養育費

「養育費はいらないから離婚して!」を後悔しているあなたに

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弊社に相談にこられる方の男女比は概ね半々です。そして、女性の方の相談の中身で多いのが養育費についてです。

養育費については、「いくらくらいもらえるものなのでしょうか。」という基本的な質問も多いのですが、中には、「とにかく早く離婚したいので、養育費も慰謝料ももらわずに離婚しようと思うのですが。」という人もいます。

もちろん、その方の状況によって、アドバイスが変わってきます。請求したとしても、もらえる養育費が微々たる金額という人や、いずれ支払いがストップしそうだけれど、自営業だから強制執行もしにくいという人は、がんばって養育費を決めても無駄だったりします。

しかし、大抵の人には、「お子さんのためにも、よく考えて結論を出しましょう」と再考を促します。早く離婚のごたごたから逃れたいという気持ちは十分理解できます。ただ、養育費は、経済的援助の側面だけでなく、「パパ(ママ)は、僕、私のことを気に掛けてくれている。」という子どもの気持ちにもつながります。

今回は、残念ながら「養育費はいらないからとにかく離婚して!」と言ってしまった人に参考にしてもらいたいことを書きます。

   1 「養育費はいらない!」は撤回できる?

1-1 口約束の場合

離婚の際、何も書面を残さず、口約束だけで済ませる人も少なからずいます。そして、その際、「養育費はいらないから、とにかく離婚して。」と言ったとしたらどうでしょう。

何も証拠はありませんし、口約束は約束していないも同然です。そのため、何ら問題なく養育費を請求することができます。

ただ、相手にしてみれば、「いらないと言ったじゃないか!」と反発したくなります。そのため、どうしていらないと言ったのか、どんな事情で請求したいと思うようになったのかをきちんと説明する必要があるでしょう。

1-2 書面で約束した場合

離婚協議書、公正証書、調停調書など離婚条件を書面で残している人も多いことと思います。

そして、大抵の場合、その書面には「清算条項」というのが入れられます。

清算条項というのは、今後、一切、何かを請求したり、請求されたりという関係を断ち切るという意味合いです。例えば、「甲と乙は、本書に記載している事項以外の他、金銭や債権債務等の一切について、お互いに何らかの請求をしないこと」などと記載したりします。

裁判所で離婚調停をした場合も、ほとんどの場合、合意の調停条項には、この「清算条項」というのが入れられます。

以上のように、正式な書面で「もう何も請求しない。」と約束しているのですから、後になって「やっぱり養育費をください。」というのは難しいようにも思われます。

しかし、養育費は子を養育する親だけでなく、子ども自身も請求できるものです。そのため、子どもの法定代理人として、やっぱり養育費をください、ということが言えるのです。

親自身として約束したことなのに、今度は子どもの法定代理人として同じ人物がその約束に反する行為をするわけですから、何だかおかしな感じもします。

しかし、養育費の意味合いを考えると、やはり子どもの請求権までは奪えないということになります。

1-3 結論

ということで、口約束でも、ちゃんと書面で約束していたとしても、約束の手段に関係なく、「養育費はいらない。」と言ってしまった人も養育費の請求が可能です。

   2 請求する方法

2-1 まずは自分で

既に離婚した相手に連絡をするのはなかなか気が重いものです。しかも、「お金をください。」という内容なのでなおさらです。

しかし、いきなり弁護士や裁判所から連絡がきたとなれば、相手の受け取る印象も大きく変わってしまいます。

まずは、自分で、メールや手紙などで養育費の請求を行いましょう。その際、先ほども書きましたが、どうして養育費が必要になったのか、きちんと説明することが大切です。

2-2 それでもだめなら内容証明郵便

自分で連絡連絡しても、そう簡単に支払ってもらえるものではありません。特に面会交流を行っていなかったり、離婚後、完全に連絡を絶っていた場合、その傾向が高くなります。

メールや手紙などで連絡しても、何の音沙汰もなかった場合、内容証明郵便にて養育費を請求する方法もあります。

内容証明郵便はあまり知られていませんが、調停を申し立てたり、弁護士に依頼する一歩手前の方法として、手間も値段もお手頃です。自分で手紙を出すよりも重みがあり、意外と使い勝手がよかったりします。

例えば、弊社が行政書士業務として内容証明郵便の作成依頼を受けた場合、①どうして養育費が必要になったのか、②請求したい金額とその理由(内訳)、③その請求額が正当な金額であること(算定表などを例示)、④裁判所や弁護士に依頼して争うよりも、穏便に済ませたいこと、⑤とはいうものの、期限までに入金してくれなければ調停を申し立てざるを得ないこと、⑥調停を申し立てればどうなりそうか、などといったことを記載した内容証明を送付しています。

もちろん、それでも何も返事がないこともありますが、何らかの反応があったり、入金が確認できることも少なくありません。

内容証明郵便をご依頼になりたい方はこちらをご覧ください。

2-3 最終的には調停申立て

内容証明郵便でもだめであれば、次の手段は家裁の調停です。養育費だけの調停であれば、弁護士に依頼しなくても十分時分で対応することができます。

調停では、相手が出席してくれなくても、また、相手の収入が分からなくても、最終的には「審判」という手続きに進み、賃金センサスなどを使用して適切な養育費を決めてくれます。

そして、その決められた養育費が支払われない場合、地方裁判所で強制執行の手続をすることができます。

ただ、強制執行で差し押さえるべき給料や不動産がない場合、せっかく決めても絵に描いた餅になってしまいます。

調停を申し立てても出席してくれず、何ら連絡もない場合、審判で決まったとしても、自発的に支払ってくれることはあまり期待できません。

そのため、調停を申し立てる際は、調停ならば出席してくれそうかどうか、もし欠席が見込まれるのであれば、差し押さえるべき財産や給与があるかどうか、というのが重要になってきます。

   3 その他の注意点

3-1 請求に時効はあるか

財産分与であれば、請求は離婚から2年以内という期限がります。しかし、養育費には、そのような「時効」はありません。いつでも請求することができます。

ちなみに、公正証書や調停調書で養育費の金額を決めている場合、その支払いが滞り、請求が必要になった場合は、それぞれ5年と10年という時効があるので、また少し話が違ってきます。

3-2 過去に遡って請求できるか

過去に遡って養育費を請求することも可能ですが、調停になった場合、「請求の意思が明確になった時点から」ということで、調停申立時からの養育費が認められるようです。

そのため、なるべく早い段階で調停を申し立てる必要がありますが、家裁の調停となれば、それなりの覚悟や心の準備が必要だったりします。そんなときにも、内容証明郵便がお勧めです。内容証明郵便も「請求の意思」として認められますので、郵便を出した時点から認められる可能性が高いでしょう。

   4 まとめ

子どものための養育費、もらったからといって自分のために使えるわけではありません。それでなくても厳しいひとり親家庭の経済状況を考えると、「払ってもらって当たり前」という気持ちになってしまうと思います。そもそも、大変な子育てを押し付けておいて、お金くらい出してほしいという気持ちもにもなるでしょう。

しかし、突然養育費を請求された別居親から語られる言葉と言えば、「いまさら請求されても困る」、「子どもに会わせてくれないくせに」と言った風で、決して支払いに前向きではありません。いくら自分の子どもとはいえ、離婚後、会えていなかったり、一緒に過ごした期間が短かったりすると、「親としての責任感」がどうしても薄くなるようです。

そのため、一度いらないといった養育費を円満に支払ってもらうことはそう簡単ではありません。ここまで何度も書いていますが、どうして事情の変更が生じたのか、相手の納得を促すような説明が最重要です。

養育費についてはこちらも参考にしてください。
養育費が支払われない場合の完全マニュアル
幸せ養育費のすすめ
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