養育費

「養育費はいらない」は撤回できる⁈

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円満離婚と養育費

離婚の際、「とにかく早く離婚したい」という気持ちや「どうせ払ってもらえないから」という諦めの気持ちから、養育費はいらないと言って離婚してしまう方がいます。

しかし、その後、子どもにお金がかかるようになったとして、養育費を請求することはできるのでしょうか。

「養育費はいらない!」は撤回できる?

口約束の場合

離婚の際、何も書面を残さず、口約束だけで済ませる人も少なからずいます。そして、その際、「養育費はいらないから、とにかく離婚して。」と言ったとしたらどうでしょう。

その場合、とくに公的な書面で約束しているわけではありませんが、口頭での契約が成立していることになります。ただ、口頭の場合、どのような状況で合意が成立したのか、そもそも、本当に合意が成立しているのか、不透明なことがほとんどです。

例えば、「自分から離婚を求めているんだから、俺は一切養育費は支払わないからな!」と脅されるように言われ、仕方なく「はい」と答えたとしたらどうでしょうか。

これも養育費はいらないことの合意と言えるでしょうか。おそらく、夫にしてみれば、養育費はいらないということについて同意があったと主張するでしょうし、妻は、「怖かったので、そう答えるしかなかった。同意したわけではない。」と言うでしょう。

この例を見ていただくと分かるように、口頭での合意は、合意があったのかなかったのかさえ、双方で認識が違うこともありますので、合意の状況によっては、必要になった時点で養育費を請求することが可能です。

また、詳しくは後述しますが、合意の状況にかかわらず、合意時と事情が変更している場合、新たな請求が可能です。

ただ、どちらにしましても、相手にしてみれば、「いらないと言ったじゃないか!」と反発したくなります。そのため、どうしていらないと言ったのか、どんな事情で請求したいと思うようになったのかをきちんと説明する必要があるでしょう。

離婚協議書で約束した場合

双方が合意の上、養育費を請求しないことを離婚協議書で残している場合、その約束を反故にするのは難しいと考えられます。

ただ、養育費は、裁判所で決めたとしても、双方の収入の大幅な増減や身分関係の変更(再婚等)によって、金額の変更が認められるものです。

そのため、離婚協議書で定めた際と異なる事情が発生したのであれば、その事情をもとに請求する余地は残されています。

公正証書・裁判所で決めた場合

離婚公正証書や裁判所で離婚条件を決定する際、そもそも「養育費は請求しない」という条項を入れることはほとんどありません。

例えば、支払う側が無収入(もしくは極端に収入が低い)だったとしても、収入が得られるようになった場合には支払義務が発生するからです。

それだけ、養育費を支払う義務というのは大切な役割だと言えるのですが、何らかの事情(例えば、相当額の学資保険を親権者が得ている等)で請求しない旨を文言化しているのであれば、その約束を覆すことは難しいと考えられます。

子どもの扶養請求権

親の約束で養育費は支払わないと決めたとしても、子ども自身が親の扶養を求める権利には影響を与えません。

そのため、父母間の養育費を支払わない旨の取り決めがどんな形であったとしても、子どもから親に対し、学費等の支払を請求することができます

養育費を請求する方法

まずは自分で請求する

既に離婚した相手に連絡をするのはなかなか気が重いものです。しかも、「お金をください。」という内容なのでなおさらです。

しかし、いきなり弁護士や裁判所から連絡がきたとなれば、相手の受け取る印象も大きく変わってしまいます。

まずは、自分で、メールや手紙などで養育費の請求を行いましょう。その際、先ほども書きましたが、どうして養育費が必要になったのか、きちんと説明することが大切です。

家庭裁判所の調停を申し立てる

自分で請求しても応じてくれない場合(もしくは何ら反応がない場合)、家庭裁判所の養育費請求の調停を申し立てることができます。養育費だけの調停であれば、弁護士に依頼せずとも自分で対応することが可能です。

調停では、相手が出席してくれなくても、また、相手の収入が分からなくても、最終的には「審判」という手続きに進み、適切な養育費額が決められます。

そして、その決められた養育費が支払われない場合、地方裁判所で強制執行の手続をすることもできます。

ADRによる調停を申し立てる

自分たちでは合意が難しいけれど、裁判所で争うまではしたくないという人は、ADRという民間の調停機関を利用することも可能です。

ADRは、土日や平日夜間の利用が可能だったり、オンラインによる協議が可能だったりと、裁判所より利便性が高いのが特徴です。

また、葛藤が高まりにくい点においても、双方納得の上での合意が期待でき、将来の継続的な支払いに繋がります。

ADRによる調停(仲裁・仲介)
ADR(調停)よくある質問

過去に遡って養育費を請求できるか

過去に遡って養育費を請求することも可能ですが、調停になった場合、「請求の意思が明確になった時点から」ということで、調停申立時からの養育費が認められることが多いようです。

また、メールやラインなどで請求意思が明確に確認できる場合も、その時期まで支払いを遡れることもあります。

いずれにしても、相手に請求しないまま時が経過してしまうと、その間の養育費は受け取れない可能性が高くなってしまうので、早期に手続きを進めることが必要です。

まとめ

一度いらないといった養育費の支払いを開始してもらうことは簡単ではありません。しかし、それが子どもにとって必要なお金であるならば、しっかりと請求してほしいと思います。

一方で、養育費の支払いを受けていない場合、面会交流を実施していないケースも多いことと思います。親からしてみれば、「養育費をもらっていないのだから、会わせなくても問題がない」と考えがちですが、子どもにとっては、お金ももらえない、離れて暮らす親にも会えない、といったマイナスの状態です。

是非、養育費や面会交流について、お子さんの幸せを中心にして、話し合っていただければと思います。

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