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離婚をテクノロジーで支援するサービス「Re:con(リコン)」のご紹介

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現在、日本でも少しずつ、いわゆる「離婚テック」(離婚とテクノロジーを掛け合わせた造語)が立ち上げられており、面会交流を支援するアプリができたり、チャットで離婚協議ができるサービスなどが誕生しています。

「Re:con(リコン)」もその離婚テックの先駆けとして、LINE公式アカウントにて様々な情報を提供しています。

このコラムでは、株式会社WonderSpaceの離婚をテクノロジーで支援するサービス「Re:con」について、代表の山本尚宏氏にお聞きした内容をご紹介します

Re:conの立上げのきっかけ

小泉(以下「小」):御社の他のサービスと比べると、離婚をテーマにした「Re:con」はかなり異色のサービスだと思うのですが、このサービスを立ち上げられたきっかけはなんだったのでしょうか。

山本(以下「山」):弊社はwebマーケティングの会社ですが、その中でも離婚を扱う弁護士をクライアントに持つことから、事業間のシナジーもあり、始めやすかったという理由があります。

ビジネスである以上、収益を考えないといけませんので、法律事務所から広告掲載として掲載料をいただくことを考えました。

また、知人から「離婚ができないから、次のステップに進めない」という声をよく聞いていました。私自身も離婚経験者で、原体験として離婚の難しさを実感しています。離婚は、多くの場合、困難な手続きです。そのため、離婚をする人が必要な情報を得て、スムーズに離婚できるようになればと思って本サービスを始めました。

小:確かに、離婚となれば、財産分与や養育費といったお金の面でも決めなければいけないこともありますし、もめるポイントがたくさんありますものね。

山:現時点ではそういった問題を全て解決できるサービスにはなっていないのですが、これから内容を充実させていきたいと思っています。

Re:conの社会的ニーズは?

小:Re:conの社会的ニーズについて、どのようなニーズがあるとお考えでしょうか。

山:ニーズはとても高いと思っています。例えば、養育費ひとつとってみても、受け取っていない人が女性では70%、男性は90%と言われています。これだけの人が養育費を受け取っていないこと自体が課題であり、その課題の解決には情報だったり専門家の力だったりが必要だと思っています。

また、例えば配偶者の不倫が発覚しても、そこからどうしていいか分からないという人もいます。

離婚問題は往々にして「そもそも何から始めればいいか分からない」という人が多いため、情報を届けることが大切です。そのため、夫婦問題カウンセラーの方の動画を公式LINEで提供したりしています。

Re:conのサービスについて

小:離婚に関する情報提供といっても、様々な情報提供があり得ますが、養育費シミュレーターを始めとする、現在の内容を選んだのはなぜですか?

山:養育費に関しては、先ほどの数字にもあるように、社会的ニーズが高いと思っています。また、数字として出しやすくて分かりやすいという理由もあります。

小:婚約指輪や結婚指輪の査定ができるのも面白いサービスですよね。

山:たまたま指輪の買取りをしている知人がいたこともあるのですが、ふと考えてみると、自分の指輪も結構高かったなと・・・。離婚したら紛失してしまう人も多いと思うので、そうであれば、売ってしまうという選択肢もあっていいのかなと思っています。

小:「保険とお金」という項目では、FPに相談できたり、マネーセミナーに参加することができるようなサービスがありますよね。

山:やはり離婚というと、特に女性はお金の問題がネックになって離婚したいのに離婚できないとか、離婚した後の生活に困るということが生じているように感じています。少なくとも、私自身がお会いしてきた女性はそうでした。そのため、事前にお金について知識を持ってもらうサービスを入れています。

小:チャットで相談できるというのもお手軽な機能でニーズが高いように思うのですが、どんなご相談が多いのでしょうか。

山:弁護士への法律相談の手前のような軽い相談が多いように思います。まったく法律に関係ない相談であれば、弊社のメンバーが回答することもあります。法的な相談であれば、弁護士事務所を紹介することもありますし、それこそ「相手が不倫してる『かも』しれない」といった相談などには不倫診断を促したりしています。

小:現在のサービスとしては、養育費シミュレーターや必要書類チェックリストなど、入力するとその場で回答が得られるサービスと養育費保証サービスや探偵や不動産査定など、必要な専門家につなぐサービスがあると思うのですが、今後、増やしたいサービスなどはありますか。

山:はい、例えば、養育費に加えて婚姻費用のシミュレーターもやりたいと思っています。また、いずれは、公正証書につなげるような離婚時の書面(協議書)を作るサービスを作りたいなと。ただ、協議書には執行力がないので、将来的にはODRのようなサービスが提供できればと思ったりもしています。

また、カウンセラーや弁護士を紹介するサービスも作りたいと考えています。特に弁護士相談については、時期的なマッチングも大切かなと。例えば、離婚するかどうか悩んでいる人など、まだまだ手前の人が法律相談に行っても、時期尚早だったりする反面、「私はまだ法律相談に行くには早い」と思っている人が実は早く行った方がいいような場合もありますからね。

それから、就労支援もいずれやりたいと思っていることのひとつです。ママ向けの就労支援のサービスを手掛けているメンバーも「就労と離婚問題は親和性がある」と言っていました。

利用者の声は?

小:実際に利用した方から何か反響と言いますか、お声が届いていれば教えていただけますでしょうか。

山:おそらく、知りたいことを自分で検索して、文字情報の記事を読むというのがハードルが高い人たちがいるように思います。そのため、動画で情報を知ることができてよかったとか、サービスをもっと早く知りたいと言っていただくことがあります。

また、それぞれのサービスを利用して参考になったというお声もあれば、養育費のシミュレーターの人数を上げてほしいという声をいただくことがあります。現在、養育費算定表では子どもの人数が3人までですが、弊社の養育費シミュレーターでは4人までに広げています。それでもまだ人数を増やしてほしいというお声もあります。

アメリカの離婚テックはどう?

小:先ほど、将来的な展望といいますか、今後のサービスの展開についても聞かせていただきましたが、一歩も二歩も先を進んでいるアメリカの離婚テックについてはどのようにお考えでしょうか。

山:アメリカの離婚テックについては、我々も一通り見ています。ODRなど将来的にやりたいサービスもありますが、一方で難しいと思うのは、アメリカは離婚するためにお金を支払うことが当たり前の社会だということです。

小:確かに、日本は協議離婚が認められる数少ない珍しい国ですから、必要な取決めをしていなくても、お金をかけずに離婚届一枚ぺらりと提出すれば離婚できますものね。

山:そうなんです。そこにアメリカと日本には大きな差があると思っています。ビジネスである以上、本サービスで利益を上げる必要があり、サービスの内容を拡大していくことや多くの方に利用していただくことが必要だと思っています。

日本の離婚をどんな風に変えたい?

山:難しい質問ですけれど、究極のところはフランスのように事実婚が増えて、離婚そのものがしやすくなるけれど、一方で離婚の際は法律によって権利が守られるようなればいいと考えています。

ただ、そういった社会の実現のためには法律を変える必要があります。そのため、まずは現行の法律の中でできることとして、離婚のプロセスが手軽に簡単になればいいなと思っています。

こんなことを言うと炎上しそうですが、誤解を恐れずに言いますと、「カジュアル」に離婚できるようになればいいなと。

人が誰かに恋をするというのは、とても本能的・感情的なことで、結婚したときの感情や判断で一生結婚生活を続けていくということが難しいと感じています。例えば、飲み会の席などでは、「家と同じで、結婚も2年更新制にすればどうか」とか「その方が結婚がしやすい」という声が聞かれたりします。

ですので、いい意味でポジティブな離婚ができればいいなと。例えば、ギリギリまで我慢して憎しみあって離婚するのではなく、離婚した後も相手の幸せを願えるような関係の方がいいですよね。

また、少子化の問題にも関係していくると思っています。お互いに仲が良くないのに我慢して一緒にいても、子どもは生まれません。それよりも、離婚して次のステップに進める方がいいですよね。もちろん、一生一緒にいられるといいのですが、人間は失敗する生き物ですから。

小:少し意地悪な質問ですが、お子さんがいるご夫婦であっても、カジュアルな離婚がいいのでしょうか。

山:そこは簡単には答えられないところではありますが、養育費や面会交流といったことをきちんと決めることができれば、仲が悪い親が無理して一緒に生活しているよりはいいかもしれません。

ただ、やはり私自身は子どもがいない夫婦としての離婚だったので、どうしても自分の原体験を基礎に考えている部分はあります。

小:様々な家庭があり、様々な離婚があるので、離婚に関するサービスも色々なものがあってこそ選べるのかなと思ったりしました。

祖先と家族に感謝とは?

小:本題からそれるのですが、御社のHPに紹介されていた行動原則に「祖先と家族に感謝しつつ誇れる仕事をしよう」というのがありました。祖先と家族に感謝、というのはどういったことなのでしょうか?

山:私は稲盛和夫さんが好きなのですが、稲盛さんは、自分が経営者として成功したことがありがたいと思うのではなく、人間として生まれたこと自体に感謝していたのではと感じています。毎日の生活には色々なことがありますが、みんなが人間として生まれてきたことに感謝できれば、みんな幸せなんじゃないかなと。祖先がいるからこそ自分がいるわけで、そこのつながりに感謝したいと思っています。

私自身も父親と母親がいたからこそ今の私がいる。私が東大を中退した際、父親は「お前が考えたことならやってみたら」と言ってくれました。なかなかそう言える親っていないですよね。親のことを尊敬できる人は素晴らしいし、弊社のメンバーにはそうあってほしいと思っています。

そういう意味では、先ほどの質問とつながるのですが、けんかしてばかりの親で、そんな親を尊敬もできないで育つくらいなら、適切な時期に離婚するのもひいては子どものためになると思ったりもします。親のことが嫌いなのは辛いですよね。それが原動力になる人もいるけれど、そうじゃない人も多い。

結婚や離婚にも共通することで、毎日ご飯を作ってくれることや、小さなことでも感謝して過ごすことが大切だと思っています。

小:今日は興味深いお話を聞かせていただきありがとうございました。是非、コラムをお読みのみなさんも以下をクリックの上(株式会社WonderSpaceのHPに移動します)、「Re:con」をチェックしてみてください。

Re:con

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