ADR調停

新しい離婚の方法?!ADR調停という解決方法

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再婚家庭と面会交流

みなさんは、離婚条件を相手と話し合うとき、どんな話合いの場をイメージしますか?

お子さんが寝静まった夜、静かに夫婦で話し合うイメージでしょうか。

もしくは、別居が先行しており、メールなどでやりとりをするイメージでしょうか。

その他にも、弁護士さんや双方の両親に間に入ってもらったりして、直接的な話合いの場を持つ方もおられると思いますし、家裁での調停や裁判といった紛争性の高いステージを想像する方もおられると思います。

今日は、離婚条件の話し合い方に迷っている人に是非お勧めしたい「ADR調停」について、他の方法と比較したりしながらお伝えしていきたいと思います。

   1 離婚条件の話し合い方

離婚すると決めたなら、次に待っているのが離婚条件です。慰謝料の有無やその金額、財産分与、年金分割、お子さんがいれば養育費や面会交流など、離婚に付随する様々な条件を決めていかなければならないのです。そういった離婚条件をどのように決めるか、その方法の選択によって、あなたの離婚の行方は八割方決まってしまうといってもいいかもしれません。

1-1 夫婦だけでの話合い

まずは、夫婦2人で話し合うのが一番の基本です。離婚やそれに付随する離婚条件は、究極にプライベートな話題ですので、やはり、当事者同士で話し合うのが解決の近道だったりします。

しかし、以下のような事情がある場合、夫婦だけでは話合いが円滑に進まないことがあります。

1-1-1 夫婦の力関係が極端に偏っている

夫婦間にモラハラやDVがある場合、一方の力が極端に強いため、話合いを持つことは困難です。また、モラハラやDVがなかったとしても、どちらかがとても口下手で、言いたいことが言えなかったりすると、相手に一方的に押し切られてしまい、後になって後悔することになりかねません。

夫婦の力関係は、普段の生活や会話から十分に予測することが可能です。

「いつも言いたいことが言えない」、「すぐに相手の顔色をうかがってしまう」という人は、夫婦のみでの離婚協議は避けた方がいいでしょう。

1-1-2 夫婦の意見が大きく食い違う場合

離婚するかしないか、離婚するとして、諸条件はどうするか、離婚には決めていかなければいけないことがたくさんあります。しかし、夫婦の意見が大きく食い違うことが予想されるとき、夫婦のみでの話合いは意味をなさないことがあります。

例えば、一方が離婚したい、もう一方が離婚はしたくないと考えているとします。そんな場合、いくら夫婦で話合いをもっても平行線です。

妻:離婚したいんだけど。。。
夫:俺は絶対その気はないよ
妻:。。。。。

こんな会話になってしまいます。

実は、こんな場合でも、問題解決のため、話合いを前に進める方法はたくさんあります。しかし、当事者二人でそれをするのは、かなり難しいと思います。

1-1-3 離婚に関する知識がない場合

離婚条件の一つである財産分与や慰謝料、お子さんのいる場合の養育費といった問題は、ようするに「お金」の問題です。こういった問題を解決するには、ある程度の「知識」が必要です。

例えば、財産分与について、「独身時代の貯金は分与対象にならない」とか、「基本は半分ずつ」といったことを知らない場合、どういうことが起こるでしょうか。

独身時代の財産も含む、今ある財産を半分ずつ分けてほしいと過剰な要求をされるかもしれません。また、「お前は家で家事しかしてないんだから、俺の稼いだ金は渡さん!」と言われてしまうかもしれません。

もちろん、このような主張をする場合もあるかもしれませんが、大切なのは、自分や相手の要求が「正当」なのか「おかしい」のかを判断する知識を持っているということです。そうでなければ、意見が食い違った場合、次のステップに進んでいくことができなくなります。

1-2 親族を入れての話合い

両親やきょうだいに仲介してもらって、離婚協議を進めるご夫婦もいます。しかし、実は、あまりお勧めではありません。その理由を以下にご紹介します。

1-2-1 公平でない

親族が話合いの仲介に向かない一番の理由は、公平な見方が難しい点です。所詮、身内です。どうやったって自分の子どもをかばいたくなるのが親心です。そんな親心があだとなり、円満に話し合えるものも円満でなくなります。

1-2-2 専門的な知識がない

親族は、お互いの気持ちを引き出したり、代弁したりすることはできるかもしれませんが、法的知識に裏付けられたアドバイスをすることはできません。浮気をした夫側の両親が「子どももいることだし、今回だけは目をつぶってやってよ。私たちがきつく叱っておくから。」なんてことを言う場面もあるかもしれません。しかし、やり直すにあたって、もう浮気をしないと約束する、もし再度浮気をしたら今度こそ離婚に同意する、その場合の慰謝料はいくら払う、という内容の公正証書を作成できることやその法的性格について説明できるわけではありません。

親族の仲介の基礎は「情」であることを忘れてはいけないのです。

1-2-3 心配をかける

当たり前のことですが、夫婦のご両親は夫婦より高齢です。子どもも独立し、たまに遊びにくる孫の成長を楽しみにするような、そんな穏やかなご両親の生活を考えると、夫婦の離婚話の仲介をお願いするというのは、酷な感じがします。

実際、「親には心配をかけたくない。」という理由で、ご両親に夫婦不和の報告をいつするのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。ご両親には、穏やかな形で結果報告するくらいがちょうどいいのです。

1-3 共通の友人や仲人などを入れた話合い

知人や仲人さんに仲介してもらうのも、親族に仲介してもらうのと同じような理由で好ましくありません。そもそも、自分の意見を持たずに話合いを仲介するのは、意外と難しかったりします。どうしたって「離婚した方がいいのでは」、「いや、離婚しない方がいいのでは」というアドバイスをしたくなります。

大切なのは、離婚したらこうなる、しなければこうなる、という様々な場合分けを提示しつつ、当事者の気持ちの整理を手伝うという作業です。けして、仲介者自身の意見を言うことではありません。

1-4 弁護士に依頼する

離婚協議といえば、弁護士さんを思い浮かべる人も多いことと思います。しかし、以下のような理由で、最初の相談窓口として適していないことがあります。

1-4-1 対立構造になる

弁護士の仕事は相手と交渉をすることです。そして、例外もありますが、弁護士に依頼すると対立構造がはっきりとしてきます。そのため、「穏やかな解決」が難しくなってきます。

また、弁護士の報酬は、着手金や基本的な料金のほかに「成功報酬」が含まれますので、弁護士の基本姿勢として「できるだけたくさんのお金をとる」もしくは、「できるだけ依頼者が支払うお金を少なくする」という方針があります。しかし、この方針には、依頼者と相手方がかつては愛し合い、何年も生活を共にした夫婦であること、または、夫婦の間に子どもがおり、今後も何らかの関係を続けていかなければならないことに対する配慮はありません。特に、刑事や民事の事件を主に担当している弁護士さんには、この傾向があるといえるでしょう。

1-4-2 お金がかかる

初回の相談を無料で受けてくれる弁護士さんはたくさんいますが、正式な依頼なく相手との交渉や仲介をしてくれる弁護士さんは皆無です。仲介や交渉をしてもらうには、着手金が必要です。着手金の金額は事務所によって異なりますが、20~40万円程度はかかります。また、その後、最終的には成功報酬等も含めて100万円前後の支払いが必要になるでしょう。

中には、弁護士費用を支払ったら、分与できる財産がほとんど残らないという人もいるでしょうし、弁護士費用の分、財産分与に上乗せした方が円満に解決できるということもあるでしょう。

1-4-3 例外

しかし、中には最初から弁護士への依頼が適している人もいます。例えば、相手との対立が既に著しく、最初から裁判を見込んでいる場合は、早期解決のためにも、最初から弁護士に依頼するのがいいでしょう。

また、資産家の方やある程度の規模の会社を経営されている方なども、金銭面の取り決めを間違いなく行うためにも、弁護士に依頼し、ビジネスライクに話を進めてもらった方が解決への近道かもしれません。

   2 ADR調停(民間調停)

今日は、先に紹介した協議の方法とは別の方法として「ADR調停」を紹介したいと思います。

2-1 ADR調停(民間調停)

家庭裁判所に限らず、日本では、裁判所で裁判や調停をしようとすると、大変長い時間がかかります。テレビなどで「〇〇事件の判決がついに出ました。」と報道されるたび、「あの事件、まだ裁判やってたんだ。」と思う方もおられるでしょう。

刑事事件に限らず、離婚調停もしかりです。そのため、裁判所以外でも、裁判所のような公平・中立な立場の人に仲介してもらえるようにとADR(Alternative Dispute Resolution(裁判に代替する紛争解決手段)の頭文字を取ってADRです)ができたのです。

2-2 ADR調停のメリット

2-2-1 融通がきくの

家裁で調停をするとなると、平日の日中ですが、多くのADR機関は平日の夜や休日も調停が可能です。ご夫婦のどちらかもしくは双方がお仕事をされていることと思いますので、平日の日中に限らないというのは大変なメリットがあるのではないでしょうか。

2-2-2 早期解決が期待できる

家裁での調停にくらべ、調停期日の間隔を当事者の希望により決めることができます。家裁であれば、いくら結論を急ぎたくても、次回期日が入るのは1か月以上先になります。一方、ADR調停であれば、都合されよければ、1週間後に次回調停を予定することもできます。

2-2-3 調停委員にはずれがない

家裁で離婚調停をする場合、自分で調停委員を選ぶことはできません。もちろん、家裁の調停委員である以上、離婚に関する法的知識や調停進行に必要な能力を兼ね備えていなければいけません。また、最近は、調停委員に対する研修制度を整えている家裁も多く、以前のように、近所のご意見番みたいなおじいちゃんが出てきて『浮気は男の甲斐性やから一回くらい許してやったら』なんてことを言われる悲劇は少なくなっていると思います。

しかし、やはり、当たりはずれがあります。

当事者の話を聞かずに自分ばかり話している人、逆に当事者がとめどなく話すのをただ聞くしかできず、遅々として調停を進められない人、法的知識が曖昧な人、保身に必死で相手の懐に飛び込めない人、自分の感情が優先してしまう人、いろいろな調停委員がいます。

この点、ADR調停の場合、調停委員はその道のプロが務めます。知識が乏しいということは、まず、ありません。

2-2-4 少ない費用で弁護士の意見を聞ける

法務省から認証を受けたすべてのADR機関は、何等かの形で弁護士に相談するルートを確保しています。中には、必ず調停の期日には弁護士が同席したり、弁護士自身が調停委員の役割を果たす機関もあります。

弁護士に依頼するとなれば、何十万という費用がかかるわけですから、1期日1万円程度のADR調停の方が断然お得だということになります。

2-3 ADR調停のデメリット

そんなメリットがたくさんあるADR調停ですが、やはり、デメリットもあります。

2-3-1 裁判をするためには家裁の調停を経る必要がある

日本の家裁には「調停前置」という制度があり、離婚訴訟を提起する前に、「調停をしたけれど不成立で終わった」という経過を経なければならないという制度があります。

つまり、離婚のような問題は、いきなり裁判官に決定してもらうより、まずは当事者同士で話し合ってからにしなさいということです。

しかし、ADR調停は、たとえ法務省から認定をうけた機関であっても、「調停前置」の「調停」とはみなされません。そのため、ADR調停が不成立となった後、訴訟までして離婚をしたいと思った場合、再度、家裁の調停を経なければならないのです。

ただ、この点については、実はたいしたデメリットではありません。というのも、ADR調停が不成立になった段階で、既に離婚条件のどこでつまずいているのかが明確になっていたり、話し合う上で必要な書類が大方揃っていることがほとんどです。そのため、ADR調停でどこまで話ができているか、また、家裁の調停を担当する裁判官の方針にもよりますが、家裁の調停を始めても、少ない回数で不成立になることが見込めます。

ちなみに、離婚テラスのADR調停の場合、不成立になっても不成立になった経緯や離婚条件のどの部分がどんな風に折り合わなかったかを記した書面をお渡ししています。そのため、より経過が分かりやすく、過去には、期日2回で調停が不成立となった人もいました。

2-3-2 お金がかかる

弁護士に依頼せず、自分ひとりで調停を申し立てた場合、費用としてかかるのは申立費用数千円です。家裁の調停は、都度利用料はありませんので、1回で不成立になろうが、調停を2年続けようが、費用に変わりはありません。

しかし、ADR調停の場合は、多くは期日1回ごとに1,2万円の費用がかかりますので、家裁の調停に比べれば、お金がかかります。

しかし、実は、この点についてもそんなに大きなデメリットではありません。

離婚調停をする場合、自分はひとりで乗り切るつもりでも、相手に弁護士がついた場合、やむを得ず自分も弁護士を付けざるを得ないことが結構あります。やはり、自分だけ専門家からのアドバイスが受けられないとなると、不安感が増しますし、言い負かされそてしまいそうになるからです。

しかし、法務省の認証を受けたADR調停機関の場合、何らかの方法で弁護士に意見を聞くことができるようになっています。そのため、相手に弁護士がついていたとしても、中立・公平な立場の専門家の意見を聞きながら進めることができますので、総合的にかかる費用を比較すると、「家裁の調停より高い」とは一概にも言えないのです。

   3 ADR調停に適している人

では、どのような人がADR調停の利用が適しているのでしょうか。

3-1 夫婦の一方が離婚に合意していない 

夫婦の一方が離婚に合意しきっておらず、離婚条件の話合いがなかなか進まないことがあります。例えば、双方ともに不貞などの有責性がなく、でも、妻がもう婚姻生活に限界を感じているとします。

妻が離婚を切り出しても、その気のない夫は、「離婚する必要はないと思っている」などと言い、話合いにはのってこないでしょう。妻が何とか我慢できればいいですが、そうでない場合、まともな話合いもないままに、突然別居の日がやってくることになります。そうなれば、夫としても、突然の別居に戸惑うでしょうし、子どもがいればなおさら「連れ去り」という問題にも発展しかねません。

また、話合いが進まないまま、妻のメンタルに限界がきてしまい、うつ病や適応障害になってしまうかもしれません。

ADR調停は、離婚の方向で話が進むとは限りません。一方が離婚に応じられない場合、当面別居という形で成立させることもあります。きちんと話合い、ルールを決めた上での別居をするのは、離婚したくない夫にとってもメリットがありますので、こんな場合はADR調停がお勧めです。

3-2 夫婦での協議が困難

夫婦ともに離婚に合意しているけれど、離婚条件の話合いが二人ではできそうにないことがあります。

たとえば、DVまではいかないけれど、相手を目の前にすると、なかなか言いたいことが言えない、ということがあります。また、ついついけんか腰になってしまって、理性的に話ができないご夫婦もいるでしょう。そんな場合、公平・中立な立場の専門家が仲介するADR調停が最適です。

3-3 夫婦ともに離婚知識に乏しい

例えば、離婚にも合意しているし、離婚条件を公正証書に残すことも同意している。でも、どのような離婚条件を話し合うべきか、その項目すら分からないという場合があります。

そんな場合は、ADR調停を利用し、専門家の意見も聞きつつ、夫婦それぞれの希望も言い合いながら、公正証書にて定めるべき項目やその内容を話し合うことができます。

3-4 相手には弁護士がついているが、自分は依頼したくない人

よくあるのが、出ていった配偶者の代理人と名乗る弁護士からある日突然連絡が来て、「今後は、全てこちらを通すようにしてください。」などと言われ、いきなりの対立構造に巻き込まれることがあります。

ただ、そんな場合でも、自分には弁護士に依頼する経済的余裕がないとか、弁護士に依頼してまで紛争性を高めたくないということがあります。

そんな場合は、まさにADR調停がお勧めです。公正・中立な調停者が夫婦の話合いのお手伝いをしますし、時には相談役弁護士にコメントを依頼することもできます。

   4 ADR調停に向かないひと 

4-1 紛争性の高い夫婦

既に夫婦間の葛藤が高く、最初から裁判が見込まれる場合、ADR調停は単なる時間の無駄となるかもしれません。そのため、最初から家裁の調停を申し立てる方がいいでしょう。

4-2 譲歩の余地がない人

離婚条件について、まったく話合いの余地がない場合、やはりADR調停は向かないかもしれません。中には、お互いが譲歩しつつ、妥当な線で合意することを望む人もいれば、どんな結果に終わろと、とにかく最後まで戦い抜くということを目標にしている人もいます。

「最後まで戦う」という姿勢は、実はあまり合理的ではありません。ただ、離婚問題は、理性で解決できるものではなく、結果として不利になったとしても、「最後まで戦い抜く」という姿勢を貫くことでしか前に進めない人もいるのです。

4-3 相手がADR調停に応じる理由がない場合

夫婦の両方がADR調停での解決を望んでいる場合もまれにありますが、ほとんどは、一方のみが希望していて、何らかの理由で相手も渋々応じているという状況です。

家裁の離婚調停もそうですが、申立人はもちろん調停を望んでいるわけですが、申し立てられた相手方は、自分から申立てをしていないという時点で、調停にニーズはないのです。ただ、「家裁からの呼び出しに応じなかったら不利になるんじゃないか。」とか、「生活費を止められたら困るから渋々応じた」とか、「見て見ぬ振りをしてきたけど、もうそろそろはっきりさせないと」とか、何らかの理由があって応じてくれるのです。

そのため、相手に何にも応じる理由がない場合、一方がADR調停を希望しても、相手方の欠席という結果で終わってしまったりします。

   5 まとめ

ADR調停という言葉を始めて耳にした人も大勢おられることと思います。

しかし、「知らない」で済ますには、あまりにもったいないメリットがたくさんです。

今回は、離婚や離婚条件を前提に書きましたが、他にも話し合えることがたくさんあります。

例えば、一方が浮気をした場合があります。夫婦関係を修復するのか、修復するとして、どんなことを約束するのか、約束を破った場合はどんなペナルティを課すのか、といったようなことを話し合い、最終的に公正証書を作成することもできます。

あまり堅苦しく考えず、夫婦の話合いを専門的な知識を持って公正・中立に仲介してくれる機関という程度の気軽さで利用してもらえればと思います。

離婚テラスも法務省の認証を受けたADR調停機関です。相談役弁護士には、家事事件に詳しい弁護士と元裁判官の弁護士2名が就任しています。ご興味のある方は是非ご連絡ください。

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