50代男性のための離婚準備チェックリスト8項目

離婚の二文字が頭をよぎったとき、いきなり「財産分与」「有利に離婚するには」といったワードで検索などしていませんか。

気になることだけを調べるのではなく、まずは全体を把握した方かえってが近道だということがあります。

ぜひ、以下のチェック項目を考えてみてください。

☑離婚の理由を明確にする

離婚を考える際、まず「なぜ離婚したいのか」を具体的に整理することが重要です。離婚の動機が曖昧なままだと、手続きが進むにつれて迷いや後悔が生じやすくなります。

特に、50代の離婚は、婚姻期間がある程度長いことも多く、「本当にこれでよかったのだろうか」と迷いが生じやすかったりします。

感情的な勢いで決断するのではなく、他に解決方法がないかを慎重に検討することも大切です。離婚カウンセリングをひとりで受けたり、夫婦で夫婦カウンセリングを受けるなどして、自分の気持ちやお互いの気持ちを整理することもできます。

☑離婚の目的を明確にする

離婚後の生活目標を描くことも重要です。人生100年時代、50代で離婚した後も、まだまだ人生は残っています。

余生を過ごすイメージではなく、新たに追求したい仕事や趣味、パートナー探しなど、前向きに準備を進めることが大切です。

もしくは、現在の生活のしんどさや辛さから解放された「気楽で自分らしい生活」を送ることが目的でもいいと思います。

離婚をただの終わりではなく、新たなスタートの一歩と捉える視点が鍵となります。

☑財産の把握

離婚の意思や目的が固まったら、次は財産の把握です。

離婚時には、夫婦で築いた財産を公平に分ける「財産分与」を行います。そのため、まずは全ての共有財産をリストアップする必要があります。具体的には、預貯金、不動産、車、生命保険、投資商品などがあります。

また、現在受け取っていなくても、退職金や個人年金も財産分与になりますので、どのような財産が対象になるか、あらかじめ調べておくことが必要です。

住宅ローンや子どもの奨学金の返済など、マイナスの財産も忘れずに計上しましょう。

なお、離婚時の財産分与の対象になるのは夫婦の共有財産のみです。そのため、独身時代の預貯金や親からの相続や生前贈与でもらったお金は省く必要があります。

50代での離婚の場合、既に結婚から20年以上経過していることも多く、独身時代の預貯金を明確にするのは難しいかもしれません。

そのため、特有財産については、もし親の相続や生前贈与があれば、という程度で考えてもいいでしょう。

☑財産分与案を考える

法律通りに考えると、財産分与は2分の1ずつです。しかし、家庭によって事情は様々です。以下に例をいくつか紹介します。

  • 教育資金として親権者が取得する

学資保険の満期受取金や子どもの教育費のための積み立てなど、「これは子どものためのお金」という共通認識があるものについては、親権者が取得し、教育資金として使用していくという合意もありです。

  • 妻に多く分与する

例えば、夫が離婚を求めているようなケースで、妻が離婚後の生活が不安だと拒否している場合があります。こんな場合は、2分の1よりも多めに分与することで、妻に離婚を促すことが考えられます。

  • 金融資産は夫が取得する

本来、株式や債券も財産分与の対象となり、2分の1ずつ分与することになります。しかし、これまで保有していた株式や債券を売却したくない、妻としても株式をもらっても運用の仕方が分からない、そんな場合に夫が全て取得するという方法があります。

その代わり、妻は他の財産を多めにもらうとか、養育費を上乗せするとか、夫婦が合意すれば、そんな合意も可能です。

☑子どものこと

子どもがいる夫婦であっても、50代ともなれば子どもの年齢も大きくなっていることと思います。そのため、親権や面会交流というよりは、養育費(教育費)の分担を考えておく必要があります。

また、年齢が大きいからこそ、なぜ親が離婚するかの説明が大切です。お子さんの心情をケアするためにも、いつどのようなシチュエーションで説明するのかを考えておきましょう。

☑離婚後の収支を明確に

財産分与と養育費の案ができたら、次は離婚後の収支を明確にすることです。50代であれば、まだまだ働きざかりですので、あまり収入は変わらないはずです。そのため、支出として主な固定費(住宅ローンや家賃、保険料など)や変動費(食費、交際費など)をざっくりと把握しておくことが必要です。

ただ、役職定年があったりと、離婚後に収入の減少が見込まれる人は、副業や再就職の準備を検討するのも有効です。経済的な不安を軽減するために、信頼できる専門家(ファイナンシャルプランナー等)に相談し、現実的な生活設計を進めましょう。

☑住まいの確保

多くの場合、離婚を機に自宅を出る人が多いように思います。なぜなら、50代の離婚の場合、ある程度住宅ローンを返済している一方で、子どもの教育費などで支出がかさみ、夫婦の共有財産の大部分が不動産ということが多いからです。

このような場合、どちらかが不動産を取得すると、取得した側が相手に支払う代償金が高額になってしまい、到底払いきれないということになるからです。

もしくは、どちらかが取得するにしても、まだ子どもが独立していない状況であれば、妻が自宅に残り、夫が家を出ることが多かったります。夫にしても、家族で住んでいた家にひとりで住んでも管理に困るという事情もあります。

いずれにしても、将来的に自宅を購入することがあるかもしれませんが、離婚直後は賃貸という方が多いと思いますので、離婚後の収支に合わせた家賃の住まいを探すことが必要です。

☑妻との協議の方法

そして一番大切なのが、妻に離婚を切り出すことです。いつ離婚を切り出すのか、その際、どのように伝えるのか、そうした準備が必要です。初動を間違えると、妻の怒りや反発を買ってしまい、離婚協議がうまくいかなくなってしまいます。

夫婦間協議の基本

離婚を切り出したときの妻の様子もイメージしながら、よく考えておく必要があります。例えば、離婚理由を伝える際、相手のせいだけにしないことや日常の会話とは切り分けて行うことなどが挙げられます。

第三者を入れた離婚協議の方法

妻がすんなりと離婚に応じてくれて、離婚条件の取り決めもスムーズに行えればいいのですが、あまりそういうことは期待できません。そんなときにどうやって離婚協議を進めていくか、考えておきましょう。以下に第三者を入れる3つ方法をご提案します。

家庭裁判所

家庭裁判所の離婚調停を利用することが考えられます。弁護士に依頼せず自分で調停を行った場合、費用が安価だというメリットがあります。

一方で、調停委員に当たりはずれが多かったり、長引くというデメリットもあります。

弁護士

法的知識がある専門家に自分だけの味方になってもらえる点が大きなメリットです。一方で、費用が高額だったり、紛争性が高まる点(自分が弁護士に依頼すると、大抵相手も依頼する。)がデメリットです。

ADR

ADRは民間の調停制度です。民間といえども、いわゆるADR法に基づき、法務省が管轄している制度なので安心して利用ができます。

メリットとしては、早期解決や利便性(土日利用可、オンライン可など)、そして紛争性を高めない質の高い解決などが挙げられます。

一方、デメリットとしては、弁護士費用に比べると格安である場合が多いけれど、一定の費用がかかる点や養育費や婚姻費用以外については執行力がない点が挙げられます。

まとめ

夫婦の離婚意思が合致し、離婚条件も円満に決められる。そんな状況はあまり期待できませんが、婚姻期間が長くなればなるほど、上手に終えることが、次の人生につながると言えます。

そのため、結果のみ重視するのではなく、話し合いの過程も重視した解決を目指していただければと思います。