離婚一般

離婚で後悔したくない人に読んでもらいたい離婚の「お金」に関する後悔

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家庭裁判所調査官時代と今の仕事の大きな違いは、「離婚のどの段階にいる人と出会うか」ということです。

家庭裁判所調査官時代は、まさに離婚の真っ只中、しかも紛争が高まった状態での当事者との出会いでした。今は、夫婦不和に悩み始めた人から離婚後数年が経った人まで、色々な段階にいる人から相談を受けます。

今日は、離婚後数年を経た人たちから聞かれる「後悔」について、「お金」に注目してお届けしたいと思います。

   1 婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦が離婚前に別居していた場合に請求できる生活費のことをいいます。養育費に比べてあまり知られていなかったりしますが、別居中の生活を支える大切なお金です。

1-1 早く調停を申し立てなかったことに対する後悔

きちんと話合いをした上で別居に至るのが理想的ですが、DVがあったり、精神的に追い詰められていたりして、逃げるように別居するしかない人もいます。夫や妻がいない数時間の間に荷物を運び出し、実家に逃げ込んだり、住所を隠したまま転居したりと、大変ストレスフルなライフイベントと言えます。

しかし、数週間、数か月経てば、生活も落ち着き、精神的にも安定してきます。そうなると、冷静に物事が考えられるようになり、離婚に向けて準備をしたり、法律相談に出向いたりする気力も出てきます。その段階になって初めて、「婚姻費用」の存在を知る人もいます。そして、相手に請求しようかどうか迷ったり、連絡はしたけれど返事がないまま時間が過ぎてしまったりします。そうすると、やっと決心して婚姻費用請求の調停を家庭裁判所に申し立てたけれど、既に別居から半年が過ぎていた、ということもあります。

婚姻費用の請求は、基本的には調停を申し立てたときから請求が可能となります。そのため、「もっと早く請求していればよかった。」という後悔が聞かれることがあります。

1-2 弁護士に依頼した後悔

まだ離婚については具体化していないけれど、とりあえず別居を先行させる人もいます。そして、別居が長期化することも考え、婚姻費用を請求することになりますが、その請求に関して弁護士に依頼したことを後悔する人もいます。というのも、婚姻費用と養育費は「算定表」という裁判所が使用している金額の目安表があり、それさえ見れば、大体の相場を理解することができます。また、調停さえ申し立てれば、相手が不出頭だったり、経済資料(確定申告書や源泉徴収票)を提出しなかったとしても、賃金センサスなどを使用して、最終的には裁判所が婚姻費用の金額を決めてくれます。

そのため、婚姻費用だけの問題であれば、基本的には弁護士に依頼しなくても十分に自分ひとりで対応することができるのです。

一方、弁護士に依頼しようがしまいが、相手に支払う気持ちがなければ、婚姻費用は支払われません。強制執行をしようにも、差し押さえるべき財産がなかったり、自営で給料の差し押さえも難しい場合は、審判できちんと決めた婚姻費用も絵に描いた餅になってしまいます。この餅のために弁護士費用を支払うわけですから後悔したくなるのも分かる気がします。

大抵の弁護士は、相談の段階で「あなたのケースだと、審判で結果を勝ち取っても実際は難しいですよ。」とか、「あなたのケースは複雑でないので、ご自分で調停が可能ですよ。」と言ってくれることが多いです。しかし、例外もありますので、弁護士に依頼するべきかどうかもお悩みポイントになります。

1-3 算定表を信じ過ぎた後悔

婚姻費用は、養育費と同様、算定表を基に計算されます。そのため、争う余地があまりありません。しかし、もちろん例外もあり、婚姻費用をもらう側に不貞行為があった場合などは、主張によっては、婚姻費用から親の分の生活費が減らされ、実質的には養育費と同じ金額の婚姻費用が支払われることもあります。例えば、妻が不倫相手と再婚したいがために別居を開始したとします。そんな場合に夫に妻の生活費の支払いを命じるのは公平とは言えません。

しかし、ネット情報や離婚本にはそこまで書かれていないこともあり、「婚姻費用は算定表で」という基本にのっとって金額を決めてしまい、後から後悔する人もいます。金銭的な面はもちろんのこと、不貞をしていた妻の生活費を支払わされたといった「理不尽さ」にさいなまれるようです。

   2 財産分与

2-1 家計の管理を妻(夫)に任せっきりにしていた後悔

財産分与を考える際、婚姻当時から現在に至るまでの家庭内のお金の動きを見ることになります。婚姻期間中、相手に家計を任せきりにしていた人は、ここで初めていかにお金が貯まっていないかを突きつけられることがあります。通帳をおってみても、使途不明金が多すぎて、いったい相手が何に浪費してきたのか、もしかしたら何年もかけてへそくりを作っているのか、それすらも分からない自分を後悔することになります。

2-2 財産の全体を把握せずに家を出た後悔

さきほどの婚姻費用の例と同じく、とにかく逃げるように別居することがあります。そんな場合、財産分与の段階になって、「いったい家にどれだけのお金があるのか分からない。」ということになってしまいます。預貯金通帳や不動産については、把握できている人も比較的多いと思います。しかし、株式や債券、保険などに至っては、存在すら知らなかったり、何となくあることは知っているけれど、取引残高や積立金額は分からないという人が少なくありません。

このような財産については、家に送られてくる書類や大切にしまわれている証書から確認するしかありません。

2-3 弁護士に依頼しなかった後悔

弁護士費用はけして安くありません。場合によっては、国産車が一台買えてしまったりするような金額を請求されることもあります。そのため、離婚の際、弁護士に依頼するかどうか、とても悩ましい問題です。とはいっても、財産の内容が複雑だったり、分与の方法が難しかったりすると、どうしても頼まざるを得ないことがあります。また、離婚後も、「あの分与の方法は本当に正しかったのだろうか。」とか、「本当はもっと隠し財産があったのではないか。」などといった疑念が残り、「あの時、きちんと弁護士に依頼していればよかった。」と後悔する人もいます。

弁護士に依頼するメリットの一つは、たとえ得られる財産の金額が同じだったとしても、「あれでよかったんだ。」とか、「ああするしかなかったんだ。」といった安心感が得られることです。

   3 慰謝料の後悔

3-1 相手に請求しなかった後悔

相手のモラハラやDVに苦しめられていたけれど、証拠がないので慰謝料の請求を断念する人がいます。確かに、証拠がない以上、相手が認めなければ立証は難しいかもしれません。しかし、たとえ少ししか慰謝料を手にできなかったとしても、もしくはまったく慰謝料がもらえらなかったとしても、相手の行為によって心が傷つけられたことを主張しなかったことを後悔する人がいます。

例えば、後々になって、「あの離婚は君のせいだった」と言われたり、それが子どもの耳に入ったりして、とても悔しい思いをすることがあります。また、自分の気持ちを整理するためにも、ちゃんと相手の非を指摘し、それに対する慰謝料を要求するという過程が必要なことがあります。

3-2 相手を追い詰めすぎた後悔

慰謝料を執拗に要求しすぎて後悔している人もいます。不貞相手にも要求した結果、その相手の家庭も壊すことになり、「そこまでするつもりはなかったのに。」と後悔することがあります。また、執拗に要求した結果、相手が精神的に病んでしまい、仕事を辞めてしまったということもあります。また、自分の心の傷付きの大きさを金額で表すことにこだわり、相場を大きく上回った慰謝料を請求し続けた結果、離婚協議そのものが進まなくなってしまったという人もいます。

    4 養育費

4-1 自分で育てられると思った後悔

離婚の際、「私ひとりでも立派に育てて見せる!」と気負い、養育費はいらないと言ってしまう人がいます。しかし、実際、ひとり親家庭は経済的に苦しい場面が多くあり、1万円でも2万円でも多くあれば助かるのにという場面に出くわすことと思います。また、大きくなった子どもが「自分は親から捨てられた」と言っているのを聞き、ちゃんと養育費をもらっておいてあげればよかったと後悔することもあるでしょう。

4-2 口約束を信じた後悔

離婚の際、「子どものためのお金くらいちゃんと払うよ」とか、「最後くらい俺のこと信じてくれよ。」などと言われ、養育費を口約束だけで決める人がいます。しかし、口約束は約束をしていないのと何ら変わりません。はじめから、不払いを目論んでいる場合もあるでしょうし、最初はちゃんと払うつもりでも、状況の変化によって支払えなくなる人もいるでしょう。どちらにしろ、後悔しても後の祭りです。しっかりと公正証書で残しておきましょう。

4-3 養育費を支払わなかった後悔

養育費を支払わなかったことを後悔する人もいます。例えば、離婚から数か月たち、子どもに会いたいと思い立ち、連絡を取ったろころ、「養育費も支払ってない人に会わせるつもりはない。」と言われてしまったりします。

また、同じ離婚仲間は娘の結婚式に呼ばれているのを見て、まったく連絡も取れない自分を惨めに感じ、養育費くらいは払っておけばよかったと後悔する人もいます。

   3 まとめ

以上、金銭的離婚条件にまつわる後悔について、これまで見聞きしてきたことをまとめてみました。まとめながら感じたのは、金銭的な条件に関する後悔ではありながら、後悔の中身はお金の問題ではないことが多いということです。それよりも、自分の納得やケジメのためだったり、面会交流や子どものことに関係していたり、お金では解決できないことに対する後悔が多かったように思います。

一方で、お金でしか解決できない問題も、もちろんあります。どちらにしろ、金銭的な離婚条件も含め、後悔のない離婚のためには、その場の感情に左右されず、冷静になって考えることが必要です。

離婚に関する後悔については、以下の文章も参考にしてください。
離婚で後悔したくない人に読んでほしい離婚にまつわる様々な後悔⑴
離婚で後悔したくない人に読んでほしい離婚にまつわる様々な後悔⑵

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