面会交流

元家庭裁判所調査官が提案する間接的面会交流5パターン

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面会交流と言えば、別居している親と子どもとが実際に会うことをイメージしますが、直接会うだけではなく、間接的に交流する面会交流もあります。今回は、間接的面会交流について書きたいと思います。

   1 どんなときに間接的な面会交流か

面会交流の目的は、親が子どもの成長を実感し、子どもも親から愛されていることを実感することです。そのため、基本的には、話をしたり、遊んだり、食事をしたりと直接会うことが前提です。しかし、すべての親子にとって直接会う面会交流がベストなのではなく、間接的な面会交流の方がマッチする親子もいます。

1-1 別居親と子どもが遠距離のとき

別居親と子どもとの関係がいかに良好でも、住まいが遠く離れていると、時間的にも金銭的にもそう頻繁には会えません。そのため、直接会うのは夏休みと冬休みにお泊りすることとし、他は間接的な面会交流で補うという方法もあります。

1-2 子どもの拒否が強いとき

家庭裁判所で面会交流の案件を扱うとき、「子どもの拒否=面会交流できない」とはなりません。どうして子どもが拒否しているのか、拒否の背景に同居親の問題行為(別居親の悪口を言う等)があるのではないかといったことを考えていくことになります。そのため、子どもが拒否しているからといって直接的な面会交流への道が閉ざされるわけではありません。しかし、何ら合理的な理由はないけれど、子どもの拒否が強いときや、子どもの年齢がある程度高いときは、むりやり直接的な面会交流を決めても実効性がありませんので、まずは間接で、という結論になることもあります。裁判所以外の協議の場でも同じことが言えると思います。
これは余談ですが、同居親から「子どもが嫌がっている」と聞かされても、別居親としては、信じる気持ちになれないものです。家庭裁判所であれば、家庭裁判所調査官が公平な立場で子どもの気持ちを聞き、両方の親に伝えるという過程を踏むことができますが、双方で任意の協議を行っている段階ではそれができません。「子どもが会いたくないと言っていると言われても信じられない。」、「子どもの気持ちを客観的に相手に伝えてほしい。」というときは、是非、離婚テラスの子どもサポートをご利用ください。

1-3 子どもが心身の病気であるとき

別居親には何ら問題はないけれど、子ども側の要因で直接会うことが難しい場合があります。例えば、父母の激しい紛争に巻き込まれた結果、別居親と会うと心身の不調を訴える子どもがいます。また、精神的な問題ではないけれど、難病や持病があり、同居親から「しばらくはそっとしておいてほしい。」という希望が出されることもあります。起立性障害の診断を受けたり、その症状が出ているお子さんも一定数いるように思います。

1-4 親子が長い間会っていないとき

別居親と子どもが長い間会っていないとか、そのせいで既に子どもが別居親の顔を忘れてしまっているという場合があります。この場合、家庭裁判所であれば(特に子どもが小さい場合)、まずは「おじさん」、「おばさん」と遊んでみようという設定で試行的面会交流を行うことも考えられます。しかし、子どもがごまかしの聞かない年齢になっている場合などは、まずは間接的な交流で慣らしてから直接的な交流につなげるという方法があります。長い間会っていなからといってあきらめる必要はありません。ただ、長い間会っていない理由が別居親にある場合は、その理由をきちんと子どもに説明する必要があります。

   2 間接交流の方法

2-1 手紙

一番オーソドックスな方法は手紙です。特に有効なのは、子どもの拒否があるときです。別居親からのみ手紙を書くこととし、それを読むか読まないか、返事を書くか書かないかは子どもの自由という具合にしておけば、別居親の関心は伝わるけれど子どもの負担は少なくて済むことになります。子どもの拒否がない場合は、文通も可能です。手紙は、メールやLINEに比べて面倒で、今どきの子どもは嫌がると思われがちですが、きちんとした形で手元に残ること、また、普段もらわないからこそ自分宛に届いた手紙が嬉しかったり特別感があったりするようです。ただ、手紙の内容には注意が必要です。離婚の経緯を説明しようとして同居親の悪口を書いてしまったり、親として何かを伝えたいという気持ちが強くて説教調になってしまっては元も子もありません。お互いの近況や、趣味についてでもいいですし、子どもをほめたり応援する言葉も子どもを勇気付けると思います。

2-2 メールやLINE、SNSやfacebookなどのやりとり

今どきの子どもにとっては一番手軽で気負いなくやりとりができるツールです。直接的にやりとりがなくても、お互いのfacebookが見られるようにしておけば、近況や友人関係が分かり、意外と情報が豊富だったりします。一方で、手軽なゆえに別居親から際限なくメッセージを送り続けたりといったトラブルにもなりかねません。節度ある利用が肝心です。

2-3 別居親からプレゼントを渡す

本来、子どもの気持ちは物でつれるものではありませんが、プレゼントをもらえば純粋に嬉しいものです。お誕生日やクリスマスのプレゼント、お正月のお年玉といったものを親からもらうのを楽しみにしているお子さんも多いでしょう。特に、子どもに拒否があるときは有効です。また、何がほしいかをリサーチする過程で双方向のやりとりも期待できます。ただ、同居親がとても高価なものや生活用品(例えば家電とか)を子どもにねだらせたりして問題化することもあります。通常、親であれば、子どもをどんな風にしつけますか?別居親のためではなく子どものために、「高価なものをほしがってはいけません。」、「ものをもらったらきちんとお礼を言いなさい。」と言ってあげてください。
プレゼントの内容もいろいろ考えられます。子どもの好きなものを買ってやるのもいいですが、たまには別居親の思いがこもったプレゼントもいいと思います。例えば、子どもの年齢が高ければ、別居親が昔読んで心に残っている本や感動した映画のDVDをプレゼントしたり、是非見に行ってほしい美術館や演奏会のチケットを送ったりするのもいいかもしれません。また、部活動に必要な道具(ボールやラケット、シューズ等)や比較的高価な学用品(電子辞書など)も同居親も含めて喜ばれることが多いと思います。いずれにせよ、プレゼントのみではなく、メッセージカードも忘れずに!

2-4 写真や成績表の送付

親からしてみれば、面会交流の目的の一つは子どもの成長を確認することです。しかし、直接会わずとも、写真や成績表といったものを同居親から別居親に送ることでその目的を少しは達することができます。この方法のいいところは、子どもに何ら負担がないことです。そのため、子どもの拒否が強い場合などには有効です。中には、「お父さん(お母さん)に送らないで」と嫌がるお子さんもいますが、そのくらいは同居親に頑張って説得してもらいたいものです。

2-5 電話やスカイプ

間接と直接の間ぐらいに位置するのが電話やスカイプといった方法です。同じ空間に存在するわけではないけれど、生のやり取りができますし、声が聞けたり顔が見られたりする点で限りなく直接的な面会交流に近い交流が期待できます。ただ、注意が必要なのは、電話やスカイプというのは、直接会って一緒に買い物をしたりするよりも交流の密度が濃く、相手と向き合う姿勢が求められます。そのため、遠距離で頻繁には会えないけれど、親子の関係は良好である場合に有効です。また、この場合、子どもが同居親に気兼ねをしてしまったり、同居親が監視したりするのを避けるため、「子ども部屋で」とか「同居親は別室で待機する」等の注意事項をつけることも考えられます。

2-6 その他

そのほかには、別居親の記憶がほとんどない幼い子どもに、定期的に別居親から送られてくる動画を見せるとか、子どもが書いた絵や作文を別居親に送るとか、引きこもりの子どもとオンラインゲームで対戦するとか、これまで様々な方法の間接的面会交流を見てきました。親子の数だけ方法があるようにも思います。

   3 まとめ

上に挙げた方法のほかにも、それぞれの親子に合った方法が考えられます。ただ、間接的面会交流は、面会交流を求める側にとっては物足りない気持ちが残るものです。また、本来であれば、親子が直接かかわれるのがお互いにとっていいはずです。そのため、家庭裁判所で取り決めをする際、「再協議時期」を条項に入れることがあります。例えば、当面は間接交流でいくけれども、2年後に直接交流に関する協議を行うといった具合です。どのような決め方をするにしろ、一番大切なことは、双方の親が自分たちの感情は少し脇におき、子どものことを思い浮かべてベストな方法を模索することではないでしょうか。

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