面会交流

面会交流第三者機関のご紹介

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今回、面会交流本の出版にあたり、いろいろな第三者機関の担当者の方々にお話を聞く機会をいただきました。家裁調査官時代には知らなかった情報も盛りだくさんで、是非、皆さんとも共有できればと思います。

以前にも第三者機関の基本的な知識についてお伝えしていますので、まずはそちらを読んでいただければと思います。
面会交流をサポートする第三者機関とは?

   1 第三者機関を利用するメリット

1-1 親族による支援との違い

第三者機関とは異なり、父母どちらかの両親やきょうだいなどの親族に支援をお願いする方もいます。親族による支援のメリットとデメリットを見てみましょう。

1-1-1 メリット

 

第三者機関を使用する際の「利用料」が必要ありません。第三者機関の人件費などを考えると、既にボランティアに近いような値段に設定されていることが多いのですが、支払う側の父母にとっては、親と子が会うための費用として、一万円前後がかかるのは、やはり「高い」と感じてしまうでしょう。この点、身内が手伝ってくれれば、費用はかかりません。ただ、時折り「謝礼」的なものを渡したり、交通費や面会交流時の飲食代を支払ったりして、結局のところ完全に無料なわけではない人が多いようです。

また、子どもたちにとっても、親族に送迎もしくは付き添ってもらえるメリットは大きいと言えるでしょう。見知らぬ人が迎えにくるより、いつも会っているおじいちゃんやおばあちゃんが「さあ、行くよ~。」と来てくれる方が自然な気持ちで面会交流に臨めるでしょう。

1-1-2 デメリット

しかし、親族にお願いする場合、「どちら側」の親族に依頼するかという問題があります。また、本当は会わせたくない同居親の両親が付き添っているような場合、子どもが別居親との時間を楽しみたいと思っていても、何だか同居親に見られているような気がして、遠慮してしまうかもしれません。また、親族であるが故、感情的になってしまったりと、面会交流の妨げになることも考えられます。

親族はあくまで「お手伝い」であり、お金をもらって支援しているプロではありません。そのため、別居親がルール違反をした際の対処や子どものケアなど、専門的なことは期待できません。また、複数のスタッフを抱える第三者機関と異なり、親族支援の場合、その親族が病気になったり、入院してしまったりすると、長期間にわたって面会交流が中断してしまうという危険性もあります。

1-2 一番大変な時期を援助してもらえる

面会交流の主役は子どもです。そして、その子どもの年齢と共に、面会交流の内容も変わっていかざるを得ません。そのため、面会交流を取り決める際も、「概ね2,3年先までをイメージしてください。」という話をするようにしています。2,3年もすれば、幼稚園児が小学校に入学します。また、親との交流が中心だった小学校低学年の子どもも、友達が最優先の小学校高学年になります。また、小学校高学年から中学への入学も、部活や定期テストなでの始まりにより、生活が劇的に変化します。

そのため、詳細に決めれば決めるほど、その内容で対応できる年数は短く、子どもの福祉に適さなくなった段階で変更が必要になってきます。しかし、家裁の調停では、一部の人たちを除いて、「3年前に決めた条項が実態に合わなくなってきたから決め直したい。」という申立てはほとんどありませんでした。なぜなら、面会交流が大変なのは最初だけで、2,3年もすれば、父母の感情も落ち着き、調停までしなくても、子どもの事情に合わせた面会交流に自然とシフトしていくからです。

今回、第三者機関の担当者の方にお話をうかがったところ、みなさんがおっしゃっていたのが、「卒業が目標」ということと、「一年以内に卒業する方が多い。」ということです。やはり、本来は父母によって行われるべき面会交流ですが、初期の大変なときだけお手伝いします、というスタンスなのだと思います。

   2 第三者機関の探し方

2-1 ネットが主流

家庭裁判所では、面会交流調停が激増していますが、そうは言ってもまだまだ第三者機関のまとまった情報が紙の媒体になるほどではありません。そのため、第三者機関を探す際は、ネットで検索するのが基本です。「面会交流 第三者機関(支援機関) 〇〇(お住まいの地域)」といった形で入力すれば、いくつかの機関がヒットすると思います。利用料は、それほど大きな違いはなく、第三者機関としては老舗中の老舗であるFPICの費用を参考にしているところが多いように思います。

2-2 行政書士など

最近は、離婚関連業務を請け負う行政書士などが面会交流支援をやり始めたようです。行政書士に頼むメリットとしては、公正証書や離婚協議書の作成時から携わってくれている人という意味では、事情をよく分かっていてくれる安心感があります。また、地方では、面会交流支援を専門にしている機関がないところも多く、近隣の行政書士にお願いできれば助かります。しかし、支援者としての能力やキャパシティは未知数です。

   3 お勧めの第三者機関とその特徴(東京近郊のみ)

3-1 FPIC 東京ファミリー相談室

FPICは、家庭裁判所調査官のOBを中心とするメンバーで構成されています。経験豊富なベテランメンバーがサポートしますので、紛争性の高い案件も安心して任せることができます。特徴的なのは、付添型のサービスを利用した場合、必要に応じて「声掛け」をしてくれるというところです。例えば、久しぶりにあった別居親が子どものびっくりした様子を無視してスキンシップを求めようとする場面では、「お子さん、びっくりしちゃってますよ。」、「もう少し時間をかけて慣らしていきましょう」などの声をかけてくれます。また、別居親が子どもと遊ぶことに慣れていない場合、子どもとの遊びをサポートしてくれたり、アドバイスをくれたりします。「付添はあくまで付添です。介入はしません。」という第三者機関もありますので、この点は大きな特徴と言えます。

利用の際は、調停が成立する前に、利用が可能かどうかも含めて一度相談に訪れ、「FPICでできることとできないこと」を把握しておきます。その上で、その内容を盛り込んだ調停条項を作成し、本申込という流れになります。HPに利用方法や費用がかなり詳細に記載されていますので、それを確認の上、ご相談いただくとスムーズです。

「FPICは利用料金を折半しないと受けてくれない。」、「利用期間が1年に限られている。」といった声を聞くこともありますが、そういうわけでもありません。費用について、HPには「事情が許せば応分に分担が望ましい」と記載されていますが、基本的には父母の話合いで自由に決めることができます。また、継続的援助の期間は1年ですが、翌年以降は更新も可能です。

3-2 東京都ひとり親家庭支援センター はあと

はあとさんの特徴は、東京都のひとり親家庭を支援する総合的窓口だということです。就労と生活の両側面の支援を行っており、面会交流支援のほかにも、ひとり親専門の就業相談や職業紹介、支援員による電話相談や弁護士による離婚前後の法律相談を行っています。

はあとさんの面会交流支援は、収入制限をクリアすれば、無料で利用できます。利用期間は1年(更新なし)、面会交流は1か月に1回、1時間程度という制限がありますが、費用面がネックになって第三者機関の利用が難しい方にとっては、大変ありがたい支援です。

父母双方から申請書等の必要書類が提出されれば、1,2か月程度で初回の面会交流が実施できるとのことでした。ただ、父母どちらかしか書類を提出していなかったり、記載されている面会交流の内容が異なっていると、サービス開始に至りませんので、注意が必要です。

東京都から委託を受けて一般社団法人東京都ひとり親家庭福祉協議会が業務を行っていますが、同協議会独自のサービスとして、ひとり親家庭の集い(キャンプや研修会等)にも力を入れておられます。

3-3 NGO 特定非営利活動法人 日本リザルツ 離婚と親子の相談室「らぽーる」

らぽーるさんは、連絡型、付添型といった直接的な支援は行っていませんが、面会交流に関する特徴的な支援を行っておられますのでご紹介します。

まずは、ADR(民間調停)です。家庭裁判所の調停をするのは大変だけれど、だれか第三者に間に入ってもらって話合いをしたいという方にお勧めです。弁護士への相談体制もしっかりしておられます。また、「親教育プログラム」を実施している点も特徴的です。親の離婚を経験するお子さんの気持ちをどう理解し、どう接すればいいか、面会交流時の注意点は何か、などを教えてもらうことができます。

3-4 一般社団法人 びじっと 離婚と子ども問題支援センター

こちらの特徴は、何と言っても取扱件数が多いことです。毎週末、複数の親子がびじっとさんの援助のもと、面会交流を実施しています。元当事者の方を中心とした支援員の方が、熱心に支援に取り組んでおられます。研修やセミナー等への参加も積極的で、支援員のスキルアップにも努力されています。

連絡方法に特徴があり、電話は一切受けておらず、LINEやLINEテレビ電話での連絡に限られます。代表の方によりますと、取扱件数が多いため、電話での対応が難しいとのことでした。なお、金銭的な面で支援を受けられないということがないように相互扶助制度を設けています。これは、利用者がスタッフとなり、他の親子の面会交流を援助することで、自分がびじっとに支払う利用金額を軽減させる仕組みです。

また、独自の面会場所として「びじっとのおうち」があります。三階建ての一軒家を借りて運営されているため、友達の家に遊びにいくような自然な感覚で面会交流を行えます。おもちゃで遊ぶだけでなく、ホットプレートでクレープを作ったり、近隣の公園に出かけたりと、変化にとんだ面会交流が可能なため、比較的年齢の高い子どもでも楽しむことができます。同居親の待機場所もあり、何となく様子が分かる安心感からか、半年もすれば支援が不要になる親子が多いとのことでした。

3-5 NPO法人ウィーズ

ウィーズさんの特徴は、親の離婚を経験した子どもの立場のスタッフが多くいることです。これは、とても大切なことです。もちろん、面会交流を支援する側のスタッフが同居親もしくは別居親のどちらかに肩入れしていてはうまくいきません。ただ、 中立であればそれでいいかというと、そうでもありません。面会交流に際し、第三者機関の支援を受けるということは、それなりに高葛藤であると言えます。その高葛藤な面会交流に臨む子どもにとって、同じ目線で不安や心配事を共有してくれるスタッフがいるというのは、何よりも心強いことだと思います。また、支援からの卒業を目的としていますが、 支援期間や支援年齢などに条件はなく、比較的柔軟に対応してくれるという特徴があります。

ウィーズさんは、面会交流支援だけではなく、学習支援など幅広く親子の問題に取り組んでおられます。

   3 まとめ

今回、第三者機関を取材させてもらって感じたのは、みなさんの情熱です。一組でも多くの親子が会えるようになるよう、儲け度外視で頑張っておられます。そして、支援員の中には、当事者(別居親、同居親、子ども)の立場だった人も多くいますが、どちらかの親に肩入れするでもなく、バランスを保って支援にあたっておられるようでした。第三者機関があってよかった、という気持ちから、卒業後は支援になられたのだと思います。

そして、どの機関も口を揃えておっしゃられていたのが、「卒業が目標」だということです。いつまでもお手伝いに頼らず、いつかは父母のみの力で面会交流を実施する努力も大切です。

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