性格傾向と離婚

アルコール依存症と離婚問題

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このコラムではアルコール依存症と離婚に関連して、以下の3点についてお伝えします。

  • アルコール依存症とは
  • アルコール依存症を治療して夫婦関係を修復する場合のステップ
  • アルコール依存症の夫との離婚の方法

アルコール依存症か否かを疑っている段階の方は最初から、アルコール問題を抱える夫との離婚を悩んでいる方は「3」から、既に離婚を決意している人は「4」から読み進めてください。

アルコール依存症とは

アルコール依存症の診断基準

日本では、治療の必要なアルコール依存症の人は80万人いると推測されていますが、自分がアルコール依存症であることを認め、治療につながる人は2万人程度しかいません(厚労省)。

つまり、ほとんどのアルコール依存症の方は、まさか自分がアルコール依存症だとは思わず、肝臓をはじめとする内臓疾患で亡くなったり、事故死や自死しているという生々しい現実があるのです(アルコール依存症の方の平均寿命は50~54歳だと言われています。)。

そんなにたくさんの人が罹患している可能性があるアルコール依存症ですが、いったいどのようなお酒の飲み方をしている人が当てはまるのでしょうか。

医学的な診断基準

WHO(世界保健機関)が定めているアルコール依存症の診断基準は、下表の6項目です。過去1年の間に、6項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上続いた、または繰り返し出現した場合には、アルコール依存症と診断されます。

①渇望 飲酒したいという強い欲望あるいは切迫感がある。
②飲酒行動のコントロール 飲酒行動(飲酒の開始・終了、飲酒量の調節)に関して、自分の意志で制御することが困難である。
③離脱症状 断酒あるいは減酒したときに、離脱症状(手が震える、汗をかく、眠れない、不安になる等)がある。
④耐性の増大 お酒を飲み続けるうちに、次第にお酒に強くなった、あるいは高揚感を得るのに必要な飲酒量が増えた。
⑤飲酒中心の生活 飲酒のために本来の生活(仕事、家族との交流、友人との付き合い、趣味等)を犠牲にする。
アルコールの影響からの回復に要する時間(=酔いからさめる時間)が長くなった。
⑥有害な使用に対する抑制の喪失 心身に明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、飲酒を続ける。

新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト

新久里浜式スクリーニングテスト(新KAST)といって、本人やその関係者が簡単にインターネットなどで情報を得て実施できるものもあります(久里浜医療センターという国立のアルコール依存症病院が作ったので「久里浜」の名前がついています)。

この新KASTは、診断の補助的な役割を果たしています。そのため、新KASTでアルコール依存症が疑われたら、医療機関を受診する(受信させる)というような方法で利用できます。

男性版と女性版があり、8~10の項目で簡単に実施することができます。以下、久里浜医療センターのHPからの抜粋です。

最近6ヶ月の間に次のようなことがありましたか?

男性版

  1. 食事は1曰3回、ほぼ規則的にとっている
    はい  いいえ
  2. 糖尿病、肝臓病、または心臓病と診断され、その治療を受けたことがある
    はい  いいえ
  3. 酒を飲まないと寝付けないことが多い
    はい  いいえ
  4. 二曰酔いで仕事を休んだり、大事な約束を守らなかったりしたことが時々ある
    はい  いいえ
  5. 酒をやめる必要性を感じたことがある
    はい  いい
  6. 酒を飲まなければいい人だとよく言われる
    はい  いいえ
  7. 家族に隠すようにして酒を飲むことがある
    はい  いいえ
  8. 酒がきれたときに、汗が出たり、手が震えたり、いらいらや不眠など苦しいことがある
    はい  いいえ
  9. 朝酒や昼酒の経験が何度かある
    はい  いいえ
  10. 飲まないほうがよい生活を送れそうだと思う
    はい  いいえ

合計点が 4 点以上: アルコール依存症の疑い群
合計点が 1 ~ 3 点: 要注意群(質問項目 1 番による 1 点のみの場合は正常群。)
合計点が 0 点: 正常群

 

女性版

  1. 酒を飲まないと寝付けないことが多い
    はい  いいえ
  2. 医師からアルコールを控えるようにと言われたことがある
    はい  いいえ
  3. せめて今日だけは酒を飲むまいと思っていても、つい飲んでしまうことが多い
    はい  いいえ
  4. 酒の量を減らそうとしたり、酒を止めようと試みたことがある
    はい  いいえ
  5. 飲酒しながら、仕事、家事、育児をすることがある
    はい  いいえ
  6. 私のしていた仕事をまわりの人がするようになった
    はい  いいえ
  7. 酒を飲まなければいい人だとよく言われる
    はい  いいえ
  8. 自分の飲酒についてうしろめたさを感じたことがある
    はい  いいえ

合計点が 3 点以上: アルコール依存症の疑い群
合計点が 1 ~ 2 点: 要注意群(質問項目 6 番による 1 点のみの場合は正常群。)
合計点が 0 点: 正常群

どうでしょうか。割と簡単に「アルコール依存症の疑い郡」に入ってしまうと思いませんか?

エピソードでみるアルコール依存症

次に、上述のような診断基準が生活の中でどのようなエピソードとして表れてくるのか、「アルコール依存症あるある」をお伝えします。

自制できない

アルコール依存症は、端的に言うと、「お酒の飲み方がコントロールできない状態」だということができます。

例えば、「一週間に何日かは休肝日にしよう。」と思っていても、結果的には毎日飲んでしまったりします。また、今日は1杯だけにしようと思っても、記憶をなくすまで飲んでしまいます。

アルコールの買いだめ

アルコール依存症の方は、アルコールがきれることに潜在的な不安が強かったりします。そのため、かならずお酒を家においていたり、深夜でも買いに行ける店を調べていたりします。

朝からの飲酒

仕事がない日は、朝から飲酒が始まり、一日中飲んでしまう人がいます。こうした人たちも立派なアルコール依存症予備軍です。

飲み会に関するあるある

また、宴会時の行動として、次のようなことをやりがちな方も要注意です。

  • 宴会に行く前に「0次会」と称してあらかじめ飲んでから行く
  • 「最初の一杯」ではすぐ飲んでしまうため、「最初の2,3杯」を一度に注文しておく
  • 飲み会の最初から最後までずっと飲んでいる
離脱症状を抑えるために飲む

アルコール依存症の人は、体内のアルコール成分がなくなってくると、手の震えや発汗、不眠や焦燥感など、いろいろな離脱症状が出てきます。その離脱症状を抑えるためにお酒を飲んでしまうと、立派なアルコール依存症だということができます。

アルコール依存症による身体症状

会社の健康診断でγ-GTP(ガンマーGTP)の数値が高いと指導を受けた人も少なくないと思いますが、自覚症状がなくても、アルコールが体を蝕んでいます。

また、もっと分かりやすく、身体的な症状が伴うことも多く、肝機能障害、糖尿病、脳の萎縮などの症状があります。

「アルコールで脳の萎縮?」と思うかもしれませんが、認知症患者と同じような収縮、症状が見られま す。

また、アルコールが抜けたときの離脱症状としては、不眠、寝汗、手の震え、むくみ、不安感や焦燥感、などがあります。

アルコール依存症と言えば、お酒が抜けると手が震える、という場面を思い出す人も多いと思いますが、それ以外にもたくさんの離脱症状があるのです。

また、摂食障害やうつ病といった精神的な病を併発している人もたくさんいます。

アルコール依存症の治療

外来通院

現在、厳密な意味でのアルコール依存症の薬はありません。

アルコールを飲むと脈拍が早くなったり、猛烈な吐き気に襲われるなど、しんどい思いをする抗酒薬はありますし、また、アルコール依存症に付随してあらわれる内臓疾患や精神障害を治療するということもあります。

しかし、「お酒が飲みたい」という気持ちを抑える薬や、一口飲んだとしても適量で抑えらえるようになる薬はありません。

そのため、まずは、外来に通院をすることになります。

外来では、抗酒剤を処方してもらったり、血液検査などで飲酒をしていないことの確認をしてもらいます。また、離脱症状の相談などもできます。

しかし、通院そのものが任意であり、当たり前ながら飲んだら気まずくなって通院しなくなってしまうため、ある程度の自制心が求められます。

アルコール専門病院(通院)

慈友クリニック(高田馬場)
さいとうクリニック(麻布十番)
周愛利田クリニック(北区)
榎本クリニック(池袋、飯田橋、大森など)

入院治療

症状がもっとひどくなると、入院治療が必要になってきます。アルコール依存症の症状がひどくなると、連続飲酒の状態になりますので、起きているときはずっと飲んでいるということになります。

そのため、仕事もできない、食事もろくに食べない、昼夜逆転の不健康な生活に陥ってしまいます。そんな場合、入院した上でお酒を抜き、規則正しい生活を取り戻していくのです。

また、アルコール依存症専門の入院病棟を持っている数少ない病院である成増厚生病院では、「教育入院」といって、入院中にアルコール依存症について学習をします。

3か月間の教育入院の間、まずはお酒を抜き、体調を回復させます。そして、毎日様々な学習(アルコール依存症に関する知識、飲酒欲求の落ち着け方、作業療法など)のプログラムが組まれ、また、次で説明しますAAや断酒会といった自助会への参加を習慣化させます。

入院治療というと、隔離病棟をイメージすると思いますが、病院によって異なります。先ほどの成増厚生病院では、基本的に開放病棟で、いつでも近くのコンビニでお酒を買うことができます。

しかし、せっかく入院したんだから、みんな頑張っているから、もう二度と同じことを繰り返したくないから、という気持ちで、飲酒欲求をこらえるのです。

飲酒して退院になってしまう人もいます。また、退院後、すぐに再飲酒して戻ってきてしまう人もいます。

そんな風に断酒と再飲酒を繰り返しながら、治療をしていくのです。

自助会

お酒をやめる上で、大変大きな役割を果たすのがAA(アルコホリックアノニマス)や断酒会といった自助会です。

自助会は、同じアルコール依存症の人が集まる会で、全国どこでも、毎月、毎週のように開催されています。

自助会では、まずは、自分がアルコール依存症であることを認め、アルコールに対して無力であることを認めることから始まります。

そこから、これまでの人生を振り返ったりもするのですが、おそらく再飲酒防止に役立っているのは、同じ病を抱えて苦しむ仲間と頻繁に会い、共感しあうことなのではないかと思っています。

特効薬のないアルコール依存症にとって、自助会に行っているかどうかで、回復率に大きく違いがでるようです。

アルコール依存症を始めて勉強する方にお勧めの本です。

アルコール依存症を疑ったときの相談先

アルコール依存症かもしれないと思っても、いったいどこに相談に行けばよいか分からないという人も多いのではないでしょうか。

以下では、問題の深刻度や本人の認識の違いによる最適な相談場所についてご案内したいと思います。

警察や弁護士

飲酒すると暴力を伴うなど、緊急性が高い場合は、まずは、自分や子どもの身の安全を確保することが大切です。そんな場合は、警察や弁護士に相談しましょう。

病院

飲酒後、失神したり、意志の混濁が見られる場合、もしくは、飲酒により幻聴や幻覚がある場合は、まずは救急医療に繋げる必要があります。

また、本人に治療意欲がある場合も、医療機関につなげるのがいいでしょう。

依存症は、精神科の領域になりますが、内臓疾患などの身体症状は内科の範疇になります。現在は、一般の内科の先生でも、アルコール依存症の知識が広まっているので、ある程度の規模の病院であれば、専門の病院につなげてくれると思います。

精神保健福祉センター、保健所

どこに相談にいけばいいか分からない、いろいろな問題が複雑に絡んでいる場合は、まずは、精神保健福祉センターや保健所に相談に行くことをお勧めします。相談を通じて、相談者自身がアルコール依存症の人との付き合い方が分かったり、医療につなげる方法を学ぶことができます。保健所は、精神保健福祉センターに比べて専門性が低かったりしますが、自治体に必ず一つはあるので、まずは保健所に相談にいくというのでもいいかもしれません。

アルコール依存症と家族への影響

ここからが本題のアルコール依存症と夫婦や家族の問題についてです。

アルコール依存症の相談は、まずは、家族が電話相談やメールで問い合わせることが多いといわれていて、困っているのは患者本人よりも家族、ということが少なくありません。

また、1人のアルコール依存症患者の周囲には、数人の酒を飲まない病人が出るともいわれており、アルコール患者は周囲の人間関係をも壊していくことがよくわかります。

そのため、「お酒の飲みすぎ→夫婦不和」という流れに陥りやすいのです。

一方、夫婦の仲がうまくいかなくなり始めると、飲酒の機会が増え、アルコール依存症になりやすいとの統計もあり、「夫婦不和→アルコール依存症」という流れもありうるのです。

以下では、飲酒により夫婦関係にどのような影響があるのかをみていきましょう。

暴言・暴力

飲酒をすると、暴言や暴行が配偶者に向かう人も少なくありません。

いつもはおとなしい人に限って、お酒を飲むと気が大きくなったり、乱暴になったりします。また、いつ被害が及ぶかとびくびくして過ごさなければならないのも、とてもストレスフルです。

ここで、典型的な事例を使って、飲酒による暴言・暴力の特徴をお伝えしたいと思います。


夫52歳 会社経営者
妻45歳 専業主婦
子18歳 高校3年生

夫は、昔からお酒が好きだったが、ここ数年、特に酒量が増えていた。
経営する会社が傾き始めたのがきっかけだ。
夫は、生真面目な性格で、仕事至上主義者だったため、会社がうまくいっていないというのは、とても大きな精神的ダメージだった。

元々、夫は専業主婦の妻を見下す傾向にあり、「誰のおかげで食べられていると思うんだ」、「稼がないなら家事くらいしっかりやれ」とモラハラ発言があった。

そして、お酒が入ると、その傾向が強くなり、大声で怒鳴ったり、物にあたることがあった。

最近は、妻への直接的な身体的暴力が始まり、何か気に食わないと、押したり、時には殴ることもあった。

妻は、暴力の原因がお酒であることは分かっていたが、お酒を家に常備していないと、余計に暴力を振るわれそうで怖かった。飲んで帰ってくることが予想される日は、ベッドに入って寝たふりをしつつ、震えていた。家で飲む日は、とにかく怒らせないよう、子どもとビクビクして過ごした。

こんな生活はもう嫌だと思うこともあったが、子どものことを考えると、大学を卒業するまでは何とか我慢しなければと思うのであった。


アルコール依存症と酒乱は別です。そのため、アルコール依存症だからといって、必ずしも飲酒すると暴言・暴力につながるとはかぎりません。

ただ、やはり、アルコール依存症の人が飲むお酒の量は大量で、理性を失うのに十分な量です。少し上機嫌になるだけ、見た目はそんなに変わらない、という人もいますが、やはり、お酒によって、もともとあった問題傾向強くなったり、理性で抑えていた部分が出やすくなったりする人が多いようです。

経済的な影響

会社を辞めてしまう(辞めさせられる)

大切な接待の席で失敗したり、深酒がたたって遅刻が増えたりと様々な理由で会社に居づらくなることがあります。

また、症状が進行してくると、飲んでいないときでも集中力がなくなってしまい、その結果、仕事上のミスを連発してしまうこともあります。

こうしたことが原因で会社を首になったり、自ら辞職すれば、計り知れない経済的影響を及ぼすことになります。

酒代がかさむ

家で飲むだけであっても、毎日相当の量のアルコール飲料を摂取するので、かなりの金額になります。ましてや、外に飲みに行く人は月額10万円以上の飲み代がかかっていることも珍しくありません。

お金を渡さないと、勝手に財布から抜き取ったり、知らない間に定期や学資保険を解約していたり、最悪の場合は消費者金融で借金をしていたりと、お酒を手に入れるためには何だってするのがアルコール依存症です

医療費がかかる

お酒の飲みすぎで体を壊し、医療費がかさむこともあります。アルコール依存症の治療は、保険もききますので驚くような高額になることはありません。ただ、繰り返し定期的に治療が必要ですので、仕事を辞めてしまって、貯蓄を切り崩して生活しているような場合は大きな出費となってしまいます。

損害賠償の危険性

飲酒の上、交通事故を起こして、損害賠償を求められるかもしれません。また、外で飲んだ後、店や路上のものを壊したり、誰かと喧嘩をしてけがをさせたりと、そんな場合も同じく損害賠償請求をされる危険性があります。

子どもへの影響

夫婦に子どもがいる場合、毎日飲んだくれた親の姿を目にすることになり、子どもにも大きな影響があります。以下では、親の飲酒による子どもへの影響をお伝えします。

基本的な日常生活への影響

アルコール依存症が母親の場合、日常の子育てが困難になります。様々なケースがありますが、母親の場合、日中は普通に生活できるけれど、夕方から夜間にかけて、飲酒がコントロールできないという人がいます。

夜間に飲みすぎてしまうと、朝起きることができません。そのため、朝起きて子どもの朝食を作り、子どもを起こして食べさせ、準備をして登校させるという朝のルーティンができなくなります。

中には、日中も飲んでしまう人もいて、そうなると、掃除や洗濯もできなくなってしまいます。子どもは、散らかった家の中でろくにご飯も作ってもらえず、ネグレクト状態になるのです。

虐待

飲酒による暴言や暴力が子どもに向かった場合、虐待行為となります。また、子どもが対象ではなく、配偶者への暴力や暴言が子どもの目の前で行われていたとしても、面前DVとなり、同じく虐待行為になります。

将来への不安

親がろくに仕事もしないで、自宅で飲んでいる姿を見ていると、このまま学校に通うことができるのか、習い事を続けることはできるのか、そういった将来への不安を抱えるようになります。

また、親の姿を見て、自分もこんな風になってしまうのではないかという不安を抱える子どももいます。

悩みを相談できない

親がアルコール依存症であることは、「恥ずかしい」ことだと感じます。そのため、誰にも相談できず、ひとりで悩みを抱えることになります。

体調不良や精神面への影響

そのうち、子どもはいろいろな形でSOSを出すようになります。不登校、非行、リストカット、自己肯定感の低下、パニック障害など、症状は様々です。

いわゆるAC(アダルトチルドレン)になってしまうのです。

アルコール依存症の親をもつ子どもたちに、親の病気を説明する本がこちらです。

この本は、自分の親がどういう状態にあるのか、子どもの目線で分かりやすく書かれています。特に、悪いのは自分でも親でもなく、お酒であることが説明されているので、自分を責めてしまうお子さんにとってはとてもよい本です。

加えて、この本は、アルコール依存症の配偶者を持ち、離婚するかどうか迷っている方にも読んでほしい本です。

子どもがどんな気持ちで毎日を過ごしているのか、気付きが多いと思います。

また、アルコール依存症の親の治療だけでなく、その子どものケアをしてくれる病院もあります。例えば、成増厚生病院のアルコール依存症病棟には、思春期外来というのありますので、そこで子どもの不登校などを相談することもできます。

子どもは、親より弱い立場にあります。

何よりも優先的に考えてあげて欲しいと思います。

夫婦関係の修復に必要なこと

夫がお酒の問題を抱えていたとき、簡単に離婚を決断できるものではなく、何とか治療して、元の夫婦に戻りたいと願う人も多いのではないでしょうか。以下では、夫婦関係の修復に必要なプロセスについて書きたいと思います。

本人がアルコール依存症の治療に協力すること

アルコール依存症の自認

アルコール依存症は、本人が自覚していなかったり、薄々自覚していても、それを認めないことが多かったりします。しかし、本人がアルコールに関して問題があると認め、飲酒行動を変えなければ、症状が改善することはありません。もちろん、飲酒を原因とする夫婦間の様々な問題も解決しません。

そのため、まずは本人と話し合い、本人の自覚を促しましょう

アルコール依存症を治療する

受診し、アルコール依存症だと診断されたとしましょう。多くの人は、診断にショックを受けるというより、ほっとするようです。

「お酒を飲んで暴れてしまう、それでもお酒をやめられないというのは、本人のせいではなく、病気なんですよ。」と聞いた時点で、胸のつっかえがとれたようになるのです。なぜなら、「病気だから仕方がない。本人が悪いわけではない」との気持ちがわいてくるからです。

しかし、本人が悪いわけじゃないからといって、日常生活における問題が解決したわけではありません。やはり、治療をしなければ、大変さに変わりはないのです。

そのため、重症度に応じて、通院・入院等の治療方針を決定し、治療を進めましょう。

継続的な治療(自助グループ等への参加等)

アルコール依存症は、治ることはないといわれています。覚せい剤などと同じで、何年経っても、「依存脳」は「依存脳」のままです。そのため、一度アルコール依存症になった人は、上手にお酒と付き合いながら飲酒するということが二度とできなくなってしまい、断酒しかないのです。

しかし、依存症から回復することは可能だと言います。とくに、断酒が2年続けば、そのまま飲まずに一生を終えられる可能性がぐっと高くなります。

そのため、一時的な通院や入院だけではなく、治療が完了した後、「飲まない期間を続けるための努力」が必要になります。

通院やデイケアなどで医療的なアドバイスを受けつつ、断酒会やAAといった自助グループに参加することで、治療的な効果があり、最終的には断酒につながるということがあります。

家族として求められるサポート

治療への協力

アルコール依存症の治療は、家族の協力なしには成り立ちません。例えば、継続的に通院できていたり、飲酒をしない期間が長くなってきたりしたら、その都度、「できていること」に目を向け、頑張りを認めてあげましょう。

世話をやきたい思いにブレーキをかける

アルコール依存症の夫をもつ妻は、とても面倒みがよくて、世話焼きなタイプが多かったりします。

例えば、お酒が原因で作った借金の肩代わりをしたり、勤務先に遅刻や欠席の連絡をしてあげたりします。また、人から聞かれれば、夫がアルコール依存症だということを隠す人も多いかもしれません。

そういう人のことを「イネイブラー」と言います。知らず知らずのうちに、問題行動を起こすお手伝いをしてしまう人たちのことです。

こうなってしまうと、なかなか本人が病気を認めなかったり、認めたとしても、治療効果が上がらなかったりします。

修復するという選択をしたのであれば、毅然とした態度でアルコール依存症と戦う必要があります。

お酒を飲んでしまったら別居する、お酒が抜けるまで相手にしないなど、夫婦間でルールを決め、きちんとルールを守りましょう。

家族もサポートを受ける

最初に書きましたように、アルコール依存症患者の周りには、複数の病人がでるというくらい、近くにいる人は心身ともに大変な目にあいます。

そのため、患者本人だけではなく、家族も治療が必要なのです。

しんどいな、と感じたら、早めに心療内科を受診しましょう。

アルコール依存症専門の病院の中には、家族会や家族入院といった制度をもった病院もあります。上手に利用し、心身の疲れをためないようにしましょう。

また、AAの家族版もあります。

自助会のいいところは同じ境遇の人と話せることです。ご近所さんやママ友には打ち明けられなくても、同じ境遇にある人であれば、辛い思いを吐露できるはずです。

アルコール依存症の夫との離婚の進め方

まずは夫婦関係の修復を目指してみたけれど、だめだったという方は、自分や子どもが犠牲にならないためにも、離婚をお勧めします。以下では、離婚の手順や話合いの方法について書いていきたいと思います。

夫婦で話し合う

離婚協議の基本は夫婦で話し合うことです。ただ、アルコール依存症の相手と話し合う際は、以下のことを気を付けましょう。

話合いはしらふのときに行う

当たり前のようで意外とできていないのが、「お酒を飲んでいないときに話し合う」ということです。アルコール依存症の人は、酒量が多いだけでなく、飲んでいる時間そのものも長いため、なかなかしらふの状態がなかったりします。

しかし、飲酒状態で話をしてしまうと、すべて「覚えていない」と逃げられてしまいます。必ず素面の時に話し合いましょう。

暴力があるときはとにかく逃げる

飲酒時の暴力がある場合は、話合いなんて悠長なことは言っていられません。まずは、実家に帰る、別居する、女性センターに保護してもらう、病院の家族入院を利用するなどして、物理的距離を取りましょう。

また、暴力はなくても、暴言がひどいときも同様です。毎日のようにひどい暴言を浴びせられていると、正常な判断力がなくなってきます。自分が精神的に参ってしまい、うつ病やパニック障害になってしまうこともあります。

言葉だけだからと我慢せず、早めの行動が肝心です。

「今度こそお酒をやめる」の一言に負けない

話合いの際、「今度こそお酒をやめるから」という決まり文句が出てくることが予想されます。この言葉に対し、ラストチャンスを与えるかどうかは、あなた次第です。ただ、きっとあなたは離婚を切り出す前に、同じやり取りを何度もしているはずです。

無理に合意しようとしない

夫婦間での離婚協議はそう簡単ではありません。そもそも離婚意思が合致しないこともありますし、離婚意思が合致したとしても、離婚条件が合致しないこともあります。

しかし、結局、話合いが決裂したとしても、実は、この過程がとても大切だったりします。きちんと話をせずに次のステップとして第三者を仲介に入れた場合、「直接相手の気持ちが聞きたい」、「何を考えているのかよくわからない。」「まだ夫婦でもきちんと話し合っていないのに」という気持ちがいつまでも消えず、話合いが前に進まないことがあります。

そのため、夫婦での話合いは大切ですが、合意できないことも十分に考えられますので、その場合は深追いせず、以下の3つの「第三者を仲介させる方法」を検討しましょう。

家庭裁判所の調停

裁判所というと、とても手続きが難しかったり、弁護士への依頼が必須だと考える方もおられますが、そうでもありません。婚姻費用や面会交流を決めるための調停は、申立手続きもそんなに煩雑ではありませんし、まずは、弁護士に依頼せずに自分でやってみるという選択肢も十分にあります。

ただ、話合いにとても時間がかかる点や、裁判所に申し立てたというだけで相手との争いが激化しかねないというデメリットがあります。

弁護士に依頼する

弁護士に依頼するメリットは、何と言っても法的知識が豊富な専門家に全面的に味方になってもらえる点です。また、精神的なダメージが大きい人は、自分の代わりに夫と交渉してくれるという安心感も大きいと思います。

ただ、費用が100万円近くかかりますし、弁護士だからといって何でもかなえてくれるわけではありません。また、弁護士を間に入れた途端に紛争が激化するということもありますので、依頼は慎重に検討しましょう。

離婚弁護士の活用例
離婚に強い弁護士の探し方と選び方
離婚に弁護士は必要か?!

ADR(民間調停)を利用する

ADRは、裁判外紛争解決手続きとよばれる民間の機関による手続きです。民間と言っても、法律に基づいて法務省に管轄されている点で安心感があります。

ADRを利用するメリットは、以下のようなものがあります。

・平日夜間や土日の利用が可
・オンライン調停が可
・弁護士の費用の10分の1程度
・法律の専門家による中立な立場での関与が得られる
(紛争性がそれほど高まらない)

一方、デメリットとしては、安価といえども、裁判所の調停に比べて費用がかかることが挙げられます。

ADRについては、以下のコラムもご参照ください。

ADRによる調停
ADR(調停)よくあるQ&A

まとめ

アルコールは、人間関係の潤滑油でもあり、節度を守って飲酒している分には特に問題はありません。しかし、飲み方を間違えると、依存症に陥る怖い飲み物です。

日本は比較的お酒に優しい国です。24時間お酒が飲めるお店も少なくありません。お酒を飲んでいれば、何でも無礼講ですし、記憶をなくすほど飲んで何か失敗をしても「武勇伝」のように語られたりします。

そのため、夫(妻)のお酒の飲み方に多少違和感があっても、あまりそれ自体を問題として話し合うことはありません。

しかし、夫婦の時間がもてない、暴言・暴力がある、経済的に困窮している、家事・育児に参加してくれないといった、様々な問題の後ろにアルコールがあるかもしれません。

アルコールの問題は、そんなに簡単には解決しません。治療に寄り添うという判断もありですが、離婚という選択肢もあります。

この長い文章を最後まで読んでくださった方は、きっと、配偶者のアルコール問題に悩んでおられる方だと思います。大切なのは、「自分の幸せ」を大切にした解決です。判断に迷ったら、自分はどっちが幸せになれそうかを考えてみてください。そして、おひとりで悩まず、ぜひ、離婚カウンセリングにてご相談ください。

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