離婚一般

離婚で後悔したくない人に読んでほしい「お金」の話

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誰しも離婚に際して、「後悔したくない」と考えるものですが、多くの人にとっては初めての離婚です。うまくいかずに後から後悔することも多々あります。

今回は、離婚前後のカウンセリングで語られる「後悔」の中でも特に多い「お金に関する後悔」をピックアップしてお伝えしたいと思います。

婚姻期間中の家計に関する後悔

妻に家計を任せきりにした後悔

婚姻期間中、稼いできた収入を全て妻に渡し、自分は小遣い制だったという男性は意外と多いのではないでしょうか。

家計管理は、平日の日中に銀行や郵便局に足を運ぶ必要があったり、子ども関係の細々した支払いがあったりと面倒が多かったりします。そのため、そういった手間を専業主婦の妻に任せられると楽なため、家計は妻に任せるという人がいます。

このような場合、夫としては、自分の収入と漠然と把握している月々の家族の支出を計算し、「毎月〇〇万円くらいたまっていっているはず」という算段があるものです。

しかし、いざ離婚となったとき、思ったほどたまっていないことに愕然とすることがあります。いくら「何にそんなに使ったんだ」と妻に詰め寄ってみたところで、「何かと物入りなのよ」とか「あなたが思っている以上に子育てにはお金がかかる」と言われてしまうと後の祭りです。

そのため、後になって後悔しないよう、ある程度家計は把握しておきましょう。

夫の給料を把握していなかった後悔

先ほどの例とは逆で、夫から毎月の生活費を渡されるだけで、夫の収入を把握していない妻がいます。この場合、自分がいくらくらい婚姻費用や養育費をもらえるのかといったシミュレーションができなくなってしまいます。

また、財産分与に関しても、夫の収入が把握できていない場合、夫の口座残高が適正なのか、もしくはもっとあるはずなのかの判断ができません。

夫婦関係が悪化すると、警戒してなかなか収入を開示してくれなかったりしますので、早めに把握しておきましょう。

相手の浪費を許していた後悔

共働きだったりすると、お互いに自分の給料は自分で管理し、決められた支出を分担するというやり方を採用している夫婦も多いかと思います。

この場合、夫婦が円満であれば、金銭的自由度が高く、生活がしやすかったりするのですが、離婚時の財産分与で困ることがあります。

その例が相手が浪費家の場合です。自分は倹約家で無駄使いをしなかったとしても、相手が趣味に付き合いにと支出が多かったとします。

この場合、離婚時の財産分与でお互いの預金を足して半分ずつ取得するという法律通りの分け方をすると、せっかく節約して貯めてきた預貯金を浪費家である相手に半分分与しなければならなくなるのです。

そのため、離婚が頭をよぎったら、財産分与を念頭においた上で、本当に今の家計のやり方で問題がないのか、再考することが必要です。

婚姻費用に関する後悔

婚姻費用とは、夫婦が別居している場合に請求できる生活費のことをいいます。養育費に比べてあまり知られていなかったりしますが、別居中の生活を支える大切なお金です。以下では、婚姻費用にまつわる後悔をご紹介します。

婚姻費用についての詳細な説明は以下をご参照ください。
別居時婚姻費用のいろは

婚姻費用を請求しなかったことに対する後悔

婚姻費用の存在を知らなかった

養育費に比べ、婚姻費用はまだまだ知らない人が多いのが現状です。そのため、婚姻費用の存在を知らず、「相手の同意なく家を出るのだから、生活費はもらえなくて当たり前」だと思ってしまう人もいます。

請求してももらえないと思っていた

婚姻費用の存在は知っていたとしても「どうせ、請求してももらえるはずがない」と諦めてしまう人もいます。しかし、婚姻費用は、養育費と同様に算定表があり、いくら相手が支払いたくないと言っても、家庭裁判所の調停や審判を通じて請求することが可能です。

すぐに離婚が成立すると思っていた

すぐに離婚するので、わざわざ婚姻費用を決める必要はないと考える人がいます。もちろん、想定通り、早期に離婚が成立すれば問題はないのですが、相手が離婚に前向きでなかったり、離婚条件で折り合わなかったりすると、意外と離婚までの別居期間が長くなってしまうこともあります。

そのため、後から後悔のないよう、きちんと婚姻費用を取り決めておきましょう。

請求時期が遅かったことへの後悔

別居に際し、事前に婚姻費用も取り決めた上で別居に至るのが理想的ですが、DVがあったり、精神的に追い詰められていたりして、逃げるように別居するしかない人もいます。

そのため、別居後すぐには婚姻費用の請求ができず、ようやく落ち着いて請求しようとしたら、既に別居から半年が経過していた、というようなことがあります。

原則として、請求前の過去の婚姻費用について相手に求めることはできません(もちろん、相手が任意に支払ってくれれば可能です。)。

そのため、請求が遅れると、それだけもらえる婚姻費用の総額が減ってしまうことになります。「もっと早く請求すればよかった」と後悔しないように、予め請求の時期や手順について考えておきましょう。

婚姻費用を払い続けたことに対する後悔

妻が離婚を求めて子どもを連れて実家に戻ってしまったとします。しかし、夫としては、なかなか離婚を受け入れられず、ずっと婚姻費用を支払いながら、別居を継続するということがあります。

その間、離婚と何ら生活実態は変わらないにもかかわらず、養育費よりも高額な婚姻費用を支払い続けることになりますし、離婚に応じてくれないということで妻や子どもとの関係も更に悪化します。

結局、裁判になる前に離婚に応じる人が多いわけですが、無駄に長く高額な婚姻費用を支払い続けた上に、復縁はもちろんのこと、妻子との関係も悪化したことに後悔が残ります。

自分の気持ちに反して離婚に応じるのはとても苦しいことです。それこそ、お金の節約のために離婚に応じたとなれば、後悔が残るかもしれません。しかし、相手が心底離婚を望んでいるのだとすると、結論を先延ばしにしてしまうのは、双方の人生の無駄使いかもしれません。

財産分与に関する後悔

相手の資産が分からない

さきほどの婚姻費用の例と同じく、とにかく逃げるように別居することがあります。そんな場合、財産分与の段階になって、「いったい家にどれだけのお金があるのか分からない。」ということになってしまいます。預貯金通帳や不動産については、把握できている人も比較的多いと思います。しかし、株式や債券、保険などに至っては、存在すら知らなかったり、何となくあることは知っているけれど、取引残高や積立金額は分からないという人が少なくありません。

このような財産については、家に送られてくる書類や大切にしまわれている証書から確認するしかありません。

漫然と婚姻生活を続けていた後悔

夫婦関係は既に破綻しており、夫は離婚を希望しているけれど、妻がそれに反対していたとします。夫は、無理に別居や離婚もできないと漫然と婚姻生活を続けていたのですが、いざ、離婚をするとなった際、財産分与の金額が高いことに驚きました。

夫婦関係が悪化してからというもの、妻は自分の身の回りの世話もしてくれなかったのに、収入の半分を分与しなければいけない法律になっているのを知らなかったのです。

自分の収入が相手より高い場合、財産分与だけではなく、年金分割においても損失を拡大することになりますので、早めの決断が必要です。

不動産に関する後悔

連帯保証人になった後悔

住宅ローンの連帯保証人なっている場合、離婚するからといって、簡単に連帯保証人を辞退できるわけではありません。相手が協力してくれないことも考えられますし、そもそも銀行が外してくれないこともあります。

単独名義にした後悔

購入時、夫の単独名義にしていたとします。その後、夫から離婚を言い渡され、「この家は○○月末に売りに出すので出て行ってほしい」と言い渡されてしまいました。

購入時、どんなに少なくてもいいので共有名義にしていれば、勝手に売却手続きをされなくて済んだのにと後悔することになります。

養育費に関する後悔

相手に請求しなかった後悔

自分の収入だけで育てられると思った

離婚の際、「私ひとりでも立派に育てて見せる!」と気負い、養育費はいらないと言ってしまう人がいます。しかし、実際、ひとり親家庭は経済的に苦しい場面が多くあり、1万円でも2万円でも多くあれば助かるのにという場面に出くわすことと思います。

相手とかかわりたくない

せっかく嫌な相手と離婚するのですから、その相手とは二度とかかわりたくないため、養育費も辞退するという人がいます。養育費はいらないから面会交流もさせない、と約束する人もいます。

しかし、養育費と面会交流は別々の権利ですので、いくら養育費をもらっていなくても、面会交流を求められたら応じなくてはいけません。

また、大きくなった子どもが「自分は親から見捨てられた」と言っているのを聞き、ちゃんと養育費をもらっておいてあげればよかったと後悔することもあるでしょう。

相手に支払う気持ちがないとあきらめた

本当は養育費が欲しかったけれど、どうせ請求しても「お前にはびた一文払わん」と言われるに違いない、怖い思いをしたり、嫌な思いをするくらいなら請求しない方がいいと諦める人もいます。しかし、養育費は、子どもの権利でもあり、「払わん」で済まされるものではありません。

裁判所に養育費の請求をすれば、相手が何と言おうと、最終的には適切な金額で取り決めることができますし、それでも相手が払わない場合は強制執行もできます。

だれにも相談できず諦めてしまったけれど、子どものために請求しておけばよかったと後悔しても、過去の養育費は請求できないのが原則です。

公正証書を作らなかった後悔

口約束を信じた後悔

離婚の際、「子どものためのお金くらいちゃんと払うよ」とか、「最後くらい俺のこと信じてくれよ。」などと言われ、養育費を口約束だけで決める人がいます。しかし、口約束は約束をしていないのと何ら変わりません。

はじめから、不払いを目論んでいる場合もあるでしょうし、最初はちゃんと払うつもりでも、状況の変化によって支払えなくなる人もいるでしょう。どちらにしろ、後悔しても後の祭りです。しっかりと公正証書で残しておきましょう。

相手を説得できなかった後悔

養育費を支払う側の義務者にとって、公正証書を作成するメリットはあまりなく、不払いになれば強制執行されるというデメリットのみです。なので、「公正証書は作らない」と言われてしまう人がいます。

そうすると、せっかく話がまとまったし、さらに関係がこじれるのも面倒なので、公正証書の作成を諦めてしまう人がいます。

そんな場合は、「公正証書を作ってくれないなら、家裁の調停を申し立てます」と伝え、作成を促しましょう。

終期を適当に決めた後悔

養育費を取り決める際、金額にはこだわるのに、終期を適当に決めてしまう人がいます。例えば、何となく成人をイメージして「20歳まで」としたとします。

しかし、今や大学にいく子の方が多いことを考えると、20歳までというのは何とも中途半端ですし、一番お金がかかるときに養育費が途絶えることになります。

もちろん、20歳になった時点で再度養育費請求をすることは可能ではありますが、20歳までだと思っていた支払期間を延長されると、相手も穏やかではありません。そのため、終期については、子どもの人生をイメージし、具体的に協議しておくことが大切です。

ここまで、数々の後悔についてご紹介してきましたが、中には、離婚に至ってはどうしようもないこともありますが、離婚協議の際、知識さえあれば後悔せずに済む事柄もたくさんあります。

多くの人にとって、離婚は人生で初めての出来事です。後々になって後悔をしないよう、是非、よく考えた上で計画的に進めましょう。

当センターでは、離婚前の諸々のご相談をお受けしておりますので、後々後悔しないためにも、是非、ご利用ください。
離婚カウンセリング

離婚に関する後悔については、以下のコラムもご参考ください。
離婚にまつわる後悔、4人のストーリー

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