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DVから逃げる―シェルターってどんなところ?―

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今日は、DVシェルターに関する情報を対談形式でお届けします。お話しいただいたのは、社会福祉士でもあり、過去にDVシェルターでの支援員経験をもつ嶋貫養子さん、インタビュアーは当センター代表小泉です。

DVシェルターとは

小泉:まず、DVシェルターの基本を教えてください。DVシェルターの定義や種類ってどんな感じですか?

嶋貫:DVシェルターは、配偶者や恋人から暴力(ドメスティックバイオレンス)を受けた方を一時的に隔離し、保護するための施設で、「緊急性のある危機」に対応するのが特徴です。

公的シェルターと民間シェルターがあり、公的シェルターは都道府県に一か所以上、民間シェルターは国内に100か所以上あります。セキュリティがしっかりしていて、所在地は非公開なので、加害者の追跡から守られます。

小泉:DVシェルターは、いつでも受け入れてくれるのですか?

嶋貫:希望するときに、いつでも入所できるとは限りません。シェルターは未だに足りないので、空きがある時にしか入れません。

小泉:なるほど。確かに数に限りがありますものね・・・。それでは、今現在DVに悩んでいる人がシェルター入所に向けて、事前に準備できることは何かありますか?

嶋貫:事前に、居住地の福祉事務所に行き、女性相談員や母子相談員と打ち合わせをしておくとスムーズです。例えば、シェルター退所後、経済的自立ができないと見込まれる場合、生活福祉資金の貸付や生活保護の申請を検討することができます。

小泉:では、まさに今あぶない、という緊急の場合はどうしたらいいのですか?

嶋貫:警察です。110番で来てもらっても良いですし、自分で逃げられるときは保護を求めましょう。

DVシェルターの利用料と期間

小泉:入所にはいくら費用がかかるのですか?

嶋貫:公的シェルターは無料です。民間シェルターはところによって違いがありますが、1日1,000円程度かかるところもあります。

小泉:無料もしくは1,000円程度というのは、とてもありがたいですね。家賃が支払えないという理由で、なかなか家を出られない人が多いようですので。でも、安いからといって、いつまでもいられるわけではないのですよね?

嶋貫:原則2週間ですが、多少の延長はできる場合があります。

小泉:「子どもの年齢で入れませんでした」という方の話を聞いたことがあるのですが、連れていける子どもの年齢に制限などあるのですか?

嶋貫:子どもを連れて入所を希望する場合、年齢制限があります。特に男の子を連れての入所は、制限年齢を小学校低学年程度の低い年齢にしているところがほとんどです。

入所中にすべきこと

小泉:シェルターに入っている2週間、みなさん、どんなことをして過ごしているのですか。

嶋貫:短い期間ですが、やるべきことが結構たくさんあります。そして、「安全に生き続けるために、何から始めるべきか」という視点で様々な手続きをはじめます。

小泉:例えば、どんな手続きですか

嶋貫:保護命令の手続き、住民票の発行禁止手続き、健康診断、離婚調停の手続き、就労へのサポート、保育園や学校の転園・転校の手続き、生活費がなければ生活保護の手続きなどがあります。

小泉:随分たくさんありますね・・・。こういったことを2週間でやるのはとても難しいようにも思いますが・・・。

嶋貫:できないところは、シェルターの支援員や福祉事務所の女性相談員や母子相談員が手伝ってくれます。しかし、支援を受ける側のみなさんも、「やってもらう」ではなく、「自分でやっていく」という意識をもって取り組んでいかなければなりません。

DVシェルターのデメリット

小泉:DVシェルターは、本当に必要な施設だと思うのですが、「制限が多い」とか「生活しづらい」という声も聞くのですが、実際のところどうなのでしょうか。

嶋貫:確かに、不便な点もあるかと思います。例えば、加害者への連絡や自分の居場所を誰かに知らせることは禁じられています。そのため、携帯電話の使用ができない施設もあります。これは、その人のみではなく、入居者全員の安全を守る上でもとても大切なことなのです。

小泉:ほかにも何か覚悟しておいた方がいいことはありますか。

嶋貫:シェルターは優しいだけじゃない、ということです。想像以上に厳しいと思って入所した方がいいかもしれません。

「私は、DV被害者なのだから、周りの人達はきっと私を労わり、優しくて何でもしてくれるだろう」

「シェルターは、DV被害者のためにある施設なのだから、私のことを包み込んでくれるだろう」

と過大な期待をもって入所すると、ショックを受けることになるでしょう。

小泉:ずっとシェルターにいられるわけではないですし、やはり、リスタートのための準備という側面も大きいのでしょうか。

嶋貫:各施設によって、厳しさに多少の違いはあると思いますが、今後、自立して生活するためのスタート、トレーニングのための場所であることには違いはありません。

退所後は、社会に出て自分ひとりで稼ぎ、さらに子育てをして、地域生活も円滑にこなす必要があります。シェルターには門限や掃除をするなどのルールがあり、それを破ると支援員から叱られます。場合によっては、退所になることだってあります。ですが、誠実にルールを守り、自立をめざしてまじめに生きている人のことは、シェルターも退所後の社会も必ず助けます。

小泉:シェルターは、ほかの入所者の方との共同生活になると思うのですが、共同生活ならではの大変さなどもあるのでしょうか。

嶋貫:入所者同士のトラブルも結構あります。シェルターには、実に色々な事情をお持ちの方が入所されます。現在は国籍も様々です。同時に数人が入所する場合もあるので、常識や文化が違う人々が生活を共にするとトラブルも起きるのです。

例えば、シェルターの支援員の見ていない所で、

・どうして、ここに入所することになったのかを根堀葉堀聞いてくる

・住所、メールアドレスを教えてと言ってくる

・お金を貸してくれないかと頼んでくる

なんてことがあります。

トイレやお風呂が共同だった場合は、「あなた、トイレットペーパー使い過ぎよ」「お風呂が長すぎる」など、些細なことにケチをつけられることもあります。

また、個室の施設の場合は、ずかずかと自分の部屋に上がり込んでくることもありますし、子ども同士のトラブルが起こることもあります。

入所者の皆さんは、何かに傷つき、シェルターにたどり着いています。そういう意味では、お互い支え合える関係になれれば良いのですが、短期間ではなかなかそうはいきません。深入りせず、困った時は、施設支援員に相談して対応をしてもらってください。

シェルターの退所後

小泉:先ほど、シェルターでの生活は2週間程度といった期限があるとお聞きしましたが、その後はどうなるのでしょうか。2週間程度で、すべての問題が解決するようには思えないのですが・・・。

嶋貫:シェルターに入所している間に、今後について支援者と一緒に考えます。経済面や精神面で支援を受けずともやっていける人はそこで支援は終わります。しかし、ほとんどは、福祉事務所の女性相談員や母子相談員の支援を受け、長期的に入所できる更生施設や母子生活支援施設に転居していきます。

小泉:最後に、DV被害者のみなさんに嶋貫さんから何かメッセージはありますか?

嶋貫:人間は、誰でも、人として尊ばれ、人間らしく生活するための権利を生まれた時から持っています。

試練のときがあったとしても、DVから逃れ、安全に生きていく事は可能です。シェルターはそのためにある施設です。

残念なことに、シェルターに入所する方の中には、そのことに気付けず、支援者がどんなに止めても加害者の元に戻ってしまう方がいます。DV被害者の方に幸せになってほしい、それが支援者の心からの願いです。

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