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ADR利用者アンケート

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当センターでは、ADRによる離婚協議の実態・利用感を把握し、今後のより良い調停運営に生かすため、利用者アンケートを実施しました。詳細は以下のとおりです。

実施期間:2021年12月20日~2022年2月17日
実施方法:Webによる無記名アンケート
対象者:家族のためのADRセンターを利用した方290名中94名が回答

アンケート結果

回答者について

1 あなたは申立人ですか、それとも相手方ですか 

2 性別を教えてください

3 ADR開始時のあなたの年代を教えてください 

考察:家裁の離婚調停に比べ、35歳~49歳の層に利用者が集中しています。若年層にはADRの制度は浸透度が低く、比較的高齢者層にはODR等の利用はハードルが高いことが懸念されます。

申立の経緯・理由・申立時の状況等

4 ADRを知ったきっかけは何ですか?(複数回答可)

5 (申立人への質問)申立て理由(離婚理由)は何ですか(複数回答可)

考察:家裁の離婚調停の司法統計に比べ、異性関係や暴力、生活費を渡さないといった割合が低く、精神的虐待の割合がやや高くなっています。暴力や不貞といった決定的な離婚理由はないけれど、いわゆるモラハラを理由とする申立てが多いと思われます。

6 ADR実施前後に別居していましたか 

考察:家裁の離婚調停利用者より同居率が高いので、紛争性が低いと言えそうです。もしくは、別居のための話合いが行われるケースが多いとも思われます。

7 ADR実施前、夫婦間の葛藤(不仲の度合い)は高かったですか。

考察:家裁利用者に比べて紛争性が低いと思われますが、当事者の認識では夫婦間葛藤が高いと感じているようです。

8 (申立人への質問)協議の方法として第三者を介する方法を選んだのはなぜですか(複数回答可)

9 ADRのどのような点が利用の決め手となりましたか(相手方は、どのような点が応諾の決め手となりましたか)(複数回答可)

考察:同席での離婚協議を求める人が一定数います。これについても家裁利用者より夫婦間葛藤が低いことが理由と考えられます。また、公平・中立性を求める人も多く、「得をしたい」のではなく、「損をしたくない」という気持ちの表れだと思われます。

10 (先ほどの質問で「利便性」と答えた方への質問)特に、どのような利便性が決め手となりましたか(複数回答可)

11 (申立人への質問)協議の方法として家庭裁判所の調停を利用しなかったのはなぜですか (複数回答可)

調停の結果や経過について

12 ADRの結果は成立でしたか、不成立でしたか 

13 ADRが終了してからどのくらい経過していますか 

14 ADR実施中、どんな感情を多く感じましたか(複数回答可)

考察:相手方が「安堵」を感じた割合が高かったのはなぜでしょうか。協議に引っ張り出された立場ですが、相手方にも不満や不安があり、それについて話し合うことができたからでしょうか。一方、申立人は、怒りを感じながらも、結論が出ることへの希望を感じていることが分かります。

15 ADR実施に際し、どのようなことを大切にしたいと思っていましたか(複数回答可)

考察:「自分の気持ちを伝えたい」と回答した人の割合について、申立人は12、6%(申立人の全回答231のうち29)、相手方は14、8%(相手方の全回答54中のうち8)となっており、大きな差はない一方、「相手の気持ちを聞きたい」と回答した人の割合は、申立人は6%(申立人の全回答231のうち14)、相手方は13%(相手方の全回答54のうち7)となっており、申立人は相手方の2分の1以下の割合になっています。

このことから、申立人は、相手の気持ちを聞きたいというより、自分の気持ちを伝えたいという思いが強いことが分かります。そのため、「言っても聞いてもらえない」という気持ちから申し立てる申立人が多いのではないかと思われます。

一方で、申立人・相手方共に、一番回答数が多いのが「子どもの幸せを大切にしたい。」、次に「後々もめないようにしたい」となっています。そのため、子どもの福祉の視点や禍根を将来に残したくないという思いは、同じ方向を向いて話し合う糸口になると思われます。

16 ADR利用前と利用後で自分の気持ちに変化はありましたか。変化があった場合、どのように変化しましたか(複数回答可)

考察:申立人は、すっきりとふっきれた、前に進む気持ちになったという前向きな回答が多いのに比べ、相手方は「相手のへ感情が悪化した」という回答の割合が申立人に比べて多くなっています。協議のニーズや準備ができていない段階で話合いの場に出ざるを得なかったことが原因でしょうか。一方で、相手方も、申し立てられた立場ではあるものの、すっきりふっきれた、前に進む気持ちになったという人の割合も大きくなっています。

17 ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますか

考察:申立人は大多数が「満足」もしくは「やや満足」と回答していますが、相手方は「満足」と「不満」の回答が同数です。申し立てられた立場であることに加え、制度への理解が進んでいない状況で協議が開始している可能性も考えられます。

18 ADRによる話合いの結果(離婚条件等)には満足していますか

考察:申立人相手方共に、経過(プロセス)への満足度より結果に対する満足度の方がやや悪化しています。個別の回答を見ても、話合いの経過に比べ、結果に対して満足度が下がっている人が十数名いました。やはり相手のある話合いなので、自分の思い通りの結果にならないこともあると言わざるを得ません。

養育費・面会交流について

19 養育費(月額)の取決めはありましたか、その場合、月額の金額はいくらでしたか(1人につき)。一括払いや学費払いの方はその他にご記入ください。 

考察:10万円以上の割合が一番高く、平成28年度の厚労省が実施した調査や家裁の司法統計の金額よりあきらかに養育費が高額になっています。やはり、ADRの利用料が負担となって所得が低い人が利用できていないことが予想されます。この点においては、国や自治体の利用料助成が待たれます。

20 養育費の取決めに際し、月額の養育費以外に、学費等の特別出費について別途取り決めましたか 

21 養育費の支払いは現在も続いていますか 

22 面会交流は取り決めましたか、その場合、頻度はどのくらいでしたか 

考察:家裁の司法統計や厚労省の統計より平均回数が多くなっていますが、やはり一番多いのは月に1回程度という決め方です。

23 面会交流は現在も続いていますか

オンライン調停について

24 同席(オンラインも含む)でADRを行いましたか

25 オンライン調停を利用した理由は何ですか(複数回答可)

考察:新型コロナ対策や利便性といった理由ではなく、相手と同じ空間にいなくて済むという理由が一番多く、同席調停を望みつつも、空間は共有したくないという心情が読み取れます。

26 オンラインADR前に不安に感じていたことは何ですか(複数回答可)

27 オンラインADRに参加した際のデバイスは何ですか(複数回答可)

28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか。また、どんな点に不便や不満を感じましたか。(複数回答可)

29 実際にオンラインADRを利用して、便利な点や良かった点はありますか。どんな点が便利でよかったですか。(複数回答可)

考察:その他の回答には、程よい距離感で相手と向き合えた、顔は見えていても目の前にいないので恐怖心がなかったなど、顔は見えていても実際には距離感がある環境が話しやすさにつながった人が多くなっています。

アンケート結果を使った統計調査

同席・別席の違いと満足度・成立率の関係

仮説

同席調停と別席調停は、以下のように話合いの構造に大きな違いがあります。そのため、その違いが調停への満足度や成立率に何等かの影響があるのではと考えました。

同席調停

同席調停は、相手の声が聞こえ、顔も見える状態で話し合いますので、一定の緊張感がありますが、透明性や公平性が担保できます。また、別席よりもスピーディーな解決が期待できるのも特徴です。

ただ、争っている相手と相対しますので、言いたいことが言えなくなってしまう人もいますし、逆にお互いの気持ちが誤解なく理解できると考える人もいて、感じ方が分かれるところです。

別席調停

別席調停は、相手の声が聞こえず、顔も見えませんので、安心して調停者にじっくりと話を聞いてもらうような構造になります。しかし、調停者を介する協議になりますので、時間がかかったり、お互いの気持ちが正確に伝わらないこともあります。

そして、一番の問題は、互いに「調停者を味方につけたい」、「調停者に相手を説得してほしい」という姿勢になってしまう点です。こうなると、一緒に問題を解決するという気持ちが薄れ、対立構造が明確になってしまいます。

結果

話合いの過程(プロセス)や結果への満足度の違い

同席・別席の違いによる話合いの過程(プロセス)や結果の満足度に違いはない 詳細はこちら

成立率の違い

同席調停の方が別席調停より成立率が高い傾向にある 

ずっと同席に時折同席も加えて、同席群とし、ずっと別席に時折別席も加えて別席群として、成立率を比べたところ、成立率は同席調停88.5%、別席調停73.3%となり、同席調停の方が成立率は高い結果となったが、統計的には、有意差はなかった(カイ2乗検定)。これに対して、ずっと同席とずっと別席では、成立率においては、同席調停88.7%、別席調停63.6%であり、同席調停の方が成立率は高く、統計的にも、10%水準で有意差が認められた。詳細はこちら

考察

同席調停と別席調停は様々な構造的な違いがあり、どちらが優れているというものではありません。そのため、同席であっても別席であっても、自分で選択した調停方法であれば、満足度に大きく影響しなかったことが考えられます。

一方で、同席調停の方が効率的に合意形成できることから、成立率に差が出たと考えられますが、同席調停ができる当事者は別席調停を希望する当事者に比べ、紛争性が低いことも成立率の違いに影響を与えていると考えられます。

そのため、調停の際は、同席・別席を当事者が自由に希望できること(双方の希望が異なる際は調整が必要)や、協議の過程の中で臨機応変に変更できることが必要だと感じました。

対面・オンラインの違いと満足度・成立率との関係

仮説

オンライン調停は、利便性が高いものの、相手と別空間で話し合うため、相手の感情が読み取りにくいのではないか、また、通信状態やセキュリティは大丈夫かといった不安の声が聞かれます。ですので、オンライン調停は対面調停に比べて満足度や成立率が低いのではないかとも考えられます。

しかし、一方で、実際にオンライン調停を実施していると、そういったデメリットを感じることはほとんどなく、対面と変わらないクオリティーの協議ができていると感じています。

そのため、対面とオンラインの違いによって、満足度や成立率に違いはないのではと考えました。

結果

話合いの過程(プロセス)や結果への満足度の違い

オンライン・対面の違いによる話合いの過程(プロセス)や結果の満足度に違いはない 詳細はこちら

成立率の違い

対面調停の方がオンライン調停より成立率が高い

対面調停の成立率は、97.3%、オンライン調停の成立率は、78.6%であるため、対面のほうが、成立率が高く、また、統計的にも有意差が見られた。詳細はこちら

考察

満足度について、仮説通り、オンラインと対面で違いはなく、オンラインであっても対面と同様の満足度が得られることが分かりました。

一方で、対面の方が成立率が高いという結果については、オンライン調停を選ぶ当事者に比べ、対面調停を選ぶ当事者の方が紛争性が低いことが一因であると考えられます。

また、コロナ禍になって以降、当センターの調停は9割がオンライン調停となっているため、多くの対面調停は、センター設立初期の調停になります。設立当初は案件数も少なく、画一的な案件が多かったのに対し、現在は、案件数も増え、多種多様なケースが存在します。そのような事情も成立率に影響を及ぼしているとも考えられます。

オンライン調停に対する不安・不便さ

仮説

離婚協議は面と向かってするものだ、という考え方があったり、機器の操作や通信状態に不安を感じいる人も多いのですが、実際にオンライン調停を実施してみると、そういった不安が杞憂に終わることが多いのではないかと考えました。

結果

実際にオンライン調停を利用してみると、思っていたより不便を感じない人の方が多い

事前に何等かの不安を感じていた人45名のうち、15名が実施後に「特に不便を感じなかった」と回答しました。一方で、事前には不安を感じていなかった30名のうち、4名が実施後に何等かの不便を感じたと回答しました。詳細はこち

考察

調停自体が初めての経験という人がほとんどですので、さらにオンラインとなると、仕事や日々の生活の中でオンラインに慣れていない人は、漠然と不安を感じたりします。しかし、実際にオンライン調停をやってみると、相手の顔を見ることができ、対面調停とあまり変わらないという感想を持つ人が多いのではないでしょうか。

なお、オンライン調停の際、画面の大きなパソコンで参加するか、それとも画面の小さなスマートフォンで参加するかによって、不便さを感じた割合に違いがあると思われたのですが、結果は「どのデバイスで参加しても違いはない」ということになりました。詳細はこちら

養育費と面会交流の関係性

仮説

養育費と面会交流は、どちらも子どもにとって大切な権利ですが、権利の性質やとりまく状況が異なるため、取決め率や継続率に差異があるのではないかと考えました。

結果

取決め率の差

養育費の取決め率の方が面会交流の取決め率より高い

養育費の取決め率は88.8%、面会交流の取決め率は77.0%

取り決めた後の継続率の差

養育費の継続率の方が面会交流の継続率より高かった

養育費を取り決めたけれど、支払いが滞った人は3.1%。面会交流を取り決めたけれど、実施できなくなった人は7パーセント。また、取決めの有無にかかわらず、養育費の支払いが滞った人は7.5%、面会交流が滞った人は17.1%。養育費を支払っていないけど面会交流をしている人は3名、養育費を支払っているけれど、面会交流ができていない人は9名。

考察

結果によると、養育費の取決め率の方が面会交流の取決め率よりも高いことが分かりましたが、一方で、養育費を取り決めていないのに支払っている人は1名、面会交流を取り決めていないのに、面会交流を実施している人は7名いました。

そのため、養育費に比べ、面会交流の方が「取り決めておくべきこと」という認識自体が低く、一方で、「取り決めるまでもなく、当たり前にするもの」という認識もある一定数あるのではないかと思いました。

また、養育費は、公正証書で取り決めると強制執行力がある一方、面会交流は強制することができません。また、子どもの気持ちや生活状況によっては、実施が困難になることもあります。そのため、継続率は面会交流の方が低かったものと思われます。

加えて、養育費も面会交流も取り決めていないよりも取り決めていた方が継続率が高いこともわかりました。

申立人と相手方のオンライン調停の不便さに関する感じ方の違い

仮説

調停は、申し立てた側である申立人と、申し立てられた側である相手方で、協議に対する「心持ち」に大きな違いがあると考えられます。

特に、慣れないオンライン調停に対しては、協議に消極的であることが予想される相手方の方が不便さを感じやすいのではと仮説を立てました。

結果

相手方の方が申立人よりオンライン調停に不便さを感じやすい

申立人52名中、オンライン調停に不便さを感じた人は16(30.8%)相手方18名中、オンライン調停に不便さを感じた人は13名(72.2%)詳細はこちら

考察

申し立てられた相手方の立場の人は、ADRにて協議することに応諾したものの、協議に前向きな気持ちになれず、その気持ちが「オンライン調停に対して感じる不便さ」に影響を及ぼしていると考えられます。

また、離婚合意ができていない利用者も一定数おり、この場合、離婚したい申立人に対し、相手方は離婚を希望していないというケースが多くなります。そのため、関係修復を模索したい相手方は、オンラインではなく対面の方が「感情」や「温かみ」が伝わりやすいように感じ、オンライン調停に対し、不安を抱きがちではないかと思われます。

ADR利用後の感情の変化と満足度の関係

仮説

調停利用中に相手への感情が悪化してしまった人は、ADRそのものへの満足度も低下するのではないか。逆に、相手への感情が良くなった人は、ADRそのものへの満足度も高いのではないか、と考えました。

結果

相手の感情が悪化した人は、相手の感情が改善した人よりもADRの過程(プロセス)に対する満足度が低い。詳細はこちら

考察

話合いの中で、相手への感情が改善したことが満足度につながるということは、離婚する夫婦であっても、相手を嫌いたい・憎みたいと思っているわけではなく、できれば争いたくない、できれば憎みあいたくないと考えていると予想されます。

また、感情が改善するような話合いは、実際の協議の場面でも冷静に穏やかに協議できていることが想像され、それが話合いへの満足度につながっているとも思われます。

男女の違いと満足度の関係

仮説

夫婦関係において、女性の方が「言いたいことが言えない」といった我慢を強いられていることが多く(もちろん、逆のケースもありますが)、第三者を介しつつ、公平に合意形成するADRに対して満足度が高いのではないかと考えました。

結果

男性より女性の方がADRの経過(プロセス)及び結果に対する満足度が高い。詳細はこちら

考察

ADRに申し立てた女性の多くは、弁護士に依頼せず、当事者調停となります。これは、費用面の問題もありますが、「自分で解決したい」という潜在的ニーズのようにも思われます。

ADRによる話合いは、調停者が手助けするものの、主張や決断をするのは当事者本人ですので、こういったニーズにマッチすると思われます。

加えて、女性の方が申立人となっている割合が高いことや、面会交流より養育費の方が形式的に決定しやすいことも関係していると思われます。

さいごに

離婚協議は、どのような形であれ、心身共に疲弊するものです。そのため、できれば早く済ませてしまいたい、もっと言えば、協議すらしたくないというのが本音だと思います。

しかしながら、前に進むために、そして、子どもの将来のために、みなさん協議に臨んでおられます。

そんなみなさんに寄り添い、自己決定をお手伝いするのがADRの役目です。ADRは、あくまで公平・中立な立場ですので、間に入る調停者はどちらの味方でもありません。

しかし、気持ちの上では、両方の味方であり、両方の気持ちに寄り添いたいと考えています。

今回のアンケート調査で様々なことが分かりましたが、特に、相手方の満足度に課題があることが示されました。手続きの構造上、仕方のない部分もありますが、「仕方がない」で済ませず、申立人にも相手方にもより一層満足度の高い調停が提供できるよう、努めてまいりたいと思います。

最後になりましたが、思い出したくなかったかもしれない過去を振り返り、アンケートにご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。


<統計の詳細>

同席・別席の違いと満足度の関係

設問17  ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますか(ADR過程満足度)

調停1を同席調停群(時おり別席も含む)、調停2を別席調停群(時おり同席も含む)とする。

ADR過程満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.51で有意水準0.05以上であるため、同席調停と別席調停のADR過程満足度に差がないことが分かった。

調停3を同席調停(ずっと同席のみ)、調停4を別席調停(ずっと別席のみ)とする。

ADR過程満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.199で有意水準0.05以上であるため、同席調停と別席調停のADR過程満足度に差がないことが分かった。

ADRによる話合いの結果(離婚条件等)への満足度との関係

設問18  ADRによる話合いの結果(離婚条件等)には満足していますか(ADR結果満足度)

調停1を同席調停群(時おり別席も含む)、調停2を別席調停群(時おり同席も含む)とする。

ADR結果満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.293で有意水準0.05以上であるため、同席調停と別席調停のADR結果満足度に差がないことが分かった。

調停3を同席調停(ずっと同席のみ)、調停4を別席調停(ずっと別席のみ)とする。

ADR結果満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.18で有意水準0.05以上であるため、同席調停と別席調停のADR結果満足度に差がないことが分かった。

設問12  ADRの結果は成立でしたか、不成立でしたか(成立率)

調停1を別席調停群(時おり同席も含む)、調停2を同席調停群(時おり別席も含む)とし、成立率1を不成立、成立率2を成立とした。

調停と成立率のクロス集計表

同席調停の成立率は、69/78 88.5%で、別席調停の成立率は、11/15 73.3%であるため、同席調停のほうが、成立率が高い。

独立性の検定をしたところ、有意確率0.122で有意水準0.05以上であるため、調停と成立率には統計的な有意差は見られなかった。

調停3を別席調停(ずっと別席のみ)、調停4を同席調停(ずっと同席のみ)とし、成立率1を不成立、成立率2を成立とした。

調停と成立率のクロス集計表

同席調停の成立率は、63/71 88.7%で、別席調停の成立率は、7/11 63.6%であるため、同席調停のほうが、成立率が高い。

独立性の検定をしたところ、有意確率0.028で有意水準0.05以下であるため、同席調停と別席調停の成立率には統計的な有意差がある。

対面とオンラインの違いと満足度・成立率の関係

設問17  ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますか(ADR過程満足度)

グループ1(オンライン)とグループ2(対面)の話合いの過程(プロセス)に対する満足度を比較した。

また、ADR過程満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.086で有意水準0.05以上であるため、オンラインと対面のADR過程満足度に有意差がないことが分かった。

設問18 ADR結果満足度

グループ1(オンライン)とグループ2(対面)の結果に対する満足度を比較した。

また、ADR結果満足度は、1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで、回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.087で有意水準0.05以上であるため、オンラインと対面のADR結果満足度に差がないことが分かった。

 

設問12  ADRの結果は成立でしたか、不成立でしたか(成立率)

グループ1(オンラインのグループ)の成立率とグループ2(対面)の成立率を比較した

調停と成立率のクロス集計表

対面の成立率は、36/37 97.3%で、オンラインの成立率は、44/56 78.6%であるため、対面のほうが、成立率が高い。

独立性の検定をしたところ、有意確率0.011で有意水準0.05以下であるため、グループ1とグループ2の間には統計的にも有意差がみられた。

3オンライン調停前に不安に感じていたことと、実際にやってみた後に感じた不便さの変化について

設問26 オンラインADR前に不安に感じていたことは何ですか(複数回答可)

設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)

1通信状態が悪くなるのではないかの中で1不便さや不満は感じなかった3/10 30%
1通信状態が悪くなるのではないかの中で2通信状態が悪かった3/10 30%
1通信状態が悪くなるのではないかの中で3相手の感情を読み取りにくかった2/10 20%
1通信状態が悪くなるのではないかの中で4言いたいことが言いづらかった1/10 10%

2対面でないと気持ちが伝わらないのではないかの中で1不便さや不満は感じなかった6/21 28.6%
2対面でないと気持ちが伝わらないのではないかの中で2通信状態が悪かった1/21 4.8%
2対面でないと気持ちが伝わらないのではないかの中で3相手の感情を読み取りにくかった6/21 28.6%
2対面でないと気持ちが伝わらないのではないかの中で4言いたいことが言いづらかった3/21 14.3%

3誰かに聞かれるのではないかの中で1不便さや不満は感じなかった1/3 33.3%
3誰かに聞かれるのではないかの中で2通信状態が悪かった0 0
3誰かに聞かれるのではないかの中で3相手の感情を読み取りにくかった1/3 33.3%
3誰かに聞かれるのではないかの中で4言いたいことが言いづらかった1/3 33.3%

4不安に感じていたことは特にないの中で1不便さや不満は感じなかった23/30 76.7%
4不安に感じていたことは特にないの中で2通信状態が悪かった0  0
4不安に感じていたことは特にないの中で3相手の感情を読み取りにくかった2/30 6.7%
4不安に感じていたことは特にないの中で4言いたいことが言いづらかった2/30 6.7%

設問26 オンラインADR前に不安に感じていたことは何ですか(複数回答可)で不安に感じていた人(回答1通信状態が悪くなるのではないか、2対面でないと気持ちが伝わらないのではないか、3誰かに聞かれるのではないか、5その他:で不安に感じていた人)の中で、

設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便さを感じなかった人(回答1不便さや不満は感じなかった) 15/45 33.3% 

5オンライン調停に参加したデバイスと不便だと感じた人の関係は?

設問27の回答 オンラインADRに参加した際のデバイスは何ですか(複数回答可)       

設問28の回答 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)

1パソコンの中で 1不便さや不満は感じなかった 24/44  54.5%
1パソコンの中で 2通信状態が悪かった 2/44  4.5%
1パソコンの中で 3相手の感情を読み取りにくかった  8/44  18.2%
1パソコンの中で 4言いたいことが言いづらかった 4/44  9.1%

2スマホの中で 1不便さや不満は感じなかった 15/25  60%
2スマホの中で 2通信状態が悪かった 1/25 4%
2スマホの中で 3相手の感情を読み取りにくかった 4/25  16%
2スマホの中で 4言いたいことが言いづらかった 3/25 12%

3タブレットの中で 1不便さや不満は感じなかった 5/7 71.4%
3タブレットの中で 2通信状態が悪かった 0 0%
3タブレットの中で 3相手の感情を読み取りにくかった 1/7 14.3%
3タブレットの中で 4言いたいことが言いづらかった 0 0%

・設問27 オンラインADRに参加した際のデバイスは何ですか(複数回答可)の1パソコンの人の中で、設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便と感じた人(回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:で不便と感じた人) 19/44 43.2%

・設問27 オンラインADRに参加した際のデバイスは何ですか(複数回答可)の2スマホの人の中で、設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便と感じた人(回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:で不便と感じた人)  10/25 40%

・設問27 オンラインADRに参加した際のデバイスは何ですか(複数回答可)の3タブレットの人の中で、設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便と感じた人(回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:で不便と感じた人) 1/7 14.3%

デバイスの種類と不便さに関連があるかどうか

設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)の回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:で不便を感じた人を不便あり、

設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)の回答1不便さや不満は感じなかったを不便なしとする。

パソコンとスマホについて独立性の検定をしたところ、有意確率0.736で有意水準0.05以上であるため、デバイスの種類と不便さには有意差は認められなかった。

パソコンとタブレットについて独立性の検定をしたところ、有意確率0.199で有意水準0.05以上であるため、デバイスの種類と不便さには有意差は認められなかった。

スマホとタブレットについて独立性の検定をしたところ、有意確率0.283で有意水準0.05以上であるため、デバイスの種類と不便さには有意差は認められなかった。

6オンライン調停に不便さを感じたのは申立人が多いか、相手方が多いか

設問29 実際にオンラインADRを利用して、便利な点や良かった点はありますか。どんな点が便利でよかったですか。(複数回答可)の回答者をオンライン調停を行った人とする。

設問1 あなたは申立人ですか、それとも相手方ですか。
設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)

1申立人の中で 1不便さや不満は感じなかった 33/52 63.5%
1申立人の中で 2通信状態が悪かった 3/52 5.8
1申立人の中で 3相手の感情を読み取りにくかった 5/52 9.6%
1申立人の中で 4言いたいことが言いづらかった 2/52 3.8%

2相手方の中で 1不便さや不満は感じなかった  5/18 27.8%
2相手方の中で 2通信状態が悪かった/ 0 0%
2相手方の中で 3相手の感情を読み取りにくかった 7/18 38.9%
2相手方の中で 4言いたいことが言いづらかった 5/18 27.8%

設問1 あなたは申立人ですか、それとも相手方ですかの1申立人の中で、設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便と感じた人(回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:と感じた人) 16/52 30.8%

・設問1 あなたは申立人ですか、それとも相手方ですかの2相手方の中で、設問28 実際にオンラインを利用してみて、不便や不満はありましたか、また、どんな点に不便や不満を感じたか(複数回答可)で不便と感じた人(回答2通信状態が悪かった、3相手の感情を読み取りにくかった、4言いたいことが言いづらかった、5その他:と感じた人)13/18 72.2%

ADR利用前後で相手への感情がどう変化したか、という質問と手続きの過程への満足度の関係について
設問16と設問17

設問16  ADR利用前と利用後で自分の気持ちに変化はありましたか、変化があった場合、どのように変化しましたか(複数回答可)の回答2相手への感情が悪化したを感情悪化、回答3相手への感情が改善したを感情改善とする。

また、設問17  ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますかは、回答1満足している、2やや満足している、3どちらでもない、4やや不満である、5不満であるで回答5に近づくほど不満である回答のため、平均値が高くなるほど不満であるとする。

2つの母平均の差の検定

有意確率0.001で有意水準0.01以下であるため、悪化した人と改善した人のADR過程満足度に差があることが分かった。また、相手への感情が悪化した人は、相手への感情が改善した人よりも不満であることが分かった。

8満足度における男女の違い

設問2 性別を教えてください
設問17 ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますか 
設問18 ADRによる話合いの結果(離婚条件等)には満足していますか

設問2 

設問17

設問18

1女性の中で

1満足している 40/61   65.6%

1満足している 36/61   59%

1女性の中で

2やや満足している17/61  27.9%

2やや満足している16/61 26.2%

1女性の中で

3どちらでもない2/61   3.3%

3どちらでもない 1/61   1.6%

1女性の中で

4やや不満である 1/61   1.6%

4やや不満である 6/61  9.8%

1女性の中で

5不満である 1/61   1.6%

5不満である   2/61   3.3%

2男性の中で

1満足している13/33  39.3%

1満足している10/33  30.3%

2男性の中で

2やや満足している8/33  24.2%

2やや満足している4/33 12.1%

2男性の中で

3どちらでもない 3/33     9.1%

3どちらでもない9/33  27.3%

2男性の中で

4やや不満である2/33     6.1%

4やや不満である1/33 3%

2男性の中で

5不満である   7/33    21.2%

5不満である9/33   27.3%

性別と過程満足度の間に関連があるかどうか

設問17  ADRによる話合いの過程(プロセス)に満足していますかの回答1満足している 、2やや満足しているを満足、回答4やや不満である,5不満であるを不満とする。

独立性の検定をしたところ、有意確率0.001で有意水準0.01以下であるため、男性と女性では過程満足度に統計的に有意差が認められた。

性別と結果満足度の間に関連があるかどうか

設問18  ADRによる話合いの結果(離婚条件等)には満足していますかの回答1満足している、2やや満足しているを満足、回答4やや不満である、5不満であるを不満とする。

独立性の検定をしたところ、有意確率0.04で有意水準0.05以下であるため、男性と女性では結果満足度に統計的に有意差が認められた。

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