家族のためのADRセンター業務規程

章 総則

(目的)
1 この規程は、家族のためのADRセンター(以下「センター」という。)において実施する民間紛争解決手続の業務に関し基本的事項及び手続的事項を定め、センターの適正な業務運営を図ることを目的とする。

(趣旨)
2 センターは、以下の分野に関する紛争について、当該紛争の当事者(以下「当事者」という。)の申立てに基づき、家庭問題の分野に専門的知見を有する者が調停者(当該紛争の解決のために合意の仲介を行う手続実施者をいう。以下同じ。)となり、当事者の主体性を尊重しつつ、話合いをもとに、公正かつ迅速な解決を図る手続(以下「調停手続」という。)を行う。

 ⑴ 婚姻関係の維持又は解消(養育費、財産分与及び婚姻費用等の経済的紛争を含む。)に関する紛争及び子の監護(監護者の指定、子の引渡し、親権者指定及び面会交流等)に関する紛争       
 ⑵ 相続に関する紛争
⑶ 親族間における感情的対立や親などの財産の管理に関する紛争
⑷ 内縁関係に関する紛争
⑸ パートナーシップに関する紛争
⑹ 婚姻前の男女関係に関する紛争
⑺ 不貞に対する慰謝料に関する紛争                                                                           

(センター長)
第3条 
センターに、センター長1人を置く。
2  センター長は、センターを代表し、業務を統括する。
3  センター長は、センター職員であり、かつ、次の各号のいずれにも該当する者を、事業主が任命する。
⑴ センターの事業の運営に関し公正な判断をすることができ、かつ、調停手続に関して優れた識見を有する者であること。
⑵ 家庭裁判所調査官の経験又は弁護士資格を有する者であること。
4 センター長の任期は2年とする。ただし、再任することを妨げない。

(事務担当職員)
第4条 
センター長は、調停手続に関する事務を処理させるため、事務担当職員を置くことができる。
2  事務担当職員は、センター職員のうちから、センター長が任命する。
3  事務担当職員は、センター長の指揮監督を受けて、この規程に定めるもののほか、センター長から指定を受けた事務を処理する。

第2章 通則

(業務を行う日及び時間)
5条 センターの業務を行う日及び時間は、月曜日から日曜日までの午前9時から午後8時までとする。ただし、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、年末年始(12月29日から1月3日までの日)その他センターが指定する日は業務を行わない。

(業務を行う場所)
第6条 センターは東京都港区に事務所を置く。
2  センターの業務は、センターの事務所の所在地において行う。
3  前項にかかわらず、調停手続の期日については、別途指定する場所において行うものとする。

(非公開原則)
7 調停手続は公開しない。ただし、センターが行う研究又は研修の資料として活用するため、終了した調停手続の概要(当事者の氏名及び紛争の内容が特定されないようにすることその他当事者等の秘密保持に配慮した措置を講じたものに限る。)を印刷物の配布その他の方法により公表することができる。

(秘密保持)
第8条 
事業主及びセンター職員(調停人を含む)は、正当な理由なく、紛争の内容、調停手続の経緯及び結果その他調停手続に関し知り得た事実を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
2 センター長は、センター職員に対し、第1項の規定を遵守させるため、調停手続に関する研修その他必要な措置を講じるものとする。

(不当な影響の排除)
第9条 
事業主及びセンター職員は、調停者に対し、法令、この規程その他調停手続に関する定めを遵守させる場合のほかは、調停者が調停手続の実施に当たり独立して行う職務に関し、直接又は間接に命令若しくは指示をし、又は不当な関与をしてはならない。
2  調停者は、調停手続に関し、法令、この規程その他調停手続に関する定めを遵守するとともに、独立して行うべき職務に関し何人からも命令又は指示を受けず、中立性を保持しつつ公正にその職務を行わなければならない。
3  第24条に基づき選任された担当調停者(申立てに係る紛争の解決をするのにふさわしい者で、かつ公正性を疑わせる事情のない者をいう。以下同じ。)は、当事者その他の者から不当な働きかけがあった場合は、センター長に直ちに報告しなければならない。
4  センター長は、前項に規定する報告を受けたときは、直ちに不当な働きかけをした者に対し、不当な働きかけをしないよう勧告するものとする。               
5  センター長が前項の規定による勧告をしたにもかかわらず、なお調停者に対して不当な働きかけがある場合は、センター長は、調停手続の終了を決定するものとする。
6  センター長は、公正な調停手続が実施される体制の確保に努め、調停者の候補者(以下「候補者」という。)が第16条で規定する候補者名簿に登載された後、速やかに当該候補者との間で、第2項の規定を遵守することを約する合意書を取り交わすものとする。


(代理人)
第10条  
停手続の代理人は、弁護士その他法令により調停手続上の行為をすることができる者でなければならない。ただし、センター長(担当調停者を選任した後にあっては当該担当調停者。以下この条及び次条第1項において同じ。)は、当事者の権利利益の保護及び調停手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるときは、これら以外の者を代理人とすることを許可することができる。
2  センター長は、前項ただし書の規定により許可された代理人が、当事者の権利利益を害し、又は調停手続の円滑な進行を妨げるおそれがある事由があると認めるときは、当該許可を取り消すことができる。
3  当事者は、代理人を選任したときは、速やかに、その代理権を証する書面をセンター長に提出しなければならない。

(補佐人)
第11条
 センター長は、当事者の権利利益の保護及び調停手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるときは、補佐人を当事者又は代理人とともに、調停手続の期日に出席させることを許可することができる。
2  補佐人は、出席した調停手続の期日において、担当調停者の許可を得て陳述することができる。この場合において、その陳述は、当事者又は代理人が直ちに取り消さないときは、当事者又は代理人が自らしたものとみなす。
3  前条第2項の規定は、第1項の規定により補佐人の出席を許可した場合について準用する。

(調停手続の通知)
第12条
 調停手続に関する通知は、第20条第3項、第22条第1項、第23条第5項、第30条第6項、第34条第3項及び第35条第5項(第36条第3項、第37条第3項及び第38条第4項において準用する場合を含む。)の規定により配達証明郵便又はこれに準ずる方法により当事者に通知するとしているものを除き、口頭による告知、普通郵便、ファクシミリ、電子メールその他通知の性質に応じた適宜の方法により行うものとする。
 なお、配達証明郵便に準ずる方法として、電子メールを用いる場合、通知の相手方に到達(相手方が当該メールを受信した上、開封することをいう。以下同じ。)の事実及びその日時を電話等により確認し、その旨を適切に記録化する方法若しくは通知の相手方に到達した旨及びその日時を確認することのできる内容の電子メールを通知の相手方から受信する方法( 以下、電子メールによるこれらの方法を単に「電子メールによる重要な通知」という。)又はこれらに準ずる方法により行う。
 電子メールによる重要な通知を用いる場合、テストメールの送信その他の方法により、送信先の電子メールアドレスが通知の相手方のものであって、当該通知の受領等に用いることができるものである旨を事前に確認する措置を講ずる。
2 配達証明郵便で送付する方法により当事者に通知するとしているもの以外の通知について、当該通知をした者は、その通知を受けた者(電話による通知にあっては、通話者の氏名及び通知を受けるべき者との関係を含む。)、通知の内容、方法及び年月日を記載した書面を作成して、センター長に提出しなければならない。
3 センター長は、前項の規定により提出された書面を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(資料の取扱い)
13 調停手続に関し提出された資料は、返還しない。
2 センター長は、調停手続に関し提出された第19条第1項に規定する調停申立書及び第23条第1項に規定する調停手続意向確認書を手続実施記録に編綴し、保存するものとする。それ以外の提出資料は、手続終了後に破棄するものとする。
 なお、調停申立書及び調停手続意向確認書が電磁的記録にて提出された場合、これを第41条4項に従って保存する。

(助言弁護士)
14 センター長は、担当調停者が調停手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするため、特定の法律事務所との間で担当調停者に助言をする弁護士(以下「助言弁護士」という。)を選任すること、助言の方法その他助言に関し必要な事項を約する契約を締結するものとする。

第3章 調停者候補者

(調停者の候補者)
第15条
センター長は、候補者をセンター職員であって次のいずれかの資格又は経験を有する者から選任する。選任にあたっては、センター長が面接を行い、候補者の専門性を考慮した上で、担当する紛争の種類を決定する。ただし、第2条第1項記載の4から7の紛争類型については、弁護士から選任する。
⑴ 家庭裁判所調査官として5年以上の勤務実績を有する者
 ⑵ 家事調停委員として3年以上の勤務実績及び延べ300回程度の調停経験を有する者
 ⑶ 弁護士                                                               2  前項の規定にかかわらず、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、候補者となる資格を有しない。
3  候補者の任期は、任命の日から2年とする。ただし、再任を妨げない。

(候補者名簿)
16 センター長は、候補者の氏名、資格、専門分野その他センター長が別に定める事項を記載した候補者の名簿(当該名簿に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下「候補者名簿」という。)を作成し、センターに備え置くものとする。
2 センター長は、候補者について、前条第2項に規定する事由の有無を定期的に、及び随時確認し、その結果に基づき、候補者名簿の記載の変更その他の必要な措置を講じるものとする。

第4章 調停手続

第1節 調停手続の実施の依頼等

(調停手続)
17 当事者は、センターに調停手続の申立てをすることができる。

(調停手続の説明)
第18条
センターは、調停手続を申立てようとする者(以下、申立てをした者も含めて「申立人」という。)に対して、調停手続を実施する契約を締結するまでに、次の各号に掲げる事項を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して、当該各号に掲げる事項を説明するものとする。なお、電磁的記録を提供した場合であって、当事者から書面の交付を求められた場合には、書面を交付して説明をするものとする。
⑴ 担当調停者の選任に関する事項  
⑵ 当事者がセンターに納付する費用に関する事項
⑶ 調停手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行
⑷ 調停手続において陳述される意見若しくは提出され若しくは提示される資料に含まれ、又は期日調書及び手続実施記録に記載されている当事者又は第三者の秘密の取扱いの方法
⑸ 当事者が調停手続を終了させるための要件及び方式
⑹ 担当調停者が調停手続によっては当事者間に合意が成立する見込みがないと判断し         たときは、速やかに調停手続を終了し、その旨を当事者に通知すること
⑺当事者間に合意が成立した場合には、合意書を作成すること及び当該合意書の作成者、通数その他当該合意契約書の作成に係る概要
⑻ 特定和解(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第2条第5号に規定するものをいう。)の成立により調停手続が終了した場合における当該手続に係る手続実施記録の保存期間並びに当該手続実施記録の閲覧及び謄写又は複写に関する手続の有無及びその概要
2 センターは、申立人以外の当事者(以下「相手方」という。)に対しても、調停手続を実施する契約を締結するまでに、前項に規定する説明をするものとする。
3 事務担当職員は、第1項又は第2項に規定する説明をしたときは、当事者から、当該説明を受けた旨を記載した書面(ファクシミリ装置又は電子メールにより送信される通信内容の記録を含む。)を受け取るよう努めるものとする。
4 前項に規定する書面の受け取りに代えて、電話により、第1項又は第2項の説明を受けた旨を聴取することができる。この場合において、事務担当職員は、聴取の内容及びその年月日を記載した書面を作成し、センター長に提出するものとする。
5 センター長は、前項の規定により提出された書面を手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(調停手続の申立て)
第19条
調停手続の申立ては、次の各号に掲げる事項を記載した調停申立書(以下「申立書」という。)をセンターの事務所に提出する方法、もしくは申立フォームに入力した必要事項の電磁的記録を送信する方法によらなければならない。
⑴ 当事者の氏名、住所及び連絡先
⑵ 代理人を選任した場合は、その氏名、当該代理人の資格、連絡先及び住所
⑶ 申立ての趣旨(求める結論)
⑷ 紛争の要点
2
 申立人は、申立てに係る調停手続の実施に関し参考となる資料がある場合には、これを申立書とともに、センターに提出することができる。
3 申立人は、申立書を提出するときは、別に定める手数料を納付しなければならない。
4 事務担当職員は、調停手続の申立てが第1項から前項までの規定に従っていないときは、相当の期間を定め、その期間内に補正すべきことを求めることができる。この場合において、事務担当職員は、補正を求める旨、その内容、その年月日及び補正期間を記載した書面を作成し、センター長の承認を得て、当該書面を申立人に交付しなければならない。

(申立ての受理又は不受理)
第20条
センター長は、前条の規定に適合した調停手続の申立てがされたときは、次の各号のいずれかに該当するときを除き、これを受理するものとする。
⑴ 申立てが不当な目的によるものであり、これを受理することが第2条の規定の趣旨に反することとなるとき。
⑵ 申立てに係る紛争が第2条に記載された範囲に関する紛争ではないとき。
⑶ 申立てに係る紛争が調停手続に適さないと認められるとき。
⑷ 前条第4項の規定により申立ての補正を求めたにもかかわらず、申立人が当該補正をしないとき。
2 センター長は、申立書が提出されたときは、速やかに申立ての要件の具備及び前項各号に規定する事由の有無を審査して、当該申立てを受理し、又は不受理とする決定をしなければならない。
3 事務担当職員は、センター長が前項の規定により申立てを受理し、又は不受理とする決定をしたときは、速やかに申立人に対し、決定の内容(申立てを不受理とした決定にあってはその理由の要旨を含む。)及びその年月日を記載した書面を作成し、配達証明郵便又はこれに準ずる方法により通知しなければならない。
4 事務担当職員は、申立てを不受理とした決定を通知するときは、申立書(前条第2項に規定する資料を含む。以下この項において同じ。)を前項に規定する書面とともに、申立人に送付して返還する。この場合において、事務担当職員は、申立書の写しを作成して、手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(調停手続の開始)
21 調停手続は、前条第2項の規定によりセンター長が申立てを受理する決定をした時に開始する。

(相手方への確認)
第22条
事務担当職員は、センター長が申立てを受理する決定をしたときは、次の各号に掲げる事項を記載した書面を作成し、速やかに配達証明郵便又はこれに準ずる方法により相手方に通知しなければならない。
 ⑴ センターに調停手続の申立てがあったこと及び当該申立てを受理する決定をしたこと
 ⑵ 申立人の氏名
 ⑶ 申立てに係る調停手続の実施を依頼するかどうかの回答を求める旨及び回答期限
2
 前項に規定する書面には、申立書の写し、第18条第1項に規定する書面及び次条第1項に規定する調停手続意向確認書の書式を表示した書面を添付しなければならない。ただし、センター長が申立書の写しの添付を不適切と判断した場合はこの限りではない。
3 第1項第3号に規定する回答期限は、第1項及び第2項に規定する書面が相手方に到達した日から10日とする。 
4 申立書が電磁的記録で提出された場合、第1項の通知は電子メールによる重要な通知の方法によって行う。なお、申立人が希望した場合又は前項の回答期限までに相手方より何ら連絡がなかった場合においては、第1項の通知は配達証明郵便又はこれに準ずる方法により行う。

(相手方の依頼等)
第23条
相手方のセンターに対する調停手続の実施の依頼は、次の各号に掲げる事項を記載した調停手続意向確認書(以下「意向確認書」という。)を提出する方法によるほか、電話、ファクシミリ又は電子メールにより次の各号に掲げる事項をセンターに通知する方法によってすることができる。
⑴ 相手方の氏名
⑵ 調停手続の実施を依頼する旨
⑶ 代理人を選任したときは、当該代理人の氏名及び資格(弁護士その他法令により調停手続上の行為をすることができる者以外の者を代理人として選任したときは、相手方との関係を含む。)
⑷ 相手方の意向
2 相手方は、意向確認書を提出するときは、別に定める手数料を納付しなければならない。
3
 センター長(担当調停者が選任された後は当該担当調停者)は、調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、相手方に対し、申立てに係る紛争についての意見、反論その他当該申立てについての相手方の主張を記載した書面及びその主張を基礎付ける資料の提出を求めることができる。
4 相手方が調停手続の実施を依頼しない旨の回答をしたとき又は回答期限までに調停手続の実施を依頼しないときは、センター長は、調停手続を終了する決定をするものとする。この場合において、事務担当職員は、速やかに、調停手続を終了する決定をした旨、その理由及び年月日を記載した書面を作成し、配達証明郵便又はこれに準ずる方法により申立人に通知するものとする。
5 第20条第4項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

第2節 調停者の選任

(担当調停者の選任)
第24条
 センター長は、前条第1項に規定する方法により相手方からあったときは、候補者名簿に記載されている者のうちから、担当調停者を1人選任する。ただし、センター長が事案の内容等からみて相当と認めるときは、2人以上の担当調停者を選任することを妨げない。
2 担当調停者として選任された候補者は、特別の支障がある場合を除き、受任を拒んではならない。
3 センター長は、担当調停者に対し、申立ての内容及び当事者の状況を説明し、関係書類を添えて、調停手続の実施を依頼する。
4  事務担当職員は、センター長が第1項の規定により担当調停者を選任したときは、当該担当調停者の氏名を当事者に通知しなければならない。また、選任した担当調停者が、申立てに係る事案について、どちらか一方の当事者のカウンセリングを担当していた場合は、他方の当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
5 センター長は、第1項の規定により弁護士以外の担当調停者を選任したときは、速やかに申立書の写しを第14条に規定する特定の法律事務所に送付し、又は申立書の電磁的記録を参照できる形にし、当事者との利害関係その他調停手続の公正な実施を妨げるおそれのない弁護士を助言弁護士として指名するよう依頼し、指名された者を担当助言弁護士として選任しなければならない。

(担当調停者の除斥)
第25条
 センター長は、次の各号のいずれかに該当する候補者を担当調停者に選任してはならない。
⑴ 候補者又はその配偶者若しくは配偶者であった者が当事者であるとき、又は申立てに     係る事案(以下この項において「事案」という。)について当事者と共同権利者、共    同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。
⑵ 候補者が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
⑶ 候補者が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人であるとき。
⑷ 候補者が事案について証人又は鑑定人となったとき。
⑸ 候補者が事案について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。
2 事務担当職員は、センター長が前条第1項の規定により担当調停者として選任しようとする候補者に対し、前項各号に掲げる事由について、あらかじめ電話その他適宜の方法によりその該当の有無を確認しなければならない。
3 担当調停者は、第1項各号に掲げる事由のいずれかに該当することとなったときは、直ちにセンター長にその旨を報告しなければならない。

(担当調停者の忌避)
第26条
 当事者は、担当調停者に調停手続の公正な実施を妨げるおそれがある事由があると認めるときは、当該担当調停者の忌避を申出ることができる。
2 前項に規定する忌避の申出は、次の各号に掲げる事項を記載した書面をセンターに提出してしなければならない。
⑴ 忌避を申出る者の氏名
⑵ 忌避の対象となる担当調停者の氏名
⑶ 忌避を申出る理由
3
 担当調停者は、調停手続の公正な実施を妨げるおそれのある事実があるときは、速やかにその事実を当事者に開示するとともに、開示した旨及びその内容をセンター長に報告しなければならない。
4 当事者は、担当調停者から前項に規定する開示を受けたときは、やむを得ない事情がある場合を除き、開示を受けた日から14日以内に忌避の申出をしない限り、開示を受けた事実に基づいて忌避を申出ることはできない。
5 事務担当職員は、第2項に規定する書面がセンターに提出されたときは、速やかに忌避の申出があったことを当事者(忌避を申出た者を除く。)に通知しなければならない。
6 センター長及び事務担当者は忌避の申出の理由を審査し、当該申出を認めるかどうかを決定の上、速やかに当該決定の内容を当事者に通知しなければならない。
7 第5項から前項までの規定にかかわらず、センター長は、すべての当事者から第2項に規定する書面が提出されたときは、担当調停者を解任するものとする。

(担当調停者の辞任)
第27条
 担当調停者は、正当な理由があるときは、センター長の承認を得て辞任することができる。

(担当調停者の解任)
第28条
 センター長は、第26条第7項に規定する場合のほか、次の各号のいずれかに該当するときには、担当調停者を解任する。
⑴ 第25条第1項各号に規定する事由のいずれかに該当することが判明したとき(第25 条第3項に規定する報告を受けたときを含む。)。
⑵ 第26条第6項に規定する決定の内容が忌避の申出を認めるものであったとき。
⑶ 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えられないと認めるとき。
2 センター長は、担当調停者を前項第3号の規定により解任するときは、当該担当調停者に弁明の機会を与えなければならない。

(後任調停者の選任)
第29条
 センター長は、第26条第7項及び前条第1項の規定により担当調停者を解任したとき並びに第27条の規定により担当調停者の辞任を承認したときは、第24条第1項の規定に従い、後任の担当調停者を選任しなければならない。
2 第24条第2項から第5項までの規定は、前項の規定により後任の担当調停者を選任した場合について準用する。

第3節 調停手続の進行

(調停手続の期日等)
第30条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

⑴ 面談調停:双方の当事者及び手続実施者が、指定された場所に出頭により出席し、面談の方法にて実施する調停手続の方法をいう。
⑵ オンライン調停:双方又は一方の当事者及び手続実施者が、ウェブ会議システム等(インターネットを介した映像及び音声の送受信により、手続実施者が、双方又は一方の当事者の状態を認識しながら通話することが可能なシステムをいう。)を利用して期日に参加し、ウェブ会議システム等を利用して期日を実施する調停手続の方法をいう。
⑶ 同席調停:双方の当事者の同席又はウェブ会議システム等の利用により、双方の当事者が議論できる状態で行う調停手続をいう。
⑷ 別席調停:一方の当事者を退席(オンライン調停の場合には、ウェブ会議システム等の機能を用いて、調停手続の映像及び音声が認識できず、かつ、自らの発言や映像が調停手続に反映されない状態にすることをいう。)させた状態で、他方の当事者から主張及び意見を聴き、次いで、他方の当事者を退席させた状態で、一方の当事者の主張及び意見を聴くことを必要な範囲で繰り返す方法による調停手続をいう。
2 調停の期日における調停手続の方法は、面談調停又はオンライン調停とする(オンライン調停の場合には、調停場所は、手続実施者が現に所在する場所をいうものとする。以下同じ。)。
3 オンライン調停の場合には、別に定めるオンライン調停運用規則を遵守しなければならない。
4  オンライン調停により期日に参加した者は、当該期日に出席したものとみなす。
5 第1回の調停手続の期日を開く日時及び場所は、センター長が当事者及び担当調停者の日程を調整して決定する。この場合において、事務担当職員は、決定した期日の日時及び場所を記載した書面を作成し、又は同書面と同様の内容を記載した電子メールを作成し、特別の事情がある場合を除き、当該期日を開く日の7日前までに当事者に送付、又は送信しなければならない。
6 第2回以降の調停手続の期日を開く日時及び場所は、期日において担当調停者が当事者の日程を調整して決定し、当該期日における口頭による告知によって通知する。この場合において、第8項ただし書の規定により一方の当事者が欠席した状態で期日を開いたときは、事務担当職員は、当該一方当事者に対して、次回の期日を開く日時及び場所を記載した書面を作成し、又は同書面と同様の内容を記載した電子メールを作成し、送付又は送信するものとする。
7 対面調停の期日を開く場所は、センターのカウンセリングルームとする。ただし、担当調停者が調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、双方の当事者の同意を得て、センターのカウンセリングルーム以外の場所で期日を開くことを妨げない。
8 調停手続の期日は、双方の当事者が出席しなければならない。ただし、次の各号に掲げる場合であって、担当調停者が当事者間の衡平を害しないと認める場合に限り、当該各号に規定する一方の当事者が欠席した状態で調停手続の期日を開催することができる。
⑴ 一方の当事者が調停手続の期日に出席すると回答したにもかかわらず、無断で当該期日に欠席した場合
⑵ 一方の当事者が、あらかじめ、他方の当事者のみが出席した状態で調停手続の期日を開くことについて同意している場合
9 前項ただし書の規定により一方の当事者が欠席した状態で調停手続の期日を開いた場合は、担当調停者は、次回の調停手続の期日(当該一方の当事者が出席したものに限る。)において、当該一方の当事者に対し、当該一方の当事者が欠席した状態で開いた調停手続の期日の概要を告げなければならない。
10 弁護士以外の担当調停者が選任された場合において、センター長は、必要があると判断した場合は、第1回の調停手続の期日が開かれる日の7日前までに、申立人から提出された資料の写し並びに第23条第4項に規定する書面及び資料の写しを配達証明郵便又はこれに準ずる方法により助言弁護士が指定する場所に送付することができる。
11 助言弁護士は、前項の規定により送付された書面の写し等では、事案の判断が困難と認められるときは、センター長(担当調停者が選任された後は当該担当調停者。以下この項において同じ。)に対し、当該事案の判断に必要と認められる資料を当事者に提出させるよう求めることができる。この場合において、センター長は、当事者に対し、当該資料の提出を依頼しなければならない。

(利害関係人の参加)
31 担当調停者は、調停手続の円滑な進行のために必要と認める場合であって、双方の当事者の同意があるときは、利害関係人(調停手続の結果に利害関係を有する者をいう。以下同じ。)を調停手続に参加させることができる。

(調停手続の進行)
第32条
担当調停者は、4回以内の調停手続の期日又は3か月以内の期間で当事者間に合意が成立するように努めなければならない。
2 当事者の主張は、書面又は調停手続の期日における口頭によるものとする。担当調停者は、当事者に対し、主張を明確にし、又は紛争の解決に必要な書類その他の資料の補充を求めることができる。
3 担当調停者は、調停手続の期日において、当事者の主張、提出された申立書その他の資料を参酌し、当事者の話合いにより、自主的な紛争解決に至るよう努めるものとする。
4 弁護士以外の担当調停者は、助言弁護士の助言に従って調停手続を進行しなければならない。
5 調停手続の期日は、双方の当事者を同席させて行う。ただし、担当調停者は、調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、交互面接方式(一方の当事者を一時離席させた状態で、他方の当事者からその主張及び意見を聴き、次いで、当該他方の当事者を一時離席させた状態で、当該一方の当事者からその主張及び意見を聴くことを必要な範囲で繰り返す方式をいう。次項において同じ。)により行うことができる。
6 前項の規定にかかわらず、調停手続の期日において、一方又は双方の当事者が同席して調停手続を行うことを拒んだときは、担当調停者は、交互面接方式により調停手続を行うものとする。
7 担当調停者は、一方若しくは双方の当事者から要請があったとき又は必要と認めるときは、調停手続の期日において合意案を提示することができる。この場合において、担当調停者は、当事者に当該合意案を受諾しないことができる旨を告げなければならない。

(助言の方法)
第33条
弁護士以外の担当調停者(以下本条において「担当調停者」という。)は、法律に関する問題が生じているときは、第1回の調停手続の期日が開かれるまでに、助言弁護士に申立てに係る調停手続の実施についての助言を受けなければならない。
2 担当調停者は、調停手続の期日において、前項の規定により助言を受けた法律に関する問題と異なる法律に関する問題が生じたときは、調停手続を中止し、又は問題となる事項の処理を留保して調停手続を進めるものとする。この場合において、担当調停者は、当該調停手続の期日が終了した後、速やかに当該調停手続の期日の概要及び問題となる事項を記載した書面を作成して助言弁護士に送付し、及び口頭により説明して助言を求め、次回の調停手続の期日が開かれるまでに、問題となる事項についての助言を受けなければならない。
3 担当調停者は、当事者間に申立てに係る紛争の解決についての合意が成立する見込みがあると認められるときで、合意案に法律に関する問題が含まれるときは、助言弁護士からの助言を求めなければならない。助言を求める際は、当該合意案を記載した書面を作成して助言弁護士に送付し、及び口頭により説明することとする。この場合において、助言弁護士が当該合意案に法令違反その他合意の成立に支障が生じるおそれがある問題が含まれると判断し、これを解決することその他の必要な助言をしたときは、担当調停者は、次回の調停手続の期日において、当該助言の内容を当事者に説明しなければならない。
 なお、合意内容に執行合意が含まれている場合、調停者が弁護士であっても、合意書の内容について助言弁護士の助言を受けるものとする。
4 助言弁護士との連絡方法は、面談、電話、電子メール又はファクシミリのいずれの方法によってもすることができる。ただし、助言弁護士が連絡方法についての指定をしたときは、その指定された方法により連絡しなければならない。

第4節 調停手続の終了

(合意の成立)
第34条
 担当調停者は、前条第3項に規定する助言弁護士に助言を求めた場合であって当該助言弁護士から合意案について特段の意見がない旨の回答があった場合は、次項に規定する合意書として用いるため、合意の成立の年月日及び合意案の内容を記載した書面を作成するものとする。この場合において、担当調停者は、合意書に記載する合意案の内容について、あらかじめ、双方の当事者に読み聞かせ、同意を得なければならない。
2 当事者は、前項に規定する書面に署名又は記名押印して合意書を作成する。この場合において、担当調停者は、当該合意書に立会人として署名又は記名押印するものとする。
 なお、当事者が希望した場合、当該合意書は電磁的記録で作成することができる。この場合において、当事者及び担当調停者は、メール認証により本人性の確認を行った上で、当該合意書の電磁的記録に電子サインをするものとする。
3 調停手続は、当事者が合意書の交付を受けた時又はセンター長が合意書を配達証明郵便又はそれに準ずる方法により当事者に送付した時に終了する。合意書が電磁的記録で作成された場合においては、センター長もしくは事務担当者が合意書を電子メールによる重要な通知の方法により当事者に送付した時に終了する。
4 合意書の作成通数は、すべての当事者の数に1を加えた数とする。合意書が電磁的記録で作成された場合においては、紙媒体の合意書は作成しない。
5 センター長は、合意書を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。合意書が電磁的記録で作成された場合においては、第41条第4項に従って保存する。

(申立人による調停手続の終了)
第35条
 申立人は、いつでも調停手続を終了させることができる。
2 調停手続の終了は、次の各号に掲げる事項を記載した調停手続終了申出書をセンターに提出してしなければならない。ただし、調停手続の期日においては、担当調停者に口頭で告げる方法によってすることを妨げない。
⑴ 当事者の氏名
⑵ 調停手続を終了させる旨
3 第2項に規定する調停手続終了申出書は、申立人が希望する場合、その電磁的記録により提出することができる。
4 申立人が調停手続の期日において口頭で告げる方法によって調停手続を終了したときは、担当調停者において、その期日において調停手続の終了を決定し、その旨を口頭により当事者に通知することができる。
5 センター長は第2項に規定する書面を受領したときは、直ちに調停手続の終了の決定をしなければならない。
6 前2項の規定により調停手続が終了したときは、事務担当職員は、調停手続の終了を決定した旨及びその年月日を記載した書面を作成して、配達証明郵便又はこれに準ずる方法により当事者に送付しなければならない。

(終了の申出)
第36条
 相手方は、いつでも調停手続の終了を申出ることができる。
2 調停手続の終了の申出は、次の各号に掲げる事項を記載した調停手続終了申出書をセンターに提出してしなければならない。ただし、調停手続の期日においては、担当調停者に口頭で告げる方法によってすることを妨げない。
⑴ 当事者の氏名
⑵ 調停手続の終了を申出る旨
 前条第3項から第6項までの規定は、相手方が調停手続の終了を申出た場合について準用する。

(合意が成立する見込みがない場合)
第37条
 担当調停者は、次の各号のいずれかに該当すると判断したときは、当事者間に合意が成立する見込みがないものとして調停手続を終了する旨を速やかにセンター長に報告しなければならない。この場合において、弁護士以外の担当調停者は、合意が成立する見込みの有無の判断に当たり、助言弁護士に助言を求めることができる。
⑴ 一方の当事者が正当な理由なく2回以上調停手続の期日に欠席したとき。
⑵ 一方の当事者が合意をする意思がないことを明確にしたとき。
⑶ 直ちに合意が成立する見込みがなく、かつ、事案の性質、当事者が置かれている状況等にかんがみ、調停手続を続行することが、当事者の一方又は双方に対し、合意が成立することにより通常得られることとなる利益を上回る不利益を与える蓋然性があると判断したとき。
⑷ 前各号に掲げるもののほか、当事者間に合意が成立する見込みがないと判断したとき。
2 センター長は、前項に規定する報告を受けたときは、直ちに調停手続の終了を決定しなければならない。
3 第35条第5項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

(その他の終了)
第38条
 調停手続は、第9条第5項、第23条第5項及び第34条から前条までの規定により終了するほか、次の各号に掲げるときに終了する。
⑴ 申立てに係る事案が合意に適しないとき。
⑵ 当事者が不当な目的で調停手続の実施の申立てをし、又は依頼をしたとき。
⑶ 一方又は双方の当事者が担当調停者の指揮に従わないため、調停手続の継続が困難であるとき。
⑷ 当事者がセンターに納付すべき費用を納付しないとき。
2
 担当調停者は、前項各号(第4号を除く。)のいずれかに該当すると判断したときは、速やかにセンター長に、その旨及び理由を報告しなければならない。
3 センター長は、前項に規定する報告を受けたとき又は第1項第4号に掲げる事由に該当すると認めるときは、調停手続を終了する決定をすることができる。
4 第35条第5項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

第5章 手続実施記録等

(期日調書)
第39条
 担当調停者は、調停手続の期日ごとに次項に規定する事項を記載した期日調書を作成して、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
  なお、当該期日調書は電磁的記録で作成することができる。この場合、担当調停者は期日調書の電磁的記録に電子サインをしなければならない。
2 期日調書には、調停手続の期日の日時及び場所、出席した当事者の氏名(代理人又は補佐人が出席したときはその氏名を含む。)、利害関係人が調停手続の期日に参加した場合にあってはその者の氏名又は名称、担当調停者の氏名並びに当該調停手続の期日に実施した手続の経過の概要を記載する。
3 担当調停者は、期日調書を作成したときは、これをセンター長に提出するものとする。

(手続実施記録)
第40条
 センターは、調停手続ごとに次の各号に掲げる事項を記録した手続実施記録(以下この条及び次条において「手続実施記録」という。)を作成し、当該調停手続が終了した日から10年間保存する。
⑴ 当事者から依頼を受けて調停手続を実施する契約を締結した年月日
⑵ 当事者の氏名(代理人又は補佐人を定めたときはその氏名を含む。)
⑶ 担当調停者の氏名
⑷ 調停手続において請求がされた年月日及び当該請求の内容
⑸ 調停手続の実施の経緯(オンライン調停にて調停手続を実施した場合にはその旨)
⑹ 調停手続の結果(調停手続の終了の理由及び年月日を含む。)
⑺ 調停手続において合意が成立したときは、その内容
2
 前条第1項に規定する期日調書は、手続実施記録に編綴し、保存するものとする。
3 手続実施記録は、センター長が作成する。ただし、センターの円滑な業務の遂行のために適当と認めるときは、センター長は事務担当職員に手続実施記録の作成を命ずることができる。

(記録の管理等)
第41条
 手続実施記録に記録された情報は、第7条ただし書の規定により研究又は研修の資料として活用し、又は公表する場合を除き、すべて秘密とする。
2 手続実施記録の管理責任者は、センター長とする。
3 センター長は、事務担当職員を手続実施記録の取扱責任者とすることができる。この場合においては、事務担当職員は、センター長の指揮監督を受けて手続実施記録の保管に関する事務を担当する。
4 手続実施記録は、文書にあっては施錠のできる保管庫に保管し、電磁的記録にあっては当該記録のアクセス制御に係るパスワードを設定し、当該保管庫及びその鍵並びに電磁的記録及びそのパスワードは、いずれもセンター長が管理する。
5 担当調停者(候補者を含む。)が手続実施記録を閲覧しようとするときは、あらかじめ、センター長に閲覧の目的を告げて、許可を受けなければならない。
6 保存期間を経過した手続実施記録は、センター長において、文書の記載事項が判読できないように裁断し、又は電磁的記録には無効情報を上書きする等の方法により記録された情報が復元できない措置を講じ、当該記録を完全に消去する方法により廃棄するものとする。

(記録の閲覧及び謄写)
第42条
 当事者(当事者であった者を含む。)又は利害関係人は、次の各号に掲げるときは、センターに手続実施記録の一部又は全部の閲覧及び謄写の請求をすることができる。
⑴ 合意書又は自ら提出した資料を紛失したとき。
⑵ 訴訟手続、仲裁手続その他の紛争解決手続において必要なとき。
⑶ 閲覧又は謄写の請求をすることに相当の理由があるとしてセンター長が認めたとき。
2 前項の閲覧及び謄写の請求は、次の各号に掲げる事項を記載した書面をセンターに提出してしなければならない。
⑴ 閲覧又は謄写を請求する者の氏名
⑵ 閲覧又は謄写を請求する旨
⑶ 閲覧又は謄写を請求する理由
3 センター長は、前項に規定する書面が提出されたときは、相当と認める範囲内において手続実施記録の該当部分の閲覧及び謄写を認めるものとする。

第6章 費用等

(費用)
第43条
 当事者が調停手続に関しセンターに納付すべき費用の種類、額又は算定方法その他費用の納付に必要な事項は、別に規程で定める。

(報酬)
第44条
 センターは、担当調停者に対して、報酬を支払うものとする。

第7章 苦情処理

(苦情の取扱い)
第45条
 調停手続に関して苦情のある者は、その概要を記載した苦情申出書をセンターに提出して苦情の申出をすることができる。
2 センター長は、前項に規定する申出を受けたときは、速やかに次条第1項に規定する苦情処理委員会を設置し、その苦情に係る事情の調査及び苦情処理の方法の審議を行わせ、その結果をセンター長に報告させるものとする。
3 センター長は、前項の規定による報告を受けたときは、当該報告に基づき、苦情処理の方法について決定し、その決定に従い苦情を処理し、その結果を苦情の申出をした者に書面又は口頭により通知しなければならない。
4 苦情申出書や苦情対応に関する記録は、苦情受付簿に編綴する。
5 苦情受付簿は、非公開とする。
6 センターは、苦情受付簿を施錠できる保管庫において、苦情処理が完了した日から5年間保管するものとする。

(苦情処理委員会)
第46条
 センター長は、苦情申出書が提出されたときは、調停手続に関する苦情の調査及び苦情処理の方法を審議させるため、苦情処理委員会を設置する。
2 苦情処理委員会は、委員2人以上5人以内をもって組織する。
3 苦情処理委員会の委員(以下この条において「委員」という。)は、センター職員(苦情の対象となる者を除く。)のうちから、センター長が指名する。
4 苦情処理委員会にその委員長(以下「苦情処理委員長」という。)を置き、委員の互選によってこれを定める。苦情処理委員長は、苦情処理委員会の会務を総理する。
5 苦情処理委員会は、苦情に係る事情を調査した上、苦情処理の方法について審議し、決定する。
6 苦情処理委員長は、前項の規定による決定がされたときは、速やかに、センター長に同項に規定する調査の結果及び決定に係る苦情処理の方法を報告しなければならない。
7 苦情処理委員会は、前項に規定する報告をした時に解散する。

8章 会計

(事業年度)

第47条 センターの事業年度は、毎年1月1日から12月31日までとする。

(収入)

第48条 センターの運営費用は、次のものをもって充てる。
⑴ 利用者が負担する利用料金
⑵ 寄付金その他の雑収入

第9章 補則

(規程の公開等)
第49条
 この規程は、センターに備え置き、来訪した者の求めに応じ、これを閲覧させる。
2 センター長は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第11条第2項の規定に基づき、認証紛争解決事業者である旨並びに本センターの業務の内容及びその実施方法を記載した書面をセンターに備え置く。

(その他)
第50条
 この規程に定めるもののほか、調停手続の実施に当たって必要な事項は、センター長において定める。
2 センターは、調停手続の業務について、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第5条の認証を取得するものとする。