと思います。

 

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