離婚一般

年収が1千万円あっても夫婦が離婚するわけ

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年収1000万円と聞いてみなさんはどんな生活をイメージしますか?大富豪とまではいかなくても、「余裕のある生活」をイメージしませんか。しかし、実際にはそうでもありません。年収が1000万円あっても生活に困ることがあるのです。もっと言えば、年収が1000万円だからこそ生活に困ることもあるのです。今日は、年収1000万円の夫婦が陥りやすい問題について書いてみたいと思います。

年収1000万円の実態

年収1000万円の手取り月収

年収1000万円の人の手取りは700万円台です(家族構成や扶養等の内容によって変わりますが。)。そのうち、ボーナスが150万円だとします。そうすると、月々の手取りは45~50万円程度になります。既に、「あれ、そんなもの?」という感じがしてきます。年収1000万円とは言っても、月々の手取りは50万円以下であることが多いのです。

年収1000万円でどんな生活ができるか

では、年収1000万円家族の架空の家計を考えてみたいと思います。

夫   40代前半 大手企業社員
妻   40代前半 専業主婦
長男  10歳
長女  6歳

家賃    13万円(転勤の可能性があるため自宅は購入せず、賃貸住まい。 築浅マンションの広めの2LDK)
公共料金   3万円(電気代、ガス代、水道代)
駐車場    1万円
夫小遣い   5万円(昼食代込み)
食費     6万円
携帯料金   3万円(夫1万、妻1万、長男7千円、長女3千円)
外食費    2万円(毎週末、5千円程度)
保険料    3万円(夫婦、子ども)
長男の習い事 3万円(塾2万円、スイミング5千円、英語5千円)
長女の習い事 2万円(バレエ1万円、公文1万円)
娯楽費    3万円

ここまでで既に44万円です。月収を超えつつあります。しかし、もう一度家計の内容を見てみてください。どれも目立って贅沢だと感じるものがないと思いませんか。13万円の家賃の家なんて、都心部では大した家は借りられません。夫の小遣いだって平均的な3万円という金額よりやや多いものの、それでも5万円です。外食費の2万円だって、週末に一食外食すれば、4人もいればファミリーレストランであっても5千円に達します。携帯代だって4人合わせて3万円で済まないかもしれません。 そして、この家計の中には、まだまだ支出すると思われる費用が入っていません。例えば、長男の学校の給食費や授業料、長女の幼稚園費用、妻の小遣い、固定電話やインターネット等の通信費、被服費、美容院代、家電の買い替え代、日用雑貨費用、医療費、税金等々、まだまだ必要なものがあるはずです。しかし、既に月収の範囲を超えていますので、ボーナスで賄うしかないのです。

年収1000万円がなぜ裕福でないと感じるのか

税率の問題(年収が一定額を超えると税率が上がる)や各種手当が受給できない等の実際的な問題もありますが、一方で、「裕福だと思って使いすぎてしまう。」という心の問題が存在します。次はそのような心の問題がまねく夫婦不和について考えてみたいと思います。

年収1000万円夫婦が不和に陥る理由

プチ贅沢の罠

年収1000万円が大して裕福な生活ができるわけではないということを実感してもらえたところで、次は、そのような夫婦が陥りがちな夫婦不和について考えたいと思います。離婚の現場で主張される経済問題の多くは、「夫がお金を家に入れない。」、「知らない間に借金をしていた。」、「定職に就かず、生活費がままならない。」といったものです。つまり、お金がないことが争いの種になるのです。だとすれば、「金持ちけんかせず」という言葉があるくらいですから、年収1000万円の夫婦は金銭問題でもめることは少ないのでしょうか。答えは「ノー」です。年収1000万円の夫婦だからこそ陥る問題があるのです。

まず、多くの妻は、夫の年収が1000万円あれば「少しは贅沢な生活ができるかも。」と感じることでしょう。しかし、先ほど書いたように、大していい生活はできないのです。しかし、妻はそれに気付かず、「プチ贅沢」を繰り返します。この「プチ贅沢」、プチなところが曲者なのです。妻自身も贅沢をしているつもりはなく、小さな「ちょっといいものを。」がちりも積もって問題となるのです。

例えば、食料品をデパートで買うわけではないけど、スーパーで「ふつうのミニトマト200円」と「有機栽培ミニトマト250円」があると、子どもたちのためにと有機を買います。また、公文の教科を「算数と国語」にするか、「算数のみにするか。」迷った際に「念のため」と二科目を選択する。ママ友のランチ会で1000円ではなく1500円のセットを注文する。子どもの服をバーゲンでもないのにデパートで買う。挙げればきりがないくらい、「プチ贅沢」の危険性が潜んでいます。

先ほどの架空の家計についても、よく見るとプチ贅沢が潜んでいます。例えば、教育費です。お兄ちゃんの英語をやめたり、長女の公文を一科目にすることも考えられるかもしれません。また、休日の外食や娯楽を減らし、お金のかからない過ごし方を工夫することもあり得ます。また、思い切って車を持たなければ、駐車場やガソリン代、税金等が減るでしょう。3万円の保険料を見直すこともできるでしょう。

夫が家計の問題に気付く段階

そして、そのうち貯金ができていないことに気付いた夫が、妻に対して家計を見直すように相談します。しかし、妻は「あら、おかしいわね。そんなに贅沢なんてしてないのに。」と考える振りはしますが、生活態度に変化はありません。妻の頭の中には、「夫が1000万円も稼いでくるんだから大丈夫だろう。」という考えが根底にあるからです。

業を煮やした夫が、「これからは家計は自分が管理する。君には15万円を渡すので、それでやりくりしてほしい。」と言い渡します。これに驚いた妻は、対策として、カードで支払えるものは全てクレジットカードで支払うようになります。しかし、そんなことをしたって、遅かれ早かれ夫の知るところとなります。そして、本格的な夫婦不和が始まります。妻としては、「年収1000万円も稼いでおきながら、家計にうるさく口出しし、挙句の果てには生活費も満足に渡さず経済的DVだ。」と主張します。一方、夫は、「専業主婦の妻は経済観念がなく、うちは金持ちだと誤解して浪費を続けている。」となります。

金銭問題が、深刻な夫婦不和に発展する原因の一つは、当たり前ながら、生活とお金が切っても切り離せない問題だからです。例えば外食一つとっても、妻は、「週末くらい、炊事を休ませてほしい。」となりますが、夫は「毎週外食してたらたとえファミレスでも安くはない。」となります。子どもや妻が新しい服を着ていると、夫は「それ、かわいいね。」の前に「また新しいの買ったの。」となります。生活をすることはお金を消費することでもあります。ですので、金銭でもめだすと、四六時中、関係がぎくしゃくすることになります。

夫のエリート意識や家庭放置の問題

一方、夫の方はどうでしょうか。年収1000万円でも贅沢はできないなんて書いていますが、それだけ稼げる人は一握りです(国税庁の調査だと25人に1人程度のようです。)。ですので、夫はやはりエリートサラリーマンということになりますし、仕事も楽ではありません。ですので、平日は日が変わってから帰宅し、休日は寝ているか接待ゴルフ、なんてこともあり得ます。また、専業主婦である妻を尊重する気持ちを失いがちで、「俺は外で大変な思いをして稼いできてやっている。お前は家で子どもたちを見てればいいから楽だ。」となるわけです。そうすると、妻に対するねぎらいや感謝の気持ちはなくなり、逆にモラハラ的な態度を取ったりして、これまた夫婦不和の原因になってしまうのです。

こんな夫婦が離婚すればどうなるか

いくら養育費がもらえるか

そして、このような夫婦が離婚した場合はどうなるでしょうか。妻が親権者になったと仮定して考えます。まず、養育費の金額を算定表で見てみましょう。

養育費についてご存じない方は読み進める前に読んでみてください。
幸せ養育費のすすめ
養育費における本当の「勝ち」とは?!
養育費が支払われない場合の完全マニュアル
養育費が足りないわけとその解決法

妻は、無職ですが、100万円程度は潜在的な給料を見込むとして、算定表上の養育費は12~14万円です。子どもが小さいから働けないという主張が通ったとして、14~16万円です。 さて、これで生活できるでしょうか。母子手当等の公的手当を合わせても20万円に届くかどうかという程度です。ですので、生活していくためには働かざるを得ません。しかし、働いたところで、これまで専業主婦だった子持ちの主婦がどのくらい稼げるかというと、なかなか難しいでしょう。せいぜい、子どもが学校や幼稚園に行っている間にパートをして月10万円ももらえばいいほうではないでしょうか。きっと、「年収1000万円の父親がいながらけしからん。」と思うかもしれません。しかし、いくらけしからんと思ったところで、算定表上の金額はそうなっています(もちろん、相手がより多く支払うことに同意してくれれば別ですが。)。ですので、現在の生活を捨て、月に2,30万円でボーナスもないという生活に耐えられるかどうか、よく考えてから離婚に踏み切る必要があります。

貯蓄がなければ財産分与もなし

また、離婚にはつきものの財産分与についてはどうでしょうか。財産分与は、婚姻中に夫婦が作った財産を分与するものです。最近は、晩婚化の影響もあってか、婚姻時に既に結構な財産がある人がいますが、配偶者が独身時代に貯めた預貯金や購入した不動産は分与対象にはなりません。しかし、時々それを混同している人がいます。つまり、離婚時(別居や調停申立時)に残っているそれぞれの財産を分割するのではなく、その財産から、それぞれの独身時代の財産を引いてからの金額が分与対象になるのです。 ですので、夫の通帳の残高をこっそり確認して安心していると、大きな計算間違いをすることになります。さきほどの例では、家計と収入がほぼ同額になっていますので、もちろん貯蓄はできていないことになります。ですので、配偶者の収入が1000万円あるにも関わらず、財産分与がなし、なんてこともあり得るのです。

仕事一筋の夫は面会交流でも不利?

このような夫婦の場合、専業主婦である妻が親権者となるパターンが多いのですが、そうすると、夫は子どもたちとの面会交流を求めることになります。しかし、経済問題は日常生活と密着していると書きましたが、そうであるが故に、子どもたちは夫婦のケンカを日常的に目にしていることになります。また、日頃、夫が子どもと過ごす時間は妻に比べて大幅に少ないわけですから、「ママと子どもVSパパ」という構造になりやすく、夫は嫌われがちです。また、最悪なパターンだと、妻が子どもたちに対して「パパが生活費を十分にくれないから〇〇を買ってあげられないのよ。」とか、「パパはケチだから」なんてことを日常的に吹き込んでいて、「パパ=悪者」となっていることもあります。そうすると、夫は、面会交流さえも円滑に取り決められないという憂き目を見ることになります。

男女役割が固定化し、感謝を忘れることが落とし穴

今回は、男性が会社員で女性が専業主婦という設定で書きました。もちろん、逆のパターンも考えられますが、やはり少数です。このような家庭が陥りがちな不幸として、妻は夫が稼いでくるお金を当たり前のように使い、感謝の気持ちを忘れます。そして、夫から家計について少しうるさく言われると「ケチ」と罵ります。一方、夫は、妻の日頃の家事や育児を「当たり前」と捉え、同じく感謝の気持ちを失った結果、夫婦関係が悪化するのです。そして離婚に至った後に待ち受けるのは、妻にとっては、もっと金銭的制限のある生活、夫にとっては子どもたちのいない生活です。双方にとって失うものが多く、不幸な結果に終わります。夫の稼ぎに感謝し、妻の家事・育児をねぎらうことで、この危機を乗り越えてほしいと思います。

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