離婚を迷っている方へ

ちょっと待ってその離婚⑶

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今日は、「ちょって待ってその離婚」シリーズの完結編です。是非⑴、⑵をご覧になった上でお読みください。

ちょっと待ってその離婚⑴
ちょっとまってその離婚⑵

設定は前回までと同様以下のとおりです。

夫:48歳 経営コンサルタント(自営)
妻:42歳 専業主婦
長男:10歳 
長女:8歳

   1 新しい生活

1-1 離婚直後の空虚感

ついに離婚が成立し、ずいぶん気持ちが楽になった妻。最初は嬉しくてせいせいした気持ちが強かったものの、日が経つにつれて何だか生活に力が入らなくなってきました。転居したため、周囲に立ち話をするママ友もいません。子どもたちが学校に行っている間、家の中でだまって内職をするだけです。改善しつつあったうつ病も悪化し、薬を飲んでもやる気が出ない日が増えてきました。日中は横になり、子どもがちが帰ってくる夕方になってようやく起きだし、夕飯の準備をするのがやっとです。

離婚が成立した後、新しいスタートを軽快にきれる人とそうでない人がいます。離婚カウンセリングにこられる方の中には、意外と離婚後の方が多かったりもします。自分で望んだ離婚だけれど、いざ離婚が成立してしまうと、一生懸命取り組んできたことが終わった脱力感や、生活のへの不安を強く感じる人がいるようです。離婚協議中は、気持ちを張り詰めていたが故に入り込んでこなかった不安や寂しさが、離婚成立後に一気に押し寄せてくるからかもしれません。

1-2 一人親というプレッシャー

別居してから既に1年が過ぎ、一人で子ども2人を育てるのにも慣れてきました。そもそも、同居当時から夫は子育てにほとんど協力してくれなかったので、別居してから特に困ったこともありませんでした。しかし、夜中に子どもが熱を出して救急病院に連れて行かなければならない場合はほとほと困りました。また、近所に空き巣が入ったときなども、夜は不安で眠れませんでした。

子どもたちが「あの子はお父さんがいないから。」と後ろ指を刺されないようにと、いつも以上に完璧な母親を目指してしまうのも疲労の原因でした。

家事・育児を全くしない夫であっても、いざというときには意外と役にたってくれていたり、家にいるだけで安心感があったりするものです。「なくなって初めて気付くもの」も案外あったりするのです。また、「一人親家庭だから」という言い訳を自分に許さず、がんばりすぎてしまう人もいます。

   2 経済的な不安

2-1 家計への不安

これまで、夫が家計全体を管理していたので、妻は月々の生活費として渡されたお金で日用品を買い、足りない場合はクレジットカードを使ったりもしていました。そのため、「お金が足りないかも。」という経験をしたことがなかったのです。しかし、離婚してからというもの、毎日、お金の心配ばかりしています。何を買うにも、「これを買ったら〇〇の支払いができなくなるかも。」と心配してしまいます。そして、一番つらかったのは、以前の友人と生活レベルが違ってしまったことです。今までであれば躊躇なく3,000円のランチに行っていましたが、最近は、誘われても「どの店に行くんだろう」ということが気になってしまうのです。そうこうしているうちに、それを感じ取った友人から誘われなくなってしまいました。妻にとって、「お金の心配をしながらの生活」はとてもつらいものでした。

夫が比較的高給取りだった場合、妻は初めて「生活費の心配」と直面することになります。実際にはそれほど生活が苦しくなくても、常にお金の心配をしながら生活すること自体に疲れてしまったり、以前の生活レベルとの違いに自分自身を卑下してしまうことがあります。

2-2 のしかかる教育費の負担

これまで妻は、子どもにいいと思ったものは、何でも取り入れてきました。また、子どもたちからやりたいと言ってきた習い事も、まずは挑戦させてやりたいと思っていました。しかし、別居後、そのような教育方針を貫けなくなってきました。そもそも、長女の学費が重い負担としてのしかかり、長男を私立中学に行かせる余裕がなくなってしまいました。妻としては、自分の生活を切り詰めることはできても、「お金」という事情で子どもたちに最善の選択肢を与えてやれないのはやりきれない気持ちがしました。

生活費に余裕がなくなった場合、一番に削減対象となるのが子どもの教育費です。というのも、既に無駄を省いた衣食住の経費から1万円を節約することは難しくても、子どもの習い事を一つ辞めれば、すぐに1万円の節約になるからです。しかし、子どもに「最善」を与えてやりたい親にとって、それができない現実はとてももどかしくつらいものなのです。

   3 想定外の出来事

3-1 養育費の減額

夫は、妻の予想どおり、きちんと毎月の養育費を支払ってくれていました。しかし、ある時急に、減額された金額が入金されていたのです。妻がメールで理由を聞いたところ、夫は「新しい妻との間に子どもができた。その子を養う義務もあり、算定表を使って計算しなおした金額を入金した。」とのことでした。妻はそれを聞いて衝撃を受けました。夫の浮気が原因の離婚です。夫の再婚やその後子どもができることも十分あり得ることですが、妻はそこまで現実的に考え至っていませんでした。いざそのような現実を突きつけられると、精神的なダメージがとても大きかったのです。何の罪もない新しく生まれた子どもを憎んでしまいそうになる自分にも嫌気がさしました。何より、養育費の減額が死活問題で、目の前が真っ暗になりました。以前お世話になった弁護士に相談に行きましたが、夫の主張はそう外れておらず、そもそも、離婚協議書しか作成していないので、決めた金額を給料などから差し押さえるためには家裁の調停から始めなければならないと言われました。

離婚の後、どちらかが再婚し子どもをもうけることは十分に考えられますし、それによって養育費や面会交流が影響を受けることもあります。そして、このような変化は突然やってきます。当たり前のことですが、「もうすぐ再婚する」「もうすぐ子どもが生まれる」「もうすぐ養育費を減額する」と逐一報告してくれるわけもなく、おおくは事後報告なのです。この夫はまだましな方できちんと算定表で計算しなおした金額を入金してきています。しかし、突然仕事を辞めてしまってまったく支払いがなくなったり、行方をくらまし、ぱったり連絡がとれなくなったりなんてことも起こります。

また、離婚条件をどのような形で残していたかも大きな問題になってきます。決める際、お手軽であればあるほど、問題が起こったときの保証力は弱いと思ってください。この事例でも、離婚公正証書を作成していれば、また違った解決方法があったかもしれません。

養育費の支払いが滞った場合についてはこちらも参考にしてください。
養育費が支払われない場合の完全マニュアル

3-2 長男の反抗期

長男は、どちらかというとおとなしくて聞き分けのいい子でした。しかし、転校を機に友達が減ってしまったり、学校に行きたがらなくなったりと、問題を抱えるようになってきました。私立中学に行けず、地元中学に通い始めてからは、あまりよくない子どもたちと遊ぶようになり、乱暴な言動が見られるようになってきました。妻としては、これが反抗期かとのんびり構えていましたが、日に日に成長してくる長男を目の当たりにし、男親の不在を強く感じるようになってきました。そのため、面会交流時には、夫に「〇〇のことちゃんと叱ってね。」などと長男の指導を頼んだりするようになりました。一方、夫は、再婚相手との子どもに関心が移ってしまったようで、長男との面会交流をキャンセルしがちでした。

子どもは成長にともなって必要なケアが変わってきます。小さいころは、母親がべったりと世話をしてやることが必要でも、中学に入るころには、もっと大人な接し方が求められることがあります。特に、男の子の場合は、母親との関係が難しくなったり、抑え役であるべき父親の不在が問題になったりします。

   4 離婚後の後悔

これまで、全3回にわたって「ちょっと待ってその離婚」シリーズを書いてきました。内容は、離婚を考え始めた入口の段階から始まる「思わぬ落とし穴」や「後悔」を主に紹介しました。このような落とし穴や失敗は、必ずしも全部起こるわけではありませんし、離婚後に幸せになる人もたくさんいます。

しかし、お伝えしたかったのは、一時の感情に振り回されたり、後先を考えずに離婚するのはよくないということです。例えば、相手に何か不満があり、「離婚すればどんなにすっきりするだろう。」と思うことがあるかもしれません。しかし、その時には気付いていない、「結婚によって与えられているもの」もあるのです。

離婚テラスにカウンセリングに来られた方には、こちらから離婚をお勧めすることも反対することもありません。それよりも、現在あるもの、ないもの、離婚すれば手に入れられるもの、失うもの、そんなことを話題にしつつ、次に取るべき行動の相談をしたりします。今回の事例にもあったように、「夫が浮気しているかもしれません。」というご相談も多いのですが、まずは、浮気が本当だと分かったときにどんな決定をしますか、というところから考えていきます。何事も、将来予測なく決定はできません。

そんな風に将来予測をしたとしても、未来を完璧に把握することはできません。必ず、想定外のことが起こります。しかし、自分でよく考えてその結果に至った場合は、意外とその想定外を受け入れやすいものです。そのためにも、離婚をする前によく考え、自分で決定することが大切です。

専業主婦の方はこちらも併せてお読みいただければと思います。
専業主婦が離婚したい場合に考えておくべき7つのこと

 

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