離婚公正証書・離婚協議書

離婚公正証書を自分で作成する人が知っておくべき「作成の全体像」

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今日は、ご自身で離婚公正証書を作成できるようになっていただくためのブログです。是非参考にしてください。

   1 離婚公正証書とは

1-1 契約書であり公文書

離婚公正証書は、離婚に際するいろいろな条件や約束事を書いた契約書です。そして、その契約書を公証人が作成している点で「公文書」となっていることが最大の特徴です。

1-2 離婚協議書との違い

離婚協議書と公正証書の違いについて聞かれることがよくあります。次は、その違いについて、メリットを中心にお伝えします。もちろん、デメリットについても触れます。

1-2-1 何と言っても強制執行

公正証書を作成する最大のメリットは、強制執行ができることにつきます。

例えば、養育費の取り決めをするとします。養育費は、一時期にまとめて支払われるものではなく、通常は、毎月いくらという形で振り込まれます。お子さんが小さい場合は、その支払いが十年以上にわたることになります。そのため、「養育費はそのうち支払われなくなるもの」くらいの捉え方をしておいた方がいいでしょう。現実に、日本の養育費支払い率は20パーセント以下と低迷しています。

そんな薄氷の養育費ですが、公正証書で取り決めておけば、強制執行をすることができます(もちろん、養育費の取り決めだけではなく、強制執行ができる旨の文言を加えておくことが必要ですので、これも忘れてはいけません。)。

強制執行は、地方裁判所に申し立て、相手の給料や不動産などを差し押さえる手続きです。少し面倒な手続きではありますが、相手が大手の会社員のような場合は、とても有効です。また、強制執行されかねないという心理的な圧力にもなります。

一方、離婚協議書で養育費の支払いを決めたとしても、それ自体で強制執行をすることはできません。家庭裁判所の調停や審判を経て、再度、決め直す必要があります。調停や審判の場で離婚協議書が有力な証拠として扱われますが、調停や審判をする手間は相当なものです。

1-2-2 偽造防止

公正証書は、夫婦のほかにも公証役場でも保管されます。そのため、どちらかが勝手に内容を書き換えたり、金額をこっそり改ざんしたりするのを防止することができます。

離婚協議書は、とても重要で大切なものと思われがちです(もちろん重要で大切なのですが・・・。)。しかし、のど元過ぎれば何とやらで、時間の経過とともに驚くほど軽い存在になってしまうことがあります。

家庭裁判所の離婚調停でも、一方がしきりに主張する協議書の内容をもう一方が真っ向から否定したり、内容どころか「そんなものを作成した記憶はない」と存在すら認めないというやりとりが見られました。

そのため、夫婦以外の第三者、それも親族などではなく公証役場が原本を保存しているというのは、とても心強いことなのです。

1-2-3 紛失防止

さきほど、喉元過ぎれば熱さを忘れるということを書きましたが、忘れすぎて離婚協議書そのものを紛失してしまう人もいます。離婚の後、転居が必要だったり、生活環境が大きく変わったりと、慌ただしい日々が待っています。そうすると、信じられないようなものをなくしてしまったりするのです(例えば、土地家屋の権利書など)。

また、当時はとても大切なものでも、何年か経過するうちに忘れさられた存在になってしまうこともあります。紙切れ一枚、どこかにいってしまうのはとても簡単なようです。

1-2-4 心理的効果

さきほど、強制執行をされるかもしれないという心理的効果が養育費の継続的・安定的な支払いにつながると書きました。

養育費だけではなく、他の面でも心理的効果があります。例えば、明確な強制執行や間接強制の文言が入れにくい面会交流についても、公正証書で決めたという事実が「きちんと約束を守らなければならない。」という気持ちにつながったりします。面会交流をはじめ、金銭的なこと以外に関する約束事は、軽視されてしまうことがありますが、それについても公正証書で決めておくメリットがあります。

1-2-5 デメリットもある

離婚協議書ではなく公正証書を作成するデメリットもあります。

一番大きなデメリットは、「お金がかかる」ということです。これは、後ほど詳しく記載しますが、財産分与の金額などによって大きく変わってきます。とは言っても、大抵は10万円以下で済みますので、得られるメリットに比べれば、高くはないと思います。

また、「手間がかかる」というデメリットもあります。自分で公正証書を作成するとなると、公証役場との連絡を自分で行う必要があります。一度は出向く必要がありますし、そのほかにも電話やメールでやり取りが必要です。最初の相談から最後の作成まで、何度か連絡することになるでしょう。また、作成のためには戸籍や印鑑証明が必要になり、それらの書類を集める手間もあります。

一方、離婚協議書であれば、これらのお金や手間が一切かからず、手軽に作成することができます。

   2 誰か作成するのか

2-1 弁護士に依頼する

自分で作成するのが大変な人は、弁護士に作成を依頼することができます。また、離婚協議を依頼した流れで、そのまま公正証書の作成をお願いする人もいるでしょう。弁護士に依頼すれば、費用はけして安くありませんが、相手との交渉も任せられるところがメリットです。

2-2 行政書士に依頼する

離婚公正証書の作成を行政書士に依頼することもできます。弊社でも行政書士業務を行っているからというわけではありませんが、公正証書の作成を行政書士に依頼するのは意外と「アリ」です。

行政書士と言えば、文書作成のプロです。また、公正証書の作成自体は、法的に難しい論点がある訳ではありませんので、離婚に疎い弁護士より、離婚専門の行政書士の方が安心して依頼できるくらいでしょう。その上、費用は弁護士よりも安いので、使い勝手がいいと言えます。

ただ、相手との交渉ができないという難点があります。そのため、記載したい内容が概ね決まっているとか、まだ相手との協議は始めていないが、記載しておいた方いい内容についてアドバイスもほしい、という場合に利用するのがいいでしょう。

2-3 もちろん自分で作成してもOK

もちろん、自分で作成することも可能ですし、これを読んでいるみなさんも、そのつもりで読んでくださっていると思います。

先ほど書きましたように、離婚公正証書の作成は、法律的に難しい論点がある訳ではありません。また、公証役場の方も親切にいろいろと教えてくれます。そのため、法律の知識がない方でも、ご自身で作成することが可能です。

   3 公正証書に書くべき内容

3-1 財産分与

子どものあるなしや不貞のあるなしにかかわらず、ある程度の婚姻期間の長さがある方全員に関係してくるのが財産分与です。財産分与とは、婚姻期間中の夫婦共同財産について分割することを言います。

3-1-1 分与対象財産

分与の対象となる財産は、離婚時(別居時)の財産から夫婦のそれぞれが独身当時に獲得した財産(特有財産)をひいたものです。例えば、夫がいくら資産家であっても、婚姻期間が短ければ、あまり財産分与は期待できません。また、独身時代の預貯金で購入した株が値上がりした結果増えた財産も特有財産となり分与の対象にはなりません。

3-1-2 争いそうなものは細かく決める

預貯金や不動産、株券、保険、自動車などが分与の対象になることは皆さん想像がつくと思います。しかし、他にも、宝石や高価な家具など、よく考えてみれば「財産」と呼ばれるものが意外と多かったりします。一方は「これは自分がもらったもの。」と思っているものでも、もう一方にとっては夫婦共有財産だったりもします。そのため、公正証書を作成した後になって、「これは私の」、「いや、俺のだ」と争いにならないよう、あらかじめよく考えて財産をリストアップしておきましょう。

婚姻期間が長くなればなるほど、財産関係が複雑になり、すべての財産を明確に把握することが難しくなります。なるべく別居前に全財産を把握しておいた方がいいでしょう。

3-1-3 分与の割合

分与の割合は自由に決められますが、裁判所の審判で決定する場合は、財産の名義が誰になっているかに関係なく、半分に分けられることが多いため、一つの基準として知っておいていただければと思います。

「自分が外で稼いでいる間、妻は家でのんびりしていただけなのに。」とか、「共働きなのに、私一人が家事・育児をやっていた。」という不満から、夫婦共有財産を半分ずつに分割することに抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、一方が有名スポーツ選手であるなど、財産の増加がもっぱら個人のタレントによる場合以外は、「半分ずつ」だと思っておいた方がいいでしょう。

3-2 慰謝料

慰謝料は、いわば、心に負った傷に対するお金です。そのため、その内容は様々ですが、中でも多いのが、不貞、DVを理由とする慰謝料です。

婚姻期間中の不貞やDVによる心の傷をお金に換算すること自体が難しいものです。しかも、思っている以上に慰謝料の相場金額が低いことにもがっかりされることと思います。

しかし、傷付いたことに対する代償ですので、過去にけじめをつける意味でも、いくばくかは請求した方がいいかもしれません。金額については、弁護士の法律相談などで、大体の相場を知ることができます。

3-3 養育費

養育費は、子どもを育てている方の親がもう一方の親に請求するお金です。基本的には、毎月いくらという形で決めますが、将来の不払いを防ぐため、一括払いで定めるウルトラCもあります。この場合、もらう方のメリットばかりではなく支払う方にもメリットがないと成立しませんので、毎月払いの合計金額より相当程度低い金額で合意することが多いようです。

養育費については、そのほかにもたくさん知っておいてほしいことがありますので、よければ下の文章も読んでみてください。

幸せ養育費のすすめ
養育費が足りないわけとその解決方法
養育費における本当の勝ちとは?
養育費が支払われない場合の完全マニュアル!

3-4 年金分割

次は年金分割についてです。これも忘れず記載しておきましょう。

3-4-1 意外と新しい年金分割の制度

夫が外で働き、妻が家庭で子育てをしているようなご夫婦の場合、夫の定年後どのような形で年金を受け取ることになるのでしょうか。多くの場合、夫の年金が20万円前後、一方妻は10万円以下、という程度の差が生じます。

以前は、この年金受給額の差がネックとなり、熟年離婚を踏みとどまっている妻たちがいました。いくら財産分与をしてもらっても、この先何年生きるか分からない中で、月額数万円程度の年金で生活していくのは不安なものです。

しかし、平成19年にそんな妻たちのためにできたのが、年金分割の制度です。年金分割制度ができる数年前から離婚率が抑制される結果となるほど、熟年の妻たちには待ち望んだ制度だったのです。

3-4-2 分割の対象となる年金

全ての年金が対象となるのではなく、対象となるものが決まっています。制度の趣旨からすると、すべての年金を対象にしてもらいたいという気持ちもありますが、残念ながら、今のところは一部の年金が対象外になっています。

年金分割の対象となるのは、厚生年金と旧共済年金(平成27年10月に旧共済年金が厚生年金に一元化されました。)です。そのため、配偶者が自営業で国民年金にしか加入していないような場合は対象にはなりません。ただ、自営業であっても、有限会社にしていたり、株式会社などの会社組織の常勤役員として報酬を得ている場合は、厚生年金に加入しているはずですので、対象となります。

また、国民年金の他にも、国民年金基金、厚生年金基金の上乗せ給付部分(付加部分・加算部分)、確定給付企業年金、確定拠出年金(401k)は年金分割の対象とはなりません。私的年金(民間の生命保険会社の年金保険など)も年金分割の対象とはなりません。

3-4-3 年金分割の手続き
 

年金分割は,自動的に分割されるものではなく、手続きが必要です。そして、その手続きは「年金分割のための情報提供請求」を行うことから始めます。加入している年金の種類によって、それぞれの箇所に請求を行うことになります。こんな風に書くと、「なんだ、結構めんどうじゃないか」と思う方もおられるかもしれません。ただ、最初の入口が間違っていたとしても(共済年金を支払っていたのに厚生年金を管轄する年金事務所に請求してしまったような場合)、内部で書類を回してくれたり、受付で正しい請求先を教えてくれたりします。ですので、「どこに請求すればいいか分からない。」と動けずにいる方も、まずはお近くの年金相談センターに足を運んでみてください。

3-4-5 分割割合

分割割合については、「合意分割」や「三号分割」と言った言葉を使って説明されることになります。若干ややこしい説明になりますので、詳しくはこちら「円満離婚のための年金分割」を読んでいただければと思います。基本的には、分割割合は半分ずつです。

3-5 親権

夫婦の間の子どもがまだ未成年の場合、親権者を指定することになります。日本は共同親権ではない上に、親権者を決めなければ離婚できませんので、離婚の際の大きなハードルになることがあります。

現在の日本では、母が親権者となる場合が約9割と非常に高い割合となっています。しかし、社会の変化に伴い、親権者の争いにも少しずつ変化が見られるようになってきました。

女性の社会進出やイクメンの増加は、それ自体はとても歓迎すべきことなのですが、親権争いを激化させる要因になることがあります。ただ、やみくもに親権を争うのは、将来の親子関係にひびを入れることにもなりかねません。

ましてや、親権争いをほかの離婚条件との駆け引きに使うなどは持ってのほかです。どちらの親と暮らすことが、長い目で見て子どものためになるのか、という視点で話し合ってほしいと思います。

3-6 面会交流

子どもと別居している親が会うことを面会交流といいます。親と子どもが会うために、わざわざ公正証書で定めることが必要なのかと不思議に思う方がおられるかもしれませんが、一部の夫婦や親子にとって、自然な面会交流がとても難しかったりします。

家庭裁判所でも、面会交流調停の件数がここ数年うなぎのぼりです。裁判所で調停などしなくて済むよう、父母それぞれが「子どものため」という同じ目的のために協力してほしいと思います。

面会交流については、子どもの予定や体調に合わせて臨機応変に行えるよう、「月に1回程度」などと、緩やかに決めておくのが基本です。しかし、緩やかであるがゆえに紛争の種になることがありますので、「ここはもめそうだな」というポイントについては、あらかじめ細かく決めておくことがいいでしょう。

決めるポイントは、①連絡方法、②会う頻度、③時間、④キャンセルの場合の取り扱い、などです。

   4 相手に作成を嫌がられたら

あなたが離婚に際して公正証書を作成したいと考えていても、相手に拒まれてしまうことがあります。その場合の対処方法などをお伝えします。

4-1 そもそもなぜ拒むのか

そもそも、どうして相手は公正証書の作成を拒むのか。その拒否の裏側にはいろいろな理由が隠れています。その理由によって対処方法も変わってきますので、まずは、拒否の理由について考えてみましょう。

4-1-1 強制執行が怖い

「離婚公正証書=強制執行」とインプットされている人にとって、公正証書の作成がとても嫌だったりします。ちゃんと支払うつもりではあるけれど、万が一の場合に給料を差し押さえられたり、不動産を競売にかけられたりすることを考えると、二の足を踏んでしまうようです。

4-1-2 手続きがめんどう

離婚公正証書が何たるかはよく分からないけれど、とにかく面倒だというイメージを持っている人もいます。「全部こちらでやるから」と言ったところで、どうしても本人にしてもらわなければいけないことがいくつかあります。代理人として親族に公証役場に足を運んでもらう場合であっても、本人の戸籍や印鑑証明が必要になってきます。そのため、公正証書の作成にメリットを感じていない場合、作成に対するモチベーションがなく、「面倒だ」となる人がいます。

4-1-3 費用がかかる

先ほども書きましたように、公正証書作成にはお金がかかります。夫婦が自分たちで作成したとしても、公証役場に支払う手数料が数万円必要になります。また、作成したものを専門家に添削してもらいたいとなると、またその分費用が発生します。

それでなくても、離婚の協議はお金の問題に敏感にならざるを得なかったりします。その効果に比べれば安いものだと思いますが、数万円の手数料がネックになることがあります。

4-1-4 離婚自体に後向き

そもそも、離婚を切り出された方にとっては、離婚そのものに前向きになれないため、離婚条件の話合いや、その結果、公正証書を作成することに賛成できない場合があります。

4-2 相手を説得する方法

4-2-1 調停を引き合いに出す

公正証書を作成してもらえない場合、それと同等もしくはそれ以上に確かな方法で離婚条件を残しておくには、調停を申し立てるか、裁判をするしかありません。そのため、公正証書を作成してくれなければ、家裁の調停を申し立てると伝える方法もあります。

多くの場合、「調停まではしたくない」という判断になりますので、一定の効果があると思われます。

4-2-2 離婚しないと言う

相手が離婚を切り出した方だったり、離婚を望んでいる場合は、「公正証書を作成してくれないと離婚しない」という態度を取ることが有効です。

4-2-3 相手のメリットも伝える

公正証書は、一方だけにメリットがあるのではなく、もう片方にもメリットがあります。一般的には、養育費などの取り決めをするために、養育費をもらう女性にとってはメリットがあるけれど、強制執行の危険性が増す男性にとってはメリットがないと思われがちです。

しかし、離婚公正証書には、清算条項といって、今後、何ら債権債務の関係がないことを書いておくのが通常ですので、後から「これについても慰謝料がほしい。」とか「この財産分与を忘れていた」と請求されることを防ぐというメリットがあります。

4-2-4 相手を慮る

話合いは何でもそうですが、自分の思いばかりを押し通そうとすると反発にあいます。相手はどうして嫌がっているのか、もし気持ちが変わらないなら少し待ってみるか、といった相手の気持ちやペースに合わせることも大切です。

一方的にさっさと進めてしまうと、相手は取り残された感や勝手に決められてしまう不安でいっぱいになってしまいます。離婚は相手のあることですので、時にはペースダウンもやむを得ません。

   5 円滑に協議を進めるポイント

相手が公正証書の作成に応じてくれるとなれば、作成のための話合いが必要になってきます。次は、その話合いをなるべく円滑に穏便に進めるための工夫についてお伝えします。

5-1 内容を整理して書面で伝える

ついやってしまいがちなのが、感情に任せて「養育費はこうしてほしい」、「財産分与はこれがほしい」と思いつくがままに主張するというやり方です。しかし、このようなやり方は、相手にとって「どれだけ主張してくるつもりか」という不安感を与える上に、肝心な内容が正確に記憶に残らなかったりします。

相手に離婚条件を伝えるときは、しっかりと紙に書いて伝えましょう。

5-2 主張の根拠を明記

どうしてそのような主張をするのか、それが相当だと思う理由は何なのか、根拠や証拠を示すことが大切です。やみくもに主張していると思われてしまうと、警戒されるばかりです。

例えば、養育費であれば、算定表や家計簿が根拠になります。大切なのは、相手に「なるほど。仕方ない」と納得してもらうことです。

5-3 相手にも「調べること」を勧める

相手から一方的に主張・要求されたことは、なかなか合意しにくかったり、「本当に妥当なのか」と疑ってしまったりします。そのため、あなた自身の主張が行き過ぎや不相応でないことを確認してもらうため、相手にも法律相談などに足を運んでもらうよう促しましょう。

少なくとも、相手をけむに巻いたまま合意するようなやり方はよくありません。

5-4 期限をきる

協議に期限がないと、ついつい結論が先伸ばしになってしまい、双方が精神的につらくなってしまったりします。そのため、いついつまでに提案した離婚条件に対する回答がほしいという期限を設けておくことが大切です。

その際は、期限内に解答がない場合の手段(調停を申し立てる、相手の両親に間に入ってもらう、など)も併せて明記しておきましょう。

   6 公証役場での手続き

みなさんの生活にとって、裁判所と同じくらい馴染みのない場所が公証役場だと思います。しかし、公証役場での手続きは、一歩踏み出してさえしまえば、案外簡単だったりします。

6-1 専門家に添削してもらう

まず、公証役場に持っていく前に「専門家に添削してもらう」という選択肢についてお伝えしたいと思います。次に説明しますが、公証役場はとても親切で、法律を知らない素人の方でも問題ありません。

ただ、公証役場の公証人は、聞かれたことには間違いなく答えてくれますが、聞かれもしないことに対してコメントすることはありません。そのため、「これも決めておいた方がいいですよ。」といったアドバイスがないので、その点が少し心配になる人もいます。

そんな場合は、専門家の添削サービスを利用するのがお勧めです。一から作成を頼むより、安価な費用で添削が可能ですし、依頼された専門家はあなたのためにアドバイスもしてくれます。費用対効果は抜群だと思います。

知り合いの公証人さんの声:普通、金銭債務の場合なんかは、強制執行の一文は必ず入れるんだよね。だから、養育費の場合も、もちろん入れるんだけど、最初の案にない場合、「強制執行の文章は入れないくていいんですか?」と聞きにくいときもあってね。というのも、それ言っちゃうと、相手が公正証書作んないってなることがあって。

こんな風に、一番「肝」である強制執行の一文を入れ落としてしまう危険性もあります。

6-2 公証役場での手続きの流れ

6-2-1 まずは最寄りの公証役場に電話連絡

まずは、何はともあれ、最寄りの公証役場に電話で「離婚の公正証書を作成したいのですが、どうすればいいですか」と電話してみましょう。公証役場は各地にあり、どこの公証役場を利用しても構いません。ただ、各役場によって、少しずつ手続きの方法が違っていたり(メール相談の可否など)しますので、比較的近くて使い勝手のよい公証役場を探すといいでしょう。

電話口では、対応に慣れた事務員の方が必要な手続きや書類を親切に教えてくれますので、何も分からないままに電話をしても大丈夫です。

6-2-2 公証人が「案」を作ってくれる

おそらく、多くの公証役場で、「まずは、公証人と面談の予約を入れてください。」と言われると思います。その面談には、離婚条件を記した書面を持参し、「これは公正証書に書けない」とか、「これは、こういう言い回しになる」といったコメントが公証人からあります。

この際、持参する書面はメモ程度でいいことがほとんどです。ネットでは、公正証書のテンプレート的なものがあふれていますが、実は、あんな風にきれいに形にできなくても大丈夫なのです。それよりも、決めておく項目とその決めた内容が大切です。

6-3-3 手数料

専門家に依頼しなかったとしても、公正証書を作成するには、公証役場に支払う「手数料」が必要になります。

この手数料は、公正証書にする内容や財産分与の金額によって異なってきます。以下に目安となる表を載せておきます。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算
6-3-4 代理人を立てることもできる

最初は、夫婦のどちらかが公証役場に足を運び、公証人と面談をしたり、説明を聞いたりといったことで足ります。しかし、最後の最後に公正証書を作成する段階では、必ず二人が揃うことが必要です。

ただ、どちらかが遠方に住んでいるとか、顔を合わせたくないといった理由で、夫婦同席が難しいこともあるかと思います。そんな場合は、本人が立ち会わなくても、代理人を立てることも可能です。この代理人は、弁護士や行政書士といった専門家でなくても、代理に必要な書類さえそろえば、身内や知人でも構いません。

   7 まとめ 

以上、長々と公正証書作成について書いてきました。ここまで読んでくださってありがとうございます。

離婚は本当に人それぞれで、「絶対にこれがいい」という方法はありません。しかし、養育費や面会交流など、将来にわたっての約束ごとがある場合は、公正証書の作成が欠かせません。

離婚はそれでなくても心身ともに疲弊することが多く、なるべく楽に早く済ませたいという気持ちになってしまいます。しかし、今この瞬間だけでなく、5年後、10年後の幸せのために、転ばぬ先の杖として、公正証書の作成を検討していただければと思います。

これだけの長文を最後まで読んでくださったみなさまなら、自分で公正証書を作成することができると思います。是非がんばってください。

離婚テラスでも自作公正証書の添削を行っております。もし、ご不安な方は是非ご相談ください。

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