親権

子どもが親を拒否するとき、考えられる5つの理由

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先日、「長男は母へ引き渡すべき」との一審である奈良家裁の決定に対し、子どもの強い拒否を理由に、最高裁から「引き渡しは困難」との判断が示されました。

本来、子どもは親が大好きです。反発したり、けんかをしたりしながらも、根底では安心感や信頼感を持っているものです。

しかし、親の離婚を経験する子どもの中には、ときに、親に対する明確な拒否反応を示す子どもがいます。

今日は、この判断をきっかけとして、子どもが親を拒否する理由について考えてみたいと思います。

どんな場面で問題になるか

まず、親に対する子どもの拒否は、どんな場面で問題になるのでしょうか。

親権や監護権

日本は、現在、離婚後は単独親権になる制度を採用していますので、両親が離婚をした場合、父母のどちらか一方だけが親権者になります。

また、離婚の有無にかかわらず、夫婦が別居するとなると、子どもは両方の親と住むことはできません(頻繁に行き来ができたとしても、やはりどちらかが主たる監護者として軸が決まります)。そのため、父もしくは母のどちらか一方が監護者になります。

子どもの年齢にもよりますが、通常、父母間の話合いで親権者や監護者が決められることが多いのですが、子どもの年齢が高かったり、父母間に争いがあったりすると、「どちらの親と住みたいか」という子どもの意見が聞かれる場面が出てきます。

そこで、前向きな理由として、一方の親と住みたいという意見が聞かれることもあれば、どちらか一方の親に対する明確な拒否感から、もう一方の親との同居を希望する子どももいます。

面会交流

面会交流は、離れて暮らす親と子どもが会うことをいいます。

こちらも親権や監護権と同様、父母間で面会交流の回数や方法を話し合うことが多いのですが、子どもの年齢が高く、明確な意見を持っているような場合は、子どもの意見が参考に聞かれたりします。

親権や監護権に比べ、実際に会うのは子どもということもあり、子どもの意見が取り入れやすいような気がします。

そんな場面で、子どもが「パパ(ママ)とは会いたくない」と言うことがあるのです。

子どもが親を拒否する5つの理由

それでは、本題ですが、子どもがどちらかの親を親権者(監護者)として拒否する場合や面会交流で会いたくないという場合の理由について考えていきたいと思います。

もう一方の親への気遣い

子どもはどんなに幼くても、多かれ少なかれ、一緒に住んでいる親の気持ちを把握しています。

例えば、極力相手の不満や悪口は口にするまいと思っていても、自然と、子どもたちには「ああ、ママ(パパ)はパパ(ママ)が嫌いなんだな。。。」と気付かれてしまいます。

そして、現在同居している親というのは、子どもにとって絶大な存在で、生命線でもあります。見捨てられたら生きていけないとの思いがあります。

そのため、子どもは、一生懸命、同居親の気持ちを察し、その気持ちに沿うような言動を取ろうとします。

「きっと、ママは、自分と一緒に住みたがっているだろうな」

「きっと、パパは、自分に『ママとは会いたくない』と言ってほしいんだろうな」

といった具合です。

紛争に巻き込まれたくない気持ち

面会交流に関して、よく起こりえる子どもの心情があります。

それは、「僕がパパに会ったら、ママが怒って、また喧嘩になる」という心情です。

同居親が子どもを別居親に会わせたくないと思っている場合、面会交流の取り決めについて何らかの争いが起こっていることがほとんどです。

例えば、「会わせろ」、「いや、会わせたくない」と父母が電話口で喧嘩していたりするのです。

子どもとしては、「やっと、喧嘩を見なくて済むようになった」、「家の中が穏やかになった」と安心していたのに、そんな電話を聞いてしまうと、「会うこと=争いの再燃」という方程式が出来上がってしまい、会うこと自体が「悪」になってしまうのです。

現状を変えることへの不安

裁判所には「継続性の原則」といって、現状の生活を重視するという考え方があります。それは、むやみに子どもの生活を変化させることによる子どもへの悪影響を懸念しているからです。

それと同じく、子どもにも変わることへの不安があります。

例えば、これまで長い間会っていなかった別居親と面会交流することは、嬉しい反面、どう振舞っていいか分からないという戸惑いがあります。また、同居親との平穏な生活に波風が立つのではという不安もあります。

また、監護者や親権者に関しても、別居親と一緒に住みたいということは、大きな環境の変化を意味し、なかなか口に出すのは難しいでしょう。

そんなこんなで、複雑な感情を取り扱うことを諦め、現状維持のため、別居親を拒絶するような発言をすることがあります。

感情的に拒否している

子どもにとって、とても酷なことですが、本心から親を嫌っている子どももいます。

例えば、同居当時、虐待を受けていたとか、ほとんどかかわりを持ってくれなかったとか、いつも文句ばかり言われて楽しい思い出がないなど、その理由は様々です。

また、同居親との心の距離が近すぎて、同居親の別居親に対する拒否感を自分の気持ちのように感じてしまうこともあります。

しかし、子どもは、自分の心の奥底から出てきた本心だと感じていますので、迷いのない言葉で親を拒絶するのです。

合理的に拒否している

子どもの年齢が高い場合に多いのですが、大人が聞いても「そうだよね」と頷きたくなるような合理的な理由を話す子どももいます。

「ママは、家事が苦手だから、一緒に住むと私がご飯を作ったり、洗濯をしたりすることになる。でも、パパと住んでいれば、おばあちゃんが全部やってくれるから、ママではなくパパと住みたい」といった具合です。

また、面会交流に関しても、「土日は部活動で忙しい。たまの休みは友達とでかけたい。なので、別に親を嫌っているわけではないけど、面会交流は拒否したい」と話す子どももいます。

まとめ

子どもは、大人が思っている以上に敏感に色々なことを感じ、考えています。

そして、「合理的な拒否」以外は、やはり、子どもにとって望ましい状態であるとは言えません。

子どもが誰に気を遣うことなく、「私は、パパもママもそれぞれに好きだ」ということを口に出せるような環境作りが大人には求められるのではないでしょうか。

親の離婚を経験する子どもの心理については、以下もご参考ください。

子どものいる夫婦が離婚時にしてはいけない10のこと
親の離婚と子ども 知っておきたいQ&A
離婚が子どもに及ぼす悪影響とその軽減方法

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