以前、駐在夫婦の離婚が多いということをブログに書きました。
その中でも触れましたが、駐在生活は、その華やかなイメージと違って、ストレスの宝庫なのです。
今日は、そんなストレスの中でも、キャリアをストップして夫の駐在に同行した駐在妻の「自己実現の問題」にスポットを当てたいと思います。
最初のお悩み
まず、妻としては、夫の駐在に同行するかどうか、という選択に迫られます。
子どもがまだ小さかったりすると、「家族は一緒にいた方がいい。」という判断から、自分のキャリアを諦める人もいます。
また、夫に「ついてきてほしい」と頼まれ、断れなかったという人もいました。
同行すると決めた後も、自分の会社に迷惑が掛からない辞めどきはいつか、子どもの学校の関係はどうかなど、悩みの種は尽きません。
このように、妻の悩みは、日本にいるときから、既に始まっているのです。
しかし、駐在前の妻に対するサポート体制が厚い企業はほとんどありません。駐在社員の帯同者に対する渡航準備セミナーを実施している会社もありますが、かなりの少数派です。
まだまだ駐在前のサポートが間に合っていないのが現状なのです。
駐在初期の悩みば
駐在妻のストレスや不安の第一マックス期は、海外駐在開始直後です。
言葉が通じない不安、治安の問題、カルチャーショック、日常の買い物にさえ困る不便さなど、挙げればきりがありません。
また、駐在直後は悩みを相談できる相手もいません。
「頼みの綱」の夫も、接待や出張で家を空けがちです。
そのため、駐在妻は大きなストレスや悩みを抱えることになります。
慣れてきたころの悩み
駐在生活も数か月を過ぎると、段々と慣れてきます。
また、友人もできたりして、それなりに楽しく過ごせます。
特に、アジア地域は、まだまだ日本より物価が安く、豪華な外食をする贅沢や、買い物をする楽しみもあります。
そのため、駐在妻生活をエンジョイできる人も増えてきます。
しかし、時期を同じくして、「虚しさ」を感じる人も出てきます。
それが、働かないことへの疑問やストレスです。
贅沢な外食も、ショッピングやお友達との楽しい時間も、無制限で毎日楽しめるとなると、飽きてしまいます。
しかし、それしかやることがないのですから、飽きて楽しめなくなってきても、同じような毎日を繰り返すしかないのです。
そんなときに思い出すのが、仕事をしていたころの充実感です。
仕事をしていると、求められる喜び、何かを完成させる達成感、努力の対価として手にする報酬、そんな喜びがあります。
しかし、キャリアをストップして夫に同行した駐在妻は、自分を社会的に評価し、承認してくれる存在がいなくなり、虚無感を抱くようになるのです。
そして、このままでいいのか、こんな生活を続けていていいのかと、漠然とした不安や疑問にもやもやするのです。
帰国前後の悩み
また、帰国直前もストレスフルです。
例えば、帰国後は働きたいと考えていても、実際に何から始めていいか分からなかったりします。
また、調べようにも、日本にいないハンデは大きく、情報不足が否めません。
いざ帰国した後も、環境の変化や一からの人間関係作りに疲れてしまいます。
数年のブランクを抱え、思うように就職活動も進まず、「私は社会にとって用無しの人間になってしまったのでは」と落ち込んだりもします。
そんな時でさえ、自分のことにだけ構っていればいいのではありません。
帰国前後は、妻だけでなく、家族全員が同じようにストレスフルですので、そのサポートも求められます。
そのため、妻としても自分のことに全力投球できず、歯がゆい思いをすることもあるのです。
ずっと続く悩み
多くの駐在員にとって、海外赴任は一度きりの話ではありません。
数年後には、時には連続で、また別の国への赴任が予想されます。
そのため、妻が選択できる仕事は限られてくるのです。
せっかく能力があるのに、せっかくやる気があるのに、いつまた辞めなければならなくなるか分からない。
そんな事情から、正社員として働くことを諦め、いつでも辞められる、いつでも誰にでも代わってもらえる仕事しか選べないという悩みがつきまとうのです。
まとめ
今回は、キャリアをストップして夫の駐在に同行した妻に焦点を当てましたが、専業主婦だって同じことが言えます。
日本にいたとき、「母」や「妻」という役割しか持っていない人はあまりいません。
地域や友人たちとつながりながら、つまり、いろいろな役割を担いながら生活しているのです。
しかし、そのつながりを全て断ち切り、「妻」や「母」という役割しかない世界に身を置くのは、とても不安が伴ったりします。
不安と同時に、虚しさや無力感にさいなまれたり、自分の存在意義に疑問を感じる人もいます。
そして、そんな虚しさから、夫に対して「自分だけ活躍して…」とか「誰も私の気持ちを分かってくれない」と不満を持つに至るのです。
しかし、仕事も諦め、幸せな家庭も諦め、では残念すぎます。
仕事でも、ボランティアでも、子どもの学校の役員でも、何でもいいのです。
なりたい自分になることを諦めず、是非、駐在妻なりの活躍の仕方を探して欲しいと思います。
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