面会交流

再婚で面会交流を中断させないためにできること

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再婚家庭と面会交流

今日の話題は、面会交流がうまくいかなくなる典型パターンの一つである、同居親(面会交流をさせる側の親)の再婚について書きたいと思います。

さて、これまでにも何度か触れましたが、面会交流は「離婚界」ではとてもメジャーな話題になってきています。円満に離婚した方にしてみれば、「え、離婚したとはいえ、自分の子どもに会うのがそんなに難しいの?」という驚きを感じたり、「そんなことわざわざ話し合わなくてもいいのに。」と思うかもしれません。 実際、円満に面会している親子もたくさんいるでしょうし、中には、元夫婦と子どもが揃って会っている方もいるでしょう。 しかし、そうはいかないケースもたくさんあるのです。 今回は、うまくいかない典型的理由の一つである、「同居親の再婚」について考察します。

読み進める前に、面会交流がうまくいかない6つのパターン も参考までに読んでみてください。面会交流がうまくいかない場合の全体像が分かりやすく書いてあります。

   1 再婚による面会交流中断の理由

1-1 再婚後の同居親の立場

面会交流の中断理由として、「新しい配偶者の手前、会わせにくい。」とか、「再婚相手が子どもと養子縁組をした場合は、元配偶者に養育費の支払い義務はなくなるのに、どうして面会交流する権利はなくならないのか。」(再婚相手(夫)と連れ子が養子縁組をした場合、子どもを育てる第一義的な義務が元夫から再婚相手へと変更になります。)と再婚が原因であることを素直に挙げる人もいます。

一方、再婚という自分の事情で面会交流を変更するのはまずいだろうと、何か事情をつけて、変更を主張する人たちもいます。 例えば、「子どもが大きくなってきて、予定を合わせるのが大変になってきた。」とか、「この前の面会交流の際、嫌なことを聞かれたと言って子どもが嫌がっている。」とか、です。

どちらにしろ、本音は、「新しい配偶者への気兼ね」や、「連れ子再婚する立場の辛さ」があります。

また、再婚相手の祖父母の存在も大きいものです。 例えば、35歳の女性が3歳の娘を連れて32歳の男性(初婚)と再婚したとします。この女性の肩身の狭さは想像に難くないと思います。自分は再婚、子連れ、しかも年上。これに加えて、専業主婦で生活力がないとか、いなかの家庭でいまだに「女孫」よりも「男孫」の方が跡取りとして喜ばれるとか、いろんな事情が相まって、再婚相手のみではなく再婚相手の親族に対しても、遠慮を感じることがあるのです。

1-2 再婚後の面会交流における子どもの立場

親が気兼ねを感じているだけではなく、実際に子どもが難しい立場に立たされていることもあります。

例えば、新しい配偶者との間にも子どもがいて、休日に自分だけ前の親に会いに行くのでのけ者にされてしまった、とか、「私は一体どちらを親だと思えばいいんだろう。」とアイデンティティクライシスに陥ったりということもあります。しかし、別居親にしてみれば、たまったものではありません。それでなくても相手の再婚は複雑な気持ちになるものです。ですので、いくら同居親から「子どもの辛い立場も理解してほしい」と言われたところで納得できるはずはありません。納得できるどころか、「勝手に再婚しておいて、何言ってるんだ。子どもが辛い思いするんだったら再婚しなければいいのに。」と憤慨し、問題は紛糾するばかりです。こうなってしまうと、大変困ります。

以前、こんな子がいました。「最初は、〇〇にはパパが二人いるんだよ、と言われて嬉しかった。でも、今は、一人の方がいいって思ってる。2人いるとややこしいし、変だよ。だって、二人のお父さんから生まれる子なんていないでしょ。」と言うのです。

「〇〇ちゃんは、二人パパがいていいね。」なんて、ついつい使ってしまいがちな慰め言葉です。しかし、当の子どもにしてみれば、そんなことは望んでいない、ということなのです。少し言い過ぎかもしれませんが、「二人パパ(ママ)がいていいね。」という言葉は、子どもの犠牲の上に離婚や再婚をし、でも「子どもは幸せなはず」と思いたい親のエゴからくる言葉なのかもしれません。

では、再婚によって生じるこのような2つの問題を避けるるには、どうしたらいいのでしょうか。

   2 同居親の理解と心構え

親が再婚しても、別居親と子どもとの面会交流が円滑に行われるための最大のポイントは、同居親が面会交流の重要性を理解していることです。「子どもに2人の親は必要ない。」「再婚を機に前配偶者との関係を切りたい。」などと考えている場合は、意図的に面会交流が中断される結果になってしまいます。また、積極的に中断するつもりはなかったとしても、再婚相手への気兼ねなどから、何となく子どもを面会交流に送り出すのが後ろめたくなってしまうこともあります。

こういう事態を避ける一つの方法としては、取り決めの際に特に「再婚した場合」にも言及し、再婚しても面会交流を継続させることを念を押しておくことが考えられます。 それでもダメな場合は、間接強制(一回会わせないごとにいくら支払えという手続き)等の圧力をかけることも一つの方法ですが、一番望ましいのは、両方の親が面会交流の重要性を理解し、子ども最優先で第二の人生を選択してくれることです。

   3 子どもの精神的安定

また、再婚後の面会交流を円滑に行うためには、子どもが再婚家庭で安定し、別居親との面会交流に積極的な気持ちを持てることが大切です。そうすれば、少なくとも子ども自身が新しい家族に遠慮して面会交流を嫌がるという事態は避けられます。では、子どもの精神的な安定が保たれた上での再婚とはどんな再婚なのでしょうか。

3-1 理想的な再婚時期

離婚カウンセリングをしていると時々質問されることもありますが、子どもに負担をかけないためには、離婚からどのくらいの期間をあけて再婚するのが望ましいのでしょうか。一般的に、子どもがある程度の年齢に達している場合は、あまり再婚が早いと両親の離婚によって受けた傷から立ち直るのが遅くなるというデータがあります。しかし、一概に「何か月」「何年」と決まっているわけではなく、とても難しい問題です。

ただ、まだ片方の親を失った傷が癒えないうちに、新しい親を紹介されても、子どもは受け入れがたいものです。別居親と関係が良好であっても、やはり「別れた2人の親」の位置付けが落ち着くまでは再婚を控えた方が子どものためでしょう。 これは全く個人的な意見ですが、少なくとも2年は再婚は控えるべきだと思います。

では、子どもが1、2歳の幼児の場合はどうでしょうか。 育てている親としては、子育てそのものが大変な時期ですし、子どもが小さいうちの方が再婚相手を新しい親としてすんなり受け入れてくれるようにも思います。あわよくば、前の親の記憶はなくなり、新しい親を本当の生物学上の親だと思って成長してくれるかも、という期待もあるかもしれません。 そもそも、幼少期であるからこそ、親子の交わりは重要であり、早く再婚して片親家庭から脱出したといういう思いもあるかもしれません。そういう意味では、子どもが小さい場合は、年齢が高い場合に比べて、離婚から再婚までの期間が短くてもいいのかもしれません。

3-2 再婚と子どもへの説明

また、子どもが親の再婚について、きちんと理解していることも大切です。親の再婚は、いつごろ、どのようにして子どもに伝えるのがいいのでしょうか。

子どもが既に十分に理解できる程度に大きくなっている場合は、さほど問題にはなりません。離婚から一定の期間が経過していて、再婚相手と子どもとの関係もきちんと順を追って築けていれば、親の再婚を受け入れられない子どもはそんなに多くはありません。

しかし、子どもが親の離婚や再婚をきちんと理解できるほどに大きくない場合、どのタイミングでどのような説明をすればよいかが問題になります。

この問題は、特別養子縁組の「真実告知」がヒントになるかもしれません。
特別養子縁組というのは、普通養子縁組と違って、実親との法律関係が絶たれます。養子の年齢も6歳以下でなければなりません。戸籍にも「養子」という記載はされません(〇〇条により入籍という記載はされますが。)。そのため、一昔前は、「言わなきゃいけないとは思っているんだけど・・・。」とずるずると真実告知を避けている養親が多かったのです。 つまり、実の親ではないことを隠して育てるということです。しかし、先ほども書きましたが、戸籍には「〇〇条により入籍」と書かれますので、婚姻時に戸籍を見れば疑われることは間違いありません。血液型等でもっと早期に発覚するかもしれません。 それでは子どもの養育上問題だということで、きちんと真実を話さなければいけないという「真実告知」の必要性が言われるようになったのです。この真実告知について、海外でも色々な研究がありますが、海外では「テリング」と言われたりします。この「テリング」はstory tellingに近い意味があるとされていて、日本の「真実告知」とは少し捉え方が違います。

つまり、何歳になったら突然真実を告白するというのではなく、年齢に応じて継続的に説明する、あたかもお話の読み聞かせのように語るものであるとされています。

これは、幼少期に親の再婚を経験した子どもにも当てはまります。例えば、「離婚家庭で片親がいないこと」、「再婚して新しい家族ができること」、「実親との養親との違い(産みの親と育ての親の違い)」等を年齢に応じて内容を変化させつつ説明し続けるということになります。特別養子縁組と違うのは、これに離婚の経緯を足して説明する必要があることです。

子どもが親の離婚や再婚をきちんと理解し、受け入れていれば、再婚家庭で不安定になったり、新しい親に気兼ねして面会交流に消極的になったりすることは避けられるはずです。

   4 まとめ

同居親が子どもと別居親との交流の重要性を理解し、親の再婚によって面会交流を中断させない努力をすること、また、子どもが親の離婚や再婚を理解した上で受け入れ、再婚家庭で安定した生活を送れることが面会交流継続には欠かせません。

ときどき、「うちの子は聞いてこないから。」、「まだ小さくて分からないから。」、「傷つけたくないから。」という理由ではっきり再婚を説明していない親御さんがいます。また、実の親の存在を隠したり、前婚をなかったことにするため、面会交流を中断しようとする人もいます。しかし、これは親のエゴです。産みの親と育ての親が違う、もしくは、きょうだいと親が違うという自分の出自に関する事実は、その人の根底を揺るがす問題であり、適当に扱っていい問題ではないのです。このようなアイデンティティに関係する問題がいかに子どもの性格形成や思春期のつまづきや将来の結婚にまで影響するかということは、将来、同居親が身をもって実感することになります。

同居親は、子どものために、そして、自分のためにも、前婚は自分や子どもの歴史の一部であることを受け入れ、再婚相手と幸せな未来を築いていってもらいたいと思います。

参考までに、離婚による子どもへの影響について書いた記事も読んでみてください。

離婚が子どもに及ぼす悪影響とその軽減方法

親の離婚、子どもには悪影響?! -対象喪失編―

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