離婚一般

母子家庭(父子家庭)が受けられる手当と就労支援

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先日、東京都ひとり親家庭支援センター「はあと」さんにうかがい、東京都のひとり親家庭の支援についてお話を聞いてきました。

昨今、母子家庭の貧困問題が取り上げられることが多くなっており、自治体もいろいろな方面からの支援を模索しています。とはいえ、自治体によって支援の内容が違ったり、短いスパンで支援の内容が変わったりするため、情報収集が難しかったりします。

今回は、はあとさんからうかがった東京の話を中心に、母子家庭(父子家庭)が受けられる手当についてまとめたいと思います。

   1 児童扶養手当(母子手当)

母子家庭の手当と聞いて一番に思いつくのが児童扶養手当ではないでしょうか。今更説明することはそんなにありませんが、一応、おさらいしておきましょう。

1-1 受給対象者

母子手当と呼ばれることが多い児童扶養手当ですが、父子家庭も受給できます。また、両親がいない子どもを養育している祖父母や未婚のシングルマザーも対象に含まれます。

1-2 受給額

実は、児童扶養手当は、とても複雑な計算のもと算出されています。そのため、養育費のように、算定表に当てはめればすぐ金額が分かるというものでもありません。例えば、所得制限を判断するための「所得」も、所得をそのままあてはめるのではなく、そこからいろいろなものを控除したり、養育費の8割を入れたりといった過程が必要になります。

また、平成29年4月からは、物価スライド制になり、物価が上がれば受給額も上がり、物価が下がれば受給額も下がるようです。政策によって度々変更されており、決まった一覧表を作るのは簡単ではないのかもしれません。

ただ、目安が知りたいという人もいると思いますので、あくまで「目安」として表を作成しました。参考にしてください。

  子どもの数
所得
1人
2人
3人
57万円
42,290円
52,280円
58,270円
95万円
35,180円
52,280円
58,270円
133万円
28,090円
44,070円
58,270円
192万円
17,070円
31,360円
44,500円
230万円
9,980円
23,160円
35,670円
268万円
0
14,980円
26,810円
306万円
0
0
17,980円

1-3 意外に少ない人数加算額

先ほどの表を見てきょうだいの人数が増えた場合の加算額が少ないと感じた人がいると思います。私もそう思います。確かに、住居費や光熱費などは、子どもが一人増えたからといって2倍になるものではありません。しかし、洋服や学用品、学費や給食費といった費用は人数の分だけ増えていきます。どこかに遊びに行った際も、入場料や外食代が子どもの数だけかかります。そう考えると、もう少し加算額が大きくてもいいのになあと感じます。

1-4 同居祖父母の収入は合算ではなく制限対象

よく、実家の親と同居していると児童扶養手当を受給できないと思っている人がいますが、そうでもありません。確かに、祖父母の収入も考慮されますが、同居親族の収入がすべて合算されるのではなく、それぞれの収入が受給制限の対象になるということです。そのため、実家の両親が年金暮らしで大した収入もない、という状況であれば、同居していても児童扶養手当を受給できる可能性が十分にあります。

   2 児童手当

児童手当は、ひとり親家庭に限らず、中学生までの子どもがいる親に支給される手当です。児童扶養手当との名前の区別がややこしいのですが、「ひとり親に限らない」という点が特徴的です。以前は子ども手当と呼ばれていたものです。この児童手当は、政策によって金額が大きく増減し、子だくさんの家庭は振り回されがちです。

2-1 受給金額

平成29年4月現在の受給金額です。先ほど書きましたように、金額が変わることもあります。

支給対象の子供の年齢 支給額(月額/1人当たり)
0歳から3歳まで 15,000円
3歳から小学校卒業前 10,000円(第1子、第2子)、15,000円(第3子以降)
中学生 10,000円

2-2 注意点

児童扶養手当と同様、所得制限があります。現在は、夫婦どちらかの収入が960万円を超えていると受給対象とはなりません。また、月額の金額が示されますが、毎月受給できるわけではありません。毎年2月、6月、10月に受給となります。過去に遡っての受給はできませんので、子どもが生まれたらすぐに手続きをしましょう。また、別居により住所の変更が市区町村をまたぐ場合も新たに手続きが必要です。

   3 児童育成手当

これは、国ではなく東京都独自の支援制度です。児童扶養手当との違いは、収入制限が少し緩やかだったり、同居親族の収入が制限対象にならなかったりする点です。児童扶養手当では受給対象にならなかった人も受給できる可能性があります。児童1人につき13,500円が支給されます。

これは、東京都独自の制度ですが、各都道府県や市区町村で独自の支援制度を設けているところも多くあります。受給の条件も様々ですので、まずは、区役所の窓口で聞いてみるといいでしょう。

   4 就労支援

ここまで紹介したのは、純粋にお金を受け取れる制度でしたが、他にも料金の減免を受けられたり、他の人より優先してもらえる制度があります。例えば、家賃補助が出たり、医療費が減免されたりします。また、優先的に保育園や都営住宅に入れたりする制度もあります。次は、その制度の中でも、特にお勧めしたい就労支援についてお伝えします。

4-1 就労支援の重要性

是非、母子家庭のお母さんたちに知っていただきたいのが「就労支援制度」についてです。さきほどのひとり親家庭支援を行っている「はあと」さんでは、ひとり親家庭専門の就労支援を行っています。そこに相談に来られる人たちに特徴的なのは、離婚前相談が多いことだそうです。離婚してから慌てるのではなく、あらかじめ離婚後の生活設計を整えようという人が多いということだと思います。

結婚や出産を機に仕事を辞めた人や、そもそも正社員で働いた経験のない人にとって、「フルタイムで稼ぐ」というのは心身ともにとてもハードルの高いことだと思います。しかし、国や自治体から支給される手当だけでは生活が苦しく、子どもに習い事をさせたり、大学まで進学させることが難しかったりします。

何より、誰かの援助や支援ではなく、自分で稼いで生活できているという自信にもつながります。お母さんが頑張って働いている姿は子どもの励みにもなります。是非、「働く」ということを前向きに考えてほしいと思います。

4-2 就労支援の中身

就労支援というと、仕事の紹介をイメージする方が多いと思いますが、はあとさんでは、様々な方面から就労支援を行っています。例えば、就職試験に備え、面接の練習をしてくれたり、履歴書の書き方を教えてくれたりします。また、就労のためのメイク(お化粧)の方法や、適正検査を使った職業選択へのアドバイスなども行っているそうです。

4-3 がんばりすぎに注意

離婚を機に、是非、自ら稼ぎ出すという就労の充実感を得てほしいと思う反面、がんばり過ぎないでほしいという気持ちもあります。離婚後のお母さんによく見られるのが、「気負いすぎてダウンする」という状況です。家事も育児も仕事も、生活の全ての責任を負わなければいけない重責や、「離婚しても子どもに不自由させたくない。」という気持ちから、オーバーワークになってしまうお母さんたちがいます。離婚直後は、気が張っていることもあり、何とか乗り切れるかもしれませんが、離婚後の生活は始まったばかりで、先の長い話です。あまり頑張りすぎず、長い目で生活を安定させてもらえればと思います。

また、子どもにとっても、お母さんの頑張りすぎはマイナスに働きます。先ほど、お母さんが頑張って働く姿は子どもの励みになると書きましたが、子どもは、同時に寂しい思いもしています。親の離婚により、片方の親と一緒に生活できない寂しさを味わうわけですが、同居親が就労のために子どもにかまってやれなくなると、子どもは2重に寂しい思いをすることになります。

   5 まとめ

今回は、一人親が離婚後に得られる手当などを中心にお伝えしてきました。まだまだ、日本は、ひとり親が子育てしやすい社会ではありません。しかし、離婚前から就労相談を受けたり、受給できる手当などを事前に知っておくことで、離婚後の生活をスムーズにスタートさせることができます。いつもお伝えしていることですが、衝動的で感情的な離婚より、理性的で準備を整えた離婚を目指してほしいと思います。

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