離婚一般

国際離婚の3つの法的ポイントと在留資格

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2019年4月、新たな在留資格ができ、外国人労働者の受け入れが始まりました。

これまで以上に外国人の長期滞在が増えることは確実です。

そうすると、国際結婚も増加し、残念ながらそのうちの何割かは離婚に至ることも避けられないでしょう。

そこで、今回は「国際離婚と在留資格」について注意しておきたい法的注意点3つと在留資格のことをお伝えします。

1 国際離婚と法律

まず、国際離婚の手続きについて、法律的なことも含めてご説明します。

1-1 国際離婚と準拠法

国際的な要素を含んだ事柄をどの国の法律に基づいて解決していくか(準拠法)の選択方法を指定する法を国際私法といいます。

そして、日本の代表的な国際私法は「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」とします。)に定められています。

離婚については、通則法27条が適用され、国際結婚について定めた通則法25条が準用されます。

(婚姻の効力)
第二十五条 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
(離婚)
第二十七条 第二十五条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

その結果、離婚をどの国の法律に基づいて行うかを次のように段階的に定めています。

  • 夫婦が同一国籍であれば同一本国法
  • 夫婦の同一本国法がなければ、第2に夫婦の同一常居所地法
  • 夫婦の同一居所地法もなければ、第3に夫婦に最も密接な関係のある地の法

但し、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人のときは日本法によるとされています。

したがって国際離婚に適用される法律は・・・

夫婦のどちらもが日本に住んでいる場合 

日本の法律が適用されます。

夫婦のどちらも日本に住んでいない場合 

夫婦が住んでいる国の法律が適用されます。

夫婦の一方の日本人が日本に住んでいる場合 

日本の法律が適用されます。

1-2日本方式による離婚

日本人同士の離婚手続きと同様に離婚方法は、以下の3つです(例外的に審判離婚もあります。)。

・協議離婚
・調停離婚
・裁判離婚 

そして、どの方法を選んだとしても、役所に離婚届を提出しない限り、戸籍に離婚の事実が記載されることはありません。

ここで、注意しなければならないことがあります。

それは、日本で離婚が成立しても、相手国にも届出をしない限り、相手国の婚姻関係は解消されないということです。

そのため、相手国の在日公館でその国の離婚方法を調べ、必要な手続きをしなければなりません。

また、日本のように協議離婚を認めている国は少なく、多くの国では裁判の判決をもって離婚が成立すると定めています。

そうした国で離婚を認めてもらうには、日本での離婚の際に裁判を行い、その判決文を用意する必要があります。

1-3 外国方式による離婚

夫婦が住んでいる国で離婚手続きをする場合、その国の法律が適用されます。

ここで、注意しなければならないことは、居住国の法律で離婚が成立しても(多くは裁判で離婚が成立しても)、日本人の場合、それで全て手続きが終了したわけではないということです。

つまり、日本方式と同様に届出をしないと戸籍に離婚の事実が記載されないのです。

そのため、必要書類を添えて、離婚が成立した国の日本公館、または日本の本籍地役所に離婚届を提出しなければなりません。

例えば、アメリカ人の夫と日本人の妻がアメリカに住んでいて、アメリカで裁判離婚したとしても、日本で離婚届を提出しない限り、日本人の妻の戸籍に離婚の事実は記載されません。

1-4 国際離婚の3つ法的ポイント

国際離婚手続きのポイントは・・・

  • 相手国の離婚のルールを確認する
  • 準拠法に基づいてどの国の方式で離婚を成立させるべきか決める
  • 離婚成立後、日本と必要な場合は相手国にも離婚届出をする

2 国際離婚と在留資格

2-1 在留資格とビザ(査証)の違い

みなさんが混乱しやすいのは在留資格とビザ(査証)です。

実は、在留資格とビザ(査証)は別物で、在留資格を取得しなければ日本に滞在することはできません。

以下に違いを記載しておきます。

在留資格
外国人が、日本に滞在するために必要な資格です。在留資格の申請先は空港・港(入国時に申請の場合)、あるいは、入国管理局(滞在中に申請の場合)です。どの在留資格で滞在するかによって、在留期間、外国人が日本へ入国後行うことができる活動の範囲が異なります。

ビザ(査証)
在外公館による入国の推薦状のことです。入国申請を行うための条件の一つに過ぎません。ビザ(査証)の申請先は、在外日本公館で入国前に行います。入国目的によってビザの種類は異なります。

では、日本人の外国人配偶者が日本に居住した場合の在留資格はどうなるのでしょうか。

以下で、結婚から離婚までの流れに沿ってご説明します。

2-2 日本人との結婚した際の在留資格

2-2-1 日本人の配偶者等

日本人と結婚した外国人は、日本に居住すると「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できます。

この在留資格は、保証人が日本人の配偶者であることなどの一定条件はありますが、活動の範囲に制限がありません。

在留期間は、5年、3年、1年、6ヶ月のいずれかです。

在留期間が切れるごとに更新の手続きが必要で、それを怠ると国外退去処分の措置を受けることになります。

2-2-2 永住者

「日本人の配偶者等」から「永住者」に在留資格を変更できます。

日本人の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上日本に在留していること等が条件です。

因みに、一般の外国人が「永住者」の在留資格を取得するためには以下のような厳しい条件をクリアーしなければなりませんが、日本人の外国人配偶者はその条件が緩和されています。

素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

「永住者」の在留資格を取得すると期間も活動の範囲も制限がなくなります。

そして、「永住者」として在留資格をすでに取得している外国人は、婚姻関係の解消を理由に日本の永住権を失うことはありません。

2-3 日本人と離婚した場合の在留資格

次に、日本人と外国人が離婚した場合の外国人の在留資格についてみていきましょう。

2-3-1 定住者

永住権を持たない外国人が離婚後も日本に住み続けたいとき、以下の条件を満たせば、「日本人の配偶者等」から「定住者」に在留資格を変更できます。

  • 日本国籍を持つ子どもの親権か監護権持ち、実際に養育している
  • 日本の滞在が長期間に及ぶなど、日本での定着度が高い

そして、定住者の在留期間は、5年・3年・1年・6ヶ月または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)とされています。

「日本人の配偶者等」の在留資格の外国人がその配偶者の活動を6ヶ月以上行っていない場合も正当な理由があれば在留資格の取り消しにはなりません。

正当な理由とは

  • 配偶者からの暴力を理由として、一時的な保護または避難を必要としている
  • 子どもの養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居しているが、生計を一にしている
  • 本国の親族の傷病等の理由により、再入国許可により、長期間出国している
  • 離婚調停または離婚訴訟中

現在、在留資格は27種類あります。日本人と離婚した外国人が日本に滞在するためには、そのどれかに該当しなければなりません。

3 最後に

「国際離婚」で思い出すのは、「母子生活支援施設」の外国人女性の姿です。

彼女たちは、日本人男性と国際結婚をしたものの破綻し、慣れない文化の中で懸命に子育てをしていました。

あまりに違う文化や習慣の男女が夫婦となり、共に生活していくことが想像以上に努力が必要なことは言うまでもありません。

色々な場面で多様性を受け入れる寛容さを持たなければならない時代になりました。

しかし、日本は、多様性を受け入れることにまだ不慣れです。

今後、国際結婚や離婚においても、これまで以上に社会的責任を自覚し、誠実に対応していかなければならないのではないでしょうか。

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